5月29日のコラムでマイケル・ハドソンの『文明の運命-金融資本主義、産業資本主義、または社会主義-』(原題:"The Destiny of Civilization: Finance Capitalism, Industrial Capitalism, or Socialism")を紹介しましたが、最近になって読み終えました(もう一つの著作『超帝国主義-アメリカ帝国の経済戦略-』(原題:"Super Imperialism: The Economic Strategy of American Empire")はこれからです)。私が理解する限り、この本における主題は新自由主義的金融資本主義・アメリカと社会主義的産業資本主義・中国の対決です。ハドソンは、産業資本主義は社会主義に移行する可能性を持っていると理解(ただし、その点についての詳しい説明・展開はこの本の中にはありません)しており、今の中国は社会主義国ではあるけれども、経済的には産業資本主義段階にあると考えているようです。そして、新自由主義に基づく金融資本主義の総本山であるアメリカが、その金融資本主義によって世界支配を追求しているのに対して、世界第2位の経済大国である中国は産業資本主義を堅持しており、今日の「冷戦」の本質は新自由主義的金融資本主義の世界支配か否かの対決である、というのがハドソンの認識です。
 私はこの本を読むことで、中国に対する理解・認識を深める上での新たな視角を教えられた感覚を得ました。とりわけ、習近平がとりわけ強調する「中国特色社会主義思想」「中国式現代化」の本質と意義に関する理解を深める手がかりを得たと思いました。そのことを確認したく、これまでに収集してきた中国側の文献を読み込む作業を試みました。しかし、「言うは易く、行うは難し」で、ずいぶん時間がかかりました。まだまだ不十分なのですが、現在の時点における私の理解を紹介します。

<習近平の講話・発言>

 習近平は2023年に入ってから、中国式現代化を含む中国特色社会主義思想の本質と意義にかかわって、4つの重要な講話・発言を行っています。すなわち、①20回党大会精神研討セミナー開講式(中国語:"党20大精神研討班開班式")で行った、中国式現代化の正しい理解と推進に関する講話(2月8日)、②広東での調査研究を踏まえた実体経済(浅井:ハドソン流に言えば産業資本主義)重視の発言(4月13日)、③「文化伝承発展座談会」における中華伝統文化に焦点を当てた講話(6月2日)、④「中共中央政治局第6次集体学習」(テーマ:マルクス主義の中国化・今日化の新境界を切り開く問題)における、「マルクス主義という魂脈と中華優秀伝統文化という根脈」という新しい提起を行った講話(6月30日)です。その内容をまず整理、紹介します(強調は浅井。以下同じ)。
(2月8日講話)
18回党大会以来、既存の基礎に立って理論及び実践上の創新・突破を不断に実現して認識を深め、新時代の中国特色社会主義思想を創立し、マルクス主義の中国化における飛躍を実現し、中国式現代化の根本的拠り所を提供した。これにより、中国式現代化の内容及び本質に関する認識が深まり、その特色、本質的要求及び重要原則の輪郭が形成され、その理論体系が初歩的に構築され、そのための制度的保障、物質的基礎、主体的精神力が得られた。
○党の領導は中国式現代化の根本方向、前途命運、最終的成否に直結している。党の領導こそが中国式現代化の根本的性格を決定する。党は群衆路線、以人民為中心の発展思想を堅持し、全過程人民民主を発展させ、全人民の主人公精神を渙発させる(浅井:ハドソンは、金融資本主義から自国経済を守る上で、政権党の強力な指導力が不可欠だとし、中国共産党の役割を積極的に評価します)。
中国式現代化の特色は、巨大人口という条件・人民全体の共同富裕・物質文明と精神文明との協調的発展・人と自然の共生・平和的発展の道、以上5点にある。
中国式現代化は中華優秀伝統文化に深く根ざし、西側現代化モデルとは異質な新しい文明形態である。中国式現代化は「現代化=西側化」という迷信を打破し、途上国に現代化に向けた選択肢を提供し、よりよい社会制度を目指す上での中国方式を提供する(浅井:途上国の経済開発戦略と中国方式(中国語:'方案'の関係性については、別途取り上げます)。中国式現代化に内包される世界観、価値観、歴史観、文明観、民主観、生態観は、世界の現代化における理論上、実践上の重要な創新(イノベーション)である。
○中国式現代化を推進することは一つのシステム工学である。求められるのは、戦略的な先見性・全局性・安定性、戦略的原則性と戦術的柔軟性との有機的結合、中国式現代化の中国的特徴("本和源、根和魂")の堅持、国家発展全般にわたって創新を根幹に据えること、資本主義を凌駕する効率性を実現すると同時に、効率と公平のバランスを実現すること、経済発展と国家安全の統一、独立自主と自立自強である。
