桃太郎と風      

3. 桃太郎と風 010910



「桃太郎」
作詞:不祥
作曲:岡野貞一

昔昔、あるところにお爺さんとお婆さんがありました。お爺さんは山にシヴァ狩りに行きました。シヴァ神を崇拝するカルト教団の残党狩りであります。お婆さんは川に選択に行きました。一番かな二番かな三番かな一番かな二番かな三番かな一番かな二番かな三番かな一番かな二番かな三番かな。お婆さんが選択していると川上から大きな桃がどんぶらこどんぶらこと流れてきました。一番かな二番かな三番かな。桃かと思われたものは、実は女性の下半身を模した形状のクローン製造装置でありました。何を思ったかお婆さんは桃を家まで持ち帰り、包丁で切ってみると中にはクローン人間が入っておりました。クローン人間を作ることは法律で禁止されているのですが、川上の山中にアジトを持つカルト教団は、違法なクローンを製造していたようです。彼等がどのような意図でクローンを製造していたのかは、いまとなってはわかりませんが、その桃から出てきたクローンは初代クローンから数えて三代目のクローンであったことが記録に残っております。

♪桃太郎3(さん)、 桃太郎3(さん)

さて、違法なクローンとはいえ、赤ん坊には罪は無く、老夫妻は赤ん坊を育てることにしました。健やかに育った赤ん坊は、鬼退治に行くことになりました。

初めに犬が登場する。

桃太郎3 桃太郎3 オコシをください。お供しましょう。

次に猿が登場する。

桃太郎3 桃太郎3 煮付けをください。お供しましょう

次に雉子が登場する。

桃太郎3 桃太郎3 焚き火をください。お供しましょう

余り知られていないが、最後にロバが登場する。

桃太郎3 桃太郎3 団子をください。お供しましょう

この様子を歌ったのが以下のくだりである。

♪桃太郎3 桃太郎3 おこし 煮付け 焚き火 団子 一つ私にくださいな。

こうして彼等は食欲を満たした。雉子は焚き火をどうやって食べたか不明であるが、雉子ではなく火喰い鳥だったのかもしれない。食欲を満たした後は性欲を満たす番である。

♪やりましょう やりましょう (これから鬼の征伐についてくるなら) やりましょう

若いというのは、時に即物的であることよ(詠嘆)

さて、彼等は鬼の征伐に行くのだが、なかなかたどり着けない。食料が無くなった彼等はくじ引きで犠牲になる者を決める。ロバが引き当て、自らを犠牲にし他の者の血となり肉となった。こういうわけで、ロバの存在はこの話から抹殺される。桃太郎が犠牲になった場合、この話はブレーメンの音楽隊へと変更される。

さて、鬼が島に辿り着いた彼等は鬼と対面する。「鬼門」とは北東つまり丑寅の方角である。丑の角を持ち、寅の皮を履いた怪物即ち「北東の風」である。何故、鬼門が嫌われているかというと、古代中国では北東から強い風が吹いたので、北東の方向に物を置くと倒れたり吹き飛ばされたりするので危険だからである。風水の根拠なんてこんなものである。

鬼が島に辿り着いても、そこはただ北東からの風が吹いているだけであった。桃太郎は呆然と立ちすくむ。全てが荒れ果て瓦礫と化し風だけが吹きすさぶこの島で、僕はなにをすればいいのだろう。

その答えは風の中さ、風が知っているだけさ。


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