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国連次長訪朝と朝鮮半島情勢(事実関係整理)

2017.12.12.

12月5-8日に国連の政務担当フェルトマン事務次長が訪朝しました。これは決して突発的な事件ではありません。朝鮮中央通信の報道を時系列的にフォローしますと、朝鮮は国連安保理決議が超大国によって不当、不法にゆがめられているという朝鮮側認識を、朝鮮制裁決議が採択されるたびに明らかにしてきました。そして、朝鮮国連常駐代表による10月24日及び11月13日付の国連事務総長宛の手紙では、安保理決議の不当性、不法性を質問状の形で提起し、国連事務局としての責任ある回答を要求するに至りました。今回の政務担当事務次長の訪朝は、朝鮮半島情勢が極度に悪化する背景の下、朝鮮側による国連事務局に対する強い働きかけに後者が応じる(応じざるを得なかった?)ことによって実現したことは明らかです。
以上を背景として、12月9日付で朝鮮中央通信が報じた「国連事務次長の訪朝に関する報道」及び同日付の国連事務総長スポークスマン事務室の発表文を読むと、朝鮮側が今回の事務次長訪朝の結果に対して一定の積極的評価を与えていること、及び、事務総長及び事務局が今後、いわゆる朝鮮核問題の平和的解決に向けて真剣な取り組みを行う可能性を窺うことができます。
今回の事務次長訪朝の今ひとつの重要な意義は、国連事務局が朝鮮半島情勢の平和的解決に対して積極的に関与する姿勢を示したこと(このこと自体、ハマーショルド以来のことかもしれません)により、アメリカ・トランプ政権が単独行動を勝手にとることに「待った」をかけるという意味を持つのはないかと思います。うがった見方をするならば、手詰まり状態で進退窮まった観のあるトランプ政権にとっては、国連事務局が「仲介役」に名乗りを上げたことは歓迎することですらあるかもしれません。
 私自身の分析は改めて行うこととして、以下、長くなりますが、朝鮮中央通信の国連関連主要報道を紹介した上で、今回の国連事務次長訪朝に関する事実関係をまとめておきます。

1.国連関連の朝鮮中央通信報道

私が朝鮮中央通信における国連関連の報道に注目する必要があると思い、独立のファイルを作ってフォローすることを始めたのは、3月6日付の「国連安保理は公正さの原則から問題を見るべきだ」というタイトルの労働新聞署名入り論評(朝鮮中央通信による要旨紹介)を読んでからです。私の不確かな記憶では、それまでは朝鮮中央通信において国連(特に安保理)に対する正面からの批判が行われたという印象がなく、そのため、この記事が特に印象に残ったのでした。
この論評は、「共和国が地対地中・長距離戦略弾道ミサイル「北極星2」型の試射で成功すると、米国が国連安保理をまたもや籠絡してわれわれに新たな制裁を加えようと画策している」と非難し、「問題はわれわれの地対地中・長距離戦略弾道ミサイル「北極星2」型の試射に対する国連安保理の態度だ」と指摘しました。その上で、「不正義が正義を審判する場になってしまった国連安保理に期待をかけるということは愚かなことであり、ただ自分の強力な戦争抑止力を備えてこそ平和を守り、自主的に尊厳高く生きることができるということである。国連安保理は久しい前に、すでにわれわれの正々堂々たる自衛的措置に対してけなす資格を喪失した」と国連安保理を公然と批判したのです。
3月8日付の朝鮮中央通信は「朝鮮外務省代弁人、国連安保理の公報文を全面排撃」と題する記事を掲載しました。これは、同日、朝鮮外務省スポークスマンが同通信記者の質問に答える形で、「米国と敵対勢力が数多くの戦略資産と膨大な武力を動員してわが共和国を核先制打撃するための実戦訓練を公然と行いながら、むしろ国連安保理を発動してわが軍隊の経常的な訓練に「脅威」と言い掛かりをつけながらいわゆる公報文というものを発表したのは盗人猛々しい白昼強盗さながらの行為である。われわれは、主権国家の自衛的権利を乱暴に蹂躙した国連安保理の公報文を全面排撃する」と述べたことを紹介するものでした。つまり、3月6日付の労働新聞論評を公に確認するものでした。