○中国式現代化は前例のない画期的事業であり、それだけに前途には様々なリスクがあるから、戦略的自信と主動性を保つとともに、試練に立ち向かう頑強な意志と優れた能力を養う必要がある。
(4月13日発言)
中国式現代化は'脱実向虚'(浅井:実体経済を捨てて金融経済・バーチャル経済に向かう)の道を歩むことは不可であり、実体経済を柱とする産業システムの建設を加速しなければならない(浅井:ハドソンの主張を習近平が自家薬籠中としていることを示す発言。ちなみに、ハドソンの『超帝国主義』は初版が1967年に出版されましたが、ハドソンは中国側からの求めもあって、最新の第3版を2021年に出版したと述べています)。科学技術の高いレベルでの自立自強を実現することは、中国式現代化建設における要諦である。
人民全体の共同富裕を実現することは中国式現代化の本質的特徴であり、地域的協調発展を図ることは共同富裕実現のための必然的要求である。(浅井:ハドソンは繰り返し、アメリカ経済は1%の富裕層が99%の貧困層を支配する経済であることを指摘します。なお、習近平は5月5日に、20回党大会後初となる中央財経委員会第一回会議を主催し、「実体経済を柱とする現代産業システム及び人口の高質発展を柱とする中国式現代化の建設加速」を主題として取り上げました。会議は、「実体経済を柱とする現代産業システムの建設を加速することは、将来的発展及び国際競争で戦略的主動性を勝ち取ることにかかわっている」と強調し、「実体経済を重視し、脱実向虚を防止することを堅持する」ことを確認しています。)
(6月2日講話)
中華文明の連続性・創新性・統一性・包容性・平和性
 連続性:中華文明が突出した連続性を備えていることは、中華民族が自らの道を歩むべきことを根本的に決定づけている。その連綿と続いてきた歴史の連続性に基づいて中国を認識しなければ、古代中国を理解できず、現代中国も理解できず、ましてや未来の中国を理解することもできない。
 創新性:中華文明が突出した創新性を備えていることは、中華民族の守正不守旧、尊古不復古という進取の精神を根本的に決定づけ、新しい挑戦を恐れず、新事物を進んで受け入れるという、中華民族の無畏の性格を決定づけている。
 統一性:中華文明が突出した統一性を備えていることは、中国各民族の文化が融合して一体となり、重大な挫折に遭遇しても強固に凝縮することを根本的に決定づけ、国家は乱れるべきではなく、民族は散り散りになるべきではなく、文明は途絶えるべきではない、という共通の信念を決定づけ、国家統一は永遠に中国の核心的利益の核心であることを決定づけ、堅強統一の国家が各民族人民の命運を結びつけることを決定づけている。
 包容性:中華民族が突出した包容性を備えていることは、中華民族の交往交流交融という歴史的志向性を根本的に決定づけ、中国の宗教信仰の多元併存という和諧的パラダイムを決定づけ、世界文明に対する兼収并蓄という開放的胸襟を決定づけている。
 平和性:中華文明が突出した平和性を備えていることは、中国が一貫して世界平和の建設者、グローバル発展の貢献者、国際秩序の擁護者であることを根本的に決定づけ、中国が一貫して文明の交流互鍳を追求し、文化的覇権を行わないことを決定づけ、自らの価値観及び政治システムを他者に押しつけないことを決定づけ、合作を堅持し、「徒党を組んで他者を打つ」ということを決してしないことを決定づけている。
マルクス主義と中華文明の必然的結合
 5000年以上の中華文明の基礎の上で中国特色社会主義を切り開き、発展させる上では、マルクス主義の基本原理と中華優秀伝統文化を結合させることは必然の道である。このことは、我々が中国特色社会主義の道を探索する中で獲得した法則的認識であり、成功獲得における最大の決め手である。
 第一、「結合」の前提は相互の符合性である。マルクス主義と中華伝統文化の源は異なるが、相互間には高度の符合性が存在する。
(浅井)「高度の符合性」の例としては、次のような紹介が中国側文件に示されています。
*マルクス主義の社会主義・共産主義思想:中国伝統思想の"大道之行也,天下为公" "大同社会" "以天下之财利天下之人"
*マルクス主義の人民重視思想:中国伝統思想の"民为贵""民为邦本"
*マルクス主義の唯物論:中国伝統思想の"天行有常,不为尧存,不为桀亡" "仓廪实则知礼节,衣食足则知荣辱" "天下惟器而已矣。道者器之道"
*マルクス主義の弁証法:中国伝統思想の"高岸为谷,深谷为陵" "祸兮,福之所倚;福兮,祸之所伏" "穷则变,变则通,通则久"

