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韓国人の朝鮮に対する見方・認識の変化

2018.05.04

南北首脳会談後、韓国人の朝鮮に対する見方・認識には劇的な変化が生まれているという世論調査結果が相次いで示されているそうです。5月3日付のハンギョレ・日本語WSは、「個人によりそれぞれ数十年ずつ固まっていた対北朝鮮認識が変わり、理念地形の指標であった世代と地域まで跳び越えたという点で「地殻変動」に近いという評価が出てくる」としていますが、数字結果は本当に驚異的です。何故にこのような「地殻変動」が起きうるのか、私には皆目見当がつきませんし、韓国人識者による解説や分析が待たれます。とりあえず、ハンギョレの記事を紹介します。

 

「すべての年齢・地域で「北朝鮮信頼度」急上昇…大邱・慶北も35%p上がる」
登録:2018-05-02 21:21 修正:2018-05-03 17:11
世論調査の結果、韓国国民の10人中9人は南北平和協定締結を歓迎し、北朝鮮の非核化意志を信頼する国民が信頼しないという国民の2倍を越えることが分かった。4・27南北首脳会談以後72時間の間に表れたことだが、平壌冷麺の一時的特需や鉄道株の瞬間的上昇程度で終わることではないようだ。個人によりそれぞれ数十年ずつ固まっていた対北朝鮮認識が変わり、理念地形の指標であった世代と地域まで跳び越えたという点で「地殻変動」に近いという評価が出てくる。
世論調査専門機関であるリアルメーターは先月27日、文在寅大統領と金正恩北朝鮮国務委員長が午前の首脳会談を終えた直後に全国成人500人を対象に緊急世論調査を実施した。「北朝鮮の非核化・平和定着の意志をどう見るか」と尋ねた。「板門店宣言」が出る前の時点だった。にもかかわらずリアルメーターが30日公開したその半日の世論変化は、朝鮮半島に春が来つつあることを如実に示した。北朝鮮の意志を「信頼する」という回答は64.7%で、「信じない」(28.3%)に比べて2倍以上高かった。 国民の10人中6人以上が「今回は北朝鮮を信じるに値する」と見たわけだ。


この日の調査で「これまで北朝鮮を信頼しなかった」と答えた人は78.3%、信頼していたという層は14.7%であった。この構図が首脳会談に入って半日で信頼64.7%、不信28.3%にひっくり返ったのだ。不信層(78.3%)だけで見れば、実に66.5%が「不信」から「信頼」に移ったわけだ。


太陽政策以後20年間、北朝鮮イシューは代表的な"南内部の葛藤"の素材だった。朝鮮半島危機状況の周期が短くなるたびに、南側は制裁と圧迫か、対話と交渉かという二者択一の前で保守と進歩に分かれた。大統領選挙と総選挙、地方選挙など大型政治イベントがこれらの葛藤を育てる触媒になった。今後、朝米首脳会談など変数が多いことは確かだが、当分このような南内部の葛藤は再演されにくいと見られる。リアルメーター調査によれば、すべての年齢層で北朝鮮に対する信頼度が急上昇したことが明らかになったためだ。30代(11.6%→70.3%)、40代(12.5%→66%)、50代(20.8%→71.1%)で50%ポイント以上上がり、20代(9.8%→58.7%)と60代以上(17.2%→58.8%)でも40%ポイント以上の変化が現れた。
地域別に見ても、変化はソウル(13.3%→64.8%)と京畿・仁川(15.9%→71.1%)など首都圏地域だけに留まらなかった。保守層の票田である大邱・慶尚北道(10.4%→45.3%)の認識変化は桑田碧海に近いという評価だ。
リアルメーターの調査より標本の大きい韓国社会世論研究所(KSOI)の南北首脳会談関連世論調査でも、同じような結果が出ている。全国成人1018人を対象に先月28~29日に実施した世論調査で、「北朝鮮は非核化の意志がある」という回答は78.9%に達した。「非核化の意志がない」という回答は19.3%にとどまった。
これは北朝鮮自体に対する認識変化とともに「朝鮮半島の運転者」論を掲げる韓国政府の交渉力と真正性に対する信頼が一緒になった結果と見られる。 南北首脳会談の成果を尋ねる問いに対し、85.9%は「成果があった」と答えた。 特に文在寅大統領が板門店宣言を通して明らかにした「今年中に終戦宣言、停戦協定を平和協定に転換」の方針に対しては、90.7%が賛成意見を表明した。
このような世論の変化は、事実上自由韓国党独りが反対している板門店宣言の国会批准を圧迫する数値として現れている。 批准賛成意見は78.4%に達したが、批准反対は13%にとどまった。
過去、北朝鮮が見せた数回の"約束破棄"の経験が反映されたためか、今後の南北関係の変化については比較的慎重な判断も伺えた。首脳会談以後の南北関係を尋ねる質問に対しては「根本的に変わるだろう」(59.6%)、「根本的に変わりはしないだろう」(34.8%)、「全く変わらないだろう」(4%)と、他の質問に比べて変化に対する肯定の比率が低かった。
韓国国民の対北朝鮮認識の変化を、イメージに偏った即興的変化とは見難いという分析もある。平昌冬季五輪を前後に、韓国と北朝鮮が積み重ねてきた信頼の重さが反映された側面があるということだ。3月中旬に韓国ギャラップが実施した「北朝鮮の態度変化の有無」を尋ねる世論調査で回答者の53%が「変わった」と答えたが、これは1月の金正恩国務委員長の新年の辞直後のギャラップの同じ調査の結果より2倍近く増加した数値だった。
今回の世論調査は、リアルメーターが信頼水準95%で標本誤差±4.4%ポイント、応答率5%、 韓国社会世論研究所(KSOI)が信頼水準95%で標本誤差±3.1%ポイント、応答率12.2%だった。 詳しくは中央選挙世論調査審議委員会のホームページを参照。
キム・ナミル記者
韓国語原文入力:2018-05-01 05:01