 私のファイルに記録を残した限りでその後の国連関連の記事を時系列的にまとめると以下のようになります。

○(4月26日)「朝鮮外務省の代弁人 われわれの核抑止力強化措置に言い掛かりをつけて国連安保理会議を招集しようとする米国を糾弾」 以下、太字の部分が特に要注目です。 「われわれの核抑止力強化措置は、国連憲章と国際法に準じた合法的な自衛的権利の行使として、誰もけなす権利がない
わが共和国政府は、われわれの核保有を招いた根源である米国の対朝鮮敵視政策と核脅威・恐喝の最も集中的表現となる挑発的で侵略的な大規模合同軍事演習に対して、すでに数回にわたって国連安保理に提訴した。
しかし、理事会は毎度われわれの提訴に顔を背け、何の国際法的根拠もなしにわれわれの自衛的措置を禁止する「決議」を採択して制裁を加えている。
国連事務局もやはり、国連安保理「制裁決議」の法律的根拠を解明するための国際的な法専門家のフォーラムを開催することに関するわれわれの正当かつ合理的な提案に黙々不答である
特に重大なのは、国連安保理の拒否権を持つ常任理事国が核で他国を脅かし、核兵器を保有できなかった国にミサイル攻撃を強行しても、その「同盟国」がスパイ衛星を打ち上げ、ミサイルを撃っても、一度も安全保障理事会で問題視されていないことである。
現実は、国連安保理が正義によってではなく、拒否権を持つ諸常任理事国の利害関係によって「国際平和と安全問題」が決まる所であることを赤裸々に示している
このような所から出た決議でない「決議」を持って米国は国連加盟国にその履行を強要する道徳的資格さえなく、国連加盟国はこのような不公正な不正義の「決議」を履行すべき道徳的義務がない。…
今、朝鮮半島で戦争が起こるなら、その責任は誰が先制攻撃をしたかにかかわらず、われわれに対する敵視政策を絶えず強めてきたあげく、数多くの核戦略資産と特殊作戦手段を投入して火の元をつついた米国が負うことになり、米国に追随してきた国連安保理もこの責任から逃れられないであろう。」
(5月13日)「国連駐在朝鮮常任代表部が公報文を発表」 注目されるのは、「「制裁決議」の法律的根拠を解明するための国際的な法専門家のフォーラムを催すことに関する共和国の要求」に言及して、安保理決議の不当性・不正性について朝鮮が問題提起していることを示した点です。
「国連駐在朝鮮常任代表部が米国の反共和国敵視策動とそれに便乗した国連安保理対朝鮮制裁委員会の越権行為が極に達していることに関連して11日、共和国政府の立場を闡明する公報文を発表した。 公報文は、最近、米国が国連安保理対朝鮮制裁委員会を推し立てて国連本部で前例のない地域グループ別非公開ブリーフィングなるものを次々と開いて反共和国制裁熱意を鼓吹してみようと愚かに策動していることについて暴いた。
米国は「制裁決議」の履行に多くの国が乗り出していないと青筋を立てながら、「制裁決議」を履行しなかったり、関心を払わない国に対しては制裁で処罰すると公開的に脅迫しているが、それ自体が、米国が考案した反共和国「制裁決議」の不法さと不当性を証明していると主張した。
特に、対朝鮮制裁委員会が住民生活に否定的影響を与えないと明記した「制裁決議」の内容さえひっくり返して拡大解釈して国家間の通常の貿易取引と食堂経営のようなものにまで「違法行為」と言い掛かりをつけるのは明白な越権行為としかほかには見られないと明らかにした。
国連安保理が、自分らがつくり上げた「制裁決議」が正当なものであると考えるなら、国連事務局にすでに数回にわたって提起した「制裁決議」の法律的根拠を解明するための国際的な法専門家のフォーラムを催すことに関する共和国の要求に応じない理由がないだろうと指摘した。
