おそるべしカレー(カレーおそるべし)      

6. おそるべしカレー(カレーおそるべし) 011029


今日の昼飯はカレーライス(注1)であった。単に本日の定食が好みでなかったためであり、特に私がカレー教徒というわけではない。周りに飲食店が少ないため、しぶしぶ会社が作った食堂なのでメニューが乏しい。カレーについても種類を選べるわけではなく、カレーを選ぶと本日は否応無しにコロッケカレーであった。それはともあれ、なにぶんにもカレーにはそんなに詳しくないので、識者の意見を問いたいところであるのだが、驚いたことにコロッケカレーに載せてあるコロッケは単なるコロッケではなく、カレー味のカレーコロッケであった。カレーコロッケのコロッケカレー。繰り返します。カレーコロッケのコロッケカレー。これは正しいあり方なのであろうか。上下反対のものを載せるのはルール違反のような気が強くするのであるが。コロッケカレーだから、コロッケもカレー味にしたかったのだろうか。なんとなく気持ちはわかるような気もする。

しかし、同じ単語を重ねても良いものであろうか。人として道理が通るのであろうか。検証してみた方が良いのかもしれない。

それでは、語順を逆にしても意味が通じる単語を探してみよう。

「命運」に「運命」を重ねたらどうであろう。なんかもう逃れられないような絶体絶命の窮地のような気がする。三国志の登場人物や戦国武将が陥りやすいと思われる。あまり陥りたくないものである。

ついでに、「表裏」に「裏表」を重ねると表裏一体となって裏表が無くなる。もともとあっ た物が、重ねると無くなるという興味深い現象が生じる。

続いて「鉄屑」に「屑鉄」を重ねてみよう。見たところ、単なるスクラップ置き場である。危険だから関係者以外立入禁止である。

さらに「消しゴム」に「ゴム消し」を重ねると2つの消しゴムである。これは、なんら変わらないような気がする。実際に重ねる場合は四角の消しゴムが望ましい。ついキン消しを二つ重ねてしまうと、筋肉マンとラーメンマンのいけない関係を妄想しているのようにみえるので、授業中はやらないようにするのが良いのではないか。

カレーライスに単語の語順を変えたライスカレーを載せることは、普通はない、と信じたい。重ねてみれば、下からライス、ルー、ライス、ルーではないか。ライス、ルー、ライス、ルー、走らないで歩け。断面図を見ればダブルカレーライスバーガーの様相を呈している。食べにくい上に、ラッキョウ福神漬け等の薬味をどの層に配置するか困る。

以上の考察からは、同じ意味となる単語を重ねるのはあまり良くない状況を招きやすいことが証明された。ような気がする。かもね。

しかし、なぜカレーコロッケのコロッケカレーは許されるのだろうか。野菜や肉等の様々な材料がルーによって渾然一体となるカレーの魔術なのであろうか。

カレーの魔術かもしれない可能性をさらに検証するため、カレーを含む単語を列挙してみよう。 シーフードカレー、ビーフカレー、ポークカレー、ドライカレー、生き別れー、多かれ少なかれー、君死にたもうことなかれー、君といるといらいらするよ気疲れー、おつかれー、泣き別れー、物別れー

なんだかだんだん暗い気持ちになってきた。きっとこれもカレールーの魔力なのであろう。

ともあれ、カレーを含む単語であるから重ねることに向いているというわけではなさそうである。実は、コロッケの力なのかもしれない、今後の研究が待たれるところである。

(注1) カレーライスは若者の間では「ら抜きことば」でカレーイスというらしい。


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