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米朝首脳会談に関する分析(環球時報社説)

2018.06.03

5月16日に朝鮮が、米韓のマックス・サンダー軍事演習(11日開始)及び「人間のくず」(亡命した元駐英公使・太永浩)の活動を韓国政府が野放しにしていることを理由に、当日予定されていた南北ハイ・レベル協議を取り消すことを発表して以来、環球時報は、17日付、19日付、24日付、25日付(2本!)、26日付、28日付、29日付と、新しい展開があるたびに続けさまに社説を発表して来ています。このような頻度の高さは、トランプが仕掛けた「米中貿易戦争」に対する同紙社説の反応の頻度に匹敵するものであり、中国の関心の高さを如実に示しています。
 そこで一貫しているのは、朝鮮が取ってきた一連の行動を高く評価すると同時に、アメリカ(及び韓国)が朝鮮の行動に見合う行動を取ってこなかったことを強く批判する姿勢であり、米朝首脳会談を実現するためにはトランプ政権が誠意ある対応を示すことが不可欠だ、とする主張です。また、中朝首脳会談実現以後、朝鮮に対する影響力の高まりを利用して、中国が米朝首脳会談の実現に対してマイナスの影響を行使しはじめているとするトランプ及び西側メディアの中国批判に対しては、「理解に苦しむ」ものとして強く反撃しています。
 最後の点については、中国が朝鮮半島の非核化及び同地域における恒久的な平和と安定の実現を希求していることは一点の疑いの余地もあり得ないのであって、トランプが中国を批判したときには、商売人根性丸出しの卑しい猜疑心に私もいささか唖然としました。改めて再確認するのも気が引けますが、中国は主に、①隣接する朝鮮半島の平和と安定は中国の安全保障にとって不可欠、②NPT体制維持に対する死活的利益(中国がもっとも恐れることは、朝鮮の核保有が核戦争の引き金になりかねないこと、そして日本(及び韓国)の核開発を誘発しかねないこと)から、2003年に6者協議を主催して以来、一貫して朝鮮半島非核化に取り組んできています。朝鮮半島非核化を実現する上での最大の課題の一つが1950年以来敵対関係にあった米朝の相互不信を解消させ、朝鮮半島の非核化と米朝関係正常化を実現することである以上、今回の米朝首脳会談の実現については、中国が歓迎することはあっても、その実現を妨害したり、駆け引き材料に利用したりするなどということはおよそ考えられないことです。
 もう一点、韓国の文在寅大統領が米朝首脳会談の実現に犬馬の労を執っている点については高く評価しつつも、彼が朝鮮戦争終結に関して米韓朝三者で行う可能性に度々言及していることに関して「警戒」感を隠していません。2003年の6者協議開始以来、一貫して朝鮮半島の平和と安定に尽力してきた中国、休戦協定の当事者である中国を抜きにした発想に対しては不快感を隠さないのです。
 一連の環球時報社説の内容(要旨)を見ることにより、他者感覚を養うことの重要性を皆さんにも理解していただきたいと思います。お断りしておきますが、全体のボリュームが大きいので、私が重要だと思う箇所を重点的に、かつ、かなり意訳しています。

<5月17日付社説「朝韓協議取り消し 半島緊張緩和の脆弱性の際だった表れ」>
 (朝鮮によるマックス・サンダーを理由にした5月16日予定の南北ハイ・レベル会談取り消し(浅井注:興味深いことは、もう一つの取り消し理由である「人間のくず」問題には言及していないこと)について紹介した後)このことは、米朝対話の前途の不確定性を増大している。
 (朝鮮がこの数ヶ月間、核ミサイル実験の中止、朝鮮に拘留されていた3人のアメリカ人の釈放、核実験場廃棄実行など、誠意ある行動をとってきているのに、アメリカはポンペイオ国務長官の2度の訪朝以外は何の実際的行動も取っていないと指摘した上で)朝鮮が非核化に向けた行動をとり続けるのをアメリカが脇で見ているだけで我が道を行くというのはあってはならないことだ。