 第二、「結合」によって、有機的に統一された、新しい文化生命体が作り出される。すなわち、マルクス主義は中国のものとなり、また、中華伝統文化は現代のものとなることを経て新文化を形成し、中国式現代化の文化形態となる。
 第三、「結合」によって道の土台がうち固められた。すなわち、「結合」によって、中国特色社会主義の道は宏闊深遠な歴史的縦深を持つこととなり、その文化的土台が切り開かれた。
 第四、「結合」によって創新の空間が切り開かれた。すなわち、我々は思想的文化的な主導権を掌握し、理論及び制度に活用することができることになった。さらに重要なことがある。すなわち、「第二の結合」は新たな思想解放でもあるということであり、我々は、広々とした文化空間の中で、中華伝統文化の貴重な資源を十分に運用し、未来に向けた理論及び制度の創新を探索することができるということである。
 第五、「結合」は文化的主体性を強固にした。新時代中国特色社会主義思想の創立はこの文化的主体性をもっとも有力に体現したものである。「第二の結合」は、マルクス主義を中国化し、今日化するという我が党の歴史的経験に関する総括であるとともに、中華文明発展の法則性に対する把握でもある。このことは、中国の道、理論、制度に対する我が党の認識が新たな高みに到達し、党の歴史的自信、文化的自信が新たな高みに到達し、中華伝統文化を継承する中で文化的創新を推進する我が党の自覚性が新たな高みに到達したことを表している。
(6月30日講話)
○中国共産党がなぜできるのか、中国特色社会主義がなぜ良いのか。つまるところはマルクス主義がいいから、中国化・今日化したマルクス主義がいいからだ。これが歴史的結論である。我々は、党の理論的創新に関する法則的認識を不断に深め、新時代の新たな長征においてさらに豊かな理論創新の成果を獲得する必要がある。
マルクス主義の中国化・今日化という命題そのものがマルクス主義という魂脈と中華優秀伝統文化という根脈を絶対に放棄してはならないことを決定づけている。この魂と根を堅守することは理論創新の基礎であり、前提である。理論を創新するからには新しい内容がなければならないが、だからといって祖先を忘れることがあってはならず、歴史を忘れることは魂脈と根脈を切り裂くと同じであり、ついには魂脈と根脈を失ってしまうという致命的誤りを犯すこととなる。我々は、立党立国、興党興国の本であるマルクス主義を堅持して動揺せず、本国、本民族の歴史的文化的な肥沃な土壌に根を下ろして発展してきたマルクス主義を堅持して止まらず、歴史的、文化的自信をうち固め、古為今用、推陳出新を堅持し、マルクス主義を導きとして中華5000年以上の文明の宝庫を全面的に発掘し、マルクス主義によって中華優秀伝統文化の中の豊かな生命力を持つ優秀な遺伝子に新しい時代的内容を付与し、中華民族の偉大な精神と豊富な知恵をマルクス主義に深々と注入し、マルクス主義の思想精髄と中華優秀伝統文化の精華とを貫通させ、融合させて新たな理論的優位性とし、不断に新たな思想的高峰を極めなければならない。我々は理論的視野を広げ、開放的胸襟で人類社会のすべての優秀な文明的成果を学習し、参考とし、「人類の知識的総和」の中に優秀な思想的文化的な資源をくみ取ることによって党の理論を創新し発展させ、兼容并蓄、博採衆長な理論の大構造・大気概を作り出すべきである。
○時を失することなく時代の新課題に科学的答えを出すべきである。時代は思想の母であり、実践は理論の源である。時代を画す理論はすべて、その時代が必要とするものを満足させる産物である。時代を観察し、把握し、牽引するために用いる理論は、時代の声を反映しなければならず、その時代の実践から乖離してはならないのであり、不断に実践上の経験を総括し、時代の思想的精華に凝結させなければならない。我々が推進する理論の創新は実践という基礎の上に立った理論の創新であって象牙の塔にこもった空想ではなく、実践の中で真理を発見し、発展させ、実践によって真理を実現し、検証しなければならない。「二つの大局」(浅井:中華民族復興実現という戦略的全局と100年来いまだかつてない大変局)が変遷を加速し、かつ、インタラクションを深めるという時代背景のもと、人類社会は緊急の解決を要する多くの共通問題に直面し、中国の改革は、内政外交国防、治党治国治軍等各分野で一連の新たな重要課題に直面しており、中国、世界、人民、時代の問いが我々に提起する試験問題は過去よりも複雑にして難しく、我々が理論と実践の結合の上に立って回答を提示することを緊急に必要としている。大歴史観を牢固として樹立し、より広い視野とより長期的な眼光を以て世界の歴史における発展の脈絡と正確な方向性を把握し、我が国の社会発展と人類社会の発展に関するロジックとトレンドを見極め、中国式現代化の歴史的沿革と実践上の要求を把握し、新たな科学技術の変革、グローバル経済の発展パラダイム及び我が国の発展の段階的特徴の中で、高いクオリティの発展を推進し、新発展パラダイムを構築するための法則的認識を構築し、世界のマルクス主義政党の命運比較及び我が党が長期執政する中で直面する現実的試練の中で党の自己革命戦略思想の法則的認識を深め、現実の問題を解決するための科学的理念と有効な対策を全面的系統的に提起し、現代中国マルクス主義及び21世紀マルクス主義がより強力かつ説得力ある真理の力量を発揮するようにするべきである(浅井:この長い段落は,習近平が一気に述べた可能性があるので、そのまま翻訳してみました)。
