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朝鮮メディアにおける対中国批判論調

2017.7.11.

1.朝鮮に対する米中の対応の違いを注目した朝鮮中央通信記事

 7月10日付の朝鮮中央通信は、「「労働新聞」 中国を圧迫する米国の下心を暴露」と題する記事を掲載し、朝鮮に対する米中のアプローチに食い違いが出始めていることについて報道するとともに、労働新聞の「」論評が「米国のごう慢無礼で愚鈍な発狂は中国が原則を破って公正さを失い、彷徨するほどより露骨になるであろう」とし、「誰でも先を見通すなら自主と正義が勝利していく大勢の基本の流れの前で賢明な選択をすべきであろう」と指摘したと紹介しています。全文を紹介します(強調は浅井)。

最近、米国が「北の核開発阻止」のための中国の役割に露骨に不満を現して「対北制裁、圧迫」の度合いを強めろと不平をこぼしている。
トランプが直接、「中国が積極的に乗り出さないなら独自の行動を取る」と脅かし、ホワイトハウスと米行政府の高位当局者、米議会と米軍部の高位人物、はては大統領職から退いたオバマまで「中国が北に圧を加えるようにより強く要求すべきだ」と唱えている。
そして、われわれと取り引きした中国企業と個人に制裁を加え、中国を「最悪の人身売買国家」に指定して刺激する一方、南シナ海領有権紛争問題を再び持ち出して南朝鮮のかいらいと共に「THAAD」の南朝鮮配置を是が非でも強行しようとするなど、中国の「核心利益」まで触れて圧迫している。
10日付の「労働新聞」は署名入りの論評で、これは朝鮮の核能力高度化を阻む方法がこれ以上ないことからの極度の絶望と挫折感をそのままさらけ出した断末魔のあがきにすぎないと主張した。
論評は、周辺国を圧迫して金づると貿易ルートを全て遮断する方法でわれわれを完全に窒息させようとするのが米国の凶悪な企図だと暴いた。
これには、アジアではアジア人同士、中東では中東人同士争うようにし、自分らはその間で漁夫の利を得る米帝の狡猾(こうかつ)さ、周辺国を通じた「対朝鮮制裁、圧迫」が国際的非難を受ける場合にも自分らはその責任から逃れようとする陰険な下心が潜んでいると暴露した。
論評は、米国のごう慢無礼で愚鈍な発狂は中国が原則を破って公正さを失い、彷徨するほどより露骨になるであろうとし、誰でも先を見通すなら自主と正義が勝利していく大勢の基本の流れの前で賢明な選択をすべきであろうと強調した

2.朝鮮中央通信による中国批判3文章と中国側反応

 朝鮮中央通信は、2月23日付の「汚らわしい処置、幼稚な計算法」と題する正筆署名文章及び4月21日付の「他国の笛に踊らされるのがそんなにいいのか」と題する同じく正筆署名文章で中国を批判したことについては、2月23日(24日補筆)及び4月23日のコラムで紹介しました。
その後にも朝鮮中央通信は、5月3日付の「朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行をこれ以上してはいけない」と題する金哲署名文章で中国を批判しました。前2回は名指しではなかったのですが、ここでは始めて名指し批判を行いました。全文は以下のとおりです。

