アメリカのクラック国務次官の台湾訪問(9月17日)は、「一つの中国」原則を承認し、台湾との関係を非政治的分野に限ることを約束して国交樹立した米中関係の拠って立つ基本を踏みにじるものであり、世が世であれば、国交断絶さらには最後通牒を招いたとしても不思議ではない暴挙の極みです。国際法違反の非難を歯牙にもかけないトランプ政権であり、しかも対立が激化する一方の米中関係の中の出来事であるために、私たちはともすると「またか」という受け止めに流されてしまいがちですが、今回のアメリカの取った行動は「ルビコンの橋を渡った」ものであり、台湾をめぐる米中関係は正に一触即発の危険な事態に陥った、と言って過言ではありません。
 中国国防部の任国強スポークスマンは9月18日、「最近、米台間の交流が頻繁であり、昨日はさらに米国務次官の訪台があった。コメント如何。解放軍はこれにいかなる対応措置を行うか」という記者の質問に応じる形で発言しました(以下「9.18発言」)。これを受けた9月19日付けの環球時報社説(ウェブ掲載:18日18時39分)「もはや警告にあらず 台湾攻撃の実戦演習訓練だ」(以下「9.19社説」)は国防部スポークスマンの発言の意味を解説する意味を持っています。解放軍の迅速かつ大規模な有事対応能力に対する米台の注意を促して中国の不退転の立場を明確に表明し、米台が情勢判断を誤って「引き続き暴走するならば、その道の終点は戦争しかない」(中国語:"如果他们继续冒进,这条路线的尽头必将是一场战争")、台湾当局が自ら試そうとするならば、「大陸は必ずや軍事解決手段でこと(統一)を成し遂げる」(中国語:"大陆一定会用军事解决手段来成全他们")と言い切りました。
今回の国防部スポークスマンの発言及びこれを受けた環球時報社説の内容の意味・重みを理解する上では、それに先だって、米保健長官訪台に対して中国軍が行った演習に関する8月13日の東部戦区スポークスマン発言(以下「8.13発言」)とその意味を解説した8月14日付け(ウェブ掲載:13日17時37分)環球時報社説(「東部戦区演習 "台独"への明確な警告発出」。以下「8.14社説」)、そして8月18日に米駆逐艦が台湾海峡を航行したことに対する8月19日の同じスポークスマン発言(以下「8.19発言」)と、やはりこの発言の意味を解説した8月24日付け(ウェブ掲載:23日17時1分)環球時報社説(「台湾海峡戦争リスク低減 台湾当局の行動がマスト」。以下「8.24社説」)と並べて見て、三者を比較することが有意だと思います。それぞれの大要は訳出して下記のとおり紹介します。
 私の気づきの点を述べておきます。
 第一、「8.13発言」及び「8.19発言」の対米対台メッセージは米台双方が重視するところとならず(それが故に国務次官訪台強行となった)、したがって、「9.19発言」の国防部(東部戦区から格上げ)スポークスマンによる強硬かつブラントな対米台警告となっており、「9.19社説」の包み隠しのない(米台にストレートに伝わることを意図した)解説になっていること。
 第二、米台の対応次第で中国が取る軍事行動の中身(及びそのエスカレーション)については、「8.14社説」で明確に例示していること(「軍機による台湾周回飛行、「海峡中間線」渡越、さらには台湾島上空飛行通過、台湾島上空を飛行通過するミサイル発射実験、台湾東部海域における軍事演習実施等々」)。
 第三、ランクでは保健長官の方が国務次官より「上」であるけれども、国家関係を管掌する国務省の次官の訪台の意味は保健長官訪台よりはるかに重大(それ故にこそ、アメリカも保健長官訪台に対する中国の反応を見て国務次官訪台へと「一歩前に進める」スライス方式をとっている)であり、それが東部戦区スポークスマン発言から国防部スポークスマン発言への中国側の「格上げ」行動となっていること(以心伝心)。したがって、「9.19社説」の「国務長官、国防長官が台湾に来たら、解放軍戦闘機は台湾島上空を飛行し、台湾島上空で演習する」という「予告」の意味するところは極めて大きい。