○理論の体系化と学理化を推進することは理論創新上の内在的要求であり、重要な道筋である。マルクス主義の影響が深遠であるのは、その学理によって人類社会発展の真理性を明らかにし、体系的論証によってその理論の科学性を論証していることにある。新時代中国特色社会主義思想の発展は、不断に豊かに切り開き、かつ、不断に体系化し学理化するプロセスである。マルクス主義の理論研究と建設工程においては不断に理論研究及び解説を深め、また、我が党が提起する新理念、新結論の中の原理的な理論上の成果を重点的に研究、解説することにより、両者間の内在的関係を把握し、全党全国が新時代中国特色社会主義思想の理論体系を学習、把握することを教育し、導くべきである。
○人民大衆の創造の中から理論創新の知恵をくみ取ることを重視するべきである。マルクス主義は、人民のために説を立て、人民のために代わりに発言する理論であり、人民の命運を変えるべく創立され、人民が解放を求める実践の中で豊富になり、発展してきたものであり、人民の創造的実践はマルクス主義理論創新にとって枯れることのない源泉である。歴史の創造者である人民は、物質的財富の創造者であるだけではなく、精神的財富の創造者でもある。マルクス主義の中国化・今日化の成果はすべて、党及び人民の実践経験及び集体的知恵の結晶である。毛沢東思想、中国特色社会主義理論体系、新時代中国特色社会主義思想のどれをとっても、人民の知恵、探索及び創造に由来する(浅井:「三つの代表」重要思想(江沢民)、科学的発展観(胡錦濤)は省略されています)。党の理論創新を推進するに当たっては群衆路線を歩まなければならず、閉門造車、座而論道、流于空想であってはならない。人民の創造精神を尊重し、人民の創造的実践の中から新鮮な経験を総括し、理性的認識に高め、新たな理論的成果を練り上げ、党の創新的理論が億万の人民の心にしみこんで、民の知恵を集め、民の意に従い、民の心を得る理論となるようにするべきである。

<「中国式現代化」と「西側現代化(=西洋式近代化)」との違い>

 習近平の2月8日の講話自体が中国式現代化西側現代化と異なるものであるゆえんを説くことを内容としています。しかし、習近平の解説では素直に頭に入らないという受け止めも出ることを配慮してか、中国側文件の中には、中国式現代化が西側現代化とは異なるゆえんをより分かり易く解き明かそうという試みが行われています。一つは、2月8日講話の中で習近平が指摘した、中国式現代化には独特の6つの価値観が含まれているとして挙げた、世界観、価値観、歴史観、文明観、民主観、生態観に即して中国式現代化の独特性を説明するもの、もう一つはより直裁的に、「中国式現代化」の本質・特徴をいわゆる「西洋式近代化」との比較で説明するものです。
 そこで、前者の試みについてはその一例を、6分野の専門家の発言をまとめた3月27日付け人民日報によって紹介します(ただし、民主観と生態観の部分は省略)。また後者の試みについては、3月30日付けの人民網(人民日報WS)に掲載された范希春署名論文「中国式現代化及びその理論体系」の該当部分(「中国式現代化と西側現代化との本質的違い」)に拠って見ておきます。范季春は天津師範大学新時代マルクス主義研究院特任講座教授で、20回党大会報告が中国式現代化の特質について行った規定に即して二つの「現代化(近代化)の違いを説明しています。
 ちなみに、私が接し得た文献による限り、習近平の「脱実向虚」発言を正面から取り上げたものはありません。したがって、ハドソンが重視する「中国的産業資本主義vs.米欧的新自由主義金融資本主義」という分析視角は、少なくとも私が見てきた範囲では見受けられません。私はまだ勉強不足で十分に分かっていませんが、中国で金融改革が開始されたのは改革開放政策の本格化以来のことであり、特に金融改革自体の本格化は、2019年2月22日に習近平主催のもとで行われた中共中央政治局第13回集体学習で、「金融サービスを改善し、金融リスクを防止する」というテーマが取り上げられてからのことです。