 半島の非核化は間違いなく時間とエネルギーがかかる複雑なプロセスだ。ワシントンが最大限の圧力をかけて一気に解決しようとしても、おそらくは無理だろう(浅井注:金永哲との会談後に、トランプは「プロセス」という発言をくり返すようになっているのはよい兆候です)。実際のところ、トランプ就任以来、その朝鮮政策とどれほど関係があるかどうかは別として、半島情勢は重大な変化が起こっているし、これらのことはオバマ政権ができなかったことだ。
 急がば回れという。朝鮮が核ミサイル実験を中止したという新たな起点にあるとき、トランプがこの起点から半島情勢を非核化及び恒久的平和という目標に向けて推進し、信頼できるタイム・テーブルと路線図を提起するならば、それだけでも彼は大した大統領だ。彼がこのチャンスを失い、半島情勢を対決ひいては戦争に向けてしまうならば、半島問題は彼の執政における敗着となるだろう。
<5月19日付社説「朝鮮「開き直り」 アメリカは恨み言を言うのではなく態度を改めるべし」>
 (朝鮮が5月16,17の両日、米韓の対朝鮮政策を批判したことについて)トランプは、金正恩は最近中国を訪問してから態度が変わったと発言し、平壌は北京の影響を受けた可能性があると述べ、これがアメリカの主流のメディアに引用された。その結果、米韓の世論は、朝鮮の態度の変化を北京の影響と関連づけて分析し、甚だしい者に至っては、北京は平壌に対してアメリカと協力しないように「促している」とまで考えている。もっとも奇怪なのは、この問題を米中貿易戦争に絡める者までいることだ。
 朝鮮が開き直ると、米韓はすぐさま中国が怪しいとし、自らの対朝鮮政策に原因があることを認めようとしない。米韓の政界及び言論界がかくも単純で幼稚な理屈に追随してしまうのは、我々中国人にとってまったく理解に苦しむところだ。
 中国は朝鮮半島に接しており、我が利益に基づき、半島が真の非核化を実現することを支持しているし、朝鮮が非核化と交換にアメリカによる安全保障を獲得することを支持しているのであり、さらには、米朝が互いの疎通を通じて実行可能な平和実現の方法を達成することも支持している。要するに、半島の平和と安定は中国がもっとも求めるものであり、平和と安定を実現するプロセスにおいては、中国の意見も尊重するべきだというのが我々の希望するところでもある。だから中国は、現在の緊張緩和の局面をきわめて貴重だと考えているのだ。
 第三者の角度で見る時ハッキリと分かるのは、アメリカは平壌に対して圧力によって何事も受け入れさせることができると自らの能力を過大評価しているということだ。アメリカが忘れているのは、昨年、朝鮮が度々核ミサイル実験を行ったときにワシントンは打つ手がなかったし、朝鮮に対して軍事攻撃をとることが如何に難しいことかということだ。
 またアメリカは、過去にいて一貫して朝鮮にだまされたと考えているが、この認識も一方的だ。半島核問題に関するいくつかの合意が実行されなかったことについては、アメリカにも責任がないとは言えない(浅井注:米朝枠組み合意及び9.19合意の破産、頓挫について、アメリカにも責任があるという指摘は重要です)。朝鮮の力はアメリカよりもはるかに弱いのに、アメリカをだまし続ける資本がどこにあるというのか。また、カダフィを死に追いやり、イラン核合意からも脱退したアメリカを、朝鮮が無条件で信頼するというが如き勇気をどこから獲得できるというのか。
