ウクライナ情勢と中国(環球時報社説)

2014.03.23

このコラムでしばしば紹介している環球時報社説ですが、ウクライナ危機(クリミア問題を含む)に関しては、3月5日と7日にそれぞれ2本、その後も13日、そして17日から20日まで連続4日間社説を出すという異例さです。日中関係が緊張したときでも、このようなことはありませんでした。それだけ、中国がこの問題を重大に受けとめていることが分かります。しかも、事態の進展のスピード特にロシアのプーチン大統領の行動の果断さは中国においても驚きをもって迎えられており、環球時報が立て続けに社説を出すことになったのも、正に情勢の変化のすさまじさを反映しているとも言えるのです。
他方、人民日報はこれまでのところ音なしの構えです。これもコラムでしばしば紹介してきた鐘声署名文章がこの問題については一つも現れていません(この間の鐘声署名文章としては、日本の核武装の危険性を取り上げた1本だけです)。 環球時報社説の内容に関して言えば、キッシンジャーも顔負けの地縁政治一本槍の論調、国家利益を全面に掲げるアプローチには、私も正直辟易させられています。しかし、そういう「嫌み」の部分に目をつぶれば、その国際政治の観察力、分析力は脳天気な内容が多すぎる日本のレベルとは雲泥の差があることを承認せざるを得ません。
そういうことで、環球時報社説について紹介しようと準備を進めてきたのですが、次から次へと社説が現れ、まさか2週間程度に9本もの社説が出るとは思いもよりませんでした。また、内容的には重複する部分もあります。
しかし、9本の社説の内容を時系列で紹介することは、中国側の問題の受けとめ方の変遷あるいは発展を窺う上で意味があると思いますし、何よりも「ロシア(ソ連)=大国主義」という先入主に縛られる私たち日本人の「教条主義」的な受けとめ方とはまったく異なり、実事求是で物事を見る中国人の分析、認識の柔軟性(したがってウクライナ問題の本質)を理解することに役立つと思いますので、主要部分を訳出して紹介します。長くなりましたので、拾い読みして下さい(強調は浅井です)。

<3月5日付「中国はウクライナ危機の和平勧奨者たるべし」>
 ロシアはクリミアに出兵し、アメリカはロシアを「孤立」させると脅迫する。中国はどうすべきかは一つの難題だ。
 多くの中国の人々はプーチンのやっていることとても喜んでいる。プーチンは、ウクライナの親西側派を叩くことで、間接的に西側特にアメリカの顔をひっぱたいており、このことが中国の一般人の感覚としては憂さ晴らしになっている。しかし、中国の外交姿勢としてはこんなに単純であってはならないことはもちろんで、ウクライナの事態に対する政策を定める上での唯一の目標は中国の国家利益を増進することである
 ロシアと西側は深刻に対立しており、中国は第三者として双方にとっての獲得対象であり、したがって相対的に有利である。しかしこの有利性は絶対的なものではなく、中国がいささかでも間違えれば、いずれか一方の深刻な怒りを買う可能性があり、あるいは双方の好評を得ることができず、得点を稼ぐどころか失点してしまうこともあり得る。
 完全な「中立」はあり得ず、中国としてはまず「ノーマルな中国」であるべきだ。即ち、各国が中国はどうするだろうかと推測するような振る舞いをするということだ。中国がそのように振る舞うことのリスクは一番小さい。というのは、各国は実際上中国がそのように振る舞うことを受け入れる準備ができているからだ。その振る舞いかたとは何か。それは、「ある程度ロシアよりで、しかもロシアを公然とは支持しない」中国である。
 しかし、具体的にしっかり振る舞うことは必ずしも簡単なことではない。なぜならば、今回の衝突は長期戦になる可能性があり、中国の現在の影響力からすると、多くのカギとなるポイントで沈黙したくても沈黙してはいられなくなるからだ。どうしてもバランスが取れなくなり、一方を失望させ、不満にさせるとなるときは、中国としては、ロシアの失望と不満とが他の側の失望よりも前に来ることがないようにする必要がある
 少なからぬ人がロシアと西側の争いは中国の戦略にとって有利だと考えている。大きな判断としては間違っていないかもしれない。しかし、ロシアと西側の対立は持続可能なものである必要があるし、一番いいのは膠着したままで破綻しないことだ。しかし、双方が互いに本気になるならば、中国にとってのリスクは大きくなるということであり、そのような事態に対して中国が悠然と手綱裁きできるとは限らなくなる。
 したがって中国が観客だけにとどまるということは恐らく無理だろう。それでは、ウクライナ情勢に対する中国の介入は何を目指すべきか。和平を勧奨するということであるべきだと考える。
