安保理決議2270と中露朝の公式見解

2016.03.06.

3月2日に国連安保理は全会一致で決議2270を採択しました。中国、ロシア及び朝鮮の公式的反応を紹介します。なお、3月4日付の中国外交部WSによれば、同日、モスクワで中露両政府による第2回東北アジア安全保障協議が開催され、現在の朝鮮半島情勢に関して、下記劉結一大使の発言にある「三つの堅持」について双方が一致したこと、朝鮮に関する安保理関連決議を真剣に履行して朝鮮の核ミサイル計画を有効に阻止するべきこと、関係諸国に対して、自制を保ち、半島の緊張をエスカレートする可能性のある行動を取ることを避け、朝鮮半島問題を再び対話で解決する軌道に引き入れることを呼びかけることが話し合われたと紹介されています。

1.中国

 中国政府の公式見解としては、国連代表部の劉結一大使が決議採択後に行った安保理での発言(3月2日)及び中国外交部の洪磊報道官が定例記者会見で記者の質問に答えて行った発言(3月4日)があります。

<劉結一大使発言>
 本年1月6日、朝鮮は国際社会の普遍的反対を顧みず、核実験を再び行い、2月7日には,弾道ミサイル技術を使って衛星を打ち上げ、連続して安保理関連決議に違反した。中国はこれに対して明確な反対を表明する。中国は一貫して、朝鮮半島非核化実現を堅持し、半島の平和と安定の擁護を堅持し、対話と協議を通じた問題解決を堅持している。本日安保理が採択した決議は以上の「三つの堅持」原則を体現している。この決議は、国際社会が朝鮮の更なる核ミサイル能力開発に反対し、国際核不拡散体制を擁護する厳粛な態度を表明し、対話と協議を通じて朝鮮核問題を解決することを再度表明し、6者協議及び9.19共同声明を復活させる約束を支持し、平和的方法で朝鮮半島核問題を解決するために力を添えるものである。
 中国は終始、対話交渉などの政治的及び外交的方法を通じて国際紛争及びホット・イッシューを平和的に解決することを主張している。制裁は目的ではなく、安保理決議も朝鮮半島核問題を根本的に解決することはできない。本日の決議は、朝鮮半島核問題を政治的に解決する新しい起点及び「敷石」となるべきだ。歴史がくり返し証明しているとおり、対話と交渉は朝鮮半島核問題を解決する唯一の正しい道筋である。速やかに半島情勢を改善し、朝鮮半島核問題解決の可能な道筋を探究するべく、中国は関係諸国に対して、半島非核化交渉と半島の停戦メカニズムを和平メカニズムに転換する交渉とを併行して推進することを促す。この考え方は、半島非核化という大方向を堅持するとともに、関係諸国の主要な関心をバランスを取って解決するものであり、交渉再開の突破口を速やかに探し出すことに役立ち、確実に実行可能である。中国は、関係諸国と上記考え方を推進する具体的ステップを突っ込んで探究することを願っており、関係諸国が等しくこのために共同して努力することを希望する。
 中国は、朝鮮半島の隣接国であり、半島の安定に重要な責任を担っている国家であり、半島非核化を終始堅持し、半島に戦乱が生じることに終始反対し、自国及び地域諸国の正当な安全上の利益を終始擁護している。現在においては、関係諸国は半島の緊張した情勢をさらに強めるような行動を取ることを等しく回避するべきである。中国は半島にTHHADミサイル防衛システムを配備することに反対する。なぜならば、かかる行動は中国及び地域の他の国々の戦略的安全を損ない、半島の平和、安全及び安定を維持する目標に背馳し、国際社会が半島問題を政治的に解決しようとする努力を深刻に破壊するからである。