 中国は、誰であれ半島の平和と安定を本気で推進するもののパートナーだ。過去もそうだったし、今後もそうだ。中国の支持がなかったならば、朝鮮核問題解決の国連の枠組みが今日に至ることはあり得なかっただろう(浅井注:アメリカが推進した安保理の朝鮮制裁決議に中国が効力してきたことを指す)。中国を頼りとすることがなければ、朝鮮が外部世界を信頼することは話の余地もなかったはずだ(浅井注:金正恩が米韓との対話に積極的に臨む上では中国の助言があったことを示唆するもの)。中国社会は全面的に米朝首脳会談が順調に行われることを願っており、情勢が逆転することを願っていない。アメリカは交渉がうまくいってもいかなくてもどうでもいいと言うが、我々はどうでも良くない。我々はひたすら首脳会談が成功することを願っている。
<5月24日付社説「中国の信用保証 朝米サミットにとって重要」>
(朝鮮が首脳会談放棄の可能性を発言し、トランプが5月22日に米朝首脳会談延期の可能性に言及して、先行きが不確実になったことについて論じた上で)米朝首脳会談が成功する上では、米朝関係の外堀、つまり半島問題を囲む国際的な信用システムを構築することが必要だ。朝鮮がこの国際的信用システムに参入する上で、現在のところ、中国が唯一の有効なチャンネルだ。朝鮮が信用できるのはただ一つであり、それは中国が朝鮮の体制の長期的存在を支持することだ。
 中国にとっての根本的利益ということが、我々が半島問題の交渉及び和平を促進することの支持者となることを決定している。中国が米朝首脳会談の実現及び成果達成を支持することについて疑うのは、一種のミステリーであり、論じるにも値しないくだらないことだ。ワシントンは、中朝指導者が頻繁に会うことを激励するべきであり、半島非核化実現に資する国際的信用システムの構築について北京との疎通を強化し、米朝間の信用面での赤字を中国が補填するべく、積極的に条件を作り出すべきである。
半島核問題はまずは米朝間の問題であり、双方がいかなる行動をとろうとするにせよ、中国が影響を及ぼすことはきわめて難しいことだ。しかし、米朝が平和的に核問題を解決するための信用上の支持を提供する点で、中国は他に代わりがいない第三者だ。この点をおろそかにするならば、米朝交渉は真っ暗なジャングルの中で更なる模索を行う可能性に直面する可能性がある。
 半島和平プロセスは米朝直接交渉でブレークスルーを実現しなければならない。同時に、中国などの第三者は、米朝が互いに相手の約束を信じることを助け、双方が交渉そのもの及び得られる成果の厳粛性を尊重するようにしなければならない。前者と後者はほぼ同等に重要であり、願うことはホワイトハウスがこのことを理解し、首脳会談の準備を確実かつ想像力豊かに行うことだ。
<5月25日付社説「朝鮮核実験場廃棄約束実行 歓迎に値する」>
 朝鮮の国土面積は狭く、自然条件の制約もあるため、再び新実験場を建設することは容易ではないとみられている。豊渓里核実験場を廃棄したことは、朝鮮が外部世界に対して対決から協働に向かうという誠意の表れと見なすべきだ。中国の東北社会、韓国国民、朝鮮に隣接するロシアの地域にとって、朝鮮が核実験場を廃棄することは現実的意義がある。
 6月12日の米朝首脳会談開催について米朝間で齟齬が生じた時点における核実験場廃棄は、首脳会談の準備を推進する可能性がある。ホワイトハウスがこれに鼓舞されて、半島情勢改善の流れを維持するべくより積極的な姿勢を示すことを希望する。
 朝鮮の核実験場廃棄は賞讃するべきだ。平壌が引き続き大胆に前進することを励まし、同時に、朝鮮の体制安全に関するその合理的な関心に全面的に報いれば、朝鮮核問題を最終的に解決する希望はまぼろしとなるはずはない。
<5月25日付社説「アメリカによる首脳会談取り消し 半島情勢に対する大打撃」>
 朝鮮が核実験場を爆破してから数時間後にトランプが首脳会談取り消しの金正恩宛書簡を公表したことは、平壌からすれば「故意」と見なす可能性があり、それだけにその怒りはなおさらだ。トランプの突然の取り消しは、最近数ヶ月間の情勢緩和に対する強烈なショックを与えるものだ。この行動は、アメリカ政府の勝手気まま、やりたい放題に対する外部世界の受け止めを強め、アメリカの国際的信用に関するイメージをさらに損なうだろう。
