8月8日の中国中央テレビWSは、7月15日に感染発症者第1号が発見された新疆ウイグル自治区のウルムチの新コロナ・ウィルス集団感染に関して、同自治区党委員会副書記で「疫情防控指揮部指揮長」を務める李鵬新が行ったインタビュー発言を紹介しています。ちなみに、8月8日24時現在の感染発症者は625人(内訳はウルムチ622人、ウルムチと関連してカシュガル1人及び昌吉州1人、新疆兵団1人)です。  李鵬新の発言は、新疆における取り組みの全容を理解することを助けてくれます。大連はすでに感染者ゼロを3日間連続で続けて「一段落」ですが、新疆はまだ8月8日24日現在で15人の感染発症者が出るなど、完全に抑え込んでいるとは言えません。しかし、武漢、北京、大連と同じく、新疆ウルムチも全市民を対象としたPCR検査を徹底して行っており、コロナを基本的に抑え込みつつあるとは言えるでしょう。重要な事実は、最近の感染発症者及び無症状感染者の発見はすべてPCR検査の結果判明したものです。
日本国内では、無差別にPCR検査を行うことの「経済的合理性」に対する懐疑的見解が幅をきかせていますが、対症療法ではコロナ撲滅は期しがたいことは自明です。日本(安倍政権)を含め、対症療法でことをやり過ごす国々の基本的発想は「ワクチン待ち」ということでしょう。しかし、それは何時のことになるか分からないし、それまでの間に死を余儀なくされる人はどれだけになるかについて真面目に考えない無責任な発想です。
あえて李鵬新発言を紹介するゆえんです。

(質問)最近一週間でのウルムチにおける発症感染者は毎日35人以下になっている。ウルムチは基本的に抑え込んだとみて良いか。
(回答)まだそうは言えない。3つに概括できるだろう。第一、病例が多く発生する勢いは抑え込むことができた。第二、防疫コントロールのためのさまざまな措置の効き目が顕著に表れている。第三、疫情はよい方向に向かって進んでいる。
(質問)これからの防疫コントロールでは何を行うのか。
(回答)これまでと同じく以下の5点をしっかり行っていくということだ。第一、内防拡散。病例第1号が報告されるとすぐ(16日)、指揮部は緊急対応メカニズムを発動し、ウルムチ市について「暫定停止ボタン」を押した。喧噪の町は一夜にして静まりかえって、我々が一連の措置を取り、原因を探し出し、伝染源を遮断するための貴重な時間を提供してくれた。第二、外防輸入。ウルムチ全体を封鎖することで、市民は用事がない限り家を出ず、ウルムチを離れることもなく、コロナが外に出ることを防止した。第三、速やかな疫学調査実施。伝染源を探し出すとともに、濃厚接触者をリアルタイムで探し出して隔離する。国はこのことを非常に重視し、専門家グループを派遣して、我々の疫学調査に協力援助している。第四、国はまた患者の治療のための専門家グループも派遣している。第五、PCR検査。年初の流行の際は患者に発熱や咳などの症状があった。今回の患者の場合、初期は無症状が多いのでPCR検査がもっとも有効だ。これまでの患者の75%はPCR検査で見つけ出したものであるので、我々は今も全力でPCR検査を行っている。
(質問)伝染源は分かったか。
(回答)調査の分析の結果、専門家グループは今回の感染拡大が単一のソースに由来するものだと一致して見なしている。つまり、サンプルの系列は基本的に同じであり、同一の伝染源によるものである。ただし、発生源についてはなお調査中だ。
(質問)ウルムチの現在のPCR検査能力如何。
(回答)先ほど述べたとおり、今回の特徴は無症状感染者が多く、75%に近いものがPCR検査で分かった。したがって、我々はPCR検査の役割をさらに重視している。国務院も極めて重視し、11の省・自治区から医療隊を緊急に派遣してくれたことにより、我々のPCR検査能力は向上しており、ウルムチの検査能力は一日80万人に達している。
(質問)現在、PCR検査はどのように行っているか。
(回答)ウルムチのPCR検査はすでに2回行ったが、一昨日からは再び重点的に開始している。第一の重点は隔離したレストラン及び地点に対する全面スクリーニング。第二の重点は感染者を出した重点コミュニティに対する再度のスクリーニング。第三の重点は社会全般に対する再スクリーニングだ。5日ごとに一回スクリーニングすることで最大限に感染者を洗い出し、コロナ感染の条件または感染源を減らすことによってウルムチの安全を期していく。我々は数万人の医療人員を調達してサンプリングの仕事に当てている。
 (もう少し正確に言うと)最初の頃はPCR検査能力が限られていたので、重点コミュニティ・隔離地点を対象に集中検査を行った。第2回の検査は全面的に行った。検査能力向上を背景に、重点的な人のグループと隔離地点に対して第3回及び第4回のスクリーニングを行い、社会全般に対しては第2回のスクリーニングを行うものである。
(質問)如何にしてコロナが外に出ることを防止するか。
(回答)自治区の統一的手配により、ウルムチ市民(幹部職員を含む)は仕事がない限りウルムチを離れないこととしており、ましてや新疆を離れることはさせない。こうして感染の輸出を厳格に防止している。同時に、外地(新疆各州を含む)も仕事がない限りはウルムチに来ない。仕事がある場合は規則に従って行う。特殊事情がない限り、一般には来ないということだ。仮に来る場合、高中リスク地区からのものは14日の隔離、それ以外のものは健康証明の提出を求める。ウルムチ以外の地域は現在では正常どおりの通行になっている。ウルムチは現在も基本は出ない原則だ。ウルムチに「暫定停止ボタン」が押された時点で滞在していた外地人については、一昨日から、隔離期間14日を満了したものは一人一人送り出している。
(質問)ウルムチの管理コントロール措置緩和条件如何。
(回答)これから行うPCR検査を経て、また専門家の評価を経て、国務院の要求に従い、段階的に正常な生産生活を回復していくことになる。