鳥頭出張      

76. 「鳥頭出張」(20010516)


 いつもは宅急便で送って済ますのだが、無能で決断力の無いボケどもがやっとこさ資料をでっち上げたのが締め切り日の前日の夜中だったので、私が資料を直接もっていくことになる。がるるるるる。自分のケツは自分で拭けと、親から教わらなかったのかね。育ちが良い方々って、人に迷惑かけても平気だから困るザマス。

 こういう日に限って天気が下り坂である。特急電車で東の方にいくので、「天気は西から東へ移動していくから、雨は大丈夫!」とお婆ちゃんの知恵袋を披露する。ポタポタ焼きも焼き上がろうかという勢いである。目的地の駅につくと土砂降り。降れば土砂降りという格言そのままである。雨降りはいつもレインという格言もある。雨雨振れ振れ母さんが、蛇の目のミシンで内職だ。

 雨にぬれるのは嫌なので、待ち合わせ時間まで昼飯でも食って時間を潰そうと駅ビルに行ってみると、あろうことか「水曜日定休日」の文字。

 なめとんのかわれ。駅ビルが休んでいいと思っとんのか。こら開けんかい。シャッターをガンガン蹴っていると駅員が駆け寄ってきたのでスタコラ逃げる。

 駅員を振り切り、駅前の定食屋に逃げ込む。結局ずぶぬれである。名物!天丼と書いてあったので注文する。これがまた名物と宣伝するだけあって、海老は生煮え、御飯はゴッチンの上タレでべちょべちょの愉快な食物。カンボジアで飢えている子供たちのことを考えてありがたくいただく。ありがたや、ありがたや。

 あまりに腹にすえかねたので、食後のコーヒーをガンガンお代わりする。これまた焦げ臭い逸品でして、胃に悪そう。胃をちゃぶちゃぷさせながら、このままでは負けだ!と思い、せめて一矢を報いるつもりで割り箸をごっそりいただいてくる。こんど会った時が本当の勝負だ。

 仕事はすんなりと終る。30分の仕事に往復6時間の移動で疲れる。列車で寝ていると車掌に起こされて不機嫌になる。不機嫌ついでに周りを見回すと切符でヒゲをそっているサラリーマンがいる。延々とジャリジャリと音を立てている。当然ヒゲは短くなろうはずも無い。車掌が切符を点検すると、昨日改札した切符だったことがばれ、そのサラリーマンはどこかへ連れていかれてしまった。何処か幸せの国に連れていってもらったのだろうか。いいなあ。私もついていきたかったが、また眠くなってきたので寝ることにした。


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