 ただし、朝鮮は過去数ヶ月間で何も得ることがなかったというわけではない。平壌は中国及び韓国との関係を改善することに成功したし、世界は中朝首脳会談及び南北首脳会談を通じて金正恩に対するまっさらな理解を得たし、朝鮮はその物事を行うに当たっての自らのロジックについて世界をして知らしめたのであり、これまで西側が真っ黒に描いてきた朝鮮政権に関する厚いカベをズタズタにしたのであって、以上のことは、朝鮮が最終的に国際社会に復帰することについて重要な道筋をつけたのだ。
 核ミサイル実験を再び行わず、非核化の目標を明確にした朝鮮に対しては、中国は必ず関係改善、有効発展の流れを続けていく。韓国も半島の得がたい緊張緩和の情勢を大切にし、アメリカが再び朝鮮に対して最大限の軍事圧力をかける政策を行うことを阻止するべく貢献することを希望する。
<5月26日付社説「24時間後の大反転 好事魔多し」>
 多くの人がトランプの(首脳会談取り消しの)決定に対して朝鮮が報復することを心配したが、朝鮮は5月25日に出した声明で冷静さを発揮した。朝鮮は、首脳会談を前にしてアメリカが一方的に核廃棄を迫る過激な言動を行ったことに対して反撃する態度表明を行ったのであり、いつでもいかなる方式によってでもアメリカとともに問題を解決する用意があると表明した。トランプは同日、朝鮮からの「暖かい建設的な」声明を受け取ったとし、首脳会談を6月12日に行う可能性があるとする態度表明を行った。
 朝鮮当局(浅井注:崔善姫外務次官)が24日に猛烈なアメリカ批判を行い、トランプが首脳会談取り消しを発表した後、多くの人が半島情勢は「これで終わり」といぶかったが、見事に回復し、再びもとの雰囲気に戻ったことは、人々の予想を超える驚きの靱性だった。これは何にも優る貴重なことである。
 このようなすばやい展開を導いた力はおそらく、平和的交渉を通じて半島問題を解決したいという願いにおいて各国が過去よりもはるかに真剣であるということであろう。トランプの取り消し声明は丁重な表現を用いていたし、最後には交渉の扉は依然開いていると表明していた。朝鮮の返事は自尊心を保ちながら、トランプの残した言葉に交渉の扉を開けているとして応じていた。米朝のかくの如き善意のインタラクションは、仮に演出があったとしてもなかなか簡単なことではない。朝米がともに首脳会談を希望しており、これをもって半島情勢転換の里程標にしたいとする強烈な願望を共有していることがさらに明らかになったということだろう。双方が首脳会談を準備する態度は真剣であるという判断は、再び試練を乗り越えたのだ(浅井注:社説の以上の指摘は、私が5月27日のコラムで指摘したことと一致しています)。
 首脳会談の準備プロセスは、未来における多くの可能性をすでに作り出している。米朝は違いを明確に認識しつつも一緒に歩もうとしており、このことは特にワシントンに関しては新しい態度である。朝米が何事にぶつかるかは予想の仕様もないが、交渉が失敗して半島情勢がさらにおかしくなる確率は半島非核化プロセスが前進する可能性よりはるかに小さいだろう。
<5月28日付社説「米朝首脳会談実現の確率ますます高し」>
 通常のルールには基づかない一連のやりとりと探り合いを経て、首脳会談の準備は再び全速力で動き出した。そのメリットは、朝米の相手側に対する理解がさらに深まり、会談で何を話すか、難しさは何処にあるかがさらに明確になったことだ。ディメリットとしては、これまでのやりとりの結果、ホワイトハウスの強硬路線に対する未練を助長し、今後またややもすれば交渉退出の脅迫を行って、平壌、ソウルに圧力を行使する可能性があることだ。
