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朝鮮のトランプ政権に対するシグナル(時系列的整理)

2017.12.31.

12月23日付のコラム「「朝鮮核問題」:緊張打開の可能性」の「2.朝鮮の対米対決戦略の柔軟性」で、朝鮮がアメリカの強硬な対朝鮮政策に対して超強硬な対抗策をとりつつ、トランプ政権と話し合う用意があるというシグナルをも常に送り続けてきたことを紹介しました。
特に、金正恩の「新年の辞」(「アメリカとその追随勢力の核の脅威と脅迫が続く限り、また、われわれの門前で「定例」のベールをかぶった戦争演習騒動をやめない限り、核武力を中枢とする自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化していく」)及び7月4日付の朝鮮国防科学院報道における金正恩発言(「米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、われわれはいかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルに置かないし、われわれが選択した核戦力強化の道からたった一寸も退かない」)が基調であること、新年の辞よりも7月4日報道における金正恩発言がさらに踏み込んでいること(アメリカの出方次第では核ミサイルを「協商のテーブル」に置く用意があるとした)が要注目です。  以上のコラムを書くに当たって、トランプ当選以後の朝鮮中央通信の報道を時系列で整理する作業を行いました。「朝鮮核問題」に関心がある方には資料になり得ると思いますので、参考までに紹介しておきます。

<トランプ当選>
〇2016年11月21日、朝鮮外務省備忘録
「米国は時代錯誤の対朝鮮敵視政策と朝鮮に対する核脅威を撤回する意志を行動で示すべきである」とし、「これだけがすべての問題解決の出発点になる」とする最初のシグナル。
○11月25日付労働新聞署名入り論評
「米国の核脅威が存在する限り、絶対に放棄できないのがわれわれの核抑止力である」
○11月29日付朝鮮中央通信社論評
「トルーマンからオバマに至る歴代米行政府が長々数十年間にわたってわれわれに対する圧殺政策の実現に天文学的金額に及ぶ資金をつぎ込んだが、得られたものが何であるのかを深刻に反省してみる必要がある」
「現実的な思考から出発してこそ、賢明な選択をすることができる」
○2017年1月1日付朝鮮中央通信
金正恩の新年の辞を伝え、その中で「われわれは、アメリカとその追随勢力の核の脅威と脅迫が続く限り、また、われわれの門前で「定例」のベールをかぶった戦争演習騒動をやめない限り、核武力を中枢とする自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化していくでしょう」という発言を紹介(アメリカの対朝鮮敵視政策が変われば、朝鮮の核デタランス戦略を見直す可能性があることを示唆)
○1月6日付朝鮮中央通信社文章
「過去にはたとえわれわれと敵対関係にあった国だとしても、わが国の自主権を尊重し、われわれに友好的に対するなら関係を改善し、正常化するということがわれわれの一貫した対外政策的立場である」
<トランプ大統領就任>
〇2月7日付朝鮮中央通信社論評
「現実は、われわれの核保有こそ、国と民族の運命を救い、朝鮮半島と地域の平和と安全を守るための最も正当な選択であるということを実証している。対朝鮮核脅威除去のための正答は、ただ強力な核抑止力の保有のみである」
〇2月24日付労働新聞署名入り論評
「米国の対朝鮮政策が変わらない限り、そしてわれわれを狙った戦争演習騒動を中止しない限り、われわれは核戦力を中枢とする自衛的国防力を引き続き強化していくであろう。米国は、現実を直視して無分別にのさばってはならず、熟考して戦略的選択を正しくすべきである」
<米韓合同軍事演習開始>
〇3月7日、金正恩は弾道ミサイル発射訓練を「現地で指導」