国連安保理は制裁の履行を強要する前に、なぜそのような「制裁決議」が履行されないのかについて再び熟考すべきであり、共和国が求めるフォーラムでその適法性如何が解明されるようにすべきだと強調した。」
○(5月16日)「朝鮮外務省代弁人 共和国の自衛的核抑止力強化を問題視した国連安保理の公報文を全面排撃」
○(5月23日)「朝鮮外務省代弁人が国連安保理の公報文を全面排撃」
○(8月7日)「朝鮮政府、史上最悪の制裁・圧迫と挑発策動に執着している米国をはじめとする敵対勢力を糾弾」 安保理決議2371採択に関し、「米国の笑止千万な威嚇が通じる国が別にあり、米国の虚勢に完全に屈する国が別にある」として、中ロを間接非難。
○(8月8日)「朝鮮ア太委代弁人、正義の力で不法非法の「制裁決議」を断固と粉砕する」 「世界で最も図々しいごろつき国家である米国とその強権に押さえられて不正義に盲従する有象無象」「白昼強盗さながらの米帝が主導し、それに盲従した卑劣漢らが結託してつくり上げた今回の「制裁決議」」「今回、信条も良心も信義もすべて捨て、米国に追随して不法非法の「決議」に手をあげてトランプの感謝まで受け、上司の目に入った国々は世界の良心の前で恥を感じなければならず、歴史と人類の厳正な審判場で働いた犯罪を深く反省し、応分の代価を払わなければならない」という表現で、やはり中ロを間接非難。
○(8月19日)「朝鮮外務省代弁人 朝鮮半島緊張激化の原因が共和国にあるかのように世論をまどわす国連事務総長の妄言を非難」
 事務総長に対する直接非難は初めて。
「朝鮮外務省のスポークスマンは、国連事務総長が朝鮮半島緊張激化の原因がまるでわれわれにあるかのように世論をまどわしていることに関連して19日、朝鮮中央通信社記者の質問に次のように答えた。
最近、国連事務総長は朝鮮半島問題に関連する記者会見で、朝鮮半島情勢激化がわれわれの「核およびミサイル開発」によって始まったという妄言を並べ立てた。
国連事務総長のこのような発言は、朝鮮半島核問題の本質に対する無知の表れとしかほかには見られない。
明白に言っておくが、朝鮮半島核問題が発生し、情勢激化の悪循環が続く根源は全て米国の対朝鮮敵視政策と核脅威にある。
国連事務総長が朝鮮半島情勢を最悪の爆発ラインへ追い込んでいる米国には一言も言えず、朝鮮半島問題の解決のために公正な立場を取ると言うのは理に合わない。
朝鮮半島と地域で情勢を緩和させ、危険な軍事的衝突を防ぐには、われわれの周辺に数多くの核戦略装備を配備して火の元をつついた米国が先に正しい選択をして行動で見せるべきであろう。」
○(8月22日)「列強の利益の駆け引き場―国連安保理 朝鮮中央通信社論評」 朝鮮中央通信社の安保理批判論評は初めてか(?)。
「米国のそそのかしの下、国連安全保障理事会で反共和国「制裁決議」第2371号が採択された後、朝鮮半島情勢は急激に悪化した。…
これによって国連安保理は、自分の根本使命を捨てて朝鮮半島と地域、世界の平和と安全を危うくした責任を免れられなくなった。
今になって対朝鮮制裁に手を上げた国々が「自制」と「平和的解決」を唱えて忙しく動いているのは、現事態に対するそれらの国々の当惑感を赤裸々に示している。」
「看過できないのは、国連安保理の場が諸大国の利益追求のための裏面の駆け引き場になってしまったことである。
表決を前にして、制裁それ自体は目的ではない、朝鮮の日常的な経済貿易活動と人民の生活に影響を与えてはいけない、といかにも原則と信条があるかのように振る舞っていた複数の常任理事国が、一朝にしてどのように突然変わったのかということは秘密ではない。
主権国家の生存と安全の上に自国の利益を乗せる厚顔無恥な行為を見て、加盟国の自主的権利と安全保障、国際的正義をいかに論じ、それらの国々を果たして責任ある大国と呼ぶことができるだろうか。」