ハドソンは、モノ作りによって価値を創出することを基本とする産業資本主義に対して、利子その他の貸付料(レント)の極大化を追求する新自由主義的金融資本主義を対置させ、産業資本主義においては生産的労働を中心に据え、不労所得であるレントをミニマムに押さえ込むことが志向されるとしています。習近平の「脱実向虚」発言は新自由主義金融資本主義に対する警戒を反映していますし、金融の本質的機能は実体経済に対するサービスであるべきであるという認識も中国国内で広く共有されていますが、不動産バブル問題が端的に象徴するように、中国における金融政策は金融資本主義的要素を多分に内包しています(個人の財テクも公認されています)。このような現実が「脱実向虚」問題を本格的に取り上げることを難しくしているのではないかと思われます。
(3月27日付け人民日報掲載文章)
世界観(発言者:中国国際問題研究院院長・徐歩)
 習近平は、「中国式現代化においては、植民略奪、国強必覇の道を歩まず、平和発展の人間の正道を歩む」と強調した。1000年以上前の昔から、以和為貴、和而不同、化干戈為玉帛、天下大同などの理念は中国人の思想観念の中にしみ込んでいる。中華優秀伝統文化の中の親仁善隣、協和万邦、立己達人、兼済天下などの価値理念は中国式現代化の世界観に深く影響し、これを形作っている。
 中国共産党は、マルクス主義の世界歴史に関する思想を堅持し、中華優秀伝統文化の協和万邦の天下観を受け継ぎ、発展させ、中国式現代化プロセスにおいて一貫して人類の前途命運に関心を寄せ、人類社会の発展法則に従い、自国の命運と各国人民の命運を密接に関連付け、中国式現代化の成果を世界の発展のチャンスとして提供し、人類が現代化の道を模索することを援助し、人類社会の現代化に対して理論及び実践で新たな貢献を行っている。
 中国式現代化は、人類運命共同体という理念の構築によって西側中心主義の世界観を揚棄し、団結合作、共同発展の理念を堅持して共享共嬴の道を歩み、現代化の成果を各国人民に公平に及ぼすことに努めている。コロナに際して人類衛生健康共同体、環境悪化に面して地球生命共同体、開発停滞に対してグローバル開発共同体を提起しているように、中国式現代化は立己達人の精神を発揚して、歴史の十字路に直面している人類社会の現代化プロセスに対して前進の方向を指し示し、世界平和擁護、共同発展促進の世界観を顕彰している。中国式現代化の世界観とその実践は、現代化の道は多様であり、少数の国々の「専売特許」ではなく、黒か白かの「二択」でもないことを明らかにしている。
価値観(発言者:北京大学哲学系教授・豊子義)
 現代化は一定の価値指向性を含む歴史的プロセスであり、誰のための発展か、難のための現代化かがポイントである。中国式現代化と西側現代化との価値観における根本的違いは、人民を中心とするか、資本を中心とするかという点に集中的に表れている。
 発展と分配において公平と効率の関係に如何に対処するかは、世界の現代化における共通課題であり、現代化が追求する価値を検証するメルクマールでもある。西側現代化が準拠するのは資本を中心とする価値観であり、資本の蓄積及び拡張は深刻な貧富の二分化をもたらす。中国式現代化は人民全体の共同富裕という現代化であり、それは中国式現代化の本質的要求の一つである。
 西側の資本中心の現代化は、植民地拡張によって資本の原始的蓄積を実現し、対外戦争によって自らの発展上の様々な危機を転嫁し、いわゆる「普遍的価値」を他者に押しつけてイデオロギー的対決を演出する。中国式現代化の価値観は対外軍事拡張、植民地的略奪、イデオロギー的押しつけを放棄し、平和、発展、公平、正義、民主、自由という全人類的共通の価値を唱道し、各国と合作共嬴し、人類運命共同体構築を推進し、世界の現代化プロセスに共通の価値的紐帯を提供し、正しい価値の方向性を指し示している。
歴史観(発言者:清華大学マルクス主義学院教授・郭建寧)
 現代化(近代化)は西側に起源を持ち、生産力が一定の段階まで発展することによる歴史的産物である。現代化という課題は普遍的であるが、各民族はその社会的歴史的発展という具体性の中でそれを実現することができる。しかるに西側諸国は、その現代化モデルを「超歴史的」公式として強要してきた。しかし、このようなやり方は歴史法則に反し、世界の現代化の歴史的プロセスを推進することはできない。
 歴史観という角度から見るとき、中国式現代化は中華民族の復興と密接不可分である。中国式現代化が包含する歴史観においては、普遍性と特殊性の統一という点で独立自主性を表し、歴史的法則性と人間活動の主体性の結合において開拓創新性を具現し、中華民族の復興プロセスにおいて高度の歴史的自信と歴史的主動性を突出させている。
