9月18日のコラムで、上海協力機構首脳会談の際に行われた中ロ首脳会談に関する西側メディアの牽強付会的な「分析」報道を紹介した際、印ロ首脳会談についても言及しました。9月19日付けの環球時報は、「西側メディアの「モディがプーチンに挑戦」報道の誤りを指摘するインド・メディア」(中国語原題:"西方媒体炒作"莫迪挑战普京",印媒:解读错误")と題する報道で、インドのメディアも西側報道の「読み間違いだらけ」を厳しく指摘していることを紹介しています。興味深い内容ですので、訳出紹介します。

 インドのモディ首相は(9月)16日に、「今は戦争の時代ではない」と述べた。西側メディアはこの発言に注目し、モディは「襟を正して」ロシアに対する批判を行ったと解釈した。しかし、インドのメディアは、ロシアとウクライナの衝突問題に関するインドの立場は別に変化しておらず、西側メディア報道は読み間違いだらけだと指摘した。
 17日付けのCNNは、上海協力機構サマルカンド首脳会議の合間を縫って行われた印ロ首脳会談の際、モディはプーチンに対して、「今は戦争の時代ではない。私はこのことについて電話であなたと話したことがある」と述べたことを報道した。モディはさらに、食糧、化学肥料そしてエネルギーの安全保障ということが世界の主要関心問題だと補足した。モディはまた、インドとロシアの友好を強調し、印ロのパートナーシップは今後新たな高みに達するだろうと指摘した。
 プーチンはモディに対して次のように述べた。ロシアとウクライナの衝突に対するモディの懸念を理解しており、ロシアとしてはあらゆる努力を尽くして衝突を速やかに終結させたい。「しかし不幸なことに、ウクライナの指導者は交渉プロセスを拒否している。彼らは軍事手段を通じて、あるいは彼らの言葉によれば「戦場で」自分たちの目標を実現すると公言している。」プーチンはモディに対して、ウクライナ情勢についてインド側に通報すると約束した。これまでのところ、ロシア主要メディアはモディに対するプーチンの発言に対する解説を加えていない。
 西側メディアは、モディが「プーチンに正面から挑戦した」と大きく報道した。ワシントン・ポストは、モディのまれに見る「批判」は、プーチンが各方面から巨大な圧力を受けており、西側のみならず、アジアのパートナーからも圧力に直面していることを示していると述べた。ニューヨーク・タイムズは、モディが「正面からプーチンに向き合った」ことを賞賛した。イギリスのフィナンシャル・タイムズは、専門家の話として次のように紹介した。モディの発言には明らかに「トーンの変化」がある。「これは必ずしもオープンな批判ではないが、今は戦争の時代ではないとする発言には批判の意味合いが込められている。ウクライナ国家通信は、ランド研究所の専門家グロスマンの発言として、「今日、インドはロシアと袂をたった。モディは密かに停戦を促すのではなく、オープンにプーチンを侮辱した」という言葉を引用した。
 インドの「経済時報」は、モディがプーチンと会談するに当たっては、西側諸国からの巨大な圧力を受けており、インドがロシアとの友好関係を弱めることを要求されていたと紹介するとともに、しかし、インドは西側のロシアに対する「非難と制裁」に従わずに中立を保ち、ロシアとの貿易関係を深めてきたと報じた。ワシントンのブレジンスキー学会のインド項目主任のマダンは、ロシアとウクライナの衝突及びその影響に関するインドの関心は別に目新しいことではなく、今回はよりオープンに表明したというだけであり、しかも、インドとしてはロシアとの友好関係を維持したいという立場に立って関心を表明したものであると分析した。インドの独立系ニュース・ネットであるNewsLaundryは、モディの上述の表明はインドの一貫した立場を反映しており、プーチンを「オープンに侮辱した」という西側メディアの解釈は完全に間違っており、モディの発言はインドが西側に従ってロシアを制裁するということ意味するものでは絶対にない、とコメントした。この記事はまた、インドの「そろばん勘定」についてもあけすけに述べている。すなわち、ロシアと西側との闘争においてインドは一貫して、ロシアと西側が味方につけるために懸命になる「スウィング・パーティ」となることを心がけているし、ロシアもそのことは百も承知だ。インドはロシアの安値のエネルギーを歓迎しているし、ロシアの兵器を手放すこともできない。