シソとハーブ

 青ジソ                          赤ジソ

9月も中頃を過ぎると、散歩道の道端や畑にシソ(紫蘇)の花が目立つようになる。 青ジソの花は白色、赤ジソの花は紫色である。
シソのように秋に咲く花は冬の寒さを逃れる為に種になって冬を越し、この為には冬の到来を前もって知って蕾を形成しなければならないが、葉が正確に夜の長さを測ることによって冬の到来を予測するようである。 実験によるとシソの場合、9時間45分の夜を感じさせても蕾をほとんど形成しないが、10時間の夜を感じさせると蕾を形成するそうで、実に15分の長さの違いを認識するそうである。
シソは中国原産で奈良時代に食用、薬用として持ち込まれ、栽培されたとされるが、縄文時代の貝塚から種子が見つかったとの報告もあり、シソの変種のエゴマ(古い時代の油の原料)を含め古代から日本に自生していたようである。
ヨ−ロッパではハ−ブと呼ばれるロ−マやエジプトの時代から薬草、香草として利用され、現代でも使われている植物群があるが、日本にも古来から薬草類が多くあり、その中でも代表的な日本のハ−ブがシソである。
古くから薬味(やくみ)として重宝され、魚の生臭さを取り、防腐作用があり食中毒を防ぐ為刺身のつま等に用いられてきた。
酸と反応して赤色になる為、日本の伝統的食品であるウメボシの色付けやシソジュースに今でも用いられる。 シソの実は塩漬けや佃煮等の保存食になり、葉にはカロチン、カルシウム、ビタミンC、ミネラルを多く含む。
漢方では葉、種子が薬用とされ、各々、蘇葉(そよう)、蘇子(そし)と呼ばれ、発汗、咳止め等に薬効があるが、最近の研究では抗アレルギー作用や保湿作用もある事が分かり、花粉症対策や化粧品に用いられたりする。
シソの名の由来は漢名の紫蘇の音読みからきており、中国では、花と葉の両面が紫色である事から、紫が蘇る(よみがえる)と言う意味の名である。
シソは葉に香気があり、シソ科には典型的なハーブ類が多く、世界中で使われ、日本に帰化して野生化している植物も多い。
代表的な例が、オランダハッカ、和種ハッカ、洋種ハッカのミント類で、日本中の野原に野生化している。( 「オランダハッカとミント」 の項参照)
各種セージ類、ラベンダー類も野生化とはいかないまでも、あちこちで植栽され、散歩の途中に目を楽しませてくれる。
シソとハッカを合わせた香りを持つナギナタコウジュは秋に咲く日本のハーブで、花が長刀(ナギナタ)のように咲き、香りが強いのでナギナタコウジュ(長刀香需)の名が有り、漢方の生薬(しょうやく)で香需(こうじゅ)と呼ばれ、解熱、発汗の薬として用いられる。( 「芳香の薬草ナギナタコウジュ」 の項参照)

オランダハッカ        和種ハッカ        洋種ハッカ

各種セージ類

   ラベンダー      ナギナタコウジュ     ナギナタコウジュ

葉を手で揉んで鼻に近づけると何とも言えない芳香を発するシソ科のハーブの花々である。

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