 金哲氏が3日、「朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行をこれ以上してはいけない」と題する論評を発表した。
金哲氏は論評で、最近、米国が大げさに言いふらす威嚇・恐喝と戦争の轟音(ごうおん)に心臓が縮まったのか、隣国の諸大国から事理と分別を失った言辞が連日吐かれて刻一刻、先鋭化している朝鮮半島の情勢をより緊張の局面に追い込んでいることについて明らかにした。
中国の党と政府の公式立場を代弁することで広く知られている「人民日報」と「環球時報」が最近、複数の論評で、われわれの核保有が自分らの国家的利益に対する脅威となるとけん伝し、朝中関係悪化の責任をわれわれに全的に転嫁し、米国の笛に踊らされる卑劣な行為についてくだらない弁解をした。
これらの論評は、朝鮮が中国の国境から100キロもならない所で核実験を行い、「北東地域の安全を脅かしている」だの、われわれが北東アジア情勢を刺激して同地域に対する米国の「戦略的配置を強化する口実を提供」しているだのとしてけん伝したあげく、われわれの核保有に反対するのは米国と中国の共通の利益であり、自分らに危険をもたらす戦争を避けるためにもわれわれに対する制裁を強化すべきだとでまかせに主張した。
はては、朝中関係の主導権が自分らの手に握られており、朝鮮が中国との軍事的対立を願わないなら「長期間の孤立と、もう一つの国家安保の道」のうち、中朝友好と核放棄のうち、一つを選択しろというごく挑戦的な妄言もためらわなかった。
金哲氏は論評で、これはわが共和国の自主的で合法的な権利と尊厳、最高の利益に対する甚だしい侵害であり、友好の長い歴史と伝統を持つ善良な隣国に対する露骨な威嚇であると糾弾した。
論評は、中国の一部で東北3省の「核実験被害」をけん伝するのはわれわれの核の高度化を快しとしない中国の内心だけをありのままさらけ出すだけだと非難した。
中国の政治家と言論人が折に触れ、取り上げるいわゆる「国家的利益の侵害」に関連して、むしろわれわれが言うべきことがより多いとし、相手の信義がなく背信的な行動によって国家の戦略的利益を重ねて侵害されてきたのは決して中国ではなく、朝鮮民主主義人民共和国であると明らかにした。
中国の一部の論者がわれわれの核保有が北東アジア情勢を緊張させ、同地域に対する米国の戦略的配置を強化する口実を提供するというとんでもない詭弁(きべん)を並べ立てているが、米国のアジア太平洋支配戦略はわれわれが核を保有するはるか以前から稼働し、以前からその基本目標はほかならぬ中国であったと主張した。
むしろ、70余年も反米対決戦の第1線で力に余る闘いを繰り広げ、米国の侵略的企図を挫折させて中国大陸の平和と安全の守護に寄与したのが果たして誰なのかについて率直に認め、われわれにありがたさのあいさつからするのが当然であろうと指摘した。
朝中友好の伝統的関係が当時、各国の利益に合致したためだとあえて罵倒(ばとう)する無知蒙昧(もうまい)な中国の一部の政治家と言論人は歴史の本質をはっきり知って口を利くべきであろうと強調した。
われわれが核を放棄しないなら、度合い強い経済制裁はもちろん、軍事的介入も辞さないと言うのは、自分らの利益のためならわが朝鮮の戦略的利益はもちろん、尊厳と生存権さえも当然、犠牲にならなければならないというごくごう慢な大国主義的論理にすぎないと糾弾した。
論評は、次のように強調した。
それが誰であり、国家の存立と発展のためのわれわれの核保有路線を絶対に変化させることも、揺るがすこともできず、朝中友好がいくら貴重であるとしても、生命のような核と交換してまで物乞いするわれわれではないということをはっきり認識すべきである。
すでに、最強の核保有国になったわれわれにとって選択の道は多岐であることをこの時刻にあえて再論する必要を感じない。
中国は、これ以上無謀にわれわれの忍耐心の限界を試そうとしてはならず、現実を冷静に見て正しい戦略的選択をすべきである。
中国は、朝中関係の柱を切り倒すこんにちの無謀な妄動がもたらす重大な結果について熟考する方がよかろう。

 5月4日付の環球時報は、単仁平(環球時報評論員)署名文章「朝鮮とは論争せず その核保有には妥協せず」を掲載して、朝鮮中央通信の以上3つの文章に対する論評を加えました。中国の朝鮮核問題に関する基本的スタンスを示すもので、そのスタンスは今日に至るも変わっていませんので、この機会に大要を紹介しておきます。