 これは決して絵空事ではないし、ましてやごまかしではない。まず、ウクライナ情勢が悪化し続けないこと、即ち本当の戦争にまで発展しないことは中国の利益に合致する。このことはロシアを含む各国の望むところでもあるだろう。問題はただ、いかなる条件によってウクライナの安定と平和を実現するかについて各国が深刻に対立していることにある。こういう時にあって、平和を勧奨することで一定の成果が実現する可能性はあるし、仮にできないとしても、中国自身に対するマイナスはない。
 中国の和平勧奨の方向性としては、ロシアのウクライナにおける利益が他の国々によって承認、尊重されることを支援するべきで、西側に対してはロシアを追い詰めすぎないように勧奨し、関係国すべてが現実主義に戻って、みんなが受け入れられる妥協に進むということだ
 中国が国際紛争を仲裁する経験はあまり多くなく、西側とロシアとの間を仲裁することに必ずしも十分な自信があるわけではない。しかし世界を見渡すとき、中国以上に資格があるものがあるだろうか。中国は、ロシアとの間で全面的戦略パートナーシップの関係にあるし、ウクライナとも同様の関係があり、西側との対話のチャンネルも大いにあり、もし中国がやってみないならば、一体誰ができるだろうか。
 現在、ワシントンは逃げ道を求めており、モスクワはウクライナの利益を保護したいけれども、出兵することで西側の激しい対決を招くことは考えていない。キエフ政権は受け入れ可能な結果を特に渇望している。中国がタイミングを見計らって各国に対話を促すことは、情勢に逆らって動くのではなく、むしろ情勢に従って動くということだ。
 ウクライナで起こった政治的な大逆転は中国の利益となるものではなく、仮にロシアが西側との全面対決に向かうとなると、中国も巻き込まれる可能性がある。ウクライナ情勢がこの両極端のどこか中間点で安定するとなれば、それは中国の利益にもっとも合致するし、各国の駆け引きとしてもっともあり得る結末だろう。中国としてはそういう結末の到来を促すべきだし、そうするチャンスにも遭遇しているのだ。

<3月5日付「中国世論は大いにロシアとプーチンを支持すべし」>
 アメリカは3日、ロシアとの貿易投資交渉を一時ストップし、ロシアとの軍事協力をストップした。オバマは、ロシアがウクライナの主権を「侵犯」した、「歴史と対立する側に立った」と非難し、アメリカはロシアを「孤立」させると表明した。
 ロシア外交は、2008年のグルジア出兵の時以上の困難に直面している。なぜならば、今回の発火点は欧州第2の大国・ウクライナであり、ウクライナの西側国境にはNATO諸国があり、今回は欧州の戦略的版図を決定する綱引きであって、米欧は簡単には引き下がらないからだ。
 プーチンは、ロシアがウクライナで軍事行動上の優位を確保するのに十分な手段を確保しているが、ロシアは西側の長期的な政治的圧力に直面するだろう。ロシアは土地が広く物産は豊かであり、経済に占める対外貿易の比重は小さく、世界の大国の中で自給能力がもっとも大きい国家であり、「すべてにおいて他者を求めない」とは言え、西側の連合によって孤立することはやはりしんどいことだ。ソチ冬季オリンピックがかくも盛大に開催されたということは、ロシア社会の中に国際社会に承認され、受け入れられることを望む心理が働いていることを物語っている。
 中国政府がウクライナの事態で求められる外交上のバランスに腐心しているとき、中国世論は自由に発言しており、大多数はロシア側に立っている。これら世論は、ロシアの行動は西側の長期にわたる戦略的圧力に対する反発であり、西側が壁際に追い詰める状況のもとではロシアとして他の選択肢はなかったと見做しているからだ。
 もちろん中には、このことが「他国の内政に干渉しない」原則に抵触し、中国が「是非を弁別」しないと中国の今後の外交にとっての陥穽となりかねないと考えるものもいる。しかし多数派の中国人は、ウクライナ問題はとっくに内政の範囲を超えており、ロシアと西側との力相撲の場となっていると考えている。内政とは何かについての解釈権は常に西側の掌中にあり、西側は至るところで干渉し、さらには武力を濫用している。西側は自分たちが他国の「内政」に手を出したことを認めたことがあっただろうか。
 我々はロシアを支持する世論に賛成したい。ロシアがウクライナにおいて西側の勢力が東進することに抵抗することは、ロシア自身の命運にかかわるだけではなく中国の重要な戦略的利益とも直接にかかわっているからだ。我々は常に朝鮮を中国が米日の力量に対処する上での緩衝地域と見なしているが、実際には朝鮮があまりにも小さいので、緩衝地域としての役割は限られている。今日のロシアと中国こそ、互いに国家復興にとっての本当の戦略的緩衝地域を構成している。仮にプーチンが指導するロシアが西側によって圧倒されてしまうと、中国の地縁政治上の利益に対して深刻な打撃となるだろう。