「朝鮮人民軍戦略軍はいつ実戦に移るか分からない峻厳な情勢の要求に即して高度の臨戦態勢を維持し、党中央が命令さえ下せば即時即刻、火星砲ごとに敵撃滅の発砲ができるように機動準備、陣地準備、技術準備、打撃準備を抜かりなく整えることを命令」
〇3月13日付朝鮮中央通信社論評
「米国がわれわれの面前でまたもや危険極まりない核戦争演習を強行する以上、われわれはすでに宣布した通りに核戦力を強化するための超強硬対応措置を取らざるを得なくなっている」
〇3月14日付民主朝鮮署名入り論評
「今こそ、米国が対朝鮮圧殺政策の実現という荒唐無稽な妄想から覚めて朝米対決の全歴史的過程とこんにちの現実について冷徹に分析し、正しい選択をすべき時である。対朝鮮敵視政策の放棄にすべてがかかっている」
「手遅れの後悔は百回しても無駄であるということを銘記し、もっと遅れる前に米国は今からでも対朝鮮政策転換の道に乗り出さなければならない」
〇3月18日、金正恩は新型大出力エンジンの地上噴出実験を視察
「今日の大勝利がどんな出来事的意義を持つのかを全世界が近く目撃することになるだろう」と予告 「ロケット工業の発展において大飛躍を遂げた今日は永遠に忘れられない日、「3・18革命」とも称することのできる歴史的な日である」と意義を強調。
〇3月27日付労働新聞署名入り論評
「トランプ行政府が対朝鮮政策を確定していないというが、最近、米国政府内で取り上げられる内容を見れば、オバマの失敗した「戦略的忍耐」政策と大きく違うものがない」(トランプを始めて名指し) 「米国の政客らに少しでも理性があるなら、今からでも過去から教訓をくみ取って大胆に政策転換をすべきである」
<米韓合同軍事演習で「朝鮮首脳部除去作戦」>
〇3月29日付朝鮮外務省スポークスマン談話
「戦略的縦深が深くないわが国の条件で、米国の先端核戦略資産と特殊作戦部隊の不意の先制攻撃を防ぎ、自分を守る道は断固たる先制攻撃だけである。これから朝鮮半島で戦争が起きればその責任は誰が先制攻撃したかにかかわらず、われわれに対する敵視政策を絶えず強めてきたあげく、おびただしい核戦略資産と特殊作戦手段を引き入れて火の元をつついた米国が負うことになるであろう」
〇4月3日、国連軍縮委員会会議での朝鮮代表発言
「われわれは、米国とその追随勢力の核の脅威と脅迫が続く限り、また、われわれの門前で「定例」のベールをかぶった戦争演習騒動をやめない限り、核武力を中枢とする自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化していくであろう」
〇4月6日付朝鮮外務省備忘録
「これから朝鮮半島で戦争が起こるなら、その責任は誰が先制打撃をしたかにかかわらず、われわれに対する敵視政策を絶えず強めてきたあげく、おびただしい核戦略資産と特殊作戦手段を投入して火の元をつついた米国が負うべきである」
「いったんわれわれの打撃が始まる場合、それはわれわれを狙った米国とその追随勢力の軍事対象だけを狙った精密打撃戦になるであろうし、われわれは1949年8月12日付のジュネーブ条約の締約国として当該の法規を順守するであろう。われわれはすでに闡明した通り、南朝鮮にある他国の合法的な経済的利権を保護するための対策も責任をもって講じるであろう」
〇4月14日付朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン声明
「米国とその追随勢力に対するわれわれの超強硬対応は生存を許さない破滅的懲罰を目標に無慈悲に加えられる」とする「原則的立場」を表明。
<トランプ政権が「最大の圧力と対話」戦略を「確定」>
〇5月1日付朝鮮外務省スポークスマン談話
「米国が新たに考案した「最大の圧迫と関与」という対朝鮮政策に執着しながら、われわれに対する全面的な制裁圧迫騒動に熱を上げている状況で、われわれの核抑止力強化措置も最大の速度で進められる」
「われわれは、米国のいかなる選択にも快く対応してやるすべての準備が整っており、米国の極悪非道な対朝鮮敵視政策と核脅威・恐喝が撤回されない限り、核戦力を中枢とする自衛的国防力と核先制攻撃能力を引き続き強化する。われわれの核戦力高度化措置は、最高の首脳部が決心する任意の時刻、任意の場所で多発的に、連発的に引き続き行われる」
