5月21日に最初の感染者が報告された広東省の新型コロナ・ウィルス(以下「コロナ」)集団感染は、6月21日までの1ヶ月間で190人の感染者を出しました(広州市は153人)。しかし、6月22日及び23日は新規感染者の報告はなく、東莞市を除けば基本的に終息したと報道されるに至りました(24日付け中央テレビWS)。広州の集団感染は、中国では初めてとなるインドで最初に見つかったデルタ型変異株によるもので、中国国内にも緊張が走ったようですし、デルタ変異株によってヴェトナム、カンボジア、イギリスなど軒並み感染再拡大に見舞われていることに照らして、私も中国が果たして今回も首尾よく抑え込むことができるかどうかに大いに注目してきました。結論的に(東莞についてはまだ注意する必要があるようですが)は、私がコラムで時々紹介してきた徹底作戦(これまで各地で成果を収めてきた対策)がデルタ型変異株来襲に対しても有効だった、と結論づけることができるようです。
 6月24日付けの中央テレビWSは簡潔に経緯を以下のようにまとめています(6月23日付けの新京報は、各地における徹底した対策の紹介などさらに詳細な報道を行っていますが、結論的には中央テレビWSの紹介と矛盾するものではありません)。

 6月22日、国務院聯防聯控機構広東タスク・グループの専門家は取材に対して、「5月21日以来、広東は3つの異なるコロナとの戦いを行ってきた」と述べ、その3つをそれぞれ「広州5/21」「深圳5/21」及び「深圳東莞6/14」と呼んだ。感染病学的調査及び遺伝子配列比較から、この3つの事件はそれぞれに独立していることが明らかになった。前2者はすでに社会的リスクが基本的に抑え込まれ、第3のケースはまだ「白兵戦」の段階である。
 これら3つのケースが同じ広東省でしかも時間が相前後しているにもかかわらず、それぞれに独立しているというのは、感染源が同一ではないことに基づいている。つまり、アルファ型変異株によるもの、デルタ型変異株によるもの、同じデルタ型でも遺伝子配列が異なるものによる。感染源の調査から、3つのケースはともに国外から持ち込まれたコロナによるものであることが分かっている。デルタ型変異株というのは極めて大きな類型であり、様々な異なった配列のものが含まれている。深圳東莞の感染者のコロナの遺伝子配列は広州のコロナと同じくデルタ型だが、異なる国に由来し、遺伝子配列は明らかに違いがあり、したがって、互いに独立したケースであると判断できる。
 広州5/21は中国本土初のデルタ型変異株によるものであり、感染源は国外から持ち込まれたものと判断される。3週間余の戦いにより、6月13日以後に報告された新規感染者はすべて集中隔離されたグループからであり、集中隔離グループの中から今後も散発的に感染例が出る可能性は否定できない(浅井:何度かPCR検査をして陽性者を見つけるケースが少なくない)が、地域に感染が広がるリスクは極めて小さくなった。広州市では6月19日以後は新規感染者の報告はなく、潜伏期間(28日)を考慮してすでに今回のコロナは抑え込んだといえる。
 深圳5/21はアルファ型による集団感染であり、最初の感染者は「重点作業グループ」(定期的にPCR検査を受けるグループ)に対するPCR検査で発見した。感染源は5月17日の深圳に来た貨物機の乗組員である可能性が高い。深圳5/21についてはすでに17日間連続して新規感染者が報告されていないし、これまでの感染例はすべて最初の感染者の居住地域に限定されており、このケースについてもすでに抑え込んだと判断できる。
深圳東莞6/14について深圳と東莞を一括りにする理由は、最初に深圳で見つかった患者は深圳と東莞の間を毎日行き来しており、東莞の最初の感染者は深圳の最初の感染者の家族であること、しかも、遺伝子配列からも同じコロナと判断できることによるものである。専門家によれば、「深圳東莞6/14に関する感染源に関する疫学調査はなお進行中である。隔離観察、地域防疫、全員を対象とするPCR検査を鋭意進めている最中である」。
 広東省は国外からの入境者がもっとも多い省の一つであり、コロナ流入圧力は極めて大きい。国・省・市三者は全力でコロナ対策を進めており、最短時間、最小規模で今回の戦いに勝利を収めるべく奮闘している。