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トランプ政権の危険な台湾政策

2019.04.17.

米中貿易戦争に世界の注目が集まっていますが、トランプ政権の進めている台湾政策の危険性については必ずしも十分な関心が寄せられていません。しかし、2018年3月16日にトランプ大統領が署名した「台湾旅行法」、同年8月14日に同大統領が署名した2019財政年度「国防授権法」は、3つの共同声明(1972年のニクソン訪中時の上海共同声明、1979年の国交樹立共同声明(カーター政権)、1982年の台湾向け武器輸出にかかわる共同声明(レーガン政権))を土台として営まれてきた、歴代米政権もコミットしてきた米中関係を、トランプ政権が根底から突き崩そうとする危険極まるものです。そして台湾の民進党・蔡英文を中心とするいわゆる「台独派」はトランプ政権の「後押し」を頼りにじり貧状態の挽回に躍起になっています。
 こうした動きに対して中国が黙っているはずはありません。台湾「国防部」は3月31日、中国空軍の2機の「殲-11」戦闘機が同日午前に台湾海峡の「中間線」を越えて飛行したことを発表し、その「挑発行動」に厳重に抗議しました。これに対して環球時報はすぐさま反応し、4月1日付(3月31日23時54分環球網所掲)、2日付(4月1日19時10分)、3日付(4月2日16時20分)、4日付(同日0時22分)、11日付(10日17時45分)の社説で中国の強硬な立場、政策を矢継ぎ早に明らかにしました。
 また、中国人民解放軍のWSである「中国軍網」が4月15日に台湾東方海上で海空共同作戦演習を公表したのを皮切りに、翌4月16日には「解放軍報」がこの演習に関するより詳しい報道を行いました。また、民進党当局がこの演習を「中傷」したことに対して、国務院台湾弁公室も同じ4月16日にスポークスマンの発言を新華社電で明らかにしました。
 問題を正確に理解し、認識するカギは、中国の戦闘機が「挑発行動」を取った時点を出発点として問題を見るのではなく、アメリカに対する最大の「脅威」を中国と見なすに至ったトランプ政権が、「台湾旅行法」及び「国防授権法」において歴代米政権が曲がりなりにも遵守してきた「越えてはならない一線」を突き破る方針を打ち出した時点を出発点として問題を見ることにあります。
 「台湾旅行法」の眼目は、アメリカ政府と台湾当局のあらゆるレベルでの交流、相互訪問を促進することにあります。これは、米中国交樹立後、台湾と断交したアメリカが台湾との交流を民間レベルに限ると約束した大原則を踏みにじるものであり、事実上、台湾を「独立国」扱いするに等しいものです。中国はトランプ政権のこの行動を、アメリカが約束した「一つの中国」原則及び3つの共同声明に違反するものとして厳しく批判したのは当然でした。
 2019年度「国防授権法」は、アメリカ国防部が台湾との軍事協力を強化することを求め、台湾の軍事力強化、「自衛力回復」を支持することを明確に定める内容です。これまた「一つの中国」原則及び3つの共同声明に根本から違反するものであり、中国が「内政干渉」として厳しく批判したのは当然でした。
 しかしトランプ政権は中国の批判に対しては馬耳東風で、「台湾旅行法」及び「国防授権法」を具体化する措置を積み重ねてきました。特に本年に入ってから、アメリカの艦船が3度にわたって台湾海峡を通過する示威行動をとったことが3月31日の中国戦闘機の対抗的示威行動を引き起こしたことが環球時報社説から明らかになります。