 当面の朝鮮半島情勢は高度に複雑かつ微妙であり、そうであればあるほど、ますます冷静を保ち、外交的知恵を発揮するべきである。中国は、関係諸国が中国とともに、半島及び東北アジア地域の平和と安定を維持する大局を終始出発点とし、戦争のもやを断固として吹き払い、知恵と共通認識を積極的に凝集し、半島非核化の実現に共同して努力することを希望する。中国は、責任を担う態度に基づき、関係諸国と意思疎通及び協調を強化し、早期に半島の長期的平和安定を実現するために積極的かつ建設的役割を発揮していくであろう。
<洪磊報道官発言>
 (質問)第一に、韓米は4日、合同ワーキング・グループを立ち上げる協定に正式に署名し、THHADシステム配備の議題を全面的に起動した。中国の見解如何。第二に、中国は、安保理決議2270の中朝貿易に対する影響をどのように評価しているか。
 (回答)第一の問題に関しては、関連報道に留意している。現在の朝鮮半島情勢は高度に複雑かつ微妙であり、関係諸国は、半島の緊張情勢をさらに強める行動を取ることを避けるべきだ。我々は、半島にTHHADシステムを配備することに断固反対であり、関係諸国が慎重に事を行い、中国の戦略的な安全を損なわないことを促す。
 第二の問題に関しては、安保理決議2270は、朝鮮の核ミサイル計画を阻止し、半島非核化を推進し、国際的核不拡散体制を擁護することを要求している。同時に決議は、朝鮮の民生及び人道上の必要に影響を及ぼすことを避けることをも要求している。中国は決議を厳格に執行し、国際的義務を確実に履行するだろう。
 強調して指摘したいのは、決議が重ねて述べているように、各国は、対話と交渉を通じて朝鮮半島核問題を解決するべく、6者協議を再起動することに力を尽くすべきだとしていることだ。我々は、関係諸国がそのための条件をつくり出し、朝鮮半島核問題を速やかに対話と交渉の軌道に引き入れることを希望する。我々はまた、関係諸国が中国とともに、半島非核化実現と停戦メカニズムの和平メカニズムへの転換の実現とを併行して推進する考え方を深く探究し、朝鮮半島の長期にわたる平和と安定の方法を探究することを呼びかける。
 (質問)報道によれば、安保理決議2270に基づき、各国は朝鮮から石炭、鉄鉱石及び鉄を輸入してはならないとされている。長期にわたり、中国は一貫して朝鮮の石炭輸出の主要対象国だった。中国は、上記安保理決議の内容をどのように履行するのか。
 (回答)中国は一貫して自らの国際的責任を確実に履行しており、決議2270を真剣に履行する。決議は、朝鮮による石炭、鉄鉱石及び鉄の輸出を禁止しているが、民生目的に属し、かつ、朝鮮の核ミサイル計画のための資金調達とは無関係なものは影響を受けないことを、各国は認定している。
 (質問)報道によれば、朝鮮の最高指導者・金正恩は4日、何時でも核兵器を発射できる準備をする必要があると発言した(浅井注:下記3.参照)。中国のコメント如何。
 (回答)朝鮮が行った第4回核実験及びミサイル技術を利用した衛星打ち上げに対し、安保理は決議2270を採択した。現在の半島情勢は非常に複雑かつ微妙であり、我々は、関係諸国が自制を保ち、言動に慎重を期し、緊張した情勢がさらにエスカレートしないようにすることを希望する。

