安倍首相の従軍慰安婦に関する発言

2015.03.30.

安倍首相は、ワシントン・ポストのD.イグナチウスとのインタビューにおいて、次のやりとりを行いました(3月26日付同紙WS)。

  (質問)歴史についての質問だが、すべての国が自らの歴史について考えるし、自らの歴史について気分良くありたいと願う。安倍首相は時に「修正主義者」、つまり、日本が過去において行ったことのいくつかについて悪く言われることに対して、それは真実ではないと主張するものと言われる。そこで質問だが、安倍首相が修正主義者というのは正しいか。安倍首相がもっと正確だと思うように日本の姿を書き直したいのか。
  (回答)私の意見は、政治家は歴史の前に謙虚であるべきだということだ。歴史が論争の対象であるときは、その問題は歴史家及び専門家の手に委ねるべきだ。
  最初に明確に述べておきたいことは、安倍内閣は、村山談話及び小泉談話を含め、前政権が歴史について承認した立場を全面的に守るということだ。私は多くの機会にこの立場を明確に述べてきたし、今もこの立場を守っている。安倍内閣はまた、河野談話を再検討することはないことも非常の明確にしてきた。
  従軍慰安婦の問題に関しては、人身売買(human trafficking)の犠牲にされ、筆舌に尽くせない痛みと苦しみを味わわされたこれらの人々のことを思うと、胸が痛むばかりだ。この点に関しては、私の考え方はこれまでのすべての首相と変わっていない。これまでの歴史において、多くの戦争が行われた。その中で、女性の人権が侵害された。私の願いは、21世紀が人権の侵害がない最初の世紀となることであり、そのために日本は最善を尽くすということだ。

イグナチウスは、安倍首相とのインタビューに基づいてコメントも行っていますが、安倍首相の補佐官が、従軍慰安婦に関して「売買」(trafficking)と公に言及したのは最初であると述べたことを紹介しています。

 この問題に関し、3月29日付の新華社WSは、「安倍、「慰安婦」を「人身売買の被害者」と称した」と題する記事で取り上げて紹介するとともに、「慰安婦」問題を「人身売買」と称し、この問題の加害側について一切口を閉ざすところに、「慰安婦」などの歴史問題に関して「曖昧さ」を貫こうとする安倍の戦術がはっきり表れているとするAP通信のコメントをつけ加えています。
  また、3月29日付の環球時報WSは、荊楚WS(湖北日報が主体となって経営している湖北地域最大のSNS)が掲載した毛開雲署名文章「日本が強制徴用した「慰安婦」がどうして「人身売買」になってしまったのか」を転載しています。この文章は、要旨次のように厳しく安倍首相の発言を批判しなした。なお、検索サイト「百度」によれば、毛開雲は四川省で活動するジャーナリストです。

  安倍首相はアメリカ訪問を前にワシントン・ポストの単独インタビューに応じた。その中で安倍は、第二次大戦中の日本軍による「慰安婦」を「人身売買の被害者」と称した。この発言はアメリカお酔い日本のメディアの注目を集めた。
  第二次大戦中に日本軍が「慰安婦」を強制徴用した暴行は人々を激怒させるものだ。ところが安倍の口にかかると、「慰安婦」は「人身売買」となってしまう。これはうそであり、でたらめであり、安倍は反省しなければならず、謝らなければならない。
  ワシントン・ポストによると、安倍の補佐官は、安倍が首相になってから初めて公に「慰安婦」問題を「人身売買」と述べたと確認した。安倍に聞くが、誰が売人なのか。誰が加害者なのか。「慰安婦」などの歴史問題について「曖昧な」表現を堅持するのは安倍の一貫したやり口だ。安倍のこのようなのさばり方には、被害者は死後も安らかでいられないし、被害国の人民の憤慨は比べようのないものがある。
  「慰安婦」問題に関しては、日本は、加害者として公にかつ明確に謝罪しなければならない。日本の首相である安倍は、この歴史を勝手に歪曲してはならない。歴史を忘れることは裏切ることを意味し、罪責を否認することは犯罪を重ねることを意味する。日本は70年前に戦争に敗れたが、70年後の日本は良識においても敗れることがあってはならない。
日本が興亡のいずれに向かうかに関し、歴史問題は大きなポイントだ。安倍は現在、日本という船の行く先を握っており、日本を温暖な港に向かわせるのか、それともどん詰まりに向かわせるのかについては、安倍だけが正しい答と選択を行うことができる。