○(8月24日)「「労働新聞」 国連安保理は公正さを投げ捨てたカカシ機構」 安保理における米中ロの「なれ合い」が如何に不正義を生むかを糾弾したもの。
「今の核保有国の中には、「ズボンを売ってでも核を持たなければならない」と言って制裁と圧迫を冒して核保有の夢を実現した国もあり、現在、米国のしつこい制裁を受けている国もある。
このような国々が過去と現在の境遇を全く考えず、自尊心もなくわが共和国の核と大陸間弾道ロケットの試射に途方もなく言い掛かりをつけながら米国の制裁騒動に合流した。
これは、何を示唆しているか。
それは、国連安保理が米国をはじめとする諸大国の利益追求のための駆け引きの場に、対朝鮮敵視政策実現のためのホワイトハウスの政治的道具に転落したということである。」
○(8月27日)「国連駐在朝鮮常任代表が国連安保理議長に手紙」 米韓合同軍事演習を安保理議題に挙げることを要求、「国連安保理が今回もわれわれの提訴に顔を背けるなら、これ以上、国際平和と安全保障を基本使命とする機構ではなく、つまらない米国の操り人形、政治的道具に転落したということを自ら暴露することになるであろう」と指摘。
○(8月31日)「朝鮮常任代表 朝鮮半島情勢を最悪の事態に追い込む張本人は米国だ」
○(9月23日)「「労働新聞」 国連安保理は朝鮮の核抑止力強化措置をけなすな」
○(10月3日)「「民主朝鮮」紙 米国の操り人形に転落した国連安保理を嘲笑」
○(10月12日)「朝鮮代表 人道主義理念と児童権利に関する条約の精神にも違反する反共和国制裁は直ちに撤回されるべきだ」 国連事務次長の訪朝に際して、次長が制裁による人道的影響を受けている施設を訪問したことを明記したことに要留意。
「わが共和国に対する執ようで悪らつな制裁と封鎖策動は、児童権利保護活動のスムーズな発展はもちろん、子供の生存にまで莫大な支障をきたしている。
極悪な制裁によって、今、生徒用教科書とノートをはじめ教具と備品の生産と、はては子供の栄養のための生産部門にまで重大な難関が生じている。
特に、わが国と児童関連の国際機構および国際人道団体との協力活動が最近になって大部分挫折したり、縮小される不正常な現象が次々と発生している。
常任代表は、人道主義理念と児童権利に関する条約の精神にも違反する共和国に対する反人倫的で非人間的なあらゆる制裁は無条件直ちに撤回されなければならないと強調した。」
(10月12日)「朝鮮代表が国連の基本使命に関連する共和国政府の原則的な立場を闡明」
国連の「基本使命」に関する朝鮮の原則的立場を表明したもの。安保理が国連憲章と逸脱した行動をとっていると真正面から糾弾したもの。
「こんにち、国連憲章および機構の役割を強めるうえで何よりも重要なのは、国連が自分の活動において国連憲章が規制した国連の目的と原則を尊重することだとし、次のように言明した。
世界には小国もあり、大国もあり、発展した国と発展途上国が存在するが、各国は一様に平等であり、どの国も他国の自主権を侵害することはできないということが国連の目的と原則の根本核である
このような立場から特別に重要な問題に提起されるのは、国連安保理が徹底的に国連憲章が提示した国連の目的と原則に従って行動することである
しかし、こんにち、国連安保理は国連憲章の要求とは違って行動しながら国連憲章に乱暴に違反している
代表は、朝鮮半島問題をその代表的な実例に挙げ、次のように続けた。
国連安保理は半世紀以上、わが共和国に核脅威を加えてきた米国に対して一度も問題視したことがなく、むしろ、われわれの自衛的核戦力強化措置を「国際平和と安全に対する脅威」と罵倒して決議でない「決議」をつくり上げてきた。
国連が国連憲章に背ちして盗用されてきた実例はまた、南朝鮮駐屯「国連軍司令部」問題だけを見てもよく分かる。