2.ロシア

 ロシアの公式的反応としては、大統領府WSが、プーチン大統領が同日開催した安全保障会議の常任委員との会合(出席者の名前の中にはショイグ国防相の名前はありますが、ラブロフ外相の名前は出ていません)で、シリア問題とともに「増大する北朝鮮の緊張」について意見交換が行われたことを紹介しています。以下では、ロシア外務省情報プレス局による安保理決議に関するコメントを紹介します。

 国連安保理は、3月2日、コンセンサスで採択された北朝鮮に対する決議2270で、国際共同体の一致した意見を表明し、無責任な核ミサイル・ゲームを拒否した。
 新決議は強硬なものである。しかし、これは止むを得ない措置であり、過去10年間、決議1695,1718,1874,2087及び2094に基づき、平壌がその核ミサイル計画を直ちに放棄することを安保理が要求したことを北朝鮮が公然と無視したという事実によって必要となったものだ。安保理決議はすべての国連加盟国に対して拘束力があることを想起されたい。
 我々は、北朝鮮に対して以下のことを希望する。この決議に適切に対応すること。正しい結論を引き出し、6者協議参加国による2005年9月19日の共同声明に基づき、対決的なインフラを解体し、効果的かつ正統な国際的安全保障メカニズムを据えるため、かつ、北東アジアにおける軍事政治的デタントのために、朝鮮半島核問題解決に関する交渉のテーブルに戻ること。
 我々はまた、決議2270が北朝鮮人民の経済的及び人道的状況を悪化させる根拠とされないことを期待する。緊張をエスカレートさせ、軍備競争を加速させることはさらに受け入れられない。そのようなことは、この地域に現れている新たな分割線を固定化するものである。我々は、計画されているTHHADシステムの韓国への配備に伴うコストを関係諸国が考慮することを希望する。

 なお、3月4日付の環球時報は、外交学院ロシア研究中心主任であり、中露関係史学会常務理事の高飛署名文章「朝鮮核危機におけるロシアのそろばん勘定」を掲載しています。中露戦略パートナーシップが喧伝される中で、朝鮮核問題に関するロシアの思惑の所在を分析しようとする文章が現れること自体が実に珍しいことです。内容的にも興味深い指摘が含まれていますので、以下に大要を紹介しておきます。

 今回の朝鮮制裁決議に対するロシアの立場及び同国が発揮した影響力は無視することができない。ロシア国連代表部のチュルキン常駐代表が安保理で行った発言は、「叩くとともに引っ張る」という策略を反映しており、ロシア自身の関心の所在とグローバルな戦略的計画を顕著に示している。
 第一に、ロシアと朝鮮は隣国であり、領土的縦深のない朝鮮が核実験を行うことは隣国に影響する可能性があり、チェルノブイリ核事故の悲劇の記憶は今日のロシアにとって今もなお新しいものがある。ロシア連邦委員会国際問題委員会主席のクサチョフ(音訳)が述べたとおり、平壌からウラジオストックまでは700キロ足らずであり、朝鮮のいかなる核計画もロシアの国家的安全に直接影響を及ぼす。したがって、影響がいかに限られたものであるにせよ、ロシアが朝鮮の行う核実験に反対し、朝鮮が核保有国になることに反対するのはごく自然なことである。
 第二に、自国の利益及び大国としての地位という考慮がある。ロシアは大国であり、安保理という舞台における存在感を示し、自国の利益を擁護するということは、ロシアの一貫して変わらない原則である。一方でチュルキンは、「朝鮮の国際社会に対する挑戦を考慮すれば、この決議は非常に必要だ」と述べる。他方で彼はまた、決議に関する討論の中で、ロシアの利益にかかわる条項については「ロシアの受けとめ方を考慮する必要がある」とも言う。ロシアの堅い立場のもと、朝鮮・羅津港経由のロシア産石炭に対する制裁は、最初の草案から削除された。このほか、ロシアは朝鮮に対処する上で前面に出ることを望まず、ロシアの衛星ニュース・ネットの報道によれば、3月1日にロシアの小麦2500トンが海路で朝鮮に運ばれたということだ(浅井注:3月3日付コラム参照)。
 第三に、朝鮮に対する制裁という問題で恨みを買いたくないということだ。近年における国際政治経済情勢の変化に鑑み、ロシアは対朝鮮関係を発展させることを非常に重視している。2013年、ロシアはハッサン-羅津鉄道を改造し、韓国その他のアジア諸国に対する石炭輸出に使用することにした。2015年、「ロシア-朝鮮友好年」を起動し、二国間関係は不断に上昇している。核大国としてのロシアは、責任を負う大国としてのイメージを守る必要がある。朝鮮のために他の国々の恨みも買うこともしたくない。ロシアとしては、中国との協力及び友好を守り、緊密な意思疎通を維持する必要がある。ロシアはまた、アメリカがロシアのすべての関心を考慮するわけではないことを知悉しており、論争のある問題に関しては常に妥協する準備をし、露米関係における良好な雰囲気を作ろうとしている。
 今回の朝鮮核危機においては、ロシアはその過程においてユーラシア大陸の戦略的そろばん勘定をしている。ロシアは、ユーラシア大陸を股にかける大国だ。経済指標から見ると、2015年のロシアのGDPは80兆4125億ルーブルで、米ドル換算では約1.3兆ドルである。これは、中国の約1/8、アメリカの1/13であり、一流大国とは見なしがたい。しかし、外交という面で見ると、ロシアは相変わらず世界大国としての「腕前」を示している。現在、ロシアの獅子身中の虫はウクライナ危機である。ウクライナ危機は、ロシア再起の夢を泡と化し、西側との相互信頼も深刻に損なった。「新冷戦」の暗雲のもと、西側の制裁はロシアにとって耐えられないものとなっている。朝鮮の行う核実験がロシアの自然環境に悪影響があるにせよ、ユーラシアという広々とした空間において朝鮮というカードをうまくしたたかに利用することは、アメリカとの交渉上の手札を増やし、西側との雰囲気を改善し、中国との戦略的協力を強固なものとする上で極めて有利だ。ロシアの双頭の鷹の国章と同じように、ロシアが東方外交の舞台に立ち現れるときには、その目は西側をしっかりと目に入れていることを忘れてはいけない。

