寒 行 教 箋
- 今年もいつも通り寒が強くなってくる頃の寒行となりました。毎年ご理解を頂きありがとうございます。科学が進歩しその恩恵により私達の日常生活や交通と大変便利になりました。とてもありがたいことです。寒い時は暖がすぐとれ、暑い時は冷がそこにあるといった具合に、文明の発達に豊かさを感じます。私達はそんな中、この寒風と共に早朝から夕暮れまで歩いております。そして肌で冬を捉え『行』を遂行しています。厄災が我国のみならず世界中で起こり、今もその災難による死者行方不明者を捜しています。心からお亡くなりになられた方への哀悼と一日も早い復興をお祈り致します。現在、日進月歩で自然災害に関する検証や研究が行われています。これは「不幸な事態にならないよう、幸せな暮らしが続くように!」が前提としてあることは確かな筈です。しかし自然界に生かされている私達人間は科学技術的進歩は出来ても、どうも心の本質的進歩は出来ないようです。私達も寒行をしながら「きつい……まだ終わらないのか……近道を歩こう……恥ずかしい。」など考えたりもします。しかし、本来の宗教観である『支え』『救い』を信じ鍛錬によって自己を痛めつけ心の成長を見出そうとしているのです。その結界に於いて宗教への大きな畏敬が生じるのではないでしょうか。この寒行は自己ではなく、苦しみを分かち合う純粋な心の表現として六〇年以上続けております。今年も尊い浄財・淨米はすべて社会に還元しますが、新潟・スマトラ沖等への基金にも役立てたく存じます。避難生活をされている方々に対し、暖かい布団に寝かせて頂ける場所から合掌を捧げ、人類が懸命に生み出した傑作である科学進歩に相応して、私達も共存を掲げ 心も進化させてまいります。 合 掌
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