レンゲ

レンゲ畑はかっては日本の春の風物詩で、田植えの前の水田はどこも一面紅紫色のジュウタンを敷いたようになった。 マメ科特有の、根に根粒バクテリアが共生し、空気中の窒素を貯え、水田の緑肥となった為である。
植物が生長する為には窒素が必要であり、現代では植物を栽培する時には必ず窒素肥料が施されるが、かってはレンゲがこの役目を担ってきた。 人間が空気中の窒素から窒素肥料を作ろうとすると途方も無い高温や高圧が必要で有るが、レンゲの根のこぶの中に暮らす根粒菌はいとも簡単に空気中の窒素から窒素肥料を作る。
化学肥料が全盛の現代、レンゲ畑は残念ながら少なくなり、 筆者の散歩道の田にも見る事はなかなか難しいが、それでも少し遠出をすればこの地方でもまだ見つけられる。
10個位の紅紫色の花を車輪状に付け、並んでいる姿が仏様の座られる蓮華台に似ているのでレンゲの名がある。( 「ハスとスイレン」 の項参照)
原産地は中国で、漢名では紫雲英と書かれ、紫色の雲がたなびいている様なレンゲ畑の様子が髣髴とされ、良い名であるが、近年ではそんな風景もなかなか見られなくなった。

レンゲの花

レンゲの群生

渡来した時期ははっきりしないが室町の頃とされており、明治以降、緑肥として急速に広まり、一方、茹でて食用にもなり、利尿、解熱の民間薬としても利用され、又、ミツバチの蜜源としても重要な花であった。
緑肥や蜜源になったばかりでなく、昔は子供達が首飾りや腕輪を作って遊んだ花で、その風景も見られなくなって久しい。
尤も、近年、有機農業として復活の兆しがあると聞いており、再び子供達が花飾りを作る姿がこの地方でも見られるかもしれない

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