3.朝鮮

 朝鮮に関しては、3月4日付の「金正恩最高司令官が新型大口径ロケット砲の試射を指導」と題する朝鮮中央通信の記事、同日付の朝鮮政府スポークスマンの声明、同じく同日付の朝鮮外務省スポークスマンの談話があります。
 金正恩に関する記事に関しては、金正恩が核兵器による先制攻撃の準備を指示したことが大きく取り上げられています。確かに重大な発言であることは間違いありません。しかし、この発言は、アメリカが先制核攻撃の選択肢を含む「おあつらえデタランス」戦略を採用(2006年)し、韓国も先制自衛攻撃を織り込んだ「積極デタランス」戦略を採用(2010年)したことに対抗する趣旨から出たものであることを忘れるべきではありません。
また、朝鮮政府と朝鮮外務省がそれぞれ声明・談話を出すというのは、この2年ほど朝鮮中央通信をフォローしてきた私の記憶では初めてです。両者を読み比べてみるとき、大きくいって2点の違いを見ることができます。その違いは、声明が朝鮮の怒りをストレートにぶちまけているのに対して、談話は中露両国に対する外交的配慮をにじませていると言うことができる感じです。
すなわち、一つは、声明が「米国をはじめとする諸大国とその追随勢力」をやり玉に挙げているのに対して、談話は「米国」を非難対象にしていることです。もう一つは、声明は対決姿勢が前面に押し出されている(「強力かつ無慈悲な物理的対応を含む各種の手段と方法が総動員される」)のに対して、談話は安保理の不当性強調に重点を置いていること(「国連安保理が個別の国連加盟国から国際法に明示されている宇宙の平和的利用権利を奪うことができるという権限は、一体国連憲章のどこに規制されているのか」「数多くの国連加盟国、特に小国はこんにち、国連機構システム内で最も非民主主義的かつ不公正な古い構造と性格がそのまま残っている国連安保理の不当な各決議を無視することで自分らの反抗を表している」)です。

