「また野武士にやられるだ」
「どうしたらよかんべか」
「・・・やるべし」
「爺様、そら無茶だ。おらたちゃ百姓だ!米の作り方はわかるが人の殺し方は知らねえ」
「侍雇うだ」
「爺様、侍を雇ったのは雇ったけんども、なんか様子がおかしくないか?」
「野武士がきたぞ!」
「助さん、格さん、存分に懲らしめてやりなさい。」
「はっ、御隠居」
「この紋所が目に入らぬか」
三人のお侍さま達は野武士に向かって何か叫んだが、あっという間に切り殺される。
「爺様、やっぱ縮緬問屋では駄目だっただ」
「別の侍雇うだ」
「天下御免の向こう傷。パッ!」
「爺様、なんか暢気に喋っている間に、野武士に切り殺されちまっただ。着物が派手なら良いと云うものでもなかんべ。」
「別の侍雇うだ」
「おうおうおう、この桜吹雪が」
「爺様、金さんは侍じゃなくて町人だんべ。あっという間に野武士に切り殺されちまっただ。」
「別の侍雇うだ」
(中略)
「別の侍雇うだ」
「別の侍雇うだ」
「別の侍雇うだ」
侍を雇っては切り殺され、雇っては切り殺され。
くり返すうちに、日本の侍は一人もいなくなってしまった。
これが後の世に言う明治維新の真相である。
「勝ったのは百姓たちだ。我々ではない。」