稲嶺・名護市長とケネディ駐日大使との会談

2014.02.14

私は、2月12日付の中国新聞網の「アメリカ駐日大使が米軍普天間基地移設先予定地の市長と会見」と題する記事を見るまで、その事実を知りませんでした。私が取っている13日付の朝日新聞と赤旗には、米大使と仲井間沖縄県知事との会談の模様は大きく載っていましたが、米大使と稲嶺市長との会談については載っていなかったのです。中国新聞網の記事では、「稲嶺市長が大使に対して、「辺野古沿岸は非常に美しいところであり、絶対に埋め立てを希望しないし、新基地建設も希望しない」と述べ、大使は明確な回答をしなかったこと、また稲嶺市長が「オバマ大統領に対して名護市民も埋め立てを望んでいないことを伝えてほしい」と述べたのに対して、米大使が「分かりました」と答えたことを伝えています。さらにこの記事は、両者の会談は大使の正式なスケジュールには含まれていなかったが、アメリカ側が12日に会談を行う希望を提起して実現したものであることをも紹介しています。
 私は、この記事を読んだ後でネットを検索してみた結果、琉球新報、フジテレビ、毎日新聞などが両者の会談についての記事を流していることを知りました。また、両者の会談について「知らぬは自分だけなのか」という反省もあってフェイスブックをチェックしてみましたが、TBSの金平茂紀氏が「東京と沖縄の温度差は12度。新聞紙面も激しく温度差あり」として、13日付の朝日新聞と琉球新聞一面トップの写真を比較できるように載せているのが目にした程度でした。その写真によると、琉球新報のトップの見出しは「辺野古断念を要求 名護市長、ケネディ大使と会談」でした。
 私は、名護の闘いは根本において日本のデモクラシーがホンモノになるための全国民的な意義を備えていると確信しますし、日米軍事同盟は日本の平和と安全を守るためにあるとする「神話」を打ち倒すためにも名護の闘いが勝利を収めることを心から願い、応援しています。72歳になった今の私にはなにもできないことは返すがえすも残念ですが。
 せめて稲嶺市長と米大使との会見の内容について一人でも多くの人たちに知って貰いたいと思いますので、ネットに出ていた琉球新報とフジテレビの記事を次のとおり紹介します。ちなみに、赤旗は14日(2面)で報道していましたが、朝日新聞は音沙汰なしです。

<琉球新報 2月13日(木)10時5分配信>
 沖縄訪問中のキャロライン・ケネディ駐日米大使は12日午後、米軍普天間飛行場の移設先とされる名護市の稲嶺進市長と那覇市内のホテルで会談した。会談で稲嶺市長は「辺野古を埋め立てる新しい基地を造ってほしくない」と述べ、同飛行場の名護市辺野古移設の断念を要求。ケネディ氏は明確な回答を避けた上で、「今回は限られた部分しか見ることができないが何度か足を運びしっかり見たい」と述べた。稲嶺氏がオバマ米大統領に伝えるよう求めたのに対しては「よ く分かった」と応じたという。
 稲嶺氏は1月の名護市長選で移設阻止を掲げた自身が再選されたことに触れ、「選挙結果が(市民の)反対の意思を示している」と訴えた。稲嶺氏によると、ケネディ氏から辺野古移設への協力を求めるような発言はなかった。
 会談は公式日程にはなく、米側から12日に申し出があり実現した。12日夕、那覇市内のホテルであった米側主催レセプションの前に個別に行われた。
 稲嶺氏は、絶滅危惧種のジュゴンやサンゴなどが生息する辺野古海域周辺の豊かな自然環境や新たな基地の規模を説明。市内の米軍基地の状況を説明した英語版の冊子を手渡した。ケネディ氏からジュゴンなど個別の言及はなかった。
 稲嶺氏は会談後、記者団に「(ジュゴンやサンゴについて)非常に関心を持って聞いてもらった。大使の辺野古視察前に話ができて良かった」と述べた。
 ケネディ氏は13日、普天間飛行場と辺野古の米軍キャンプ・シュワブを視察する予定。辺野古はヘリで上空から視察する方向だが天候次第で陸上からの視察になる可能性もあるという。
 11日夜に来県したケネディ氏は12日、仲井真弘多知事と県庁で会談し、基地負担軽減に努力する考えを表明。これに先立ち糸満市の平和祈念公園を訪問し 「平和をつくる仕事を推し進めるためにできる限り尽くすことを誓いたい」とコメントした。首里城も視察し、那覇市の首里高校の生徒と交流した。
<フジテレビ系(FNN)2014年2月13日(木)06:26>
沖縄・名護市の稲嶺市長は、沖縄を訪問中のアメリカのケネディ駐日大使と個別に会談し、普天間基地の辺野古移設に反対の意思を伝えた。
 稲嶺市長は「絶対に(辺野古を)埋め立ててほしくないと、新しい基地は造ってほしくない、そういうことを申し上げました」と述べた。
 ケネディ駐日大使との個別会談は、当初予定になかったが、12日午後5時半からのレセプションパーティーの前に、およそ20分間行われた。
 会談の冒頭、ケネディ大使は、稲嶺市長が選挙で再選されたことについて、「おめでとう」と祝意を伝えたという。
 その後、稲嶺市長が、辺野古の海や生物について説明し、「市長選挙の結果は、普天間基地の辺野古移設に、市民が反対しているということだ」と強調した。
 稲嶺市長は「名護市民もそこを埋め立ててほしくない、そう思っているんです。そのことを大統領にもしっかり伝えていただきたいと(伝えた)」と述べた。
 これに対し、ケネディ大使は「そのことはよくわかりました」と答えたという。

なお、13日付の環球時報は、「米駐日大使が沖縄を訪問 「カロラインは帰れ」と罵られる」と題する記事を掲げ、「怒った現地住民がデモを行い、「カロラインは帰れ」と叫んだ」と紹介しています。また同日付の中国新聞網も、共同通信電として、稲嶺市長が在京外国人記者協会で、早ければ4月にも訪米し、アメリカ政府関係者に直接辺野古移設案を諦めるように要求することを考えていると述べたことを紹介しました(稲嶺市長のこの記者会見については14日付の赤旗も報道しています)。