〇5月11日付朝鮮中央通信社備忘録
「トランプ政権が本格化している「最大の圧迫と関与」政策は歴史的に米国が執ようかつ悪らつに繰り広げてきた対朝鮮制裁の拡大版である」と規定。
「ホワイトハウスの政客らが少しでも理性があるなら、対朝鮮国家テロ妄動から得るものは何で、失うものは何かを冷徹に考えて今からでも政策転換をすべきである」
〇5月13日付労働新聞署名入り論評
「オバマの「戦略的忍耐」政策がわれわれをしてすべてのものを備えるようにしたならば、トランプ行政府の冒険的な「最大の圧迫と関与」政策はわれわれの核抑止力強化を最大のスピードで促すようにするだけである」
〇5月14日、金正恩が中長距離戦略弾道ミサイル「火星12」型の試射を現地指導
「米本土と太平洋作戦地帯がわれわれの打撃圏内に入っている現実、せん滅的報復打撃のあらゆる強力な手段がわれわれの手中にあるという現実に顔を背けてはいけず、誤って判断してはいけないと強く警告」
〇5月16日付朝鮮中央通信社論評
「米国とその追随勢力が気を確かに持って正しい選択をする時まで、高度に精密化、多種化された核兵器と核打撃手段をより多く作っていき、必要な試験準備をいっそう推し進めるというのが、われわれの立場である」
〇5月20日付朝鮮中央通信社論評
「実戦配備された核兵器を含むわれわれのすべての軍事的攻撃手段は、米本土と共に在日米帝侵略軍基地を精密照準し、せん滅的な発射の瞬間だけを待っている」(朝鮮の核報復攻撃の対象に日本が含まれることを明言)
〇5月22日付朝鮮中央通信社報道
金正恩が地対地中・長距離戦略弾道ミサイル「北極星2」型支社を視察した際、「「北極星2」型弾道ミサイルは完全に成功した戦略武器だと誇りに満ちて述べ、「北極星2」型武器システムの部隊実戦配備を承認した」と述べたと紹介。
〇5月23日付朝鮮外務省スポークスマン発言
「われわれは、すでに米太平洋軍司令部が巣くっているハワイと米国のアラスカを含む太平洋作戦地帯の全般に対する核攻撃能力を実際的に誇示し、侵略の本拠地である米本土を破壊することのできる能力も十分に備えた」
<ティラーソン国務長官、「4つのノー」政策公表>
〇6月9日付の労働新聞署名入り論評
「トランプ行政府の「4大基調」は荒唐無稽で欺まん的なものであり、米国の本当の対朝鮮政策の本質は明白に原子力空母打撃団をはじめとする戦略資産を南朝鮮とその周辺水域に投入して強行する核戦争挑発策動にある」
〇7月3日、金正恩「ICBM「火星14」型試射の断行に関する真筆命令」
〇7月4日、朝鮮国防科学院報道
「(金正恩の)戦略的決断にしたがって」大陸間弾道弾「火星14」型の試射の成功」
金正恩は「米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、われわれはいかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルに置かないし、われわれが選択した核戦力強化の道からたった一寸も退かない」方針。
〇7月5日付朝鮮中央通信社論評
「朝鮮は、米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、いかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルに置かないであろうし、すでに選択した核戦力強化の道からたった一寸も退かないであろう」
〇7月18日付の労働新聞署名入り論評
「いったん、われわれが砲門を開けばその第1次打撃目標は南朝鮮占領米帝侵略軍になるであろう」
〇7月25日付朝鮮中央通信社報道
ロシア外務省のブルミストロフ巡回大使が朝鮮を訪問した際、朝鮮側が「米国の対朝鮮敵視政策と核脅威が根源的に一掃されない限り、いかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルにのせず、われわれが選択した核戦力強化の道から一寸たりとも退かないという原則的立場」を明らかにしたと伝えた。
