ヒメジソ イヌコウジュ
ヒメジソとイヌコウジュは代表的な秋の野草のひとつで、両者ともシソ科イヌコウジュ属の花であるが、そっくりで、ちょっと見で区別する事は難しい。 この区別ができれば相当な野の花通である。 一般的に書物に書かれている見分け方のポイントは @ヒメジソの葉は鋸葉が荒く、4−6個に対し、イヌコウジュは鋸葉が浅く6−12個 Aヒメジソのガクの先はあまり尖らず、イヌコウジュは鋭く尖る Bヒメジソは毛が少なく、イヌコウジュは毛深い であるが、ガクの先の尖り方や毛深さは相対的なもので、両者を並べてみれば納得するが、野原で見ただけでは難しい。 鋸葉の数は比較的分かりやすい見分け方であるが、イヌコウジュにも鋸葉の数が少ない葉があって単純にはいかない。 ルーペで覗いたり、葉の形や全体像をためつ眇めつ眺めたり、上部の葉や下部の葉の鋸葉の数を数えたり、見つける度に悩まされる花である。 ただ、ヒメジソの花が少し大きく、鋸場の数などで区別は可能で、野の花に興味を持ち始めた人には面白い教材である。
ヒメジソの花と葉
イヌコウジュの花と葉
ヒメジソは姫紫蘇と書いて小さなシソの意味であるが、シソとは別属で、食用にはならない。 イヌコウジュも漢方の薬である 「香需(こうじゅ)」 の原料になるナギナタコウジュに似て役に立たないことからイヌコウジュの名がある。 ( 「ナギナタコウジュとシソ科」 の項参照) 尤も、ヒメジソは駆虫に、イヌコウジュは薬湯に使われる記述もあるので、全く役に立たないと言う訳ではないが、現代では基本的には雑草でしかない。 それでも、秋の野原で可愛い花を付け、それなりに自己主張する。
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