 しかしこのような手段によっては、ホワイトハウスは期待する結果を得る何の助けにもならない。交渉の目標は常理に合い、各国の利益の最大公約数に沿うものでなければならない。交渉は征服ではなく、一方的な絶対的勝利を追求することがあってはならない。
 ここ数日間、平壌は抑制と理性、非核化を通じて半島の恒久平和を実現する誠意を示した。ワシントンに必要なのは今冷静さを保つことであり、交渉上のタクティックスを首脳会談の目標とイコールにせず、貴重な会談を「完全な成功、しからずんば完全な失敗」という極端な選択にして、半島和平プロセスをバクチにしないということだ(浅井注:トランプに対する痛烈な当てこすりです)。
 現在の状況からすると、首脳会談が最終的に行われ、一定の成果を挙げる確率は高い。すでにくり返して非核化の意思を表明してきた平壌がこの目標から後退するとは見られず、国家の仕事の重点を経済発展に転換するということは朝鮮指導部のきわめて真の決心であるとみられる。これこそが半島情勢に緊張緩和への転換を出現させた真の動力である(浅井注:私の4月22日のコラムと同じ認識です)。
 指摘せざるを得ないのは、首脳会談には大きな交渉空間があり、半島非核化の目標をうち固め、その目標を具体化し、堅固な枠組みを作り、さらには路線図及び時間表を作っていくためには多くのなすべきことがあるということだ。
 しかし、これまでの成果が失われないようにすることを確保し、半島に現れた緊張緩和の局面が後退しないことを確保することは、国際社会が米朝首脳会談に期待する最低限の要求と期待である。とりわけ朝鮮の隣国である中国と韓国は、米朝首脳会談が目をむくような重大な成果を挙げることを願ってはいるが、ワシントンが半島情勢の後退をカードにして平壌に迫り、物事をダメにしてしまうのではないかと心配している。
 アメリカが明らかな実力の優勢にある状況下で、アメリカは朝鮮の安全に関する合理的関心を尊重し、傲慢に朝鮮を圧倒しようとしないことが双方の交渉が成功するための重要な条件の一つである。率直に言うが、アメリカの最大限の圧力という政策は、ワシントンが考えているように成功したわけではない。最大限の圧力という条件下で、朝鮮は核ミサイル技術のブレークスルーを完成したのだ。米朝首脳会談は最大限の圧力政策が成功しなかったことのシンボルの一つである。
<5月29日付社説「米韓よ 中国軽視も中国頼りもすべからず」>
 米韓の一部の者の間では次のような傾向がある。朝鮮の態度が強硬なときはすぐに中国が怪しいとし、そうすることで自分の責任を言い逃れする。自分たちと朝鮮との交渉が順調なときは、朝鮮だけを相手にすることを望み、中国が介入をしないことあるいは同意することだけを望むのだ。  しかし、中国は半島問題に巨大な影響力を持つ独立した力であり、我々は、半島非核化及び恒久平和実現という目標を堅持して米朝の公平なインタラクションを推進することに尽力している。これまでも、半島で激しい対立が演じられたときも、緊張緩和が出現したときも、中国は常に敵対する側の間の緩衝材であり、対立する双方が交渉に向かうことを励ます持続的な推進力だった。
 中国の立場は最初から現在まで変化したことはない。朝鮮半島問題解決の国連の枠組みを作り、運用することでも、朝鮮が大胆に米韓と向きあうことを試すように励ますことでも、中国は力を尽くしてあまりがなかった。中国のかかる努力がなかったならば、昨年の半島情勢は収拾が付かなかった可能性が大きかったし、今年に入ってからの朝鮮と米韓とのインタラクションもより脆弱だっただろう。
 中国を過小評価もせず、中国に頼り切ることもしない。これは、米韓の対中態度において避けるべき二つの極端である。中国は半島非核化及び恒久平和の確固とした支持者である。これは我々の利益であるとともに、道義のしからしめるところでもある。米韓いずれの国が中国に正しく接しないということも、すべからく深刻な誤りを犯すということを意味する。