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日ロ領土問題(ラブロフ外相発言)

2018.02.18.

2月11日付のロシア外務省英語版WSは、同日行われたインタビューでのラブロフ外相の発言を掲載しました。多くの質問に対して答えている興味深い内容ですが、対日協力関係及び領土問題についての質問に対する同外相の発言は、私がこれまでにコラムで紹介してきたプーチン大統領の発言よりさらに踏み込んだ、重要な内容を含んだものでした。
 ラブロフの発言を紹介する前に、私がこのコラムでこれまでに紹介した、プーチン大統領が行った発言を改めて紹介しておきます。

(2016年9月2日の発言。同年9月5日付コラム)
(質問)(安倍首相のウラジオストック訪問に関して)実質的な経済協力、その拡大との見返りで千島諸島について取引を行う用意があるのか。
(回答)日本との平和条約締結はカギとなる問題であり、日本の友人とともに解決を見つけたいと思うが、領土について取引はしない(We do not trade territories)。1956年に条約に署名し、驚くことに両国で批准された。しかし、その後日本はその履行を拒否し、それを受けてソ連も、条約の枠組みの範囲で到達されたすべての合意を無効とした(nullified all the agreements reached within the framework of the treaty)。
 数年前、日本側は問題の議論を再開することを我々に打診してきたので、我々は中途半端な形で(halfway)会合を行った。過去数年間、我々ではなく、日本側の意向で接触は事実上凍結されてきた。現在、相手側はこの問題についての協議を再開する熱意を表明している。それは、いかなる形の交換または売り渡しとも関係がない(It has nothing to do with any kind of exchange or sale)。それは、いずれの側にも不利益にならず、いずれの側も征服されたとかやられたとか考えることのない解決の探究である(It is about the search for a solution when neither party would be at a disadvantage, when neither party would perceive itself as conquered or defeated)。
(質問)その取引には今どれほど近づいているか。1956年当時よりも近づいているか。
(回答)1956年よりも近づいているとは思わないが、我々は対話を再開したし、両国の外相及び次官級の専門家がこの仕事を強化することにも合意した。当然のことだが、この問題はロシア大統領と日本の首相の間で常に議論の対象だった。今回の安倍首相との会合でもこの問題が議論されることは確かだが、解決を見出すためにはよく考えて準備することが必要であり(finding a solution requires it to be well thought out and prepared)、その解決は、ダメージを生むという原則に基づくものではなく、両国間の長期にわたる結びつきを発展させる条件を創造するという原則に基づくもの(a solution that is not based on the principles of causing damage, but, on the contrary, on the principles of creating conditions for developing long-term ties between the two countries)である必要がある。
(質問)例えば2004年、貴下はタラバロフ島を中国に引き渡したが、同じことを例えばカリーニングラードについてもするだろうか。
(回答)我々は何も手放したことはない。これらの地域は係争があったのであり、中国との間で交渉してきた。強調するが40年にわたってだ。そして、最終的に合意にたどり着いた。(合意では)領土の一部がロシアに割り当てられ、他の部分が中国に割り当てられたのだ。
 この点が非常に重要なのだが、この合意は、ロシアと中国がその時までに非常に高度な信頼関係を実現していたことで可能になったということだ。もし我々が日本との間でも同じレベルの信頼を達成するならば、なんらかの妥協を達成することは可能かもしれない(If we reach the same level of trust with Japan, we might be able to reach certain compromises)。
