七月から八月にかけての水辺に、茎の途中から花穂を出しているように見え、葉も無い独特の形をした植物群が目立つようになる。 カンガレイ、サンカクイ、ホタルイ等である。
実際には、花穂の先は苞で、茎では無いが、あたかも茎が続いていて、茎の途中から花穂が出ているように見える。
カンガレイ(寒枯イ)は冬に枯れた茎が残るイグサ、サンカクイ(三角イ)は茎の形が三角のイグサ、ホタルイ(蛍イ)は蛍が住む様な所に生えるイグサの意味で、いずれもその形をイグサに例えて付けられた名前である。
イグサはイグサ科で、カンガレイ、サンカクイ、ホタルイはカヤツリグサ科なので、科は異なるが古来から名のあるイグサを代表して名付けられた。
イグサは学術的には 「イ」 と呼ばれ、その名の由来ははっきりしないが、蓆(むしろ)の材料となるので、居(い)と呼ばれたとする説がある。
栽培種は畳表の材料として身近なものであり、茎の中心部の髄を灯明の芯として使っていたので灯芯草とも呼ばれ、又、利尿を促進する漢方の薬としても用いられた。 葉緑素、繊維含量が多く、近年ではその色合いを利用して蕎麦やアイスクリームに入れられたりしている。
イグサにも栽培種のイグサやクサイ(草イ)、外来種のコゴメイ等数種が自生しており、野生のイグサを見る機会も多い。
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