 朝鮮中央通信は3日夜、「朝中関係の柱を切り倒す無謀な言行をこれ以上してはいけない」と題する署名入り論評を発表し、名指しで中国政府関係メディアが朝鮮核問題について数多くの文章を掲載していることを「事理と分別を失った」とし、「朝鮮の自主的合法的な権利及び尊厳に対する侵害」を構成していると批判した。
 この文章は、最近における朝鮮中央通信による3回目の中国批判の署名文章であるが、前の2篇が中国の国名を名指ししなかったのに対して、3日付文章ははじめて中国を名指しした。
 文章は、朝鮮が核実験を行うことを弁護し、中国メディアが朝鮮の核実験は東北3省の安全を脅かすとした主張に反駁し、この主張は「科学的根拠を欠く」と主張し、その理由として、これまでの5回の核実験において核実験場近辺の朝鮮住民は「いかなる影響も受けなかった」し、「アメリカが最先端の探測設備を動かしたが、放射性汚染は一切観測しなかった」とした。
 文章はまた、中国政界及び世論界の人々による、朝鮮の核活動は「中国の国家的利益に危害を及ぼす」という見方を排撃し、「相手の信義がなく背信的な行動によって国家の戦略的利益を重ねて侵害されてきたのは決して中国ではなく、朝鮮民主主義人民共和国である」とした。…
 この文章は、「中国」「人民日報」「環球時報」という名称をあげ、感情的な表明を行った以外は、これといった実質的な新しい内容はない。文章は、中国が安保理決議に基づいてとっている朝鮮に対する制裁行動に言及していないし、朝鮮が今後具体的にどうするかについても語っておらず、「激情に満ちあふれた論戦の文章」という趣である。
 平壌は核問題を巡って非理性的な思考に陥っており、中国としてはこれに対して真っ向勝負の論戦を行う必要はないと考える。我々は我々の言い分を言い、彼らは彼らの言い分を言うということだ。
 中国が我々の立場と態度を表明するに当たっては、政府及び民間のものを含む必要がある。平壌に対しては、我々にとっての最大の関心が何か、ボトムラインはどこにあるか、朝鮮が新たな核実験を行う場合に中国はかつてない厳しい反応を行うということを知らしめる必要がある。これらの情報を伝える点においてはいかなる躊躇もあるべきではない。ただし、明確に述べた上は、朝鮮の反応に対して反論する必要はない。
 中朝間の対立点については公開の論戦を通じて解決を図ることは不可能である。朝鮮中央通信のこの文章から分かることは、平壌は中国外交の大きな枠組みのもとにおける「国家的利益」の含意について理解しておらず、中国東北3省の核汚染リスクに対する関心のほども理解していないということだ。この文章から分かることは、朝鮮の一種の「やりきれない思い」は朝鮮の封じ込められた環境のもとにおける偽りのない気持ちであるということであり、これに働きかけたり、メディアであれこれ言ったりしたとしても効果は限られているということだ。
 中朝間で必要なことはおそらくハイ・レベルの対話であり、ハイ・レベルでの意思疎通を通じてのみ必要な誘導もできる可能性があり、核兵器は「命のように貴い」という極端な認識から平壌を引っ張り出すことも可能となるだろう。
 平壌が中国に対してオープンにあれこれ難癖つけることは大したことではなく、朝鮮がどうするかがカギである。朝鮮はこれまでのところ第6回核実験を行っておらず、4月に行ったミサイル発射実験もある程度自制したものだった。現在の情勢のもとにおいては、朝米双方の姿勢には変わっている面があり、それらについて検討する必要があるし、リードし、形を作っていく必要もある。
 中朝関係の主導権は間違いなく北京の掌中にあり、朝鮮中央通信が、名指しであれ、そうでないにしても、中国批判の文章をいくら出しても中朝関係の内在的ロジック及び態勢には影響を与えるものではない。むしろ、その評論の中から、中国社会は平壌の思考方式についてより良く理解できるし、朝鮮核問題の解決が容易ではないことに対しても認識を増すことができるのだ。