 しかし、日本の歴史に関連する問題と我々の中国との交渉との間には基本的な違いがある(there is a fundamental difference between the issue related to Japan's history and our negotiations with China)。それは何か。日本の問題は第二次大戦から帰結するものであり、その結果に関する国際諸文書に定められているということだ(The Japanese issue resulted from World War II and is stipulated in the international instruments on the outcomes of World War II)。それに対して、中国との国境諸問題に関する議論は第二次大戦その他のいかなる軍事紛争とも関係がない(our discussions on border issues with our Chinese counterparts have nothing to do with World War II or any other military conflicts)。(中略)
 (質問がカリーニングラードを取り上げたことに関して)第二次大戦の結果を再検討したいものがいるならば、それを議論しよう(If someone is willing to reconsider the results of World War II, let us discuss this)。しかし、その場合にはカリーニングラードだけではなく、ドイツの東部地域、ルヴォフ市、ポーランドのかつての一部等々も議論しなければならなくなる。議論するリストにはハンガリー、ルーマニアも載るだろう。もし、このパンドラの箱を開けたいものがいるのならば、それで結構、そうしようではないか。
(2016年9月に杭州サミット出席の際の発言。同年9月8日付コラム)
(質問)日本との関係についてハッキリさせておきたいことがある。ウラジオストックの全体会議で、安倍晋三は、より親しい表現で貴下に対して、責任感をもって歴史的決定を行うよう、やや感情的な訴えをした。もちろん、彼は領土問題について述べたものだ。両国はこの問題について違った見方をしている。日本が何を望んでおり、ロシアは何を受け入れるかについて話し合ったか。南千島に関する「レッド・ライン」はどこにあるのか。
(回答)「レッド・ライン」を探すことからスタートしないようにしよう。行き止まりに向かうのではなく、双方向の道路を旅しよう。
 (安倍の)演説における「君」という表現の使用についていえば、晋三と私とはそういう仲であり、演説でも互いに普段使っている。すなわち、我々は互いに名前で呼び合っているし、「君」という親しい言い方をしている。あなたが指摘したとおり、彼は感情的に話していたが、彼は個性ある政治家であり、優れた演説家、話し手だ。彼はそのことをウラジオストックで証明して見せた。しかし、彼の演説及び発言の価値はそのことにあるのではなく、両国の協力について彼が打ち出した4つの分野に関する彼のアイデアを進めたことにある。我々はこの点についてより突っ込んで議論し、これらの目標に向けた計画と段取りをスケッチした(outlined)。非常に興味深いプランだ。それらは秘密ではないが、今ここでそのために時間を失いたくはない。提案をみて欲しい。
 「レッド・ライン」についてだが、この問題における「レッド・ライン」については語るべきではないということをもう一度言いたい。結局、我々は交渉のテーブルに戻ったのだ。1956年の条約について秘密は何もないということは、私は何度も言ってきたことだ。ソ連は、第二次大戦の結果としてこの領土を取得し、そのことは国際的な法的文書でフィックスされた(The Soviet Union obtained this territory as a result of World War II, and this was cemented in international legal documents)。ソ連は、長丁場で難しい対日交渉によって1956年に条約に署名し、確か第9条(この点はチェックする必要があるが)は、2つの南の島が日本に引き渡されるべきことを述べている(Article 9 of which, I think it is – I'd need to check – states that the two southern islands are to be handed over to Japan)。2つの島は引き渡されるのだ(Two islands are handed over)。(中略)
 条約の規定は「引き渡される」とは言っているが、いかなる条件に基づいてこの引き渡しが行われるか、(引き渡しの)後の主権を誰が持つかについては述べていない(the treaty provisions say "are handed over", but do not state on what conditions this handover is to take place, and who has sovereignty afterwards)。1956年の条約を署名したのに続いてさらに明確にする必要がある多くの問題があるのだ(There are many issues that required further clarification following the signing of the 1956 treaty)。ここで重要なことは、日本の国会及びソ連の最高会議が条約を批准した後、日本はその履行を放棄したということだ(What is important here though is that after the Japanese parliament and the USSR Supreme Soviet ratified the treaty, Japan renounced its implementation)。彼らは、条約が日本に十分なものを与えていないと見なし、4つのすべての島を要求すると決めた。最終的には、両国が条約を履行せず、宙に浮いたままということになってしまった(In the end, neither side implemented the treaty and it was simply left in suspension)。その後、ソ連も条約を履行する意図はないことを宣言した。その後再び、日本は我々に交渉に戻ることを求めてきた。我々は同意し、話し合いが始まった。こうして我々は今の状況にあるということだ。
