21世紀の日本と国際社会 浅井基文Webサイト

朝鮮半島情勢(プーチン発言)

2018.01.13.

1月11日にプーチン大統領は、ロシア・メディアとの会合の中で、新年に入ってからの朝鮮半島情勢に関する質問に答えました。きわめて短いものですが、「金正恩は今回の勝負に勝った」「彼(金正恩)は賢くて(shrewd)成熟した(mature)政治家だ」と、金正恩及び彼の戦略を高く評価する発言を行っています。記録のために関係部分を紹介します。

(質問)新年に入って、接触に関する良い知らせが入っている。同時に、核のボタンそしてどちらが大きいかという物騒な展開(浅井注:金正恩がアメリカを攻撃する核のボタンは自分の机の上にあると「新年の辞」で述べたのに対して、トランプが自分の核のボタンの方が大きくて精確だと返したやりとりのこと)もある。新年の数日間の朝鮮半島の動きをどう考えるか。
(回答)今回の勝負では、金正恩が明らかに勝ったと考えている。彼は戦略的ゴールを獲得した。彼は核弾頭を保有し、今はまた13000キロに達するグローバルな射程を持つミサイルを持っている。その距離は、地球のほとんどいかなる地域(少なくとも彼にとっての潜在的敵の領域)にも到達できるものである。そして今や、彼は状況について後片付けをし、スムーズにし、あるいは沈静化しようとしている。
 彼は賢くて成熟した政治家だ。しかし、我々は現実的でなければならず、我々がどう動かなければならないかに基づいてきわめて用心深く行動しなければならない。朝鮮半島非核化という困難なゴールを達成したいのであれば、我々はこれを対話と話し合いでするべきだ。

以下には、11日付ロシア大統領府WS(英語)に掲載されたプーチン発言も紹介しておきます(11日付ですが、当日には全文は紹介されず、朝鮮部分が載ったのは12日付でした)。

Vladimir Putin: I think that Kim Jong Un has obviously won this round. He has achieved his strategic goal. He has a nuclear warhead, and now he also has a missile with a global range of up to 13,000 kilometres, which can reach almost any part of the globe, at least in the territory of his potential adversary. And now he wants to clear up, smooth over or calm down the situation.
He is a shrewd and mature politician. However, we should be realistic, and based on what we have to go on we must act extremely carefully. If we want to achieve the difficult goal of denuclearising the Korean Peninsula, we should do this through dialogue and talks.