〇7月28日、ICBM「火星14」型の第2次試射
金正恩は「今回の試射を通じて大陸間弾道ロケットシステムの信頼性が再実証され、任意の地域と場所で任意の時間に大陸間弾道ロケットを奇襲発射できる能力が誇示され、米本土全域がわれわれの射程圏内にあるということがはっきり立証された」「米国の政策立案者らがわが国家にあえて手出しする日には米国という侵略国家も無事ではないということをはっきり理解しただろう」という認識を示した。
〇7月29日付労働新聞署名入り論評
「わが共和国は、米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、いかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルにのせず、核戦力強化の道からたった一寸たりとも退かないであろう」
〇8月8日付朝鮮人民軍戦略軍スポークスマン声明
 「金正恩同志は、アジア太平洋地域での米軍の軍事行動の性格を評価しながら、ヤンキーがわが国の周辺水域と太平洋が静かな日がなく暴れ回り、鋭敏な地域で不適切な軍事的妄動をこととしているが、米帝の侵略装備を制圧、けん制するための強力かつ効果的な行動方案を検討しろ、と言及したことがある。
朝鮮人民軍戦略軍は、時を構わず南朝鮮の上空に飛来してわれわれを刺激し、威嚇、恐喝している米帝の核戦略爆撃機があるアンダーセン空軍基地を含むグアムの主要軍事基地を制圧、けん制し、米国に厳重な注意信号を送るために、中・長距離戦略弾道ロケット「火星12」型でグアム周辺に対する包囲射撃を断行するための作戦方案を慎重に検討している。
このグアム包囲射撃方案は十分に検討、作成されて近く、最高司令部に報告するようになり、わが共和国核戦力の総司令官である金正恩同志が決断を下せば任意の時刻に同時多発的に、連発的に実行されるであろう。…
われわれがこのようなやむを得ない軍事的選択をしないように、わが国に対する無分別な軍事的挑発行為を直ちに中止すべきである。」
〇8月8日付朝鮮人民軍総参謀部スポークスマン声明
「1.いまだ無駄な未練をもってあえてわが革命の最高首脳部を狙った「斬首作戦」を画策している米国の挑発に対しては、そのいささかの動きでも捕捉される即時、卑劣な陰謀集団を一人残らず掃滅するための朝鮮式の先制的な報復作戦が開始されるであろう。…
2.米国が新しく考案して強行しようとする挑発的な「予防戦争」には米本土を含む敵の全ての牙城を根こそぎになくしてしまう正義の全面戦争で対応するようになるであろう。」
○8月7日、李容浩外相のASEAN地域フォーラムでの演説
「米国が朝鮮民主主義人民共和国に対して創建初日から長々70年間、実施してきた敵視政策がなかったなら、その敵視政策が露骨な核恐喝と威嚇に深化されなかったなら、朝鮮半島の核問題というものは当初からして発生しなかったであろう。…
 米国の敵視政策と核脅威が根源的になくならない限り、われわれはいかなる場合にも、核と弾道ロケットを協商のテーブルにのせず、われわれが選択した核戦力強化の道から一寸も退かないであろう。」
○8月9日、朝鮮人民軍戦略軍司令官・金絡謙大将発表
「すでに闡明したように、わが朝鮮人民軍戦略軍はグアムの主要軍事基地を制圧、けん制し、米国に厳重な警告信号を送るために中・長距離戦略弾道ロケット「火星12」型の4発同時発射で行うグアム包囲射撃方案を慎重に検討している。…
 われわれが発射する中・長距離戦略弾道ロケット「火星12」型は、日本の島根県、広島県、高知県の上空を通過するようになり、射程3356.7キロを1065秒間飛行した後、グアム周辺30~40キロ海上の水域に落ちるようになるであろう。
 朝鮮人民軍戦略軍は8月中旬まで、グアム包囲射撃方案を最終完成して共和国核戦力の総司令官に報告し、発射待機態勢で命令を待つであろう。」
○8月9日、ジュネーヴ軍縮会議第3期会議における朝鮮代表団発言
