いそがし人のお助け簡単キッチン


手間をかけずにうまけりゃ最高!

三宅菊子
リヨンブックス 1986.10.15

表紙

「夕刊フジ」に'83夏〜'84 5月に連載したもののまとめで、「男のための簡単うまいものキッチン」のPart2。
食材や料理に対する感覚(どんな料理がおしゃれだったか)に時代を感じます。

「マヨネーズ」という項目に、市販のマヨネーズに酢やオイル、塩、胡椒、おろしにんにくを好みの配分で足して味を調えるアイデアが出てきます。確かに、酢で伸ばして塩胡椒、にんにくで味を調えるとぐっとプロっぽい味になります。ゆでた野菜に美しくかければレストランで出てくる料理みたい。
一つのテーマでアレンジが沢山出てくる、そして細かい分量や時間の説明なんかはほとんどない、おおらかな料理本。
以下は引用です。

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(表紙の言葉)

第一弾の「男のための簡単うまいものキッチン」を出したときは、男のためのというつもりでしたが---いまどきは男だって、もっと「仕事がしてある」料理をする人が多いらしい。
いっぽう女は、堂々と家事嫌い遊び好き(または職業に生き甲斐)などが急増中。だから、とにかくこの本は男でも女でも、多忙ライフの人のための手抜きや簡単料理のヒントなのです。

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(「焼き肉弁当」)

 ヨソのご夫婦のご生活に口を出す気はないけれども---麻雀やりに人を連れて突然、帰ってきて、夜食を作れとか平気で言うダンナさん、あれだけは好きになれないね。甲斐甲斐しくおむすび作ってあげたりするほうもするほうよ。夜遅く、急にお客を連れて帰る場合は、セブンイレブンに寄ってラーメンでも買って、自分たちで作りなさい。
 おすすめは焼き肉弁当。家に帰りついたらすぐ、一服しないで作っちゃうのです。それからおもむろに麻雀でも徹夜のシゴトでも始めます。安心でしょ?
 材料はブタ肉ね。しょうが焼き丼みたいなものです。まずはしょうがじょうゆを作ります。おろししょうが+しょうゆ+酒またはみりん少々。これを小さな鍋か何かで調合して、そのまま置いておく。つまり肉を漬け込まない。
 長ネギありますか?斜めにあまり細くなくテキトーに切る。このネギと、ブタのうす切りを、フライパンで炒める。油はごく少量。炒め上がったところに、先ほどのしょうがじょうゆを半分ふりかけて、サッとかき混ぜ、火を止める。
 言い忘れましたが、この時点でごはんが炊きあがっているはずなのです(または冷や飯を電子レンジで温めておくなど)。
 残りのしょうがじょうゆ、三十秒くらい火にかけて煮立てて。それから海苔(あったかな)さッと火にあぶって下さい。
 さて、人数分の丼、弁当箱、とにかく何か大きめの容器を並べます。ごはんを少しずつ入れ、煮たてた汁をパパッと振りかけ、もみ海苔をかける。その上からまたごはんをのせて、もう一度もみ海苔、そしていちばん上に炒めた肉。
 ほら、子どもの頃、何段にもなった海苔弁当、作ってもらったことありません?このセンスがちょっと加わってるわけね。
 二段にするなんて面倒、と思うでしょうが、やってみると意外にカーンタン。丼を並べておいて、ごはんばさッ、ばさッ、しょうがじょうゆシャッ、シャッ(煮立てなくても平気。そのために生肉をつけたりしてないわけです)、海苔クシャクシャ・・・吉野家の牛丼お兄さんの手つき思い出してよ、あれの一工程多いのだけですから、すぐできちゃうのだ。
 できたてを食べれば最高のおいしさ、ジャラジャラ勝負しながら各自好きなときに食べてもいいし、電子レンジがあれば、真夜中過ぎにチーンと温める手もいいです。
(でも夜中にこんなもの食べると太るヨ)。

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もくじ
まえがき
第1章 都市生活者のための必須メニュー −今夜はちょっとシャレこみます
第2章 ニュー貧乏のすすめ −その日暮らしもなんのその
第3章 フトコロのあったかい人にOK −いつものメニューにちょっと手をくわえてみると
第4章 気分は海のむこう −今日はどこの国へ行きますか?
第5章 自然派向きの素朴料理 −海の幸・山の幸に最敬礼

(2013/6/16更新)