 以上を予備知識として、以下においてはまず、5つの環球時報社説の内容(要旨)を紹介します。中国の立場・政策をまとめるならば、①中国は本格的軍事衝突を望むものではない(その点はアメリカ・台湾も同じだろう)、しかし②今の中国の軍事的実力は最悪の事態(米中軍事衝突)に対しても十分に対応できる(その点を米台は見誤ってはならない)、③中国の具体的な軍事的対処方針は「自分の土俵で相撲を取る」「負ける相撲はしない」(中国語:「你打你的,我打我的」)であり、アメリカをして「危険な火遊び」をやめさせ、台湾には「台独」には前途がないことを知らしめることにある、ということにあります。その後に中国軍網所掲記事及び国務院台湾弁公室スポークスマン発言を紹介します。

4月1日付社説「大陸軍機が「台湾海峡中間線」を飛び越えた? 本当であることを望む」
 いわゆる「海峡中間線」(と台湾側が称するもの)を大陸側が承認したことはない。双方の海空軍はこれまでそれを越えないことを黙契としてきたが、この黙契が台湾海峡の現状の一部であるとするならば、その現状を維持する前提条件は両岸関係の政治的基礎が維持されるということであり、台湾が外部勢力との関係においても以前の水準を超えないということである。
 (中国の軍機が「中間線」を越えたかどうかに関する中国側の反応がまだないとした上で)台湾側の発表どおりであることを願う。アメリカで「台湾旅行法」が通って以来の米台間の動きはひっきりなしであり、加速しつつある。特に本年に入ってからは米艦船が3度も台湾海峡を通過して大陸に絶えず圧力を加えている。大陸が反応を示さないはずはないのであり、ワシントンはその軍事力の大陸に対するデタランス能力を過信しすぎている。
 台湾当局は本年に入ってから過激なトーンを強めている。選挙が次第に近づいているので、蔡英文以下の民進党の面々は競って大陸を攻撃し、両岸の緊張を挑発する極端な方法で票を呼び込もうとしている。こうした怪気炎に対しても大陸としては打撃を与える必要がある。
 大陸の軍機が中間線を越えたのは偶然なのか、それとも今後は常態となるのかは台湾とアメリカの今後の出方如何にかかっているだろう。台湾当局とアメリカの挑発がエスカレートするならば、大陸海空軍がいわゆる中間線を徹底的に無視し、台湾海峡全体を解放軍の行動範囲とする可能性は十分ある。さらに情勢の変化によっては、解放軍がさらなる行動に出る可能性も排除しない。米台がみだりに動くならば、解放軍は台湾島上空をも巡航範囲に入れ、もっと直接的な方法で台湾に対する国家主権を誇示し、米台による「台独」宣伝を打ち消しにかかる可能性もある。台湾海峡の緊張が不断にエスカレートするか否かに関するボールは米台の足下にある。
 米台がしっかり認識するべきは、台湾問題の終局的な主導権は今や中国大陸側にあるのであって、米軍の掌中にないのはもちろん、選挙ゲームにうつつを抜かしている民進党当局にはまったくないということだ。大陸は一貫して両岸の平和的統一政策を奉じており、軍事的には相対的に自己抑制的である。しかし大陸は様々な政治的軍事的挑発に応じるだけのカードを握っており、米台としては大陸がカードを一枚一枚繰り出すことを余儀なくさせないことだ。大陸軍機が「中間線」を越えたということは(あったらの話だが)微々たる行動に過ぎない。我々としては台湾海峡がらせん式にエスカレートしないことを望むし、平和発展の主旋律が両岸間で流れ続けることを望んでいる。しかし、これは我が方の一存で決まることではなく、米台としては「手加減」のしどころをしっかり押さえる必要があるだろう。
4月2日付社説「軍事緊張が抑えきれなくなるとき、真っ先にやられるのは台湾当局だ」
 (中国軍機の中間線越えで)台湾海峡情勢は新しいページがめくられたのか。可能性はあるが、まだそうとも言い切れない。どうなるかはひとえに米台が次にいかなる反応をするかにかかっている。