 第四、米台はそれでも中国の警告を「虚仮威し」と過小評価したいかもしれないが、「9.18発言」と「9.19社説」の重みは到底無視できないこと。なぜならば、①「一つの中国」原則を承認したアメリカが先に同原則「破り」を重ねて行っているのであり、したがって中国が「予告どおり」に台湾に対して軍事行動を取っても、アメリカは軍事的な対抗措置を取る正当な理由がない。②イランが領空侵犯した米無人偵察機を撃墜した際にもトランプ政権は「報復」に出なかった(全面戦争になる危険を回避した)のであり、イランよりはるかに実力のある中国の本気度をこれ以上「試す余裕」はない。
 第五、とはいえ、今や「狂」の域に入っているポンペイオが対中関係を取り仕切っている状況なので、トランプ政権が「読みを間違える」可能性は排除できず、一触即発の危険は現存し続けること。

<8.13発言>
 近日、中国人民解放軍東部戦区の多軍種多方向成体系(浅井注:"成体系"とは英語のsystem of systems)は兵力を出動し、台湾海峡及びその南北両端で連続的に実戦演習訓練を行い、多軍種連合作戦能力の向上を検証した。最近、個別の大国による台湾にかかわる問題での消極的な動きが絶えず、「台独」勢力に向けて重大な誤ったシグナルを発出し、台湾海峡地域の平和と安定に深刻な脅威を及ぼしている。台湾は中国の神聖不可分な一部であり、戦区部隊が組織する巡邏訓練活動は当面する台湾海峡の安全形勢に向けた、国家主権を擁護するために取る必要がある行動である。戦区部隊は時々刻々高度な警戒準備を保ち、すべての必要な措置を取り、「台独」を作り出し、国家を分裂させるすべての挑発行動に断固反撃し、国家主権と領土保全を断固防衛する。
<8.19発言>
 8月18日に米駆逐艦マースティンが台湾海峡を通過し、中国人民解放軍東部戦区は海空兵力を組織して米艦船の全航程を追跡監視した。最近、台湾にかかわる問題でのアメリカの消極的な動きが絶えず、「台独」勢力に向けて重大な誤ったシグナルを発出し、台湾海峡地域の平和と安定に深刻な脅威を及ぼしている。我々は関係方面に対し、一つの中国原則を破壊し、台湾海峡地域で騒ぎを起こし、攪乱するいかなる言動も中米両国の根本的利益に合致せず、両岸同胞の共同の福祉を損ない、この地域の平和と安定に現実の脅威をもたらすものであり、危険極まりないことを厳かに告げる。戦区部隊は時々刻々高度の警戒準備を保ち、国家主権と領土保全を断固として守り、台湾海峡地域の平和と安定を確固として擁護するであろう。
<9.18発言>
 中国人民解放軍は東部戦区台湾海峡近辺で本日から実戦演習訓練を行う。これは現在の台湾海峡情勢に即し、国家主権及び領土保全を擁護するために取る正当かつ必要な行動である。台湾は中国領土の神聖不可分な一部であり、台湾問題は純然たる中国内政に属し、外部からのいかなる干渉をも許さない。
 最近、アメリカと民進党当局は共謀を強め、頻繁に事を起こし、"以台制華"(台湾を利用して中国を牽制する)にしろ"挟洋自重"(アメリカの力を借りて地位の向上を図る)にしろ、呆けた妄想であり、どん詰まりであって、火遊びによる大やけどとなる運命である。中国人民解放軍は、確固とした意志、充分な確信、十分な能力を有しており、すべての外部勢力の干渉及び「台独」分裂行動を挫折させ、国家主権と領土保全を断固として防衛する。
<8.14社説>
 中国人民解放軍東部戦区は木曜日(8月13日)、当該戦区が台湾海峡及び南北両端で連続的に実戦演習訓練を行うと対外的に発表した。これは「個別の大国」による台湾にかかわる問題での消極的な動きが絶えず、「台独」勢力に向けて重大な誤ったシグナルを発出していることによるものであり、この演習は当面する台湾海峡の安全形勢に向けた、国家主権を擁護するために取る必要がある行動であると直言したものだ。
 解放軍は過去にも経常的に東海でさまざまな規模の演習を行っているが、今回、東部戦区の発言がかくも明确に、地域の形勢に直接関連させ、しかも「某大国」を名指ししたのは極めてまれなことである。しかも、今次演習は台湾海峡及びその「南北両端」をカバーしており、かかる描写は初めてだ。
 米保健長官の直近の台湾訪問、新国防授権法における台湾軍の環太平洋軍事演習への参加要請等々は、米台関係のエスカレーションがさらに危険なステップを踏み出そうとする趨勢を構成するものである。これは「スライス」式に台湾海峡の現状を破壊する策略であり、蔡英文当局はアメリカのインド太平洋戦略に合わせて中国大陸を封じ込める意図を不断に明らかにしている。