 人によっては、ロシアはかつて中国の多くの領土をかすめ取った歴史があり、この友人とは親交を結ぶことはできないと考えるものがいる。これは民間の素朴な発想であって、外交上の指導理念としては意味がない。中露関係には時とともに変化があったが、今日において世界を見渡すとき、ロシアはもっとも力になってくれる全面的戦略パートナーである。少なくとも今後数十年間、中国にとっての重要性においてロシアに代わる存在はあり得ない
 したがって、多くの世論はロシアに実際の支持を与えるべきだと主張している。これは正しい。外交的に、中国が「若干ロシア寄りの中立」を保つことは大多数の国々が受け入れており、中国がタイミングを見計らって仲裁を行い、各国が妥協を達成するためのステップを設けることに有利である。こうすることで中国と西側との対立を避けることができるし、モスクワにとっても有利だ。
 中国世論は思ったことを口にし、西側がウクライナの非合法的な政変に手を出したことが今日の事態膠着をもたらしたと非難することができる。そのことは、ロシアが道義的に孤立しているわけではなく、ロシアの反発は世界の多くの国々が抱いている西側の強権に対する不満を代表しているということを世界に分からせるために必要だ。
 我々としては西側がロシアと妥協するチャンスをつかまえることを願うが、西側が本当にロシアを制裁するならば、中国社会は必ずやロシアに対してさらに多くの支援、特に経済協力上の支援を行うだろう。西側は今ロシア経済をダメにすると公言しているが、彼らはロシアのレジリエンスを過小評価しているし、「西側が明るくなければ東側が明るい」という道理をも過小評価している。
 プーチンはカラー革命に対して教訓を与えたのであり、彼がロシアを率いて西側に抵抗することはグローバルな意義を持っている。中国がロシア寄りになれば、中国とウクライナの関係が損なわれるという心配は無用だ。それは考えすぎだ。ロシアを支持することは中国を強固にする上での大戦略であり、この大戦略が安定すれば、多くの二国間関係には問題が起こらないだろう。
 中国に必要なのは、複雑な国際環境にあって、熟練と自由自在を示し、様々な力を動員して自らの役割を豊かにすることだ。将来に向けた国際的な駆け引きにおいては、政府の力に頼るだけでははなはだ不充分であり、民間はさらに役割を担う必要がある。

<3月7日付「プーチン 西側が憎んでもどうしようもない相手」>
 ロシア議会が数日前にクリミアに対する軍事力使用を承認して以来、アメリカは西側を率いてモスクワ及びプーチン本人に対して猛烈な世論及び外交攻勢を発動している。今回クリミア議会が全住民投票を行うことを発表したのは、西側のやり方で西側に対して切り札を切ったということだ
 クリミアの全住民投票の結果がウクライナを離脱してロシアに加盟することを支持すれば(そういう結果になることを疑うものはほとんどいない)、西側がロシアの「侵略」を非難する理由はたちどころにほとんど説得力を失う。クリミアは現在のところウクライナの自治共和国であり、クリミアが政治的地位を変えたいとすれば、西側としてはあら探しができるだけで、ロシアの出兵を罵るようにはクリミアを罵るわけにはいかない。
 プーチンは再びワシントン以下の西側にとって非常に手強い相手であることを証明している。彼は一見非常に強硬で、思いきった手を打つことを躊躇しないが、同時にまた外交的手腕にも長けており、苦境にあってもチャンスを捉えて突破を実現する。彼はスノーデンに居場所を与え、シリア情勢をひっくり返し、ワシントンにとっては非常に不愉快だが、どうしようもない相手だ。
 プーチンが指導するロシアは西側の「東方拡大」と命がけの闘争をしようとしているようであり、これについて西側はプーチンに対して「私怨」を抱いている。西側世論のロシア大統領に対する攻撃は常に猛烈であり、昨日、ヒラリー・クリントン前国務長官がプーチンを批判するときに、公然とアドルフ・ヒットラーの名前に言及した。2年前にプーチンが3度目の大統領に立候補した際は、アメリカは彼の反対派がその当選に対して疑問を提起することを支持した。プーチンが大統領である限り、米露関係が根本的に改善する見込みはほとんどない。
 プーチンのような挑戦者は西側にとって長らく出会ったことがない人物だが、プーチンの政治的性格はある程度において西側が無理強いしたものだ西側は、ソ連の解体後にロシアを好意的に取り扱わず、絶え間なくロシアの戦略的スペースを圧迫し、プーチンの外交政策が少しでも強硬になると、西側世論はプーチン自身を攻撃し、プーチンとしてはもはや退路がないのだ
 冷戦後、西側に対抗した中小国の指導者は、その多くが悲劇で終わっている。西側は、武力干渉でそういう指導者が指導する国家を転覆し、あるいはそれらの国家の反対派を支持することによって西側に対抗する政権を転覆させてきた。プーチンは正に西側にとっての最大の目の上のたんこぶになっている。