 米台の結託共謀は加速しており、米艦船が今年に入って3回も台湾海峡を通過したのは度が過ぎている。中国軍機が敢えて中間線を越えたのは米台の最近の挑発に対する反応だと多くのものが見ている。米台が今後少しはおとなしくなるのであれば、戦闘機がたまたま「海峡中間線」を越えたのは小さなことだ。しかし、米台がおとなしくせず、中国側の行動を挑発と見なしてさらに強く出るならば、台湾海峡の緊張は必ずやエスカレートし、深刻な不確定領域に入るだろう。
 台湾海峡情勢の微妙なところは三角形パラダイムであり、中国大陸、アメリカに加えて台湾がいることだが、主要な当事者は北京とワシントンの二者であるということだ。北京としては台湾を切り離したいのは当然だが、アメリカはむしろ台湾を米中の駆け引きの中に置こうとする。その際に台湾が進んで出しゃばれば、台湾は2頭の巨象が争う足下の芝生となる可能性が出てくる。
 台湾の真の利益は長期的平和を勝ち取ることだが、台湾の選挙政治は往々にして過激な勢力によって支配され、この利益は脇に追いやられ、大陸と対抗する過激路線が前面に押し出される。この過激路線が前提とするのは、平和は確固として揺るぎがないとするものだ。なぜならば戦争という危険は起こるはずはなく、したがって台湾当局としては何をしても恐ろしくないということだからだ。しかし実際のところ台湾当局は恐れている。なぜならば、台湾海峡が深刻な状況に陥った際の台湾社会のレジリエンスは極めて低いからだ。
 中米は大国であり、軍事的に非友好的な状況が局部的に現れたとしてもそれほど意に介さない。アメリカの艦船と軍機がもっと頻繁に台湾海峡に姿を現し、解放軍がそういったアメリカの軍事的カードに直接的、間接的に対抗手段を講じるとしても、必ずしも大事ではない。仮に両国の艦船が対峙し、軍機が互いに嫌がらせするとなっても、互いに同じく受け止めることができる。しかし台湾は違う。以上のような状況が出現したとき、もっとも耐えられなくなるのは台湾人の心臓だ。
 近頃の大陸の学界ではますますおおっぴらに米台の挑発エスカレーションに対して如何に対処するかが議論されるようになっており、解放軍軍機が台湾島上空を飛行するという選択肢を提起するものが増えている。このような議論は過去においては考えにくいことだったが、今では多くの人がこの選択肢を米台に対抗する手段として検討に値すると考えている。
 台湾海峡の軍事緊張の高まりに伴い、偶発的な軍事摩擦や限定的な軍事衝突が起きる可能性は増大するだろう。例えば、双方の軍機が砲火を交え、撃墜されるものが出るとか、大陸に対して脅威となる台湾の軍事基地をピンポイントで一掃するとか、こういった可能性も将来的に完全には排除できなくなるだろう。
 ということは台湾問題を軍事的に解決するということか。必ずしもそうではない。平和統一は大陸の台湾に対する基本政策であり、戦略的に堅持されるに違いない。しかし、平和統一ということは軍事的に一切動かないということを意味するものではない。1949年に解放軍が天津を軍事的に攻略しなかったならば、北京の平和的解放は可能だっただろうか。この道理についても、大陸ではますます多くの人々が想起し、思いをめぐらすようになっている。さらに、台湾海峡問題は戦争を通じて解決する必要はないけれども、大陸としては様々な手段を講じて民進党統治の台湾を「レバノン化」し、「台独」勢力に対して耐えるすべのない打撃を与えることもできる。
 アメリカが間違ったシグナルを発して台湾海峡の軍事緊張を不断にエスカレートさせるならば、それは台湾当局にとって悪夢になるに違いない。民進党当局が挑発行動をとるのは票目当てのことだが、「嘘から出た誠」となることにより、ハイ・レベルな軍事対決の電光雷鳴の中に台湾を追いやるだろう。そのときなっても民進党は政権の座にいることができるだろうか。