 解放軍東部戦区の演習は台湾及びアメリカに対して明確に警告を発出するものであり、中国大陸は台米による「一つの中国」原則に対する挑発と侵食を絶対に座視しないという確固とした意志を公にした。台米はすんなりと政府関係を引き上げることができると幻想するべきではなく、このプロセスは彼らにとって耐えがたいリスクを意味することは必定である。
 間違いなく、軍事行動を取ることは大陸が「台独」を震え上がらせる究極の切り札であり、したがって「反分裂国家法」もまた民進党当局をして襟を正させるものである。東部戦区の今次演習は明确で誤解のあり得ない次のメッセージを送り渡した。すなわち、大陸の台湾に対する軍事圧力は米台の結託が増加するに伴ってエスカレートするのであり、台米が台湾海峡形勢の悪化を耐えうる限り、我々はそれによって生み出される「地が動き、山が揺れる」事態を恐れることはない。
 解放軍が引き続き加えうる軍事圧力はなお極めて多い。軍機による台湾周回飛行、「海峡中間線」渡越、さらには台湾島上空飛行通過、台湾島上空を飛行通過するミサイル発射実験、台湾東部海域における軍事演習実施等々、台湾は戦争の一触即発の危機的雰囲気で完全に飲み込まれるまでに至るであろう。
 中国大陸は、台湾がアメリカの戦略上のコマになることを通じて「独立」の手段を増やすことを許さない。台米結託の増大は台湾にとってのリスクがさらに大きくなるだけのことであり、台湾の経済環境は深刻に動揺し、不確実となり、総合的損失は得るものよりはるかに大きくなり、台湾は自らを戦争ギリギリの累卵の境地に押しやることになる。
 アメリカは、台湾海峡に軍事介入するという脅迫の力を過大評価しないことだ。台湾海峡に戦争が勃発した場合に米軍が戦場形勢を主導する能力を持っているとは、中国人はもはや誰も信じていない。中国人民は、国家主権を防衛するためには、他のすべての選択が失敗する状況のもと、台湾海峡で軍事的に勝負を決する充分な勇気を有しており、しかも最終的勝利を獲得する確信を有している。我々はそこまで行くことを願ってはいないが、「スライス」式あるいは恫喝のもとで最後の手段を避けて台湾を譲り渡すなどということはあり得ないことである。
 平和的に発展する台湾がいいのか、両岸が深刻に軍事対峙し、最後には火花一つで戦争が燃え上がる台湾がいいのか、それは台湾当局が選択すべきことだ。過去は台湾海峡演習、今日は台湾海峡プラス南北両端演習、明日台湾がさらに先に進めば、海峡プラス両端プラス台湾島東部における島を囲む大演習、さらには解放軍機による台湾島上空での演習、情勢がどこまで進むか、ボールは台湾当局にある。
 東部戦区の今次演習が明らかにしたのは、解放軍は台湾海峡のさまざまな方向から総攻撃を発動する能力があり、しかもそれは、短時間、時間単位で台湾島を攻略する戦略態勢であるということだ。民進党当局は最後の理性を保つ必要がある。彼らが知る必要があるのは、アメリカの戦略のコマとなるということはもっとも簡単に「食べられる」ということだ。彼らがそのことを忘れるとき、その日は突然にやってくる可能性があるのだ。よく考えることだ。
<8.24社説>
 台湾海峡と南海(南シナ海)の情勢は不断に緊張する流れにあり、外部メディアの統計によると、この1ヶ月間に南海に米軍機が67回出現した。解放軍の台湾海峡における軍事演習は終わったばかりだが、22日には黄海軍事演習が開始され、南海及び渤海の軍事演習も月曜日に開始される。軍事衝突勃発リスクに関する世論場での議論は急速に増加している。
 形勢がもっとも微妙なのはやはり台湾海峡情勢であり、南海における現在の基本はアメリカが一方的に軍事挑発を行っているが、中国及び南海で領有権を主張する国々は軍事摩擦を防止する姿勢がハッキリしており、米軍が南海で火花を起こそうとするのであれば自ら手をつけるしかない。台湾海峡情勢はそれとは異なり、過激で活発な台湾民進党当局がおり、しかも台湾海峡では政治問題と軍事問題が複雑に交錯し、相互に刺激し合っている。
 南海における領土紛争は比較的穏便にコントロールされているが、台湾海峡の根本問題である統一独立問題は不確定性が極めて高く、発酵状態ひいては制御不能状態にある。アメリカの中国抑え込み戦略が西太平洋における緊張の主要原因であり、南海周辺ではアメリカに調子を合わせるものは比較的限られているが、台湾海峡では民進党当局が全力で呼応しており、このために台湾海峡情勢はより多くの潜在的爆発性を持っている。