 プーチンにとっての本当のリスクは多分国内だろう。プーチンに対する支持率は最近上がっており、67.8%に達している。この数字は普通にいえば低くないが、西側と尖鋭に対立する政策を支えるものとしては高くないことが明らかだ。
 ロシアは2008年のグルジア危機においては勝ったが、ウクライナ危機のエネルギーが完全に放出されるとなれば、2008年当時よりはるかに大きくなろう。モスクワがこの規模の危機をコントロールできるならば、ロシア国内の当面の団結は大きな脅威に見舞われないだろう。しかし、ロシアと西側との対立が長期にわたって尖鋭化するとなれば、ロシア国内は現在よりはるかに深刻な試練に直面する可能性がある。経済の衰退、反対派などのアキレス腱がすべて露呈するだろう。「新冷戦」となれば、ワシントンの方が上だ。
 今日までのところ、モスクワはクリミア情勢を成功裏に掌握しており、銃声もほとんど聞こえてこない。クリミアは「天地がひっくり返る」状況にあるが、衝突は最低限に抑えられている。次の段階としては、プーチンと西側指導者がどのように勝負を続けるのかを見なければいけない。

<3月7日付「西側の「新干渉主義」 世界の至るところでドアをノックしている」>
 西側大国の他国内政に干渉する願望は金融危機による困難によっても低下していない。その原因の一つとして、インターネットの時代においては干渉がさらに容易になったことがある。冷戦終結後のコソボ戦争は、西側の「新干渉主義」のモデルをつくり出し、今日の「新干渉主義」は情報化の技術の助けを得てスタイルが隠ぺい化される反面、多くの非西側諸国に対して不断に広がっている。
 西側は今日の世界における最大の「利益集団」と言うことができ、人類の発展における西側の中心的地位を擁護し、現在の国際政治経済秩序を固定化することは、大多数の西側諸国の共同の利益となっている世界は相変わらず格差に充ち満ちており、国家間は平等からほど遠いが、西側が世界の「貴族的地位」に位置してこの地位を守ることは彼らの「核心的利益」なのだ
 西側にはその価値観を世界に推し広めたいという自然な関心があるが、この推し広めるということが西側大国の国家政策となるとき、性格が変化する。これら諸国は「新干渉主義」の照準を、真っ先に西側と協力しない国家及び西側権力にとって潜在的に脅威となるグローバルまたは地域的な国家に合わせる
 ウクライナ情勢に関して、西側は現在一斉にロシアの「干渉」及び「侵略」を非難しているが、実はそれ以前に、西側はウクライナ情勢の変化に対して強大な影響を及ぼしていた。ウクライナの状況には特殊性もあり、ロシアと西側との間に位置しているため、西側はウクライナ国内政治を主導し、EU及びNATOの「東方拡大」継続を実現しようとした。
 「新干渉主義」はさらに発展し、西側大国の政府及び社会の暗黙の合意に基づく連携運動となっている。西側経済は困難と停滞に陥っているが、長期にわたって培ってきた政治文化的優勢が自らの使い道をこじ開けた。ネット時代における様々な社会の近距離での接触を通じて、西側はさらに強力にそのイデオロギーを伝播し、非西側国家の反対派を鼓舞することができるし、西側諸国にはそういう活動に参与することを望む「志願パワー」が多く、コソボで戦った「新干渉主義」戦争よりもさらに思いどおりに事を運ぶようになっている。  ある国家が西側の干渉の目標となってしまうと、そのハラスメントから逃れることは難しい。どの国家にもそれなりの事情はあるのだが、西側は「普遍的価値観」によって干渉を受ける国家の人々の思考を圧倒する。というのは、西側の世論の力は実に強大だからだ。
 西側の発達した社会の様相は、第三世界諸国の人々にとって抑えられない魅力がある。社会システムを変えること、あるいは暴力で政府を打倒することがそのまま、後進国が先進国の仲間入りすることを意味するものではないという理屈は極めて簡単なことだが、「西側と同じ憲法を持てば、我々はすぐさま西側と同様になることができる」という甘言で人々を丸め込むことは、やはり簡単に通るのだ。
 いかなる社会、特に大きな社会の発展と進歩も艱苦に満ちたプロセスであり、人々が広場に集まってスローガンを叫べば、そのまま国家をデモクラシーと繁栄に導くことができるというような簡便なことがどうしてこの世界にあり得ようか。ところが西側がそそのかすもとで、この簡便な道を追い求めるおめでたい国家・社会が後を絶たないのだ。
 「新干渉主義」は中国のドアもノックしている。ここ数年、ばかげた主張が中国世論の場で巣を張り、中には流行しているものも出て来た。そのもとをたどればほとんどが西側から来たもので、かなりの部分がすでに「現地化」している。党の指導、軍隊の地位など中国の政治制度の根幹にかかわる部分に対する疑問の声は、「新干渉主義」が中国で「前哨戦」を行っているものだ。
