8月2日現在の新型コロナ・ウィルス感染者数は韓国14,366人、日本39,326人。死者数は韓国301人、日本1,013人。ちなみに東京はそれぞれ13,455人と332人です。日本の感染者数及び死者数は韓国の約3倍、東京だけで韓国にほぼ匹敵です。ほぼ同じ時期に最初の感染者が現れた韓国と日本なのに、どうしてこうなったか。感染者の「三つの早い(早期発見、早期隔離、早期治療)」を実践してきた韓国と、「医療崩壊阻止」を最優先し、感染者発見の取り組みを故意に手抜きしてきた日本。これに尽きることが今や上記の数字にハッキリ示されています。
 なぜ、安倍政権はグズグズしているのか。「PCR検査を積極的に行えば、途方もない数の感染者があぶり出される→とても医療的に対応できない→検査対象を限定して感染者数を低く抑えるしかない」。「医療崩壊阻止」というタテマエの下から透けて見えるのはそういうホンネです。そのホンネから、①新自由主義医療改革死守、②新型コロナ・ウィルスのような感染力の強い真新しい伝染病に対応できない感染症法への固執(7月28日のコラムで紹介した上昌広氏の指摘)、そして③「お上」に弱い国民に対する説教というお金と手間のかからない方法でお茶を濁すアプローチ、が出てくるのです。これが安倍首相のいう「日本モデル」の有り体の姿です。私は昨日(8月2日)、沖縄県知事まで「医療崩壊の危機」を前面に押し出す発言をテレビで見て、「医療崩壊阻止」神話の浸透ぶりに唖然としました。しかし、こんなお粗末なアプローチがまかり通っているのは、世界広しといえども日本だけです。私たちが「お上」に従順だからなのです。他の国では絶対に通りません。しかも、今や日に日に明らかになっているのは、日本の「医療体制崩壊阻止」を至上課題とする取り組みは、コロナ撲滅にはまったく無力だということです。
WHOが口を酸っぱくして言い続けているように、そして、世界中の国々(トランプ・アメリカとボルソナーロ・ブラジル、そして集団免疫獲得「信仰」に基づいて対策を誤っているスエーデン等を除く)が実行しているように、「人命最優先」で、「三つの早い」原則を実行し、感染拡大阻止→感染者ゼロを目指す取り組みに大転換しなければなりません。要するに、「医療体制崩壊阻止>人命尊重」を「人命尊重>医療体制崩壊阻止」に切り替えることです。具体的には、中国の徹底した実践から可能な限りのすべを学ぶ以外にありません。もちろん、社会主義・中国のすべてを丸写しすることはできっこありません。体制の違いは越えられない壁です。しかし、「三つの早い」原則を最優先し、万難を排して医療体制を厳しい現実にキャッチアップさせるべく方向転換することはできるはずだし、やらなければいけません。世界中の国々が現にそうしているのですから。
 第一歩としては、中国が武漢、北京、大連、ウルムチで実践してきた「全市民を対象としたPCR検査」を、流行蔓延に突入している東京圏、大阪圏、名古屋圏、福岡圏及び沖縄県において直ちに実行することです。無症状感染者も含めて感染源を断つ(そうしてのみ「コロナ撲滅」への道筋が切り開ける)。これを国民的コンセンサスにしなければならないときです。そのためには、私たち自身がまず「お上」意識を払拭しなければなりません。無為無策の安倍政権の尻をひっぱたく強い主権者・国民の不退転の決意表明が不可欠です。喝! 目を覚ませ、我が愛する主権者・国民よ!