今から思うと、私が外務省にいて、国交正常化後の対中外交にかかわっていた頃(1980年代前半)は日中関係における短い「安定期」だったと思います。日本人の対中感情は、1989年の天安門事件が起こるまでは対米感情にほぼ匹敵するほどの「良い」傾向(80%前後)が続いていました。ところが、1989年の天安門事件、2002年以後の小泉首相の靖国参拝、2009年から2012年にかけての民主党政権下の対中政策という3つの要素は日本人の対中感情を大きく押し下げ、2003年から2004年にかけて「良い」「良くない」が逆転、2010年以後は「良くない」がほぼ80%以上の高率で推移するようになりました。
第3回の今回は当初、私自身の中国観・中国人観についてお話しするつもりでしたが、国交正常化から今日までの日中関係について区切りをどうするか考えていて、3つの時期に分けることが適当であるという結論に至りました。具体的には、今回(第3回):「日中平和友好条約と日中関係」(国交正常化-1972年-から天安門事件-1989年-まで)、第4回:「アメリカ「一極支配」と日中関係」(天安門事件後-1989年-から民主党政権-2009年~2012年/2010年には日中GDP逆転-まで)、第5回:「「米日対中国」の構図と日中関係」(第二次安倍政権-2012年12月/習近平も2012年11月に総書記就任-以後今日まで)です。したがって、私自身の中国・日中関係とのかかわりについては、第3回を扱う中で適宜触れたいと思います。 今回(第3回)のお話しのレジュメを載せておきます。↓

第3回 日中平和友好条約と日中関係