「米国の反共和国策動と核威嚇が続く限り、われわれは誰が何と言っても自衛的核抑止力を協商のテーブルにのせず、すでに選択した国家核戦力強化の道から一寸も退かないであろう。」
○8月14日付朝鮮中央通信社論評
「問題は、第2の朝鮮戦争が起きる場合、核戦争に広がるしかないということである。朝鮮は、すでに共和国政府声明を通じていかなる最後の手段も辞さないと闡明(せんめい)した。米国は、熟考しなければならない。…
 われわれは、米国の一挙一動を注視している。」
○8月14日、金正恩が朝鮮人民軍戦略軍司令部視察
「金正恩委員長は続けて、司令部指揮所で戦略軍が準備しているグアム包囲射撃方案に対する金絡謙大将の決心報告を聴取した。
 最高指導者は、グアム包囲射撃方案を長時間具体的に検討し、指揮メンバーと真摯に協議した。…
 (最高指導者は)悲惨な運命の分秒を争うつらい時間を送っている愚かで間抜けなヤンキーの行動をもう少し見守ると語った。…
 朝鮮半島地域で情勢を緩和し、危険な軍事的衝突を防ぐためには、わが国の周辺に多くの核戦略装備を投入して危険を招いた米国がまず正しい選択をして行動で見せるべきだと述べ、米国はわれわれに対する傲慢無礼な挑発行為と一方的な強要を直ちにやめ、われわれをこれ以上、刺激してはならないと語った。」
○8月29日付労働新聞署名入り論評
「米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、いかなる場合にも核抑止力を協商のテーブルにのせず、核戦力強化の道からたった一寸も退かないというわれわれの立場は確固不動のものである。」
○8月30日付朝鮮中央通信、金正恩が「朝鮮人民軍戦略軍の中・長距離戦略弾道ミサイル発射訓練を指導」
「(金正恩は)実戦を彷彿(ほうふつ)させる今回の弾道ロケット発射訓練はわが軍隊が行った太平洋上での軍事作戦の第一歩であり、侵略の前哨基地であるグアムをけん制するための意味深長な前奏曲になるとし、今後、太平洋を目標にして弾道ロケット発射訓練を多く行って戦略武力の戦力化、実戦化、現代化を積極的に推し進めなければならない」
「米国の態度を見守るとしたわれわれの警告に米国が好戦的な侵略戦争演習で応えた」
「今日、戦略軍が行った訓練は米国とその手先が繰り広げた「ウルチ・フリーダム・ガーディアン」合同軍事演習に対する断固たる対応措置の序幕にすぎない」
「極度に先鋭な情勢を緩和するためのわれわれの主動的な措置に顔を背けて図々しく振る舞う米国とは上品に言葉で相手してはならず、行動で見せなければならないというのが今回、またもやくみ取ることになる教訓である」「われわれは米国の言動を引き続き注視し、それ相応に今後の行動を決心する」
○9月3日、朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会
「朝鮮労働党中央委員会政治局常務委員会の決定書「国家核武力完成の完結段階の目標を達成するための一環として大陸間弾道ロケット装着用水爆の実験を行うことについて」が採択され、金正恩同志が実験を断行することに関する命令書に親筆署名。
○9月5日付朝鮮外務省スポークスマン発言
「われわれが今回行った大陸間弾道ロケット装着用水爆の実験は、国家核戦力完成の完結段階の目標を達成するための一環である。これで、われわれは地球上のどこにいる侵略勢力も断固と撃退し、朝鮮半島と地域の平和と安全を頼もしく守れる最強の核抑止力を備えるようになった」
○9月5日、ジュネーヴ軍縮会議第3期総会での朝鮮常任代表発言
「米国の対朝鮮敵視政策と核脅威が根源的になくならない限り、われわれはいかなる場合にも自衛的核抑止力を協商のテーブルに上げないし、われわれが選択した核戦力強化の道からたった一寸も退かないであろう」
○9月6日付労働新聞署名入り論評
「米国が理性を失って反共和国制裁・圧迫と軍事的威嚇・恐喝に無分別に執着するほど、チュチェ朝鮮の自衛的国防力は世界が想像できない非常なスピードで絶え間なく強化されていく」「地軸を揺り動かした大陸間弾道ロケット装着用水爆の実験での完全な成功は、それに対する雄弁の実証である」