 中国式現代化の歴史的プロセスが示すとおり、後発ということは落後を意味するものではなく、ましてや模倣及び引き写しを意味するものではない。世界の現代化という歴史的法則に従い、自らの現実と文化的伝統を結合させることにより、いかなる国家・民族も自らにふさわしい現代化の発展の道を探し出し、自らの歴史的命運を徹底的に変化させることができる。
文明観(発言者:13期全国政治協商会議文化学習委員会副主任・葉小文)
 文明には上下、優劣の区別はなく、あるのは特徴、地域の区別のみであり、交流を通じてのみ融合が可能となり、融合を通じてのみ進歩が可能となる。
 西側の現代化プロセスの中で伝統対現代という二元対立的な文明観が形成され、現代性は伝統性に取って代わると主張された。しかし、中国式現代化における文明観は、中国社会主義現代化プロセスの中で生まれ、同時に中華文化の豊かな栄養を吸収した。すなわち、その文明観は、中華優秀伝統文化の遺伝子を受け継いでおり、"万物并育而不相害,道併行而不相悖""貴和尚中,善解能容,厚徳載物、和而不同"などの中華優秀伝統文化観念を顕彰し、和而不同、兼容并包を通じて現代性と伝統性を有機的に結合し、包容性のある人類文明の新形態を模索、創造している。こうして、世界現代化プロセスにおいて、文明の多様性を尊重し、文明の交流互鍳を推進し、世界文明が平衡、積極、向善に向かって発展することに中国の知恵と力を貢献しているのである。
(3月30日付け人民網掲載・范季春署名論文)
中国式現代化は中国共産党領導の社会主義現代化であり、西側現代化はブルジョアジー主導の資本主義的現代化である。これが中国式現代化と西側現代化との本質的違いである。西側現代化のプロセスは資本主義が自由資本主義から独占資本主義、さらには金融帝国主義へと移行する歴史的プロセスでもある。西側現代化は、ブルジョアジーが主導し、資本主義の基本的特徴を備え、その本質は資本主義的現代化である。
中国式現代化は人民を以て中心となす現代化であり、西側現代化は資本を以て中心となす現代化である。西側現代化は、資本の利益を最大化することを以て価値追求とし、「人」という根本原則から背馳し、価値増殖実現を資本の使命とし、少数者・ブルジョアジーの利益・富の最大化を追求する現代化であり、両極分化の現代化である。特に20世紀80年代以後、貧富の格差と階級の分化はますます深刻となっている。(浅井:新自由主義的金融資本主義を諸悪の根源と断定するハドソンの理解と比較すると、范季春の理解は「模範的・教科書的」です。)
中国式現代化は物質文明と精神文明が協調する現代化であり、西側現代化は資本により疎外される物質主義的現代化である。西側現代化の出発点は産業革命時代の近代化であり、工業化が追求されるあまり他の領域の現代化がおろそかにされた。これは、西側現代化が生来具備する先天的欠陥である。西側現代化のもう一つの根本的弊害は、資本の論理への盲従である。資本の論理は、西側現代化の発展目標を最大限度の資本増殖及び最大量の富の蓄積の実現とすることを決定し、経済成長を発展と同視した。物質文明を重視し、精神文明を軽視するという先天的欠陥は根本から解決するすべを持たない。資本の論理が支配する西側現代化における科学技術の歩みは一連のグローバルな問題をもたらし、発展における不均衡性及び疎外を招き、物質主義的現代化の今日的特徴となっている。
中国式現代化は人と自然の和諧共生の現代化であり、西側現代化は自然環境の犠牲を代価とする現代化である。西側現代化は、過度に人類を中心となす現代化であり、一切の非人類的存在物を人・人類の目的実現の手段と見なす。経済効率を過度に重視し、生態的価値を軽視する結果、物質的富の創造と同時に、深刻な環境汚染と生態危機をもたらす。また、西側先進諸国は汚染度の高い産業を途上諸国に移転しており、その現代化は途上国の環境汚染及び生態バランス破壊を代価としている。西側工業革命200余年が作り出した大気汚染、土壌汚染、水質汚染、温室効果、地球温暖化、砂漠化等の問題は、人類の持続的可能な発展を深刻に脅かすに至っている。
中国式現代化は平和発展の道を歩む現代化であり、西側現代化は、対外侵略拡張略奪の植民的色彩及び寄生性を特徴とする現代化である。西側現代化は対内搾取と対外略奪を通じて実現したものであり、先天的に「原罪」を内在する。第二次大戦後も、西側現代化は元来の構造的不平等を維持し、引き続き植民地主義、覇権主義の発展の道を歩んだ。西側国家による途上国に対する経済的植民及び政治的支配は依然存在し、他国の経済的命運を支配し、金融、技術及び軍事的覇権を利用し、グローバル化プロセスを主導することを通じて途上国に対する搾取を続け、経済、政治、文化、社会等各分野で後発的に現代化を進める国々に対して制限、制裁、阻害、圧力を行使し、南北格差のいっそうの拡大をもたらしている。早期のあからさまな侵略拡張略奪から、後期の資本、技術覇権及び軍事的威嚇を通じた隠された搾取に至るまで、一貫して植民地主義的搾取性を備えており、その現代化の本質は変わっていない。

