黄色いスリッパ episode II      

31. 黄色いスリッパ episode II 020727


いやあ、まいったよ。ほらこの前話した長いバイトだけどさ。いつバイトが終わるかちゃんと初めに聞いておけば良かったんだけどさ、やっと終わってさ。いやあもう最後の方なんかメチャ忙しくてさ。なにしろ千客万来で。で、ちょっと休憩をとろうとして裏口に回ったらなんか白衣のおっさんがいてさ、いやあ、すまんすまん、バイトはもう切り上げていいよ。これバイト代だから。それで相談なんだけど、このバイトの話はさ、外でしないでもらいたいんだよね。ほらこちらもいろいろ都合があってさ。バイト代に色つけとくからさ。なんて言われちゃってさ。なんでレストランの経営者が白衣着ているかよくわかんないんだけど、食中毒対策かな。O−157の検査でもしているのかな。保健所対策か。まあ、それでやっとアパートに帰ってこれたというわけで。

それでもって、よくわからないんだけど隣にはリーマンのおっさんが住んでいたはずなんだけどさ。いつのまにか空き部屋になってんの。転勤かなあ。それならいいんだけど、ドアにはお札みたいなのが貼ってあってさ。花束が置いてあんの。なんか気味悪いよ。

ま、バイト終わって久しぶりに会えたんだから飲もうか。そういうわけで今、部屋には何もないんだけどさ。バイト代あるから酒とつまみ、コンビニに仕入れに行こうか。え? 眼鏡の彼女とはその後どうだ? だからあ、何度も言ったように彼女じゃないんだってばあ。え? そりゃそうなんだけどさぁ。まあいいや、男同士朝まで飲もうか。あれ? 今何か物が落ちる音がしたなあ。なんでこんな物が部屋の真ん中に落ちているんだろう。俺のじゃないと思うけど。黄色いスリッパ。







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