 というわけで、台湾海峡危機がいったんコントロールを失えば、大陸側は十分な意思と資本で最後まで付き合うことができるが、米台双方にはそれぞれの心配があるだろう。すなわち、民進党は政権を保てなくなることが心配となるし、ワシントンとしては大戦争に巻き込まれることも心配だし、台湾の民意が動揺してアメリカの支持をもはや受け入れなくなることも心配になるだろう。最後に言っておきたいのは、台湾海峡危機はもはや両者がバクチをするには値段が高くなりすぎており、米台は自制しなければならないということだ。
4月3日付社説「台湾海峡におけるアメリカの軍事力展開はますますじり貧に」
 ボルトン補佐官、国務省及びペンタゴンは声明を発表し、解放軍軍機が「台湾海峡中間線」を越えて飛行したことを非難した。ちゃんちゃらおかしいのは、アメリカと蔡英文当局がひっきりなしに台湾海峡の現状を打ち壊し、蔡英文は「九二共識」という両岸共通の政治的基礎の遵守を破壊し、アメリカは「台湾旅行法」を通し、米艦船は本年に入ってから3回台湾海峡を通過するなど、彼らがひっきりなしに台湾海峡の現状をぶち壊しているのに、今は解放軍がその現状を壊していると非難することである。
 今のアメリカは誤った台湾海峡路線を行っている。中国を戦略的ライバルと見なすが故に中国に対して居丈高に台湾カードを振りかざしている。ワシントンは大陸に対する自らの軍事力のデタランスを過大評価し、台湾がいかなる状況下でもアメリカのカードとなる気持ちがあることについても過大評価し、同時に、北京が対抗する決意と能力に関しては余りにも過小評価しており、その結果、次第に自らをやり場のない局面に追いやろうとしている。
 民進党は一つの中国を承認することを拒否し、大陸に対抗する政策を採っている。このことが台湾海峡激動の根源だ。民進党がこうするのは、政治理念による部分もあり、選挙対策という部分もある。しかし、こういう過激な政策が台湾政局においてどれほど維持できるかは高度に不確実だ。ワシントンが自らの対台湾政策を民進党の過激路線に縛り付けていること自体短視眼かつ愚かなことだ。
 米艦船が一再ならず海峡を通過しておきながら、どうして解放軍が対抗行動をとる可能性について考えないのだろう。仮にワシントンが「中国は対米関係を考えると対抗行動をとる勇気はないのだ」と考えるとしたら、それは盲目的自信に基づく判断の誤りということになる。
 中国は中米関係の持久的安定を希望してはいるが、一定の分野での中米の駆け引き、闘争がさらに激しくなることについても準備をしている。中国が主動的に中米衝突をエスカレートさせることはあり得ないが、核心的利益を守るためには必ずや闘争するだろうし、ましてや台湾問題についてはそうである。
 台湾は中国大陸にとりわけ近く、中国の様々な資源を思いっきり使うことができるし、われわれの戦略的決意は極めて分厚いものだ。それと比べて、アメリカとしては自分のカードを並べて真剣に数えるべきだろう。アメリカが台湾海峡で使えるカードは実に少ない。アメリカが台湾海峡というこの場所で自らの力を誇示するとしたら、それは場所、時間そして相手を間違えているに決まっている。
 解放軍には海空軍による「中間線」を越える行為、台湾島上空飛行通過、さらには台湾の「レバノン化」など様々な選択肢があり、これらの選択肢は必ずしも必ず戦争につながるとは限らないが、台湾当局に過激な政策を改めることを強いるには十分である。
 アメリカは総合的には極めて強いけれども、台湾海峡に関してはどれほどの選択肢があるだろうか。艦船が行き来してデモンストレーションをする、米台交流レベルを引き上げる、まあこういったところだろう。仮に米軍が台湾に戻ってきて中国の「反分裂国家法」に抵触すれば解放軍は必ず直接行動をとるだろうから、それはまた別問題だ。台湾当局には米軍が再び台湾に戻ってくることを受け入れる肝っ玉はない。なぜならば、そのときは「台独」勢力の臨終を告げるときだからだ。