 言い換えるならば、台湾海峡情勢には近年二つの極端な変数が出現している。一つは、民進党当局が一つの中国を主要内容とする「九二共識」を承認することを拒否し、「脱中国化」を全力で推進していることである。もう一つは、アメリカが中国周辺情勢に緊張を作り出して、中国の台頭に干渉し、これを抑え込もうとする戦略的謀略である。この二つの変数はますます緊密に絡み合い、中国の国家的安全と地域全体の平和を深刻に脅かしている。
 西太平洋、特に台湾海峡の形勢は螺旋的に悪化し、各国はそれに刺激されて軍備を強化し、そのことがまた他方面を刺激して悪性循環を形成している。この全体的情勢の下で各国を超越する「総監督」が存在しないため、情勢の悪化は各国のインタラクションによって不断に進行する。しかも、中国大陸と米台の間には相互信頼がすでにゼロであり、警戒と敵意が相互の関係を主導しているため、情勢の統御可能性はますます低くなる一方である。
 戦争勃発からはまだ距離があるというものの、そのリスクは明らかに切迫し、近づきつつある。双方が戦闘態勢を整え、摩擦の種は増えるばかりで減ることがない。歴史の経験が教えるとおり、戦争勃発は往々にして誰かが戦争したいから起こるのではなく、互いに敵意を解消することができず、最悪の状況に備えた準備するばかりであるため、ある瞬間に互いの判断の誤りによって突然に最悪の事態が訪れるのである。
 我々は、中国大陸、アメリカ及び台湾の三者が台湾海峡情勢を緩和するために努力を行うべきだと考える。三者は誰も戦争勃発を望んでいないのだから、平和を促進するためにそれぞれの善意を示すべきである。
 ここで、我々は特に蔡英文当局に呼びかけたい。台湾海峡情勢の今回の変化は蔡英文及び民進党が再び登場したこと、そして彼らが台湾両岸政策に対して根本的な調整を行ったことに始まっている。両者は現在の台湾海峡情勢の緊張について格別な責任を負っている。
 陳水扁当局時代と異なるのは、当時の中米関係が今よりはるかに良好で、北京とワシントンはかなりの意思疎通の能力があり、ワシントンは台湾海峡の「火消し」にある程度の役割を果たしたことである。現在の状況はまるきり違っており、ワシントンは火に油を注ぎ、台湾当局の過激な行動をそそのかす存在になってしまった。アメリカは、台湾海峡情勢の「バランス」を維持することで中国を牽制する従来の立場を変更し、台湾問題を利用して中国に難癖をつけ、中国抑え込み戦略を台湾海峡政策において全面的に実行するに至っている。
 蔡英文当局は正に崖っぷちで踏み留まる必要があり、戦術的な抑制に留まらず、戦略的な調整を行う必要がある。台湾海峡においては、政治上の緊張緩和が出現しないと、軍事緊張は間違いなく積み重なっていき、戦争勃発のリスクを人間の意思によって転換するコントロールする力は次第に失われる可能性がある。民進党当局においては自らの執政を強固にするという功利主義的目的がすべてを圧倒しており、戦争のリスクを致命的に軽視するに至っている。
 中国大陸は今この時に台湾海峡で戦争が勃発することを決して望んでいない。大陸のボトムラインは明确であって、一貫して変わっていない。現在の危険は、民進党当局とアメリカが不断に動いて、スライス方式で大陸のボトムラインを侵食しようとしていることにある。台湾当局は民主という旗印を掲げながら不断に大陸のボトムラインに足を踏み入れ、アメリカは中国に圧力をかけるために自らが承認している「一つの中国」政策に一再ならず手をかけようとしており、双方が中国大陸に挑戦することで調子を合わせている。
 戦争が勃発したら、民進党当局の退陣は必定であり、壊滅に至るだろう。全面戦争になった場合は、民進党当局という最大の罪悪人は戦争の中で消滅するか、最終的に大陸の法で裁かれるかのいずれかになる。台湾「国防部」は、台湾軍が「武器を枕に朝を待ち、島と運命をともにする」、「最後の一兵一卒になっても敵に雷池を踏み越えさせない」と宣伝している。このようなホラは自らを欺き、人を欺くものだ。台湾当局がこのように頑迷にして過ちを悟らず、情勢を徹底的な軍事対決にまでおしやるのであれば、悲劇は彼らが一手に作り出すものであり、未来のいずれかの地で彼ら自身を待ち受けるであろう。
