朴槿恵の中国特使との会見(中国紙報道)

2013.01.13

*1月11日付の環球時報は、「朴槿恵、時間をオーバーして中国特使と会見、朝鮮の新たな挑発には厳しく対応と述べる」というタイトルで、朴槿恵・次期大統領が1月10日に中国特使である中国外交部の張志軍副部長と会見した模様を詳しく報道しました。朝鮮半島情勢に対する中国の姿勢を考える際にも留意すべき内容が含まれていますので、その報道内容を紹介します(1月13日記)。

 韓国大統領に当選した朴槿恵は、10日にソウルで、中国政府特使の外交部の張志軍副部長と会見した。張志軍は、胡錦濤主席及び習近平総書記の挨拶を伝達するとともに、習近平の伝言をも伝達した。習近平はその伝言において、朴槿恵が韓国第18代大統領に当選したことを再度祝福し、朴槿恵が中韓の了解と友好を増進し、両国の互恵的な協力を深めるために行ってきた貢献を積極的に評価し、中国側は中韓関係及び韓国が国際関係及び地域関係において果たしている重要な役割を極めて重視しており、韓国側とともに、前人の事業を受け継ぎ、将来の発展に道を拓き、共同して努力することにより、中韓関係が不断に新しくかつより大きな発展を遂げるように推進することを望んでいると述べた。
 朴槿恵はこれに感謝を表明するとともに、胡錦濤主席、習近平総書記など中国の指導者に対する挨拶を伝達するよう要請した。彼女は、韓中国交樹立後20年間の両国関係が実現した発展はあまねく注目されていると述べた。韓中は、しっかりした歴史的及び文化的な結びつきと広範な共同の利益を有している。彼女は就任後、韓中の友好及び相互信頼の増進、各領域における協力の開拓、人文特に青少年交流の促進をさらに増進するために力を尽くし、韓中の戦略協力パートナーシップのレベルを不断に引き上げるために積極的に努力するであろう。
 また朴槿恵のスポークスマンである趙允旋(中国語表記)は同日の記者会見において、朴槿恵が張志軍と会見したときに、国家及び国民の安全のため、朝鮮の核兵器開発を絶対に容認せず、朝鮮が引き起こす新たな挑発に対しては厳しく対応すると述べたことを紹介した。彼女はさらに、朝鮮半島の信頼醸成プロセスを通じて、朝鮮に対する人道主義援助を含む対話及び協力の窓口を広く開けるとも述べた。彼女は、韓国、中国などの国際社会は、朝鮮に対して統一したかつ明確なメッセージを送り、朝鮮が国際社会の責任ある一員になるようにするべきだと述べた。(彼女は、韓中)両国の新政府が朝鮮の核問題、朝鮮半島の平和及び安全問題で緊密に協力することを期待した。張志軍は、朝鮮半島問題を含む地域及び国際問題において協調と意思疎通を強化することを希望すると述べた。最近において朝鮮半島情勢が錯綜し、複雑であり、韓朝の相互信頼が欠けている状況の下で、朴槿恵が提起した朝鮮半島の信頼醸成プロセスが韓朝関係を改善することを期待する。朝鮮がロケットを発射した件に関し、張志軍は、国連安保理が朝鮮に対して警告を発したことに対して中国は必ずしも反対ではないと述べた。(しかし)今後緊張した局面がヒートアップすることを防止することがさらに重要である。
 今回の朴槿恵と張志軍の会談の雰囲気は極めて和んだものであり、メディアの記者に深い印象を与え、細部にわたる事柄は朴槿恵が韓中関係の発展を高度に重視していることを浮かび上がらせた。まず、メディアに開放した時間が増加した。今回、朴槿恵と張志軍の会見をメディアに開放した時間は15分であり、これに対して朴槿恵がこれまで他の人物と会見したとき(の開放時間)はすべて5分以内に制限されていた。分析筋によれば、メディアに対する開放時間が増えたことによって各国メディアはさらに多くのインタビュー機会に恵まれ、これによって今次会談の宣伝効果はベストになり、このような前例のないより方自体が韓中友好を外部に伝えることを希望している韓国政府の姿勢を示すものだ。
 次に会談の雰囲気は極めて和やかであり、双方が終始笑みを絶やさず、話し合いは極めて好ましいものだった。会見冒頭、張志軍は標準的なハングルで「新年多福」という言葉で朴槿恵に対する挨拶を表明した。彼は、「これは韓国に伺う機上でにわか仕込みで覚えた言葉です」と述べた。これに対して朴槿恵は善意溢れる微笑を返し、標準語の中国語で「新年快楽」という言葉で挨拶を返した。朴槿恵は中国語に精通しており、中国の歴史、哲学にも通暁しており、馮友蘭の『中国哲学史』を読んだことがある。したがって、双方は会談において、両国関係について話し合うに留まらず、両国の文化及び歴史についても語り合った。
 最後に、会談時間は予定を越えたが、これも中韓関係の緊密さを映し出すものだった。張志軍は会談後に中国メディアの記者に、今回の会談時間は55分間であり、朴槿恵が韓国大統領に当選してから外国ゲストに会見した中でもっとも長いものだったと紹介した。記者もまた、1月4日に朴槿恵が日本政府特使と会見したときは、会談時間がわずか30分だったことを想起した。
 韓国国内メディアも張志軍の韓国訪問に対して非常に注目し、総じて言えば、韓国国内メディアの受けとめ方は友好的であり、1月4日の日本特使の韓国訪問時とは際立った対照をなした。韓国の10日付朝鮮日報は、中米日ロ4大国の指導者の中で、中国共産党総書記の習近平と朴槿恵との友情がもっとも深いと報じた。習近平は2005年に浙江省党委員会書記の身分で韓国を訪問したとき、当時ハンナラ党代表だった朴槿恵と会見した。両者のランチは元々1時間と設定されていたが、最終的には2時間経ってやっと終了した。ランチが延びたのは、習近平が朴正煕大統領及びその「新村運動」の状況について詳細に質問したことによるものだったということだ。
 韓国の10日付文化日報HPは、朴槿恵が中国政府特使である外交部の張志軍副部長と会見したことは、彼女が鋭意進めている中米日などの主要国との接触を表すものだと述べている。1月4日に朴槿恵は既に日本政府特使に会見し、15日には韓国を訪問するアメリカ政府特使とも会見する予定である。「外交通商部によれば、朴槿恵が張志軍と会見した際、韓中関係の発展について話し合っただけではなく、朝鮮のロケット打ち上げに如何に対応するかについても話し合った。張志軍は胡錦濤国家主席の挨拶と習近平総書記の伝言を伝達したが、このことは、中国政府の朴槿恵に対する期待をはっきり示すものだ。」

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