 米上院外交委員会は4月1日にまたも台湾に関係する法案を提案したが、米議会の動きは多すぎる。台湾海峡の駆け引きが軍事領域に入り込んだら、これらの法案はまったく意味を失う。台湾海峡における深刻な軍事対決危機は台湾の政治パラダイムを変化させるに決まっている。アメリカの「台湾旅行法」などは台湾の過激派当局が請け負うことが条件だが、その条件には変数がついている。
 アメリカの過激な連中の中には台湾により高性能の戦闘機を売ることを主張するものもいるが、それらは台湾海峡の現状をぶち壊す危険な行動だ。大陸はもっと厳しい対抗手段をとることで、米台が得るよりも失うものが多いようにするだろう。またアメリカは台湾の軍隊の忠誠を過大評価しないことだ。アメリカが台湾に売る軍事面のハイテクは早晩大陸の掌中に入るだろう。
 アメリカはまた台湾海峡における行動に呼応して南海(南シナ海)で何かをやらかすことができるとは考えないことだ。中国は南海で今のところ極めて自制しているが、仮にアメリカが中国の島礁の安全を脅かすのであれば、解放軍の大量の戦闘装備は一夜のうちに上陸し、最終的にはアメリカに対して痛い目にあわせるだろう。
 これまでの歴代米政権の台湾海峡政策は基本的に慎重でおとなしかった。現在の米政権が台湾海峡問題の複雑性を理解しないで軽率に冒険主義の行動に出て、居丈高に振る舞うならば、必ずやその代価を支払うことになる。
4月4日付社説「台湾海峡でのアメリカとの戦い方:自分の土俵で相撲を取る(負ける相撲はしない)」
 米国在台湾協会(AIT)スポークスマンは3日、AITには2005年以来海兵隊員を含む現役の軍人が警備に当たっており、本年5月に新館に移転する後も、現在と同じく少数の人員が現地で雇用する人員とともに警備に当たると公に確認した。蔡英文は同日、台湾最初の「国産」潜水艦が2025年に正式に配備されると公表した。遠い将来のことをかくも早くに公表するのは支持者を元気づけるとともに、選挙目当ての小細工でもある。
 AITは法律上民間機関であって大使館ではないので、現役の軍人は密かに警備人員の中に潜り込ませるしかない。それを今回公に発表したというのは政治的意味合いが第一義的だ。アメリカとしては蔡英文当局を支持するという新しいシグナルを発出すると同時に、大陸に対して強硬なメッセージを伝えることを狙ったものだ。
 アメリカはすでに「台湾旅行法」を成立させて米台政府間交流のドアを開けてしまった以上、ワシントンが今後この手段を不断に持ち出して中国を脅迫することに対して、大陸としては思想的準備をしなければならないだろう。仮に我が方が様々な政治的経済的譲歩を行うことによってアメリカがなるべくこの分野で取るステップを少なくさせようとするならば、中国はまんまとアメリカの計略にはまってしまい、長期にわたって受け身的立場にはまり込むだろう。我々としては「自分の土俵で相撲を取る」という基本的戦術を確立し、はっきりした圧力行使手段を構築し、米台の中身のない手練手管に振り回されないことだ。
 大陸としては以下のような実質的な意味のある分野で物事を進めるべきである。
 第一に、影響力もありデタランスもある、台湾に対する主権をはっきり示す行動及びセレモニーを逐次実施していくこと。艦船軍機の台湾を巡回する行動を常態化し、今後は軍機艦船が「台湾海峡中間線」を留意せず、台湾島接近も常態化の方向に進む。以上は「台独」に対して非常に圧力がある行動である。それとともに、軍機が台湾島上空を飛行する選択肢を真剣に研究し、準備するべきだ。その中には無人機及び主戦機がこの任務を実行する様々な方案を含む。
 第二に、1996年式の射撃演習を行うこと。射撃地点は多くても少なくてもよく、台湾島からの距離は近くても遠くてもよい。特殊な時点では台湾当局の怪気炎を打撃する。
 第三に、台湾当局がレッド・ラインを踏み越えたときに「反分裂国家法」を執行する様々な軍事計画を制定、展開し、また、メディアを通じて知らしめ、島内世論の議論を導くこと。例えば、「斬首計画」、戦時第一波攻撃方案、予定上陸点設定等々、不断に関連情報を出し、ケースによっては公式に確認し、演習も行う。