 何故私が1956年の条約を取り上げるのか。ソ連はこれらの島を受け取り、2つの島を戻す用意があった(The Soviet Union received these islands and was ready to return two islands)。すでに言ったように、いかなる条件で以上のことを行うべきかはハッキリしていないが、島は引き渡されるべきことにはなっていた(it is not clear under what conditions this was to be done, but the islands were to be handed over)。
 何故1956年の条約を取り上げるのか。ソ連はこれらの島を受け取り(received these islands) 、2つの島を戻す用意があった(was ready to return two islands)。すでに述べたとおり、いかなる条件の下で以上のことが行われることになっていたかは明確ではない(it is not clear under what conditions this was to be done)が、2つの島は引き渡されることになっていた(the islands were to be handed over)。ここには、経済活動、安全保障など多くの問題があり、人道的問題もある(There are issues here regarding economic activity, security, many issues, and there are humanitarian matters too)。このすべてが検討されており、我々の注目するところとなっている(All of this is being examined and receiving our attention)。
(2017年11月11日の発言。同年11月13日付コラム)
(問)昨日の安倍首相との会合について聞きたい。あなたは、日本での選挙の勝利は「我々のすべての計画を実行させることになるだろう」と述べた。「我々の計画」とは何を意味するのか。安倍氏の計画には平和条約の締結が含まれている。この問題はあなたの合同計画の一部であることに同意するか。
 もう一点。この計画の実行を交渉するにはたぶん数年はかかるだろう。ということは、あなたは大統領選挙に再び出るつもりなのか。
(答)我々が多くの計画を持っているというあなたの指摘は正しいし、我々は何度もそのことを明らかにしてきた。経済に関しては、それらは主に安倍首相の諸計画である。知っての通り、彼は数ヶ月前に多くの分野における提案を言葉にした。さらに彼は、これらの問題を担当する専任大臣まで指名した。これは一つの問題だ。
 第二の問題、あるいは問題の第二の部分は、地域全体における安全保障問題だ。我々はたった今、記者会見で北朝鮮問題について話した。我々はそのことについても話し合った。我々は第一の部分と第二の部分について話し合った。
 当然のことだが、我々は平和条約についても話し合った。これは確かに我々の合同計画の一部だ。平和条約に関しては多くのチャレンジがあると言いたい。秘密ではなく、我々としては、防衛及び安全保障の分野における日本の同盟国(partners)に対する義務、そのことが平和条約交渉プロセスにどのように影響するか、日本はいかなる義務を負っているか、そして日本は独立して何ができ、また、何ができないか、について考えなければならない(we also have to look into Japan's obligations to its partners in the sphere of defence and security, how it will affect the peace treaty negotiating process, which obligations Japan has, and what it can and what it cannot do independently)。
 きわめて当然のことだが、もし何かの合意があるのであれば、それらの合意は遵守されるべきだろう(It is quite natural that if there are some agreements, they should be complied with)。我々としては、そのことがロシアと日本との関係にどういう意味合いを持つかをはっきりさせる必要があるのであり、それは大変な仕事だ(We need to find out how it will tell on our relations with Japan, this is a lot of work)。確かに1年以上かかるかもしれない。しかし、今日にでも解決できる問題もある。