3.朝鮮中央通信記事における中国批判論調

 朝鮮中央通信の記事をフォローしますと、6月に入ってからも、真っ向からの中国批判ではありませんが、中国を当てこすったものは出ています。それらの文章をまとめて紹介しておきます(強調は浅井)。こうした論調を踏まえた上で、1.の文章を読み返しますと、朝鮮も中米の「仲違い」を注目していることが分かるというわけです。

<朝鮮の核は平和守護と民族復興の絶対的象徴>

【平壌6月2日発朝鮮中央通信】キム・チョルミョン氏が2日、「朝鮮の核は平和守護と民族復興の絶対的象徴である」と題する文を発表した。
筆者は文で、朝鮮の核保有は米国の核恐喝と対朝鮮敵視政策がもたらした必然的帰結であるということについて明らかにした。
共和国は、この世に核兵器が出現した初期からこんにちまで米国の核攻撃の標的になって恒常的な核脅威にさらされてきた。
米国の極悪な対朝鮮敵視政策はアジア太平洋支配戦略、ひいては世界支配戦略にその根本を置いている。
朝鮮半島で冷戦の最後の障壁が崩れれば南朝鮮占領米軍の存在名分が消え、アジア大陸侵略のための橋頭堡を失うだけでなく、日本と南朝鮮の対米依存度が低まる結果をもたらして米国のアジア太平洋支配戦略は総破たんを免れなくなる。
このため、米国は朝鮮半島情勢を悪化させ続ける方法で南朝鮮と周辺地域に対する軍事力増強と戦争策動を合理化する一方、共和国を圧殺して全朝鮮半島をアジア大陸侵略のための前哨基地につくってみようとヒステリックにあがいているのである。
結局、われわれは朝鮮半島を自分らの世界支配戦略実現のいけにえにしようとする米国の核恐喝・脅威から民族の運命と国の自主権、地域の平和を守ろうとする高い責任感と重大な時代的使命感、決然とした意志を持って核保有の道を選択せざるを得なかった。
朝鮮の核保有は急変する情勢に対処するための一時的な対応策でもなく、いかなる対話テーブルに上げる駆け引き物でもなく、革命の最高利益と民族の安全を守るための最上の戦略的選択である。
文は、朝鮮の核が平和守護の永遠の霊剣であるということについて指摘した。
朝鮮半島は地政学的位置の重要性から歴史的に外部勢力の侵略を受けてきたし、第2次世界大戦後には東西の両陣営の戦略的利害関係が先鋭に衝突する世界最大のホット・スポットになってきた。
米国のしつこい圧迫と核恐喝の中でも、共和国は強力な核抑止力によって朝鮮半島と北東アジア地域で米国の新たな世界大戦の挑発企図を挫折させ、地域の安全と世界の平和を守ることに大きく貢献した。
核大国と誇っている諸大国が米国の核恐喝に怖気づいて伝統的な友好関係まで崩しているこんにちの険悪な現実は、朝鮮半島で核惨禍を防ぎ、地域の平和を維持できる唯一の力は核戦力を中枢とする朝鮮の強力な軍事力にあるということをはっきりと示している。
文は、朝鮮の核が共和国の尊厳と力の絶対的象徴であり、民族復興の万年、億年の保証だということを強調した。
2006年10月9日の第1次地下核実験の壮快な雷鳴は、朝鮮の軍隊と人民に大きな喜びと歓喜を与え、富強、繁栄する民族の将来を祝福した。
その後、次々と行われた地下核実験と水爆実験の完全な成功は、アジアの核強国に高く浮上した共和国の絶対的地位をいっそう強固にし、世界の政治構図にも大きな地殻変動を起こした。
国の経済発展と人民生活を向上させるための経済強国建設の頼もしい保証はただ、強力な核抑止力によってもたらされるということは、朝鮮人民が世紀を継いでくるし烈な朝米対決戦を通じて得た貴い真理である。
文は、朝鮮の核はこの地上に核脅威が存在する限り、瞬間も放棄することができず、億万金とも換えられない民族の生命、最高の利益であるとし、次のように強調した。
米国とその追随勢力が気を確かに持って正しい選択をする時まで、高度に精密化、多種化された核兵器と核打撃手段を次々と作り出し、白頭山大国の核兵器廠を磐石のように固めるというのが、われわれの揺るぎない意志、一貫した立場である。
1950年代に世界「最強」を誇っていた米国の下り坂の端緒を創建されて間もない人民朝鮮が開いたなら、今後、米帝の悲惨な終えんの最後のページも偉大な先軍総帥を高くいただいて高度に近代化、多種化された各種の核打撃手段を完備したアジアの核強国朝鮮が記すことになるであろう。