朝鮮戦争の挑発と共に米国がつくり上げた南朝鮮駐屯「国連軍司令部」は、国連の名を盗用しただけで、任意の国連活動と計画の見地から見ても、それに対する指揮統制と維持管理の見地から見ても国連とは何の関係もない機構でない「機構」である。
言い替えれば、南朝鮮駐屯米軍は「国連軍」の帽子をかぶったが、国連に報告書を提出したり、国連の統制や指揮を受けることが全くなかったし、この世に出たその瞬間からすでに不法的な実体としての正体をさらけ出した。
代表は、国連安保理が真に国連憲章の要求に従って国際平和と安全保障を基本とする自己の使命と役割を全うするには、これ以上米国の一方主義による強権と専横の翻弄物になってはならず、徹頭徹尾、国連の目的と原則に合致するように朝鮮半島問題を平和的に解決するための対策を取るべきであろうと強調した。」
○(10月21日)「国連駐在朝鮮常任代表が国連安保理の議長に手紙」
○(10月24日)「「民主朝鮮」紙 国連はその目的と原則に忠実でなければならない」
○(10月25日)「「労働新聞」 国連改革問題は緊迫した要求」
(10月27日)「国連駐在朝鮮常任代表が国連事務総長に手紙」(手紙は10月24日付)
これは、安保理決議の「適法性」について、具体的問題を列挙して国連事務総長に対する回答を要求したもので、朝鮮が問題視しているポイントを対外向けに具体的に明示したのは初めてです。事務次長の訪朝に際しては、これらの問題点が議論されたことは想像に難くありません。
ちなみに手前味噌になりますが、朝鮮が列挙した具体的問題点の多くは、私がこれまでのコラムで指摘してきた内容そのものであり、私は国連事務局としてもとうてい無視できない迫力を感じているだろうと思います。
「国連駐在朝鮮常任代表が国連安保理対朝鮮「制裁決議」の適法性いかんを突き止める国際的な法律専門家のフォーラム組織のための具体的な案を盛り込んだ手紙を24日、国連事務総長に送った。
手紙は、国連安保理「制裁決議」の法律的・道徳的妥当性に対する国際社会の疑問が増大している実情で、その適法性いかんを正義と公正さの立場から評価できる場は国際的な法律専門家のフォーラムであるとし、フォーラムで案件として討議できる問題について次のように明らかにした。
朝鮮民主主義人民共和国の衛星の打ち上げを禁止させた国連安保理の「制裁決議」が宇宙空間の平和的利用を各国家の自主的権利に明示した国際法に適するか
核実験の全面禁止に関する国際法がまだ発効していない状況で、朝鮮民主主義人民共和国の核実験を禁止させた国連安保理の「制裁決議」が法律的に妥当であるか。
核実験の全面禁止に関する国際法の発効を阻んでいる国連安保理の常任理事国が、他国の核実験を禁止させる道徳的名分があるか
他国の核実験と衛星の打ち上げは問題視せず、唯一、朝鮮民主主義人民共和国に対してだけ「国際平和と安全に対する脅威」に罵倒して制裁を加える二重基準が各国の主権平等の原則と自衛権を認めた国連憲章第2条と第51条に適するか
手紙は、これらの案件以外にもフォーラムの参加者が提起する任意の案件を審議、採択することができるだろうとし、国連事務局が国際的な法律専門家のフォーラムを早急に組織することを再び求めた。」
○(11月5日)「ジュネーブ国連事務局および国際機構駐在朝鮮常設代表部が公報文を発表」
○(11月12日)「朝鮮代表が国連安保理改革に関連する共和国の原則的立場を闡明」
(11月16日)「国連駐在朝鮮常任代表が国連事務総長に手紙」(手紙は13日付)
10月24日付の手紙に続く第2弾。米韓合同軍事演習の国際法上の問題点をやはり質問状の形で提起。
「国連駐在朝鮮常任代表が共和国を狙った米国の核戦争演習を提訴する手紙を13日、国連事務総長に送った。