<トランプ国連総会演説>
○9月16日付朝鮮中央通信社報道
「金正恩党委員長が中・長距離戦略弾道ロケット「火星12」型の発射訓練をまたもや指導」
「今回のロケット発射訓練は、最近、われわれに対する軍事力使用をけん伝する米国の好戦性を制圧し、迅速かつ強力な軍事的対応で迎え撃つための攻撃と反攻撃作戦遂行能力をいっそう強化し、核弾頭取扱秩序を点検して実戦的な行動手順を確定する目的の下で行われた」
「(金正恩は)「火星12」型の戦力化が実現した」「われわれの最終目標は米国と実際の力のバランスを取って米国執権者の口からむやみにわが国家に対する軍事的選択だの、何のというたわごとが出ないようにすることだ、米国にとって対処不可能な核の反撃を加えられる軍事的攻撃能力を引き続き質的に固めながら、真っ直ぐに疾走しなければならない」「大国主義者らにわが国家が無制限の制裁・封鎖の中でも国家核戦力完成の目標をいかに達成するかをはっきりと見せつけなければならない」「今やその終着点にほとんど到達したのだから、全国家的な力を集中して結末を見なければならない」と発言。
○9月21日、金正恩委員長声明
「最近、朝鮮半島の情勢がかつてなく激化し、刻一刻、一触即発の危機状態に陥っている深刻な状況下で、国連の舞台に初めて出た米国執権者の演説の内容は世界的な関心事であると言わざるを得ない。 ある程度推測はしたものの、私は、それでも世界最大の公式外交舞台であるだけに、米大統領なる者が以前のように自分の事務室で即興的になんでも言い放ったのとは多少区別される、型にはまった準備した発言を行うものと予想していた。 しかし、米国執権者は情勢の緩和に役立つそれなりに説得力のある発言はおろか、わが国家の「完全破壊」という、歴代のどの米大統領も口にできなかった前代未聞の横暴非道な気違いじみた発言を行った。 われわれの政権を交替させたり、体制を転覆させるという威嚇の枠を超え、一つの主権国家を完全に壊滅させるという反人倫的な意志を国連の舞台で公言する米大統領の精神病的な狂態は、正常な人まで事理の分別と沈着さを失わせるものである。
今日、私は、米大統領選挙当時、トランプを「政治門外漢」「政治異端児」と嘲弄していたことを再び想起する。
大統領になって世界の全ての国を威嚇し、世界をかつてなく騒がせているトランプは、一国の武力を統率する最高統帥権者としては不適であり、彼は確かに政治家ではなく、火遊びを好むならず者、ごろつきに違いない。
公然たる意思表明によって米国の選択案について説明した米国執権者の発言は、私を驚かせたり制止したのではなく、私が選択した道が正しく、あくまで進むべき道であることを実証した。
トランプが世界の面前で私と国家の存在自体を否定し、侮辱し、わが共和国をなくすという歴代最も暴悪な宣戦布告をした以上、われわれもそれに相応する史上最高の超強硬対応措置の断行を慎重に考慮するであろう。…
私は、トランプがわれわれのどの程度の反発を予想してそのような奇怪なことを口にしたのかを深く考えている。
トランプが何を考えたのであれ、それ以上の結果を見ることになるであろう。」
○10月3日付労働新聞署名入り論評
「領土も大きくない朝鮮半島で核戦争が起きれば、南朝鮮が受ける被害は実に莫大であろう」
〇10月6日、国連総会第1委員会での朝鮮常駐代表発言
「核兵器の全面禁止を目的とする条約の目的と趣旨に共感するが、われわれを核で威嚇、恐喝する米国が条約を拒否する状況の下で加盟することはできない」「米国の敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、われわれはいかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルにのせず、われわれが選択した核戦力強化の道からたった一寸も退かないであろう」
〇10月21日付労働新聞署名入り論評
「われわれは、米国の対朝鮮敵視策動と一方的な核威嚇・恐喝を根源的に除去するために核保有の道を選択した」
