大海蛇      

78. 「大海蛇」(20050721)


この仕事を抜け出して海に行こう。渚に残された大海
蛇の這った痕を捜しに行こう。剥がれた鱗がキラキラ
光る浅瀬には、この前の台風で打上げられたビニール
袋ひとつ。ラベルには「植木等に最適」と書かれてい
て、ちょいと驚かされるが、続いて「黒土用肥料」と
書いてあるので納得する。海を眺めると、波頭の丁度
砕けるところに、水面を泳ぐ大海蛇のようなものが見
え隠れしているような気がして。でも単なる気のせい
のような気もしてくる。僕の頬を撫でる沖からの風は
大海蛇の呼吸なのかも。ふと気がつくと、奥床しい筈
の君は、水着にいつの間にか着替えて無邪気に泳ぎ始
めている。僕は服のまま焦って君を追いかけ海に飛び
込んだお陰の夏風邪で、しっかり次の日寝込んだ件。

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土用丑、鰻の寝床雑文祭
http://homepage3.nifty.com/alstroemeria/unagi-zatsubunsai.htm
1.文中に次の語句を必ず用いること。
 ・「土用」
 ・「丑」または「牛」
 ・「鰻」(「うなぎ」「ウナギ」も可)
 ・「床」の文字が含まれる熟語
2.文中に次のフレーズを必ず用いること。
 ・「この暑いのによくもまあ」
3.鰻の寝床のような細長い物体を登場させること。


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