 例えば、安倍首相は日本人が自分たちの先祖の墓を見るために南千島に訪問するという問題を提起し、査証免除という簡易化された方法でアレンジすることを求めた。知っての通り、我々はそうしている。
 彼はまた、日本人が以前訪問した場所だけではなく、これらの島々の制限されている場所にも訪問することを許可するように求めた。我々はこれにも同意した。
 我々は、日本実業家達がこれらの島嶼に来て現地で合同開発問題を議論することに合意した。我々は同意し、訪問は実現した。ということは、問題によっては直ちにできることもあるが、問題によってはもっと長い時間を予定するものもあると言うことだ。
 しかし、それは誰が政権にあるかとは関係がなく、安倍、プーチンあるいは他の誰かということは重要ではない。重要なことは、短期的、中期的のみならずむしろ長期的歴史的に我々の関係を発展させるための良好な条件を作り出すべく、すべての問題の長期的解決に向けて、両国及び両国民がコミットするということである(What matters is the commitment of our countries, our peoples to long-term settlement of all the problems so as to create favourable conditions for the development of our relations not in the short- or medium-term but rather in a long-term historical period)。

今回のラブロフ発言は、2016年9月にプーチンが「ソ連は、第二次大戦の結果としてこの領土を取得し、そのことは国際的な法的文書でフィックスされた」と述べた点及び2017年11月にプーチンが「我々としては、防衛及び安全保障の分野における日本の同盟国(partners)に対する義務、そのことが平和条約交渉プロセスにどのように影響するか、日本はいかなる義務を負っているか、そして日本は独立して何ができ、また、何ができないか、について考えなければならない」と述べた点に関してさらに突っ込んだ見解を表明していることが重要です。
 すなわちラブロフは、①日本は4島に関する第二世界大戦の結果を不可侵であるとは考えていないが、ロシアは第二次世界大戦の結果は不可侵であるという立場を崩すことはない、②日米安保条約上、アメリカは日本の領土のいかなる部分にも基地を作ることができることになっており、ロシアとしては関心を持たざるを得ない(中ロ間の領土問題の解決は最高レベルの相互信頼関係ができあがった背景において実現したことに注意喚起)、以上2点をきわめて明確にしたのです。換言するならば、日本が第二次世界大戦の結果を尊重しない限り、また、日米同盟堅持を前提とする限り、日ロ領土問題が前進する可能性はない、という認識を明らかにしたということです。
 安倍首相としては、自らの政権の延命を図るためにも、日ロ領土問題についていかにも展望があるかのような言動を繰り返していますし、日本のマス・メディアも政府の情報の垂れ流しをフォローすることに終始していますが、ラブロフの冒頭発言「日本は領土を主要問題と考えているが、ロシアはそうではない」がすべてを言い尽くしているのです。

(質問)日本との協力の計画はどうか。領土問題はこれまで主要課題なのか。
(回答)日本は領土を主要問題と考えているが、ロシアはそうではない。ソ連と日本が共同宣言を作ったときに合意したように、我々は平和条約に署名したいと考えている。我々は、貿易経済協力、政治協力、文化人道協力そして国際協力等々、例外なしにすべての分野でもっとも好ましい条件が作り上げられれば、平和条約を含めていかなる問題をも解決することができると確信する。ちなみに、日本側は「北方領土」と呼ぶ「四つの島」の解決と直接結びつけているが、現実には南千島列島だ。
 ロシアと中国は、アムール川の2島の管轄に関わる係争を解決するのに40年以上かかった。最終的に係争を解決できたのは、両国関係がかつてない戦略的でパートナー的なレベルに達した時のことだ。
 プーチン大統領は、安倍首相を含む歴代日本首相に対し、相互に受け入れ可能な基礎の上でこれらすべての問題を扱うことができるような雰囲気を両国社会に作り出さなければならないと繰り返し話してきた。
 貿易経済関係はきわめて重要な可能性を持っているが、完全に掘り起こされる状態からはほど遠い。日本の会社はロシアでたくさん投資している。プーチン大統領と安倍首相は4島で共同の経済活動を行うことに合意した。5プロジェクトが承認されている。これらのやや地味なプロジェクトは重要で、興味深いし、就職機会も作り出している。安倍首相の8項からなるプログラムはより野心的であるし、興味あるプロジェクトだ。しかし、これらはまだ序の口(the first steps)にしか過ぎない。両国経済の相互補完性、原材料、地理的潜在可能性そして日本の技術力を考えれば、さらなる相互的発展の可能性は無限大だと確信している。