手紙は、米国が朝鮮半島の周辺水域に3つの原子力空母打撃団を集結させて南朝鮮との合同軍事演習を行い、冷戦時代に存在していた核戦略爆撃機B52の24時間非常発進システムを復活させ、B1B、B2の各編隊を南朝鮮地域上空に連続飛行させながら共和国に対する不意の打撃態勢を維持している事実を暴露し、次のように指摘した。
世界最大の公式外交舞台である国連総会で主権国家の「完全破壊」を言いふらし、朝鮮半島と周辺に核戦争装備を絶えず投入して戦争演習に狂奔している米国こそ、情勢激化と平和破壊の主犯である。
米国が自分の手先と年中絶えず行う大規模核戦争演習と威嚇・恐喝は、朝鮮が選択した道が全く正しかったし、最後まで進むべき道であることをいっそう実証するだけである。
手紙は、問題は国際平和と安全維持を基本使命にしている国連安保理が人類に残酷な災難を浴せかけようとする米国の核戦争演習にあくまでも顔を背ける二重基準的な態度だとし、国際的正義と公正さの立場から一連の問題点に対する国連事務総長の見解を明らかにすることを次のように求めた。
第一に、米国が主権国家を目標として朝鮮半島と周辺で年中絶えず行う核戦争演習が平和と安全維持に関する国連憲章の目的に合致するか
第二に、朝鮮民主主義人民共和国と米国が法律的に停戦状態にある実情で国連安全保障理事会が交戦一方の核戦争挑発行為は無視してそれに対応した交戦他方の自衛的措置は「脅威」として問題視するのが国連憲章の主権平等の原則に合致するか
われわれは、国連事務総長が国連憲章の要求だけでなく、公正さと独自性を生命とする国連事務局の使命に合致するように正しい答弁を与え、国連憲章第99条に従って国際平和と安全に明白な脅威となる米国の核戦争演習の危険性について安全保障理事会に注意を喚起することを求める。」

2.国連事務次長訪朝

朝鮮中央通信は以下のように事務次長訪朝を紹介しました。

国連事務次長一行が到着
【平壌12月5日発朝鮮中央通信】ジェフリー・フェルトマン国連事務次長と一行が5日、平壌入りした。
朝鮮外務次官と国連事務次長間に会談
【平壌12月6日発朝鮮中央通信】朝鮮の朴明国外務次官とジェフリー・フェルトマン国連事務次長間の会談が6日、平壌で行われた。
会談では、朝鮮と国連事務局間の協力と朝鮮に対する国連機関の協調など互いに関心を寄せる問題に対する意見が交換された。
朝鮮外相が国連事務次長と談話
【平壌12月7日発朝鮮中央通信】朝鮮の李容浩外相は7日、平壌の万寿台議事堂で表敬訪問したジェフリー・フェルトマン国連事務次長と一行に会って談話した。
国連事務次長一行が平壌の各所を参観
【平壌12月8日発朝鮮中央通信】ジェフリー・フェルトマン国連事務次長と一行が、平壌幼児食品工場を参観した。
一行は、工場が総合的で近代的な幼児食品生産拠点に立派に転変したことに関する解説を受けて複数の生産工程を見て回った。
また、平壌産院乳腺腫瘍研究所、保健省第3予防院なども参観した。
国連事務次長一行が帰途へ
【平壌12月9日発朝鮮中央通信】ジェフリー・フェルトマン国連事務次長と一行が9日、平壌を発った。

フェルトマン事務次長訪問結果に関して、12月9日付で、朝鮮中央通信と国連事務総長スポークスマン事務室はそれぞれ以下の発表を行いました。

国連事務次長の訪朝に関する報道
【平壌12月9日発朝鮮中央通信】国連のジェフリー・フェルトマン事務次長と一行が2017年12月5日から9日まで、朝鮮を訪問した。
フェルトマン事務次長は訪問期間、朝鮮外相を表敬訪問し、外務次官に会って朝鮮と国連の間の協力関係、国連機関との協調問題、朝鮮半島情勢など、互いに関心を寄せる問題に関連して会談し、国連機関が提供する一部の協調の対象地を見て回った。
懇談と会談で、わが方は朝鮮半島情勢が今日の状況に至ったのは全的に、米国の対朝鮮敵視政策と核威嚇・恐喝のためであり、この時刻も米国が各種の核戦略爆撃機まで動員した史上最大の連合空中訓練を通じて共和国を不意に核先制攻撃する企図をあらわにしているとし、朝鮮半島の平和と国連の公正さ保障問題に関するわれわれの原則的立場を闡明した。
