楽しいひとり暮らし 生きることのおしゃれノート

三宅菊子
じゃこめてい出版 1978.10

表紙

あとがきによるとアンアンの創刊から6年余りの仕事を整理して集めたもの、だそうです。本文中にはアンアンの名前は出ませんが「高校生くらいが中心のお嬢さんたちを読者とする雑誌」で働いていたと書かれています。アンアンってそうだったんだ・・・今でもそうなのかな?
実際にはかなり加筆したと思われ、記事ではこう書いたけれども現実には〜という記述が多い。本の対象もたぶん二十歳くらいです。

食べるもの、インテリアや家事のこと、お酒、おしゃれに美容、友達と恋人、結婚、ひとりの楽しみ方について、雑誌のような憧れと現実的な実践方法がバランスよくミックスされて書かれています。一貫して既成概念を壊すような、元気のよい提案に満ちている。

手元の版を見ると1978年10月16日第1刷、1979年9月12日第6刷。おまけに同じじゃこめてい出版から1979年5月14日にほぼ同じテーマの本を出しているので(こちらは5ヶ月で5刷)、当時結構売れたのかもしれません。
中表紙の推薦文は桐島洋子さんとポパイ編集長の木滑良久さん。時代を感じます。

当時の若い女の子の部屋には、クーラーもなければ洗濯機もない。お風呂もないかもしれない。自由にできるスペースはほんのわずか・・・という現実も透けてみえ、今の恵まれた環境に感謝したくなります(若くないけど)。
読み返してみて、とりあえずいつ誰に見られても良いように冷蔵庫を掃除しておこうと思いました。

本文最後の文章を引用します。ひとり旅について、

「実際、京都、金沢、萩、神戸、函館といった有名なところは、ノンノやアンアンふうの若者がいっぱいです。なんのために来たのだろう、ではなく、明らかにみんなと同じことをしに来たのだ、という感じになってきます。お互いにそう思ってじろッと見合いながら、同じ老舗で同じお菓子を買う。
 そんなことがガマンできるくらいなら、団体旅行で来るほうがマシです。ひとりのときは、ぜひとも有名じゃないつまらない土地へ行くべきだ。その旅のなかみをつまらなくないものにするかどうかは自分です。毎日の生活だって同じことだと思います。」

(2011/2/25更新)