「われわれの核は徹頭徹尾、悪の帝国である米国を狙ったものとして、アジアやアフリカなど世界の他国には絶対に脅威とならない」
〇10月27日付労働新聞署名入り論評
「米国にも自国の運命を心配する理性的な政策作成者がいるなら、事態を正しく見る合理主義者がいるなら、過去の歴史が厳正に評価した反共和国強硬圧殺政策の廃棄を大胆に決心すべきだ」
〇10月28日付労働新聞署名入り論評
「われわれの国家核戦力建設の大業はすでに最終完成のための目標達成がすべて成された段階にある」
〇11月10日付民主朝鮮署名入り論評
「朝鮮の核保有は米国の核恐喝と対朝鮮敵視政策がもたらした必然的帰結として、急変する情勢に対処するための一時的な対応策でもなく、いかなる対話のテーブルに上げる駆け引き物でもないし、わが革命の最高の利益と民族の安全を守るための最上の戦略的選択である」
「われわれは対話に反対しないが、わが共和国の最高の利益と人民の安全に関連する問題を絶対に駆け引きのテーブルに上げないし、そのような対話と協商にはいささかの関心もない」
〇11月14日付民主朝鮮署名入り論評
「こんにちになってわれわれの非核化を期待するということは煮た卵からひよこがかえるのを待つような荒唐無稽な愚行だと言わざるを得ない」
〇11月17日付労働新聞署名入り論評
「わが共和国の最高の利益と人民の安全に関連する問題は、絶対に駆け引きのテーブルに乗せることができず、そのような対話と協商にはいささかの関心もないというのがわれわれの確固不動の立場」
<トランプ政権、朝鮮を「テロ支援国」に再指定>
〇11月22日、朝鮮外務省スポークスマン発言
「尊厳あるわが国家に「テロ」のレッテルを貼りつけることで挑発をしかけながらも、いわゆる「平和的解決」をうんぬんする米国の哀れなざまこそ、われわれが選択した並進の道が至極正しかったし、われわれの手に核の霊剣を引き続きしっかりとらえるべきだという哲理をより深く刻み付けさせるだけである」
〇11月29日にICBM打ち上げに成功したのを受けて朝鮮政府が発表した声明
「金正恩委員長は…、今日ついに国家核戦力完成の歴史的大業、ロケット強国偉業が実現されたと誇り高く宣布した」として、核ミサイル建設の「完成」が「実現」したという表現で同計画の一段落を告げるとともに、「朝鮮民主主義人民共和国の戦略武器の開発と発展は全的に、米帝の核恐喝政策と核威嚇から国の主権と領土保全を守り、人民の平和な生活を防衛するためのものとして、わが国家の利益を侵害しない限り、いかなる国や地域にも脅威にならない」と強調。
〇12月9日付労働新聞署名入り論評
「われわれの大陸間弾道ロケット「火星15」型は、わが国家の利益を侵害しない限り、いかなる国や地域にも脅威にならない。われわれの核抑止力は徹頭徹尾、朝鮮人民の不倶戴天の敵である米帝国主義を狙ったものである。」
〇12月11日付労働新聞署名入り論評
「米国の対朝鮮敵視政策の総破綻は不可避である。試合はすでに、朝鮮の勝利で終わった。」
〇12月11日-12日、朝鮮第8回軍需工業大会
「二回にわたる水爆実験での完全な成功と「3・18革命」(注:新型大出力エンジンの地上噴出実験)「7・4革命」(注:大陸間弾道弾「火星14」型の試射の成功)、7・28の奇跡的勝利(注:ICBM「火星14」型の第2次試射)、11月29日の偉大な大勝利(注:ICBM打ち上げ成功)は国防工業発展の一大変革の時代を開き、強力な国防力を願っていたわが人民の古くからの宿望を立派に実現した民族史的大慶事、特大出来事」
「米本土全域を打撃できる超大型重量級核弾頭の装着が可能な新型の大陸間弾道ロケット「火星15」型試射の大成功はわが人民が一日千秋の思いで渇望していた国家核戦力完成の歴史的大業、ロケット強国偉業を立派に実現するための闘いで収められた民族史的な大勝利、祖国の歴史に特記すべき大きな出来事」
 金正恩結語「水爆と大陸間弾道ロケット「火星15」型をはじめとする新しい戦略兵器システムを開発し、国家核戦力完成の大業を成し遂げた」