<朝鮮中央通信記事(抜粋)>
 「共和国の自衛的選択である核抑止力の強化と正々堂々かつ合法的な地球観測衛星「光明星4」号の打ち上げにかこつけて前例のない白昼強盗さながらの新たな「制裁決議」をつくり上げて主権国家の自主的権利まで不法化する暴悪非道な敵対行為を働いた米帝とその追随勢力の政治的・経済的圧力と恐喝、軍事的侵略狂気がこれ以上、放置することのできない重大な段階に入った。」
 「(金正恩は)今、敵がわれわれの尊厳と自主権、生存権を害しようと狂奔しながら、いわゆる「斬首作戦」と「体制崩壊」のような最後の賭博に執着していることによって、情勢はこれ以上袖手傍観できない険悪な境地に至ったとし、今や、敵に対するわれわれの軍事的対応方式を先制攻撃的な方式に全部転換させると述べ た。」
 「(金正恩は)今日の極端な状況の下で、わが民族の自主権と生存権を守るための唯一の方途は今後も、核戦力を質量共により強化して力の均衡を取ることだけであるとし、国家防衛のために実戦配備した核弾頭を任意の瞬間に発射できるように恒常的に準備しなければならないと強調した。」
<朝鮮政府スポークスマン声明(抜粋)>
 「われわれの水爆実験と人工衛星「光明星4」号の完全な成功にびっくり仰天した米国をはじめとする諸大国とその追随勢力は3月3日未明、とうとう国連安保理の名を盗用して悪らつな対朝鮮「制裁決議」第2270号をつくり上げた。」
 「米国をはじめとする諸大国とその追随勢力が57日間も密議をこらした末につくり上げた今回の「制裁決議」は、すでに予見したもので別に驚くべきことでも、新しいものでもない。問題となるのは、今回の「制裁決議」が不当な口実を設けて、自主的で正義の主権国家を孤立、圧殺するための最も露骨で、最も極悪な国際的犯罪行為だというところにある。」
 「第一に、国連安保理の悪らつな対朝鮮「制裁決議」を、尊厳ある自主独立国家であるわが共和国に対する最も極悪な挑発とらく印を押し、断固と排撃する。」
 「第二に、米国をはじめとする諸大国とその追随勢力がわれわれの自主権と生存権を露骨に踏みにじる道に入った以上、われわれの断固たる対応が伴うことになるであろう。われわれの対応には、強力かつ無慈悲な物理的対応を含む各種の手段と方法が総動員されるであろう。国の自主権と生存権が蹂躙されるのを目の前にしながら袖手傍観するわれわれではない。…朝鮮半島とその周辺で誰も望まない事態が起こるなら、その全責任は米国をはじめとする諸大国とその追随勢力、国連の「制裁決議」に加担した者らが負うことになるであろう。」
 「第三に、国連安保理が働いた今回の特大型の国際犯罪を契機に、不公正かつ不平等な国際政治秩序を決定的に壊すための汎世界的な闘争の炎をさらに強く燃え上がらせるであろう。…誰が何と言おうと今後も、並進路線の旗印をしっかりとらえて自衛的核抑止力をいっそう強化していき、衛星大国の頂上に向かってすでに選択した道に沿って果敢に前進するであろう。」
<朝鮮外務省スポークスマン談話(抜粋)>
 「米国がわれわれの水爆実験と衛星の打ち上げにかこつけて、国連安保理を盗用してもう一つの「制裁決議」をでっち上げた。」
「われわれの核保有は、世界最大の核保有国、世界唯一の核兵器使用国が尊厳あるわが共和国を「悪の枢軸」、核先制打撃対象に指名し、各種の核戦争殺人装備を引き入れて対朝鮮敵視策動と核脅威を絶えず増大させてきたことに対処した不可避の自衛の選択である。」
 「「決議」自体が安保理の権能外に誤って作られた強権の所産である。国連安保理が個別の国の核実験を禁止する権能があるならば、核拡散防止条約(NPT)はなぜ必要で、核実験禁止条約は何のために必要なのか。」
「衛星の打ち上げについて言うならば、それは主権国家の合法的権利である。われわれは、国際法的に公認されている自主的権利を堂々と行使して国家宇宙開発5カ年計画を作成し、それに従って地球観測衛星「光明星4」号を成功裏に打ち上げて正常稼働させている。国連安保理が個別の国連加盟国から国際法に明示されている宇宙の平和的利用権利を奪うことができるという権限は、一体国連憲章のどこに規制されているのか。」
 「数多くの国連加盟国、特に小国はこんにち、国連機構システム内で最も非民主主義的かつ不公正な古い構造と性格がそのまま残っている国連安保理の不当な各決議を無視することで自分らの反抗を表している。」
 「われわれの核抑止力強化は、米国の敵視政策が続く限り、恒久的に行われるべき正々堂々たる自衛権行使であり、衛星の打ち上げはたとえ米国の敵視政策が終息するとしてもそれには関わらず永遠に継続されるべき主権国家の合法的権利による宇宙開発事業である。…朝鮮半島の非核化が永遠に不可能になってしまった全責任は、対朝鮮敵視政策の放棄をあくまで拒否した米国が負うことになるであろう。」