 中国の改革開放の巨大な成果によって国家は不断に自らをうち固めており、今日我々が目にする「新干渉主義」の影はまだ、大都市の「限られたごろつき」レベルのものだ。我々としては彼らに対して緊張し、そのために注意力を過度に散漫にする必要はない。しかし我々は、この世界で何が起こっているか、我が門外に友人の他に誰が立っているのかについては知っている必要はある
 東欧から中東さらに中国周辺において、時間を隔てて「新干渉主義」の連続ドラマが放映される。時間があるときにはこれらのドラマを見てもいいのではないか。

<3月13日付「ロシア 今回は本当に西側を張り子の虎にした」>
 米欧や公には強硬を維持しているが、一定の兆候から判断すれば、西側はすでにモスクワがウクライナ東部のロシア人が優位を占める工業地帯に向けないことに新しいレッド・ラインを設定していることを示している。分析によれば、クリミアが今回の危機のピリオドであれば、西側のみならずウクライナ新政権もクリミアの結果という苦渋の結果を呑みこむだろうと見られている。
 西側世論は「プーチン大帝」の勇猛果敢なやり方に対して不平たらたらだが、今までのところ、ワシントン、ロンドン、パリ、ベルリンが発出している脅迫は慎重なものだ。ロシアとの軍事的対抗を行う意欲があることを納得させるものはいないし、経済制裁も曖昧であり、「ロシアを孤立させる」という言辞に至っては、プーチンはもともと西側世界で孤立していたし、国家全体としても孤立には慣れてしまっている。
 西側は今回、ロシア及びプーチンの前では「張り子の虎」のようなものだが、いかなる原因によってこうした局面がもたらされたのだろうか
 まず、西側はロシアの軍事力を恐れている。2013年のロシアの軍事費は700億ドル近くに過ぎないが、ソ連の時代に培った戦略攻撃力は今日もなおその名残を維持するのには十分だ。ロシアの戦略核ミサイルのエレクトロニクスの部品には老朽化したものもあるだろうし、使い物になるかどうかについては判断しにくいが、見た感じでは足が不自由な「北極熊」とは言え、西側はやはり畏敬の念がある。
 ロシアの強力な軍事力は、西側がロシアと衝突するに当たって戦争という選択肢を排除することを強いているが、そのほかのカードも、西側がモスクワを圧倒することができるかどうかの可能性について考えるに当たって、真剣に計算することを必要にしている。
 何もかもそろっており、輸出するのはエネルギー原材料という売れ行きがいい商品であるロシアに対して、経済制裁はいかにも難物である。アメリカの中には、欧州のロシアに対する天然ガスの依存を減らすことを手伝うことで、石油価格に打撃を与え、ロシア経済に対して抜本的な対策を取るという方法を唱えるものがいる。仮にこの考え方に現実味があるとしても、クリミアの国旗はすでに変えられてしまっている。また、世界のエネルギーに対する新たな需要のほとんどは新興国家であり、これらの国々が石油需要を減らせるのはいつの日になるかは分からず、「プーチン大帝」に対する対策としては間に合わないだろう。
 西側が政治的にロシアをかき乱し、モスクワに「革命」を起こさせ得るのであれば、それはもっとも効率的だろう。しかし、モスクワの民族主義(ロシアでは愛国主義とされている)の高まりに対して、「民主主義」は当面そのライバルとはならない。
 最後に、クリミアというカードはモスクワの勝算を自然に蓄積してきた。ロシア人が大多数を占め、ロシア黒海艦隊はセバストポリに駐留し、歴史的にロシアに属していた。軍事的あるいは民主的にクリミアで綱引きするにしても、西側としては「ぎっくり腰」になることを心配する必要がある。
 ウクライナは今や西側とロシアの衝突の最前線になっているが、西側の中心地帯からは遠く離れており、ロシアの核心的利益にはあまりにも近い。ロシアは西側よりもはるかに弱いが、ウクライナを本当に「切り裂く」となると、西側には躊躇が生まれている。西側の今回の尻込みは、グローバルな戦略の研究者にとって真剣に吟味する価値がある。
 ウクライナ情勢はさらに、地縁政治のあまりに強烈な動揺は今の世界では歓迎されず、大国としては避けられるのであればやはり避けた方がいいということを証明している。西側の政治的価値観を推し広めるに当たって、米欧大国は弱いものを対象にしようとするが、障碍にぶち当たると、非西側国家の「民主派」を助けるために命がけで尽力することはあり得ないのだ。西側はエゴであり、いつもそろばんをはじいている。もちろん、国際政治とは一貫してそういうものだ。

<3月17日付「クリミアの採決 中国の棄権は態度表明」>
 中国の「棄権」は明確な態度表明だ。それは、各国の主権と領土保全を尊重するという中国政府の一貫した立場を反映するものであり、同時にクリミア問題については「物事には原因がある」という中国の見解を表明したという意味も込められている。クリミア問題は簡単に白黒がつけられる問題ではなく、西側によるウクライナ情勢に対する干渉がこの地域をすでに混乱させていたのだから、ロシアの反発はとっくの昔に想定範囲内のことだ。問題は、両者の対抗を引き続きエスカレートさせるのではなく、如何にして取り除くかということだ。