国連事務局側は朝鮮半島情勢激化に憂慮を示し、国際平和と安全保障を基本とする国連の使命を明らかにした国連憲章に従って朝鮮半島の緊張緩和に寄与する用意を表明した。
国連事務次長は平壌幼児食品工場、平壌産院乳腺腫瘍研究所、保健省第3予防院、平安南道小児病院など、国連機関の協調対象地を見て回り、朝鮮に対する制裁が国連人道協調分野に否定的影響を及ぼしていることについて認識し、人道的使命に合わせて協調が行われるように努力する意向を表した。
わが方と国連事務局側は、今回の国連事務次長の訪朝がわれわれと国連事務局間の理解を深めるのに寄与したことを認め、今後、様々なレベルで往来を通じた意思疎通を定例化することで合意した。

国連事務総長スポークスマン事務局は12月9日、「記者向け覚え書き 政務担当事務次長・ジェフェッリー・フェルトマンの朝鮮民主主義人民共和国への訪問」と題する文書を発表しました。全文は以下のとおりです。

 政務担当のフェルト事務次長は2017年12月5-8日に朝鮮民主主義人民共和国(朝鮮)を訪問した。フェルトマン氏は、リ・ヨンホ外務大臣閣下及びパク・ミョン・グク外務次官閣下と一連の会談を行った。彼らは、朝鮮半島について意見を交換し、現在の状況は、今日の世界においてもっとも緊張しかつ危険な平和・安全保障問題であることに同意した。
 フェルトマン氏は、すべての関連ある安全保障理事会決議の全面的な実行の必要性を強調した(Mr. Feltman emphasised the need for the full implementation of all relevant Security Council resolutions)。彼はまた、誠実な対話のプロセスを通じて達成される、情勢の外交的解決のみであると述べた(He also said there can only be a diplomatic solution to the situation, achieved through a process of sincere dialogue)。時間がカギである(Time is of the essence)。
 フェルトマン氏は、誤断を防止し及び紛争のリスクを減少するためのチャンネルを設ける必要の緊急性について述べ、国際共同体は、増大する緊張を警戒し、朝鮮半島情勢の平和的解決の実現にコミットしていると強調した(Noting the urgent need to prevent miscalculations and open channels to reduce the risks of conflict, Mr. Feltman underlined that the international community, alarmed by escalating tensions, is committed to the achievement of a peaceful solution to the situation on the Korean Peninsula)。
 フェルトマン氏は、国連地域チーム及び外交団とも会見し、並びに、国連プロジェクト施設(子供用食料工場、結核防止機関、乳がん機関、小児科病院を含む)を訪問した。施設訪問の間、同氏は国連による現場での救命活動並びに調達及び資金にかかわるギャップという課題について理解を深めた(During the site visits he learned about the UN's life-saving work on the ground as well as the challenges in procurement and funding gaps)。