<「二つの結合」>

 毛沢東思想、鄧小平理論と並ぶ、習近平思想(正確には習近平新時代中国特色社会主義思想)。個人名が冠せられるのはこの3人だけです。何故に「習近平思想」なのか。私の理解では、習近平がマルクス主義と中国の具体的現実・中華優秀伝統文化の結合(=「二つの結合」)を重視し、明確に提起した点、特に「中華優秀伝統文化」が中国社会主義思想の創新の中で重要かつ不可欠の地位を占めることを提起した点で、中国共産党史上で最初の最高指導者であることに最大の根拠があると理解しています。既に紹介したように、中国側公式報道でも、中国共産党成立100周年慶祝大会における習近平発言が「二つの結合」をはじめて提起し、20回党大会報告では「二つの結合」を詳しく解き明かした、という説明が行われてきました。
 そこでまず、この二つの発言・報告の関係部分を紹介しておきます。公式報道による限り、二つの発言・報告中の該当部分は次のとおりで、「二つの結合」という表現は使われていません。しかし、習近平は、2022年10月28日に河南省安陽市の殷墟遺跡を訪れて考察した際、「中華優秀伝統文化は我が党が理論を創新するに当たっての「根」であり、我々がマルクス主義の中国化今日化を推進する根本の道筋は「二つの結合」である、と強調した」と新華社通信は当時伝えていたことからも、この発言・報告が習近平による「二つの結合」提起の出発点であると理解されます。
(党成立100周年慶祝大会講話)
 新たな長征途上においても、マルクス・レーニン主義、毛沢東思想、鄧小平理論、「三つの代表」重要思想(浅井:江沢民)、科学的発展観(浅井:胡錦濤)を堅持し、新時代中国特色社会主義思想(浅井:習近平自身の発言においては「習近平」という個人名は出てこない)を全面的に貫徹し、マルクス主義の基本原理と中国の具体的現実との結合・中華優秀伝統文化との結合を堅持し、マルクス主義によって時代を観察、把握、牽引し、現代中国マルクス主義、21世紀マルクス主義を引き続き発展しなければならない。
(20回党大会報告)
 我々は、イデオロギー領域においてマルクス主義が指導的地位を占める根本的制度を確立、堅持し、新時代の党の創新的理論は人心に浸透し、社会主義の核心的価値は広範囲に伝わり、中華優秀伝統文化は創造的転化、創新的発展を獲得し、文化事業は日増しに繁栄し、イデオロギー領域における情勢は全局的、根本的変化が起こっている。(中略)
 中国共産党員は、マルクス主義の基本原理と中国の具体的実情、中華優秀伝統文化を結合させ、弁証唯物主義及び歴史唯物主義の運用を堅持することによってのみ、時代と実践が提起する重要問題に正しく答を出し、マルクス主義のはつらつとした生気と旺盛な活力を一貫して保つことができることを深く認識するに至っている。(中略)
 マルクス主義を堅持し発展させるに当たっては、中華優秀伝統文化と結合させなければならない。本国、本民族の歴史文化的な肥沃な土壌に根を下ろしてのみ、マルクス主義という真理の樹木は深く根を下ろし、葉を茂らせることができる。中華優秀伝統文化は悠久の歴史を持ち、幅広く奥行きが深く、中華文明の知恵の結晶であり、そこに含まれる天下為公、民為邦本、為政以徳、革故鼎新、任人唯賢、天人合一、自強不息、厚徳載物、講信修睦、親仁善隣等は中国人民が長期の生産生活の中で蓄積してきた宇宙観、天下観、社会観、道徳観の重要な表れであり、科学社会主義価値観の主張と行動との符合性を備えている。我々は、歴史的、文化的な自信を固め、古為今用、推陳出新を堅持し、マルクス主義の思想的精髄と中華優秀伝統文化の精華とを貫通させ、人民大衆が無意識に日常化している共通の価値観と溶け合わせ、科学的理論に鮮明な中国的特色を付与し、マルクス主義の中国化今日化における歴史的、大衆的基礎を不断に突き固め、マルクス主義が中国にしっかりと根を下ろすようにしなければならない。
 既に紹介したとおり、習近平は6月2日の講話で「第二の結合」をはじめて提起し、また、6月30日の講話では「魂脈と根脈」という新しい提起を行いました。一見すると、6月2日の講話は中華優秀伝統文化の重要性に重点が置かれ、その中で「第二の結合」を提起しているのに対して、6月30日の講話は改めてマルクス主義思想と中華伝統優秀文化の重要性を等値し、それを「魂脈と根脈」の提起で表しているようにも受け止められます。また、習近平は「第二の結合」を提起するだけで、「第二の結合」に先立つべき「第一の結合」については触れていません(公式報道による限りですが)。そのため、「二つの結合」「第一の結合」「第二の結合」の関係性をどう理解するべきかについて、多くの見解が示されることになっています。私の脳が老化して読解力が衰えていることは間違いありませんが、それにしても中国の専門家の様々な「見解」の多くは難解であり、同義反復でやり過ごしているものもかなり見受けられます。
