日本サッカー(中国メディアの評価)

2013.06.22

*中国メディアの対日論調は厳しいものばかりではありません。6月20日のコンフェデレーション・カップにおける日本対イタリア戦での日本の健闘に対して、6月21日付の人民日報ばかりではなく、北京青年報、重慶晨報、北京晨報、華西都市報(四川日報傘下の四川省最大の発行部数を誇る日刊紙という自己紹介あり)などでも取り上げて報道しています。
 私もこの試合に釘付けになりましたし、日本があの強豪・イタリアを相手に3点も奪ったことに感激しました。対ブラジル戦では、試合早々にネイマールに豪快なシュートを決められてすっかり歯車が狂ってしまったのか、まったく精彩がなかった日本でしたが、対イタリア戦ではその鬱憤を晴らすかの如く、ボール支配率55%の数字が示すように、むしろ日本がイタリアを圧倒し、勝ってもまったく不思議はなかった試合だったと素人として感じた次第です。
 中国人もサッカー好きです。近年の中国チームは散々で、日本にずいぶん水をあけられているのですが、日中関係が険悪な中、日本の闘いぶりを素直に賞讃する姿勢に、私はとてもホッとし、また、嬉しくなったのでした。一服の清涼剤という感じです。各紙の内容を紹介し、皆さんにもお裾分けさせていただきます(6月22日記)。

<人民日報「コンフェデ・カップ日本敗退 強い実力を示し、場面によってはイタリアを圧倒」>

 イタリアと日本は、普通では考えられないジェットコースター的なスコアで、一進一退を繰り返し、手に汗を握る試合となり、シュートで圧倒した日本が2点を先制したが、イタリアの電撃的な反撃で逆転された。しかし、両チームのスターであるバロッテリと香川真司がともにゴールを決めた。
 日本は敗れたが、岡崎慎司はジダン的な動きによって日本のプレーヤーの自信とテクニックを示した。残念ながら、ディフェンスとチャンスをつかむという点で不十分なところがあったために最終的に敗北した。

<北京青年報「日本、3-4でイタリアに惜敗 アジア・チャンピオンが全世界を驚かす」>

 ブラジルには0-3で敗れたが、アジア・チャンピオンの日本は後遺症を引きずらず、イタリア戦において闘志をむきだしにし、昨年の欧州チャンピオンをみっともない状況に晒した。惜しむらくは運がなく、2-0で先行したのだが、最終的には3-4で力尽きた。
 「日本の強さは信じられなかった。この試合は、プレーヤーとしての生涯においてもっとも素晴らしく、また、もっとも難しいものの一つだ。」やっとのことで勝利した後のデ・ロッシの率直な言葉だ。(中略)
 リードから逆転されても日本チームは闘志を失わず、岡崎慎司の同点ゴールで追いつき、その後はゴール・ポストとバーが日本のシュートを阻んだ。ミラノのスポーツ紙は、「イタリアの勝利については、3度にわたって相手シュートを阻んだゴール・ポストとバーに感謝しなければならない。要するに運がよかっただけだ」と評した。

<重慶晨報「日本チームに対しては憧憬の他なし」>

 日本はイタリアに負けはしたが、全世界を震撼させた。1990年代初期には、日本はまだアジアの2流で、中国は何度も勝利したことがあった。20年後には日本は世界でも一流に準じる強いチームに変わり、伝統的強豪にとっても厄介な存在となったが、中国はといえば、昔日のアジアの一流からタイにも1-5で敗れるほどに落ち込み、今や日本に挑戦する資格もない。我々としては、日本人が今日できるに至ったことを何時の日かできるようになることを憧れるほかないのかもしれない。

<北京晨報「(川淵前チェアマン)「民間に根を下ろして日本サッカーは着実に発展した」」>

(川淵前チェアマンの発言紹介記事)

<> <華西都市報「サッカー・ファン、日本チームに借りて中国チームをからかう」>

 中国がタイに1-5で敗れたという背景のもと、中国のサッカー・ファンにおける日本チームの人気はうなぎ登りだ。「世界でもっとも距離が長いのは生離死別ではなく、日本対イタリアの3-4に対して、中国対タイの1-5だ」「デ・ロッシは200分戦った印象だが、タイ・チームは朝の散歩をした感じだった」(中国サッカー・ファンの発言)。(7月には韓国で日韓豪中の東アジア4強の試合が行われるが)この4強のうちの日韓豪はブラジルでのワールド・カップ出場が決まっているというのに、中国チームは恥ずかしさで顔に汗を浮かべる以外にない有様だ。

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