 我々が明確に認識すべきは、アメリカが台湾カードを使って大陸に圧力をかけるという考え方はますます強くなり、大陸としては力比べを避けることは不可能だということだ。我々としては常に受け身で対応することはできず、さらに主動的に出撃する必要がある。以上のすべての措置は戦争を挑発するためではなく、米台が戦争までいくことを考えないのであれば、我が方としては軍事圧力を常態化し、以て米台の結託の余地を帳消しにすることになる。
 我々は一時的な軍事対峙を不安視してはならず、平和統一のためには軍事的に強く出るという手段と連係させる必要がある。台湾海峡がどうしても戦争ギリギリの危機を経なければならないとしたら、そうなるに任せれば良いことだ。一度高熱を発すれば米台が少しは目が覚めるだろうし、特に台湾社会は重大な変化が発生する可能性がある。
 我々はもちろん台湾海峡で戦争が勃発することを望んでいない。しかし同時に、我々には国家主権と領土保全を守るという確固とした意志がある。米台も戦争自体を考えてはおらず、彼らが賭けているのは、大陸の方がもっと戦争勃発の危険性を恐れているということだ。我々としては米台の臆病さを引きずり出さなければならず、高度にリスクのある闘争を経て相手側の意志を圧倒することによってのみ、両岸の平和統一に対する妨害を基本的に排除することができる。
4月11日付社説「「台湾関係法」は反分裂国家法に敗れなければならない」
 4月10日は「台湾関係法」発効40周年であり、米台はこれを極めて重視して、一連の活動を行う。この法律は米国内法であり、中国内政に干渉することだけを狙いとする悪法であり、台湾に対する武器売却を含め、アメリカが台湾海峡で様々な行動をとる上での「法律的根拠」である。同法は台湾「独立派」勢力の精神的支柱であるが、実際には同法が作られたことはアメリカが大陸を防遏する能力の減退を示すメルクマールに他ならない。台湾はかつてアメリカの同盟国だったが、アメリカは冷戦後期にソ連を防遏するのにアップアップになって、中国との関係を強化する必要に迫られ、国交樹立となった。「台湾関係法」はアメリカが撤退する路線上に設置した支点である。しかし総じて見るに、「台湾関係法」が台湾海峡情勢に及ぼす実際の影響力は低下しており、アメリカは台湾海峡情勢に対する主導権を失ったのみならず、この地域における政治的軍事的圧力行使能力が次第に低下する大きな流れも逆転することができなくなっている。
 いわゆる「法」というものは強制的執行力を伴ってのみ意味がある。(「台湾関係法」ができた)1979年当時、アメリカは西太平洋地域で圧倒的な軍事的優性を持ち、経済的実力の輻射力も同じく拒みがたいものがあった。しかしそれから40年が過ぎて、中国大陸の台湾海峡及び周辺地域における力の投射能力及び戦略的デタランスはともに外部の干渉を脅かすに足る臨界点を突破し、さらにはるかに前に進んでいる。中国大陸は過去においては台湾に影響力を投影する力がなく、台湾の軍事力プラス「台湾関係法」の曖昧なコミットが「台独」勢力を鼓舞し、彼らは自由に動き回ることができるスペースがあることを信じて疑っていなかった。当時の大陸が一つの中国原則を維持する上ではワシントンが中米間の3つの共同声明を遵守することに大幅に頼っていたので、アメリカの一挙手一投足はすべて重い意味が与えられていた。
