6月1日の環球網は、前日(5月31日)の『ロシア・トゥデイ(RT)』WSが掲載した、「世論調査:世界は西側のロシアに対する見方を共有していない」と題する記事の内容を紹介しています。RTが取り上げているのは、ドイツの調査機関LATANAがALLIANCE OF DEMOCRACIES基金(注:アメリカ政府、EU等から資金提供を受けている)と共同で行った、世界53国・地域を対象とする世論調査結果報告("Democracy Perception Index 2022")の中に納められているロシアに対する各国世論の見方に関する部分です。この報告はほかにもとても興味深いテーマに課する国際世論の意識の所在を紹介していますので、またの機会に紹介したいと思いますが、ここでは、ロシアに関わる部分についてのRT・環球網の報道内容を紹介します(結果報告の内容を歪曲していないことは確認済みです)。今回紹介する内容は、5月30日のコラムの内容を補強する意味があります。

 調査結果によれば、西側諸国とそれ以外の国々のロシアに対する態度には先鋭な両極分化が存在していることが分かる。すなわち、ロシアのウクライナに対する特別軍事行動に対して、欧州では55%の人々(賛成者から反対者を差し引いたネット数。以下同じ)がロシアとの経済関係を絶つことを支持している。しかし、アジア、中東、アフリカの大半はそうすることに反対している。ラ米諸国では支持と反対が拮抗している。
 対ロ経済関係を絶つことに賛成するものが多い国々のうち20ヵ国は欧州諸国である。特に賛成者が多いのは、ポーランド(87%)、ポルトガル(79%)、スエーデン(77%)、イタリア(65%)、イギリス(65%)、アメリカ(62%)、及びドイツ(62%)である。
 これに対して、53ヵ国中20ヵ国ではロシアとの経済関係を絶つことに反対するものの方が多い。その20ヵ国は、ギリシャ、ケニア、トルコ、中国、イスラエル、エジプト、ナイジェリア、インドネシア、南アフリカ、ヴェトナム、アルジェリア、フィリピン、ハンガリー、メキシコ、タイ、モロッコ、マレイシア、ペルー、パキスタン及びサウジアラビアである。ちなみに、コロンビアでは支持と反対が拮抗している。ロシアに対する態度がもっとも好意的な民意の国家にはインド、インドネシア、サウジアラビア、アルジェリア、エジプトが含まれる。
 (浅井注) 結果報告の地図の色分けから観ると、経済関係断絶の支持が多い国・地域には、オーストラリア、日本、韓国、台湾(以上はアジア・太平洋)、ヴェネズエラ、ブラジル、アルゼンチン(以上は南米)が含まれています。ヴェネズエラが含まれているのは意外ですが。