<朝鮮外務省代弁人 米国と国連安保理がまたもや繰り広げた反共和国「制裁」策動を糾弾>

【平壌6月4日発朝鮮中央通信】朝鮮外務省のスポークスマンは、共和国が響かせた勝利の砲声に慌てた敵対勢力が卑劣な反共和国制裁圧迫策動にヒステリックに執着していることに関連して4日、談話を発表した。
3日、国連安保理は核戦力強化のためのわれわれの弾道ロケット発射に言い掛かりをつける「制裁決議」なるものをまたもやつくり上げた。
米国が中国と長い間「協議」してつくり上げたという今回の「決議」は、われわれの核およびロケット計画に関連する団体と個人を「追加制裁」の対象に規定した。
これに先立って、米国は自分らなりに反共和国「単独制裁」を発表し、われわれと関連があるというロシアなど第三国の企業と個人に対する「2次制裁」も含めた。
談話は、米国と国連安保理がまたもや繰り広げた反共和国「制裁」策動をわれわれの核戦力強化を阻んでわれわれを武装解除させ、経済的に完全に窒息させることを狙った悪らつな敵対行為としてしゅん烈に断罪、糾弾し、全面排撃するとし、次のように強調した。
自分らは世界で最も完成した兵器システムを永遠に独占するとして核兵器の近代化をはじめ軍備増強に没頭しながら、他国は核や「弾道」という言葉の付いたいかなる試験も、発射もできないということこそ、厚顔無恥なごう慢と独善、二重基準の極致である。
二カ国が裏部屋で勝手につくり上げた「制裁決議案」を国連安保理で強圧的に通過させ、それを「国際社会の総意」に包装して押し付けているのは、国際的正義を踏みにじって自分らの利益だけを追求する強権と専横の赤裸々な表現となる。
わが共和国に反対する「制裁決議」をつくり上げた国々が、それを通じてわれわれの核戦力の目覚しい発展を少しでも遅らせたり、阻めることができると考えるなら、それは完全な誤算である。
彼らが今回、いわゆる対話うんぬんも並べ立てたが、不当な前提条件をつけて「最大の圧迫」を加えながら対話をうんぬんするのは言葉にもならない
米国とその追随勢力が朝鮮半島の核問題の根源とその解決方途を悟って正しい選択をする時まで、高度に精密化され、多種化された「チュチェ弾」の壮快な雷鳴は世界を震撼させながら多発的に、連続的に絶え間なく響き渡るであろう。

<朝鮮代表団が国連安保理の対朝鮮「制裁決議」を排撃>

【平壌6月8日発朝鮮中央通信】朝鮮代表団が6日、ジュネーブ軍縮会議第2期総会で、最近、国連安保理の対朝鮮「制裁決議」に関連して次のような原則的立場を明らかにした。
米国とその追随勢力がわれわれの核戦力強化のための弾道ロケット発射にかこつけて強圧採択した国連安保理の対朝鮮「制裁決議」は、われわれの核戦力強化を阻み、われわれを武装解除させ、経済的に完全窒息させることを狙った悪らつな敵対行為である。
われわれはこれを強く糾弾し、全面排撃する。
国連安保理が常任理事国を含む一部の国々の核およびミサイル試験に対しては押し黙りながら、われわれの正々堂々たる自衛的措置をあえてけなすのは厚顔無恥なごう慢と独善、二重基準の極みである。
米国と中国が勝手につくり上げ、強圧通過させた「制裁決議案」を「国際社会の総意」に包装して各国連加盟国に押し付けているのは、強権と専横の赤裸々な表現である。
代表団は続けて、米国とその追随勢力が朝鮮半島核問題の根源とその解決方途を悟って正しい選択をする時まで、われわれの自衛的核戦力は絶えず強化されるということを強調した。

