悪について      

68. 「悪について」(20000809)


 子供向けのヒーロー物に、「悪の秘密結社」と称する団体が出てくることがある。彼らの称する「悪」とは、「善悪」の悪かそれとも「劣悪」の悪かということが気になる。正義の味方を出し抜いて目的を達するということはほとんどないので「劣悪」なのであろうと推測される。「劣悪の秘密結社」。なかなか構成員になりたがる人は少ないような気がする。だから人をさらってきて改造するのであろう。

 「善悪」の悪は広辞苑によると「道徳的規範に反していること」だそうである。すると、道徳的規範が生じる前は、それに反しようがないから「悪」が生じる余地がない。道徳がまずあって、そののち「悪」が産まれるということである。すなわち「悪」は道徳の子供であり、道徳は当然人が生み出した物であるから、「悪」は人の孫であるという結論が導き出される。なんでこんなに可愛いのかよ。というのは悪の唄であったことが判明する。

 また、この世から悪を絶滅するためには、道徳を破壊する手法があると言う結論に達する。道徳がなくなれば、それに反することもできなくなるから、「悪」もなくなるという論理である。最近の若い人は道徳心というものがないと言う嘆きは良く聞かれるところの物であるが、彼らは彼らなりに「悪」を根絶すべく頑張っているのかも知れない。私は最近の若い人ではないので良く判らない。

 道徳の問題はとかくに難しい。道徳の問題をどう解く? と問われた経験があなたにもあると思う。独特に御託を並べながら得々とドクトル・ドリトルの如く解く、というのはその解答になるだろうか?ぜひ、自分自身の心に問いかけてみて欲しい。と、ソフィーの世界風にまとめてみました。読んでないけど。


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