<9.19社説>
 解放軍東部戦区は本日台湾海峡で実戦演習訓練を行い、台湾メディアは午前、7時16分から解放軍戦闘機が台湾の南西、西、北西及び北の4方向から台湾島に接近、台湾は22回にわたって「駆逐放送」を行い、放送内容には、「空域」とか「防空識別圏」とかの習慣的な表現ではなく、「領空接近」という表現まで現れた。台湾側の発表によれば、18機の解放軍戦闘機が台湾海峡に出現し、一部は海峡中間線を越えてきたとした。
 我々から見れば、これはまだ序の口だ。アメリカ高官が来るたびに解放軍戦闘機はそれだけ台湾に接近していく。仮に国務長官、国防長官が台湾に来たら、解放軍戦闘機は台湾島上空を飛行し、台湾島上空で演習するだろう。我々が発射実験するミサイルは台湾島に飛行し、台湾のいわゆる「総統府」上空に至るだろう。台湾当局が引き続き暴走するならば、以上に述べた情景が次々に起こることになる。
 今回の軍事演習は二大突出シグナルを放った。第一は、国防部スポークスマンが「現在の台湾海峡情勢に即し」た軍事演習と明確に述べたことであり、これは明らかに米台の頻繁な共謀、なかんずくクラック国務次官訪台を指している。このことは、解放軍がもはや遠回しの発言をせず、我々が威嚇するのは米台の共謀そのものであり、それはすなわち、決意及び意志の表示におけるエスカレーションであり、対象に照準を合わせたということである。
第二点はさらに重要であり、解放軍の反応速度が極めて迅速だったことだ。クラック訪台前はメディア情報だけであり、米台の公式発表はクラックが飛行機に乗った後からで、クラックは昨日台湾に到着した。解放軍の今次重大演習も事前の発表はなく、緊急の決定だったようだ。しかもこのような大がかりの行動をかくも短時間で組織できるということそのものが極めて強烈なシグナルである。
 以上のことは、解放軍は今やごく短時間で台湾に対する軍事行動を組織する能力があるということであり、演習とはいうものの実戦に近く、すなわち、解放軍及び国家全体が台湾海峡情勢に即して緊急反応する実演プロセスだったわけであり、それ故に極めて重要な意義を有しており、これは正に中国大陸が台湾海峡情勢に即して新たに示した重大な秤の分銅である。
 今次演習及びそれ以前の一連の演習を通じて、解放軍は台湾攻撃の経験を不断に蓄積し、台湾の防御体系における一連のカギとなるデータを掌握した。これらの演習は台湾攻撃の実際のオペレーションの予行演習であり、政治理由次第で演習版から実戦版になりさえすれば、「台独」のすべては灰燼に帰するだろう。
 米台結託は台湾海峡情勢におけるもっとも突出した激動の源であり、解放軍の今次軍事演習はさらに一歩を進めて威嚇、打撃の方向を狙い定めた。米台はスライス方式で米台関係「正常化」を実現できるとは思わないことだ。それは極めて危険な道であり、軍事手段で米台公的関係が挑発的かつ不断にエスカレートすることを制止することを含め、大陸はすべての必要手段を採用する決心である。
 解放軍は今後警告的に軍事演習するだけではなく、台湾に対して突然に打撃行動を取る実戦性の軍事演習もすでに幕が開いたということであり、その規模もますます拡大していき、台湾に対して実質的な打撃を実施するために必要なすべての要求を実現することになろう。金曜日の演習は台湾海峡闘争における一つのバロメータとなる結節点である。
 米台は、大陸の演習が虚仮威しだなどと形勢を誤断するな。彼らが引き続き暴走するならば、この道の行きつく先は戦争しかない。最近でも北京の決意を過小評価した勢力はすべて代価を支払っている。香港国家安全法は断固として進められた。中印国境においては、我々が戦争を恐れていないという意志も充分に証明された。台湾海峡は分裂勢力が勝手にほしいままなことができる場所ではない。台湾当局が身をもって試してみようとするならば、大陸は必ず軍事解決手段でことを成就するだろう。
 台湾は手のひらの大きさであり、日々を過ごすには適当だが、現代の条件の下で軍事対抗を繰り広げる条件は皆無である。「台独」は袋小路であり、魚は死んでも網は破れようがない(浅井注:魚は蔡英文当局、網は台湾島)。