 2005年に中国大陸は「反分裂国家法」を成立し、大陸の軍事力及び総合的実力の不断の増強によって同法の強制執行力も不断に強化され、同法はますます神聖不可侵となってきた。過去において中国はかなりの程度中米協力に頼って一つの中国原則を維持してきたとすれば、今日の中国大陸はますます単独で同原則が遵守されるようにする能力を持つようになったと言える。したがって、台湾海峡情勢の将来に関する決定的要素は、もはやワシントンがどのように「台湾関係法」を解釈するかにも、また、アメリカが台湾との関係をどの程度前に進めるかにもかかっていないのであって、中国大陸の台湾社会に対する吸引力が如何に早く増大するか、そして中国の軍事的実力が一つの中国原則を支持する裏付けを不断に高めるかにかかっているのだ。
 大陸の軍機が「台湾海峡中間線」を越えたのは最初の警告であるに過ぎない。大陸はまだ非常に多くの後続軍事行動がある。したがって、米台はもっとリアルに「台湾関係法」を認識し、自らを欺き、他者を欺くことで到底耐えきれない最終局面にまで自分を追いやらないことだ。
海空兵力による台湾島巡航に関する東部戦区スポークスマンの談話(中国軍網4月15日17時22分)
中国人民解放軍東部戦区スポークスマンの張春暉空軍大佐は、海空兵力による台湾島巡航について以下の談話を発表した。近日、中国人民解放軍東部戦区は艦艇、爆撃機及び偵察機を含む海空兵力を出動させて台湾島を回って巡航し、かつ、必要な訓練演習を行い、多軍種一体化連合作戦能力を検証した。今回の行動は年度計画内の通常の措置であり、主権国家の正当かつ合法の権利であり、台湾海峡の平和と安定の維持に資するものである。戦区部隊は新時代の使命任務を銘記し、新時代における戦争に打ち勝つ能力の向上に努力し、国家主権と領土保全を断固として守る。
東部戦区の台湾海峡以東海域における連合訓練実施(中国軍網4月15日18時48分)
 4月15日、東部戦区組織の海空兵力は台湾島以東某海域において連合演習を行った。
 今回の年度定例演習では使命任務に忠実に従い、東部戦区が艦艇、爆撃機及び偵察機を含む海空兵力を出動し、連合編隊を編制して演習に参加し、連合火力攻撃、連合対海突撃などの実戦訓練科目を重点的に行った。
 指揮官の命令のもと、レーダー哨戒機が目標空域に迅速に到達して遠距離監視を実施し、電子妨害機は電子妨害設備を起動して対「敵」重要目標に対する妨害と制圧を行った。数機の戦闘機の護衛のもと、爆撃機の編隊が「敵」の目標に対して奇襲爆撃を行った。引き続いて駆逐艦が「敵」の残存火力に対して追加攻撃を実施した。これと同時に海上上陸編隊が予定海域に到達し、ヘリコプターは低空を旋回し、搭載突撃力を降下させた……東部戦区連合指揮センターのスクリーンでは空域情報、戦場態勢等がリアル・タイムで映し出され、指揮官は柔軟に兵力配置を行っていた。戦区指導部は、組織的連合演習を常態化し、実戦環境下で部隊を訓練し、連合作戦レベルを検証し、高め、国家主権擁護及び領土保全能力を不断に高めると紹介した。
連合作戦連合訓練は如何にしたらさらによりよい「連合」となるか(中国軍網4月16日3時6分 李新署名文章 同日付解放軍報掲載)
東部戦区の台湾島以東海域における連合演習実施 張春暉大佐談話発表(4月16日付解放軍報所掲記事)
国務院台湾弁公室:国家主権及び領土保全を防衛する我々の確固とした決意及び能力を過小評価するな(新華社4月16日13時5分)
 中国人民解放軍東部軍区が海空兵力を出動し、台湾島周辺で巡航及び連合演習を行ったことについて民進党当局が中傷した件に関し、国務院台湾弁公室の馬暁光報道官は16日問い合わせに答え次のように述べた。中国人民解放軍の近時の訓練演習は年度計画内の通常の行事であり、その趣旨は国家主権と領土保全を守り、台湾海峡の平和と安定を守り、両岸同胞の共同利益を守るためのものである。民進党当局は台湾民衆を欺き、誤導し、この機会に両岸の対立を挑発し、両岸の対立をエスカレートさせ、両岸関係及び台湾海峡の平和と安定を引き続き破壊しようとしているが、そのような陰謀は実現されるはずはない。いかなるもの、いかなる勢力も国家主権と領土保全を防衛するという我々の確固とした決意と能力を過小評価してはならない。