 西側は現在脅迫のボルトを不断に強めているし、制裁という棍棒を振り回してさえいるが、そんなことをしてもプーチンに言うことを聞かせることはできないことをワシントンもその同盟国も認識するべきである。西側が際限なしにロシアの戦略空間を圧迫し続けることができると考えるのであれば、モスクワとしては受けて立つ以外の選択はなく、そうなれば西側としてはモスクワとの力比べで危険に充ち満ちた状況に持っていくことになるだろう。
 かつて西側に恐れられたソ連は轟然と解体し、東欧全体がまたたく間にNATOとEUに傾斜し、旧ソ連の多くの加盟共和国がNATOに加入し、それらによる地縁政治の突然の変化が生みだした圧力のほとんどをロシアは耐えてきた。西側の間違いは、モスクワがどんな気持ちであるかをその身になって考えず、貪欲に飽くことを知らず、他人の不幸に乗じてモスクワにこれでもかこれでもかと迫ってきたことだ
 ウクライナで2月に起こったことは、ロシア人からすれば「カラー革命」と定義されやすい。西側世論では早くからプーチンが「座視して顧みない」ことはあり得ないとする分析があったが、西側の頭に血が上った政治家たちは、彼らの支持を受けたウクライナの連中に対して自制するべきだと警告しなかった。
 西側は現在になって主権国家の領土保全の重要性を思い出しているが、以前は一体何をしただろうか。1999年のコソボ戦争の前、西側は主権国家であるユーゴスラビアに対してコソボ自治州から軍隊を撤退することを脅迫し、NATOは国連の授権のないもとでユーゴに対して70日以上に及ぶ空爆を行った。コソボの独立はひとえにこの空爆によって可能となったのだ。
 西側はさらにチェチェンの分離主義運動を支持し、欧米世論は常にチベットを「国家」として描き出し、クリミア独立運動以前の西側は、主権国家の領土保全という国際法規の尊重に対して数え切れないほどの落とし穴を掘っているのだ。
 クリミア危機は何よりもまず、キエフにおける「カラー革命」に対するウクライナ及び周辺の情勢の反発という色彩が大きく、「ロシアの版図拡大」と言っても、モスクワが周到に準備した計画のようには見えないロシアに対してクリミア及びウクライナに対する態度を変えさせたいのであれば、西側としては根本的にロシアを圧迫する戦略を改める必要があろう。ロシアと西側との緊張緩和及び妥協は相互方向的な場合にのみ可能となるのだ。
 冷戦終結後、アメリカ及び西側は絶え間なく軍事的打撃と制裁を発動し、それが有力な挑戦に遭遇しなかったために、彼らが人の上に立って天下に号令をかけるという悪習を身につけさせてしまった今回ロシアは西側に対して思いっきりひっぱたき返したようなものである。もちろんモスクワのやり方が国際法上完全に道理があるかどうかについてはいささか議論があるところだが。
 世界は道理及び国際法を語る必要があるが、そのようになるためには、道理及び国際法を語ることが国際社会にとって確固とした最高の原則となるようにする必要がある。二重基準が好きかってに氾濫し、西側及びアメリカにとって有利なことはすべからく遵守するべき道理であり、法であるというようなことであってはならないのだ。クリミア危機を通して、世界全体特に西側は率先してこの問題についてハッキリさせる必要がある。今回の危機の最終結果が西側の利益は至上であるということの今一つの表れということになるべきではない。

<3月18日付「露米は2匹のコオロギに非ず 中国に累が及ぶ恐れあり」>
 今回の危機は、西側とロシアが互いの敵意を改めて再評価する契機になり、そういう憶測から自制が失われる可能性があり、トゥキディデスの罠にはまって、西側とロシアとが協力を再開するのに必要な最低限度の信任という基礎もぶちこわされる可能性がある。
 とりわけ、西側のモスクワに対する敵視は相当程度までプーチン個人に対する嫌悪感に変わっており、そのことはロシアと了解を達成するための最重要なチャンネルの扉を閉める等しい。
 西側は恐らくウクライナ問題における戦略的譲歩は受け入れられないと考えているのだろうが、モスクワとプーチンにとっては、クリミアで失敗するということはそれ以上に受け入れられないことだ
 欧州が冷戦を再現することはないだろうが、西側とロシアの関係の大後退は避けられない。20世紀の思考方式及び駆け引き手段が部分的に復活し、グローバルな政事的雰囲気が緊張し、敏感になり、不確実性は政治領域から他の領域にまで徐々に蔓延していくだろう。
 西側とロシアとの対立がコントロールを失うと、危険は最終的に中国に及んで来る。ロシアと西側との対立は、2匹のコオロギが喧嘩しているというよりは、2頭の猛獣が互いに咆哮し合っている様に近い。国際情勢に対する見直しが進めば、多くの国家の行動の変化を導き、そのことによって中国が台頭するための外部の戦略的環境が書き改められ、中国としては次から次へと選択に迫られることになるだろう