 私の理解の範囲内で言えば、7月13日付け中国紀検監察報が掲載した郭建寧(清華大学習近平新時代中国特色社会主義思想研究院研究員)署名文章「さらなる思想解放である「第二の結合」」(中国語原題:""第二个结合"是又一次的思想解放")がもっとも説得力ある解明を行っています。かなり長い文章ですが、関係部分の大要を紹介します。
 ちなみに、この文章では「魂脈と根脈」に関しては扱っていません。私の初歩的理解をいえば、6月2日の講話、特に「第二の結合」の提起が大きな反響を呼び、論者がこぞって中華優秀伝統文化の重要性を取り上げ,論じるようになったため、習近平は、マルクス主義問題も重要性において変わりはないことをリマインドする必要性を感じて、「魂脈と根脈」の新しい提起をしたのではないかと想像しています。
 習近平の「二つの結合」に関する新思想・新観点・新論断は、構想高遠、視野宏闊、内涵豊富なオリジナリティにあふれたものである。
(「二つの結合」の深遠な思考、広大な視野、オリジナルな貢献)
 「二つの結合」は、習近平新時代中国特色社会主義思想におけるもっとも顕著な特徴である。この思想は、多角的、多層的,多分野的に「二つの結合」を掘り下げて解釈している。
 「二つの結合」は、マルクス主義の中国化・今日化における法則的認識を体現している。20回党大会報告は次のように指摘している。「中国共産党員は、マルクス主義の基本原理と中国の具体的実情、中華優秀伝統文化を結合させ、弁証唯物主義及び歴史唯物主義の運用を堅持することによってのみ、時代と実践が提起する重要問題に正しく答を出し、マルクス主義のはつらつとした生気と旺盛な活力を一貫して保つことができることを深く認識するに至っている。」ここで「深く認識するに至っている」とあるのは、百年の総括であるとともに、時代の求めることでもあり、つまるところ、マルクス主義の中国化今日化に関する法則的認識ということだ。
 「二つの結合」はオリジナルなものである。以前は、「第二の結合」は「第一の結合」を包含するとともに、「第一の結合」に従属するものでもあったが、その部分を抜き出し、さらに豊富に発展させて「二つの結合」とした。習近平は次のように指摘している。「「二つの結合」を強調するのは新時代中国特色社会主義のオリジナルである。」「我々が歩む中国特色社会主義の道における内在的遺伝子のパスワードはここにあり、すなわち、中華優秀伝統文化というこの遺伝子である。だからこそ、我々は中華優秀伝統文化を掘り起こし、結合させて、マルクス主義の中国化今日化を実現するのだ。」
(浅井注) 郭建寧の以上の指摘は私には極めて難解でした。しかし、郭建寧が続けて述べた以下の指摘と合わせ読むとき、「第一の結合」は「二つの結合」に関する初歩的段階での理解であり、中華優秀伝統文化が新理論創新の「根っこ」('根')であることを強調する「第二の結合」こそが「二つの結合」の精髄であり、端的に「第二の結合」=「二つの結合」と理解するべきだ、と郭建寧が言わんとしていることを認識することができます。
 「二つの結合」はマルクス主義の中国化今日化を推進する根本的道筋である。"万物有所生,而独知守其根"。習近平は、河南省安陽の殷墟を考察した際、「中華優秀伝統文化は党が理論を創新する際の「根」であり、我々がマルクス主義の中国化・今日化を推進する根本的経路・方法は「二つの結合」である」と指摘した。習近平の「二つの結合」に関する論述は、マルクス主義の中国化・今日化の本質をさらに一歩進んで明示し、その中国化・今日化の内容を豊富にし、その中国化・今日化における研究視野を広げ、その文化的含意を鮮明に明らかにしたものだ。
 「二つの結合」は必ず依るべき道であり、最大の宝物である。互いの符合と相互の成就によって有機的に統一した文化生命体が造りだされ、中国特色社会主義の道の文化的土台が広げられ、中華民族の文化的主体性がうち固められた。
 「第二の結合」は今一度の思想解放である。中国近代史の角度から見るとき、そこで解決が模索された基本問題は、「伝統と現代」、「中国と西側」、つまり「古今中西」だった。しかし、今日我々が「古今中西」に対処する正しい立場・態度は、伝統文化に対しては卑下もせずうぬぼれもせず、自信自立するということである。西側文化に対しては見下ろしもせず見上げることもせず、対等平等で交流対話するということである。このような文化的な自覚と自信、主体意識、自主的立場は、「古今中西」問題に対処する上で重要な思想解放という意義を持つ。