<「制裁決議」をつくり上げた者は誤算してはいけない 朝鮮中央通信社論評>

【平壌6月9日発朝鮮中央通信】米国と追随勢力が、卑劣な対朝鮮制裁・圧迫策動にヒステリックに執着している。
米国は、わが国に対する「単独制裁」を発表して関連のあるという第三国の企業と個人に対する「2次制裁」まで含めたのに続き、3日には国連安保理をそそのかしてわれわれの弾道ロケット発射に言い掛かりをつける「制裁決議」なるものをまたもやつくり上げた。
「第16回アジア安保会議」なる場でも米国防長官のマーティスは、「北朝鮮の核・ミサイルは明白で実存する危険」であると同時に、「全世界に対する挑戦」であると言いふらしながら、「米国は北朝鮮が核を放棄する時まで外交的・経済的圧迫を続ける」と強弁を張った。
米国が絶えず繰り広げている反共和国「制裁」策動は、われわれの核戦力強化を阻んで武装解除させ、経済的に完全に窒息させることを狙った悪らつな敵対行為である。
米国がわれわれに「制裁」を加える理由は決して、核とミサイルのためではない。
わが共和国が東方一角に社会主義のとりでに毅然とそびえて資本主義滅亡の不可避さを現実で悟らせながら、米国の世界制覇戦略の実現にブレーキをかけているというのがまさに、米国が「制裁」騒動に熱を上げる本当の理由である。
国連は決して米議会ではなく、米国の意思がすなわち、国連の意思にはなりえない。
国連憲章と国際法典のどの節目にも、大国と小国の義務と権利が異なるように規定されたり、米国に特殊な地位を付与するという条項はない。
歴代と同様、今回の「制裁決議」もやはり、米国の強権と専横に追随した勢力が汚らわしい駆け引きの末につくり上げた米国のための「決議」である。
「制裁決議」をつくり上げた者がそれを通じてわが核戦力の発展を少しでも遅滞させたり、阻んでみることができると思ったなら、それより大きな誤算はない。
思想におけるチュチェ、政治における自主、経済における自立、国防における自衛を必勝の戦略的路線にとらえて自力自強を底知れない原動力にして前進するわれわれには「制裁」などが通じない。
必要なすべてのものをわれわれの力と技術、われわれの資源で創造していく自強力、まさにこれがわが国の経済に貫いている根本原則である。
それゆえ、米国と追随勢力が悪らつな対朝鮮「制裁決議」を次々とつくり上げている中でも、わが国の経済は敵が願うように沈滞し、窒息するのではなく、恐ろしく飛躍している。
核大国と威張る諸大国が米国の制裁策動に同調しながら伝統的な友好関係まで崩しているこんにちの険悪な現実は、朝鮮半島で核惨禍を防ぎ、地域の平和を維持することのできる唯一の力は核戦力を中枢とするわが共和国の強い軍事力にあるということをはっきりと示している。
対朝鮮「制裁」はむしろ、わが軍隊と人民の革命信念と自強力を百倍にし、敵の反動的攻勢に革命的攻勢で立ち向かうという鉄の意志をしっかりと固めさせるだけである。
米国とその追随勢力が古びた「制裁」に期待をかけて百年、千年を待ってみても、与えられるのは羞恥と破滅しかない。
われわれの千万の軍民は、偉大な自強力と不敗の軍事的威力で米国と追随勢力の前代未聞の「制裁」圧迫騒動を粉砕するであろう。