 不利な局面が出現することを回避するために中国としては行動を取る必要がある。
我々がまずなすべきことはウクライナ情勢が次々とエスカレートする情勢を出現させないことだ。中国は、西側とロシアとの間で和解を勧める役割を積極的に果たし、双方が緊張緩和のステップをつくり出すのを援助する必要がある。今後の一時期において、西側とロシアは対決を激化するかどうかの十字路にあるが、中国は双方にとって取るに足らない力ではなく、裁判官にはなれないが、中国の力及び態度からして、誰も振り向きもしない観客席の野次馬ということでもあり得ない。
 次に、西側がGDPでは貧弱なロシアに対して弱気を示すというドラマチックな一幕について、中国としてはしっかりと認識しなければならない。即ち、地縁政治の最後のカードとして、軍事力は他に代えがたい支えとなる力だということだ。ソ連解体及び経済的衰退で長期にわたって衰えているロシアに対して、西側は今も畏敬の念を持たざるを得ない。このようなことは、中国のGDPがロシアの4,5倍あるにもかかわらず、中国としてはできないことなのだ。
 中国は軍事現代化特に戦略核戦力の発展の足取りを速める必要がある。そのことは、他の領域におけるいかなる成果によっても代位できない進歩なのだ。モスクワが今回発動した抵抗に対して、西側は改めて大国としての総合力評価に対する関心を刺激する可能性があり、軍事力を潜在的な外交上のテコと見做す可能性は増大するかもしれない。そして、中国は大国の中で軍事力の劣勢が明らかな国であると言わざるを得ない
 さらに、中国は西側と対抗する経験と人々の精神力が欠けており、いったん事に臨んだ場合に、西側がグルになって攻めてきたときに、中国社会が頑張るというのは難しい可能性がある。中国としては、このような対決を回避するべきは当然だが、このような対決を恐れない能力を持つ必要はある。そしてこの要素こそ、中国の総合力が形をなす上で欠くべからざる要素なのだ。

<3月19日付「プーチンの西側抑えつけ 難しさは長期的主導権」>
 (プーチンによる18日のクリミア併合を受けて)クリミアのロシア編入プロセスは外部が予想していたよりも早い。プーチンはロシアの利益を守る上での確固さを十分に示し、西側ひいては全世界に深い印象を残した
 次いでは、プーチンが一気呵成にウクライナ東部などさらに多くの地域で西側の言う「挑発的行動」をかけるか、それとも機転の利く弾力的な側面を見せるかということになるが、それ次第で西側のモスクワの戦略的意図に対する判断は影響されるだろうし、さらにはプーチン政権に対する認識にも影響が出るだろう。
ロシアの取った戦略的行動に対してオバマが取りうる手段には限りがあり、西側が現在取っている行動はおおむね、クリミアにおける稲妻的な情勢の進展に対する一時的な反応にとどまっている。西側はロシアの伝統的勢力範囲を絶え間なく蚕食することに慣れてしまって、プーチンが取った反撃に対して追いついていくことができなかった。
 プーチンはクリミアで反撃を発動し、冷戦終結後の西側の東方拡大攻勢を挫折させ、ロシアと西側との戦略的境界は改めて書き直された。西側の東方拡大の前線は延びすぎたし、経済危機も加わって、力は下降気味で衰えている。他方、不断に圧迫を受けてきたロシアは、経済回復によって反撃力を蓄えてきたため、モスクワは当面の主導権を握ったのだ。
 しかし、ロシアの力には限りがあり、つまり、ソ連当時の国力はなく、ワルシャワ条約の協力もないわけで、仮に西側がロシアと長期的持久戦という消耗戦を行う決心をした場合、モスクワが遭遇する挑戦はワシントン及び欧州が直面している試練よりも深刻なものとなろう
 経済制裁は双方が敗北する局面をもたらすだろうが、西側の経済規模はロシアの数十倍あり、アメリカの組織化のもとで圧力を分散することも可能であるのに対して、ロシアは一人で負担を背負い込まなければならない。この闘争に対する双方の投入及び痛みは非対称的であり、西側が冷戦期の意思を以てプーチンに対する場合、西側はやはりかなりの殺傷力を形成する力を持っている。
 もっとも重要なことは、ロシア社会の安定性が絶対に統御可能というわけではないことだ。ロシアの人々はここ数年の石油価格上昇がもたらした経済回復のうまみを味わっており、西側との交流に基づく緩みにも慣れ、クリミア危機は一時的に民族主義を刺激することは可能でも、現代社会における民族主義はバブル的性格を帯びており、国家の強硬な外交が人々の生活水準のダウンをもたらすとなれば、政府は最終的に支持を失うだろう
