刻字について

1,木工家から端材をいただいて作ったため、厚みが不揃いで割れや傷のあるものもあります。端材が集めやすく、それなりに木目や字が存在感を示せる大きさを考えたら、20cm×20cm という大きさになりました。何人かの木工家に端材を依頼したところ、皆協力的でした。

2,彫ってある字は、広葉樹は隷書体、針葉樹は行書体になっています。また、落葉樹は白(胡粉)、常緑樹は緑(緑青)になっています。漢字の書体には、篆書・隷書・草書・行書・楷書の五つがあり、日本には、さらに仮名があります。秦の始皇帝が統一した文字が篆書(小篆)。漢代が隷書。その後草書・行書を経て楷書が完成したのが、唐の初期です。明朝体の活字の元は、唐代の顔真卿という人の楷書です。ひらがなは、日本で平安時代に草書をさらに崩して作ったものです。

3,なるべく漢字一字で作りました。やむを得ず二字にしたものもあります。木目の縦横は特に意味がありません。また、原則木表に刻字しましたが、木裏に彫ったものもあります。

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説明文について


1,樹木名・漢字は、地方・業界でだいぶ違いがあるので、私の主観で一般的だと思うものを載せました。それ以外の呼び名・漢字は、日本大百科全書、字統、廣漢和等で調べたものを載せました。

2,漢字の分類については、許慎の『説文解字』(100年頃成立)のなかにある六書の分類に倣いました。象形・指事・会意・形声・転注・仮借の6つです。
 ・象形は、ものの形を写したもの。「木」とか「魚」などです。
 ・指事は、「上」・「下」とか、「一」・「二」などです。
 ・会意は、象形、指事を組み合わせたもの。「林」・「森」などです。
以上の3つが漢字の基本形で、文字発生の初期から使われていました。
 ・形声は、いわゆる偏と旁の関係で、漢字の8割以上を占めます。「杉」・「檜」などです。
 ・国字は、このルールを利用して日本で作ったものです。「栃」・「樫」などです。
 ・転注・仮借は造字法ではなく、運用法です。転注は、本来の意味から離れた意味になってしまったものです。
 ・仮借は、漢字の意味を無視して音だけを利用したものです。外来語などをそのまま表記するときなどに使います。万葉仮名がこれにあたります。

3,語源は、日本国語大辞典・語源辞典等を参考にしました。中国名は、日本中国植物名比較対照辞典を参考にしました。ただし中国の簡体字は、相当する日本の漢字に置き換えました。

4,樹木の高さ・直径は、参考にした資料の最大値です。気乾比重は平均値です。気乾比重=気乾時の重量/気乾時の容量 (気乾時の標準は含水率15%)

5,材については、日本大百科全書及び幾つかのWeb サイトを参考に、木工家の杉田さんや平沼さんなどの話も入れて書きました。

6,その他は、その樹木に関する、材以外の話題があれば載せました。
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染色について  (知り合いの染織家に染めていただきました)

1,刻字した材の残りを細かく砕いて染色しました。残りがなくなってしまったものは、同種の材を使っています。

2,なるべく自然の色を出すため、媒染剤は、アルミを使っています。アルミでうまく染まらなかったものは、灰汁・酢を使っています。

3,布は、絹です。色が縞になっているのは、織りの違いによるものです。

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参考文献および、参考ウェブサイト

☆漢字・語源について
   ・字統 白川静 平凡社
   ・廣漢和辞典・大漢和辞典 諸橋轍次他 大修館
   ・日本国語大辞典 小学館
   ・日本 中国 植物名比較対照辞典  増淵法之編  東方書店
   ・デイリーコンサイス日中辞典 三省堂
   ・語源辞典 植物編 吉田金彦編 東京堂出版  
   ・木の名の由来 深津正 小林義雄 東書選書
   ・日本大百科全書 小学館
   
   ・和製漢字の辞典  木扁     http://homepage2.nifty.com/TAB01645/ohara/index.htm
   ・中国料理用語辞典 花草木     http://www.bigegg.net/index.htm
   ・別府街角ウオッチング 草木名の話  http://www.ctb.ne.jp/~imeirou/
   ・帝京大学薬学部 木下武司  生薬、薬用植物(薬草)と身近な野生植物のページ   
                                 http://www2.odn.ne.jp/~had26900/index.htm
   ・跡見学園女子大学 柳上書屋 跡 見 群 芳 譜    http://www2.mmc.atomi.ac.jp/web01/index.html
   ・津里のページ  標準樹木名と別名・方言などの対応表    http://www002.upp.so-net.ne.jp/tsuri/index.html

☆材について
   ・大日本有用樹木効用編 復刻版  諸戸北郎 林業科学技術振興所
   ・有用広葉樹の知識 林業科学技術振興所
   ・原色木材大図鑑 貴島恒夫  保育社
   ・山渓 日本カラー名鑑 日本の樹木 山と渓谷社   
 
   ・ウッドショップ関口 木の知識  http://www.wood-shop.co.jp/l
   ・府中家具工業協同組合 世界の銘木「木材図鑑」 http://www.fuchu.or.jp/~kagu/
   ・桜井木材協同組合  木材の樹種いろいろ http://www.sakurai-mokkyo.or.jp/
   ・無垢板をお安く!!  木材図鑑  http://sangatuusagi.web.infoseek.co.jp/index.html
   ・木の情報発信基地  木偏百樹  http://www.wood.co.jp/index.htmll
   ・木が好きかも  http://akikawa-m.cocolog-nifty.com/blog/kigasukikamo.html
   ・GLNからこんにちは  グリーンコーナー  http://www2u.biglobe.ne.jp/~gln/
   ・ゑれきてる  シリーズ自然を読む  http://elekitel.jp/elekitel/index.htm
   ・木のメモ帳  木の雑記帳  http://www.geocities.jp/kinomemocho/index.html

☆書体について

   ・書道大字典 角川書店
   ・隷書大字典 角川書店

☆植生について
   ・埼玉県植物誌 1998年版 伊藤洋偏 埼玉県教育委員会
   
   ・埼玉県生物多様性の保全に配慮した緑化木選定基準
              http://www.pref.saitama.lg.jp/A09/BD00/tayousei/ryokakijyun.pdf

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