トランプ政権最末期の1月9日、ポンペイオ国務長官は、「本日、我々が自らに課してきた米政府機関と台湾のカウンターパートとの間の交流のすべての制限を取り消す」とツイッターで宣言しました(7日には国務省WSを通じて「米駐国連大使が訪台する」と発表していました)。アメリカ自身が誓約した「一つの中国」原則を公然と踏みにじる究極的な暴挙です。次期バイデン政権の対中政策に地雷を埋め込もうとする意図は明らかですし、バイデン政権の対応如何によっては、米中関係はもちろんのこと、国際関係の屋台骨を突き崩す重大な危険性を秘めます。また、ポンペイオが1月20日までに訪台して「既成事実」をでっち上げるようなことにでもなれば、バイデン政権発足と同時に米中関係は最大の危機に直面することになるでしょう。自らの支持者を煽って議会に侵入させたトランプの言動がアメリカ・デモクラシーに対する未曾有の挑戦であるとすれば、ポンペイオの今回の言動はアメリカ対外政策に対するこれまた未曾有の挑戦です。
 1月11日付け(ウェブ掲載は10日14時49分)環球時報社説「ポンペイオ 台湾当局の最後を速めるかも」(中国語:"蓬佩奥或让台湾当局的日子倒计时")は、ポンペイオが訪台するようなことがあれば解放軍機が即座に台湾上空に飛び、かつてなかった方法で台湾に対する主権を明らかにするし、台米が過激な反応を取るならば戦争触発の可能性が高いなどと、最大限の表現で反応したのは当然だと言わなければなりません。ポンペイオの「気が狂った」としか形容しようがない言動による米中関係及び国際情勢への影響は今の時点では量るべくもありませんが、とりあえず環球時報の社説を紹介します。

 ポンペイオは土曜日にアメリカと台湾の政府関係者の交流に関する自己規制を解除すると宣言した。彼は、これまでのアメリカの外交官、軍人その他の政府関係者の台湾側との接触に関する内部的制限は「北京をなだめることを意図したもの」であるが、今はもはやそうではなく、これまでの「接触ガイダンス」は無効であり廃棄されるべきだと述べた。台湾側は直ちにポンペイオの宣言に歓迎の意を表した。
 これは、トランプ退場まで約10日を残すばかりの時に、中米関係及び台湾問題に対してポンペイオがまたもや放った狂気の罠であり、地雷敷設である。これは両岸関係及び中米関係が安定を保つ上でのボトム・ラインに対する犯罪的かつ構造的な破壊であり、その深刻な結果は予想するのも難しい。
 衆知のとおり、一つの中国原則は今日の世界秩序安定の礎石の一つであり、世界の圧倒的多数の国家は中国と外交関係を樹立し、台湾とは公的関係を発展させないという約束を遵守してきた。アメリカ政府がこれまで台湾との公的交流を制限してきたのも自らが請け負った国際義務の一部分である。仮にワシントンがこれまで遵守してきた制限を勝手に取り除くのであれば、中米関係は徹底的な再定義が不可避であり、両国は敵対に向かい、台湾問題平和解決のための国際環境の基礎の重要な一角が崩れ落ちることになる。
 ポンペイオがアメリカ外交を主導できる日数は指折りできるほどのものであり、彼の心神喪失の暴挙は二つの不確実性を提起する。一つは、バイデン政権がいかなる政策をとるか、すなわち、トランプ政権の重大な決定を廃棄し、執行しないかどうかである。もう一つは、ポンペイオの輩が自らの凶暴に中毒して、さらなるパフォーマンスをしでかすかどうかである。例えば、ポンペイオが下野する前に台湾を訪問し、米台公的交流を深刻にエスカレートするという既成事実を作るという可能性だ。
 バイデン政権が現政権最後の狂気の決定を廃棄するのを推進するためにも、また、ポンペイオが土壇場でボトム・ラインを突き破る実際行動に出るのを阻止するためにも、北京としてはアメリカの極限的な挑発に断固反対し、それを真っ向から叩きのめす決心であることを明確にする必要がある。
 アメリカはすでに駐国連大使を今週訪台させることを公表しているが、これは北京の反応を窺おうというポンペイ連中の企みである可能性を排除できない。北京は、彼らに対して"断崖に臨んでウマの手綱を引き締める"べきだという強烈なシグナルを発出する必要がある。すなわち、米台があえて離任前のポンペイオ訪台劇を演出するのであれば、北京の反応は"山を押しのけ海をひっくり返す"ものとなるということだ。
 その時には、解放軍機が瞬時に台湾上空に飛来し、これまでかつてなかったやり方で台湾に対する中国の主権を誇示する。仮に、台米が過激な反応に出るほどの肝っ玉があるとすれば、戦争を触発する可能性が大きく、我々はポンペイオの土壇場の狂演に従う台湾当局に対して根本的な懲罰を与えるだろう。
 我々は台湾当局に次のように告げる。彼らがポンペイオと共に心神喪失、発狂するのであれば、アメリカ現政権の最後の数日は民進党政権が存在する最後の数日となる可能性がある。アメリカ人民によって放棄された政権が演じる最後の狂演は台湾が「独立」に向かう踏み台になるなどと、民進党政権は夢にも思わないことだ。アメリカの狂演は民進党政権に致命的な災難をもたらす可能性が極めて高い。
 台湾海峡情勢が様々な形で突然に真っ向対決となった場合、国際社会の大勢は中国及び中国人民の側に立つことを、我々は確信している。なぜならば、トランプ政権はすでに制御不可能であり、彼らが国際ルール及びアメリカ憲法が許容しないやり方でやりたい放題であるということは、アメリカの政治システムの一大欠陥を露呈し、トランプ政権の断末魔のあがきに対する拘束力を失っている、ということは誰にも明らかだからだ。
 バイデン陣営及びさらに多くのアメリカ人はすでに、トランプ政権が最後の数日に原爆を使用するなどの馬鹿げたことをしでかすのではないかと心配している。トランプ政権が台湾問題で突然真っ向勝負に出るとすれば、それこそ世界平和にめがけて原爆を投下するに等しい。平和を破壊する人間と力に対しては、我々は必ずもっとも厳しい懲罰を与えるだろう。
 我々は中国の国家主権を守り、人類の交流における基本ルール及び正義を守る。核心的利益において我が中華を侵犯するものはすべて自らの滅亡を手にすることになる。