 西側はクリミアでの敗北は決まったと考えており、モスクワが次に最大限努力するべきことは、クリミアで戦火を交え、流血の事態を引き起こすことを避けることだ。ロシアは同時に、クリミア方式をウクライナ東部で再現しようとすれば、西側の反応はクリミアにおけるよりさらに激しく、もっと本気になるということを認識する必要があう。
 クリミアの一幕は欧州に激烈なショックをもたらしたし、モスクワにとっては勝利である可能性はあるが、ロシアと西側の長期にわたる対決の始まりでしかないかもしれない。ロシアと西側とはもめ事に充ち満ちていることは間違いないが、双方の摩擦を低強度のレベルに維持することがモスクワの長期的利益に合致する。プーチンたちは恐らくとっくの昔にそのことを分かっているだろう。

<3月20日付「ロシアの台頭 中国にとって良いか悪いか」>
 プーチンの地縁政治における肝っ玉には世界の戦略学者も思いが及ばなかったし、米欧に対するショックの大きさも深甚なものがあった。プーチンはこれまでのところ今回の欧州大陸の危機における主導権を握っており、ロシアはソ連解体後の病膏肓の状態からすでに回復し、ロシアの重大な利益にかかわるときには断固とした物言いをする力を獲得したことを世界に宣言したかのようだ。
 西側は意気阻喪し、ロシアを取り巻く小国は不安を洩らしているが、中国の世論はおおむね二つに割れている。一方の派は、プーチンの西側に対する有力な反撃を重視し、プーチンの精かんな風格は中国が西側からの戦略的圧力を軽減するのに有利であると考えている。もう一方の派は、クリミアの勝利によってモスクワが傲慢になり、さらには「道理をわきまえない」ようになって、北京が今後モスクワと付き合うことが難しくなることを心配している。
 どちらの言うことにも一理ある。総じて言えば、前者は中国の緊迫した地縁政治上の利益に立っているのに対して、後者はかつての歴史的経験に立った議論をしている。
 中国は近代史上ロシア帝国によって大損をさせられたし、新中国成立以後については、モスクワは実質的援助も与えたが、長期にわたりやはり圧力をかけて、我々としては息がつまる思いを味わった。したがって、再台頭するロシアはロシア帝国あるいはソ連の姿を再現し、中国の地縁政治上の悪夢となるのではないかと心配するものもいるわけだ。
 こういう心配には理由がないわけではない。しかし、時計が19世紀、20世紀に戻ることはあり得ないし、もっとも重要なことは、中国はもはや当時のような弁髪をつけた、世界の歴史の流れから取り残された国家ではないということだ。アジア及び世界において中国が占める実力に基づく地位は昔とは比べものにならず、中露の総合力比較にも歴史的な変化が生まれている。現在、中露の人々の中に相手を信頼しない感情はあるが、指摘する必要があるのは、現在の両国の置かれた状況及び今後の発展の潜在力から言って、中国側の警戒感はロシア側のそれよりも大きくあってはいけないということだ。
 今度相当長い期間にわたって、中国に対する最大の戦略的な圧力はアメリカをはじめとする西側から来る。この圧力は、地縁政治上のものであるとともに、相当程度においてイデオロギー及び価値観のレベルに押しひろげられたものである。これは普遍的な不確定性であるとともに、21世紀の中国にとっての核心的問題でもある。それは中露間の可変数よりもはるかに大きいものだ。
 ロシアの台頭は、その力量と規模から言って、上限がないというものではない。中国は世界の多極化を主張しており、かなり強大なロシアが共に多極を構成することは、世界がアメリカ一極によって支配されることよりもはるかに良いに決まっている
 モスクワには明らかに古い時代の「勢力範囲」の思考を持っており、このことは中央アジアで不断に影響を拡大する中国との間で摩擦を発生するかもしれない。しかし、中露が共同で作った上海協力機構もあり、中露間の違いは正常な範囲を超えたことはない。ウクライナ及び東欧を見るとき、NATO及びEUは排他的な政治的版図を作り上げ、ロシアは元来の勢力範囲及び旧ソ連領土から徹底的に追い出されている。東欧における影響力を回復することは、ロシアが台頭する上で直面する挑戦だ。
 北京とモスクワが上海協力機構における協力と違いとをしっかり掌握し、グローバルな問題で相互に呼応するならば、両国は長期にわたり、相互の戦略的協力及び助け合いの必要性を認識し、中露の全面的戦略的協力パートナーシップはそれぞれのグローバル外交の礎石の一つとなるだろう。ロシアの台頭はまずは西側との欧州における勢力範囲の境界画定プロセスということになるだろう。
少なくとも今後数十年にわたり、ロシアが中国に対する戦略的脅威を構成することはあり得ない。ロシアが再台頭することに対しては、我々としては自然に身を任せるという態度であるべきであり、同時にモスクワと交際するに当たっては中国の利益をしっかりと守り、互いに相手の利益を尊重する習慣を身につけるべきだ。中国にはそのようにする実力は身につけており、残った問題は能力と意思の問題である。