〇12月13日付労働新聞署名入り論評
「こんにち、わが共和国の戦略的地位は最上の域に上がった。
朝米対決の戦略的構図と情勢の流れは根本的に変わった。
朝米核対決戦で惨敗の苦杯をなめるようになったこんにち、トランプ一味の軍事的狂気は米国社会に極度の危惧と絶望感だけをつのらせている。
保有すべきものは全部保有したわれわれに対する憎らしい軍事的威嚇騒動はむしろ、恒常的な不安と恐怖の中でもがいている米国の嘆かわしい実状を見せるだけである。
トランプをはじめとする米当局者らは、今からでも現実を冷徹に判断してさらなる恥をかき、破滅を余儀なくされる前に賢明な選択をする方がよかろう。」
〇12月14日付朝鮮外務省スポークスマン回答
「われわれは、米国とその追随勢力が対朝鮮海上封鎖を強行しようと襲い掛かる場合、累次警告したようにわれわれに反対する戦争行為と見なすであろうし、無慈悲な自衛的対応措置で応えるであろう。
国際社会は、朝鮮半島でなんとしても核戦争の火をつけようとのさばる米国の無分別な策動に警戒心を高めなければならず、国連安保理は朝鮮半島とひいては全世界が核戦争の渦巻きの中に陥るのを望まないなら、世界の平和と安全を保障する本来の使命に立脚して穏当に行動すべきであろう。」
〇12月19日付労働新聞署名入り論評
「われわれが一貫して主張してきたように、朝米間の問題解決のための方途は米国がわれわれを敵に規定した極悪な対朝鮮敵視政策を一日も早く中止することであり、核を保有したわが国家と平和的に共存するところにある。
米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇が根源的に一掃されない限り、いかなる場合にも核と弾道ロケットを協商のテーブルに上げないし、すでに選択した核戦力強化の道から一寸も退かないというわが共和国の立場には少しも変わりがない。」
〇12月21日付労働新聞署名入り論評
「トランプ一味のいささかの戦争挑発の兆候が捕捉されれば、その即時米国はもちろん、その追随勢力もわが革命武力の想像を絶する無慈悲な懲罰の砲火を免れなくなっている。」
<安保理決議2397>
〇12月24日付朝鮮外務省スポークスマン声明
「われわれは、米国とその追随勢力によってつくり上げられた今回の「制裁決議」(2397)をわが共和国の自主権に対する乱暴な侵害、朝鮮半島と地域の平和と安定を破壊する戦争行為とらく印を押し、全面排撃する。…
 米国の敵視政策と核威嚇・恐喝に終止符を打つために核拡散防止条約(NPT)外で正々堂々と開発、完成したわれわれの核兵器はいかなる国際法にも抵触しない自衛的抑止力である。…
米国が安らかに暮らすことを願うなら、対朝鮮敵視政策を中止して核を持ったわれわれと共存する方法を学び、われわれが千辛万苦に耐えて開発、完成した核兵器を放棄するかもしれないという妄想から一日も早く覚めなければならない。
今回の「制裁決議」で招かれる全ての結果は全的に、「決議」の採択に手をあげた国々が責任を負うべきであり、われわれはそれについていつまでも厳しく計算するであろう。」
〇12月25日付朝鮮中央通信社論評
「もっと遅れる前に米国は思考を整頓し、今からでも朝米関係の章を新しく記していく勇断を下すべきであろう。
これが、新年を迎えながら米国に与える最善の忠告である。」
〇12月29日付朝鮮中央通信社の2017年の朝鮮半島情勢に関連する詳報
「朝鮮労働党と国家は、社会主義朝鮮の新年の行軍路を明示しながら米国とその追随勢力の核威嚇と恐喝が続く限り、そしてわれわれの門前で定例的というレッテルを貼り付けた戦争演習騒動を中止しない限り、核戦力を中枢とする自衛的国防力と先制攻撃能力を引き続き強化していくという原則的な立場を公式に闡明(せんめい)した。…
 われわれからいかなる変化も望むな。そして強大な朝鮮の実体は永遠に骨抜きにすることも、抹殺することもできない。
わが共和国は、責任ある核保有国としてこの惑星に吹きまくるあらゆる逆風を断固と退けて、歴史の流れを自主と正義の道へ力強く主導していくであろう。」