 両国が良好な人道的文化的つながりを維持していることはいうまでもない。日本は毎年ロシア文化祭を主催している。もちろん、外交は我々が劇的にパートナーシップを拡大するべき分野の一つだ。
 日本のアメリカとの関係も重要だ。日本とアメリカは二国間条約を締結している。プーチン大統領と安倍首相は繰り返しこの問題について話し合ってきた。1960年に日米安保条約が締結された。この条約の下で、アメリカは日本の領土のどこにでも軍事基地を展開する権利を有している。このことが地域の安全保障情勢全体にいかなる影響を及ぼすのかを知りたいと、我々は単純に考えている。これらの側面について理解することを抜きにして平和条約を議論することはきわめて難しい(It is very hard to discuss peace treaty issues without comprehending these aspects)。第二次世界大戦の結果の不可侵性という問題は、両国が平和条約問題についての議論を開始したときに真っ先に取り上げられたものだが、ロシアにとってたぶんもっとも重要な問題であるし、日本の友人たちと繰り返し議論してきた(The inviolability of the outcome of World War II, the very first issue that arises when the sides start discussing the peace treaty issue, is probably the most crucial aspect for Russia, and we have repeatedly discussed this issue with our Japanese friends)。日本側は4島に関する第二次世界大戦の結果の不可侵性を承認しない。彼らは公然と我々に対してその不正義について語っている。しかし、国連憲章は、勝利した連合国によって成し遂げられたすべてのことが不可侵であり、いかなる修正の対象にもならないと明確に述べている(浅井注:国連憲章第107条「この憲章のいかなる規定も、第二次世界大戦中にこの憲章の署名国の敵であった国に関する行動でその行動について責任を有する政府がこの戦争の結果としてとり又は許可したものを無効にし、又は排除するものではない」)。この点は領土問題と直に関わっている。なぜならば、ソ連の法的継承国としてのロシアは、1956年の共同宣言にコミットしており、この宣言は、平和条約署名後に善意の表れとして日本に2島を引き渡す(日本側が求めるような返還ではない)義務を含んでいるからだ。ちなみに、この引き渡しの期限(deadlines)及びその条件(terms)は追加的議論の対象であることはもちろんだ。しかし、この宣言の真髄は、我々が繰り返し確認してきた(ロシア大統領本人も)ように、そのことは第二次世界大戦の結果の不可侵性に基づくということだ(the essence of this declaration that we have repeatedly confirmed (in the person of the President of the Russian Federation) is that it relies on the inviolability of the outcome of World War II)。もちろん、この点に関しては、我々と日本側との間で真剣な協議と議論を行わなければならない。

ちなみに、2月14日付の中国国防報は、杜朝平署名文章「ロシアの強力な軍事演習 日本に対して「戦後の歴史事実」を受け入れるよう警告」を掲載しています。これは、2月7日の日本の「北方領土の日」の前日(6日)から、ロシアが国後島及びその周辺で軍事演習を行ったことを題材に、日ロ間の領土問題について論評を行ったものです。杜朝平の経歴については検索サイト「百度」も紹介していませんので分かりませんが、軍事問題でしばしば文章を発表しています(なお、中国国防報は今年に入ってから、第4面を国際軍事問題に割くようになり、私としても毎日チェックすることが楽しみになりました)。
 この文章について紹介するのは、杜朝平が日ロ領土問題に関するロシアの立場を明確に理解していることが分かるからです(有り体に言えば、ロシアの立場は誰にでも分かることですが、ひとり日本の私たちは政府の垂れ流し情報によって目くらましを食らっているのです)。すなわち、「平和条約問題で進展を図るためには、日本はロシアが南千島列島に対して主権を有する現実を承認しなければならない」「ロシアは平和条約に対しては大きな関心がない」「南千島列島の戦略的地位は重要であり、米軍がアジア太平洋における軍事力配備を不断に強化している背景下ではさらに貴重であって、ロシアは放棄するはずがない」「日本が4島返還を要求するのは第二次世界大戦の結果を改めて定義し直す狙いだが、ロシア外務省は繰り返し、帰属について争いはなく、日本は「戦後の歴史的事実」を受け入れるべきだ、と明確に表明している」と指摘しています。ラブロフの上記発言と軌を一にすることが直ちに理解できます。その上で杜朝平は結論として、「以上より、平和条約締結も領土問題も短期間で解決することは不可能だ」という結論で締めくくっています。