米軍「再編」問題と普天間基地移設問題

2012.02.11

*2月8日に在日米軍の「再編」問題に関する日米合意が発表されました。この問題に関する新聞報道が流れ始めたときは正直言って唐突な感を受けたのですが、この日米合意の発表時に玄葉外相が記者会見で発言している内容を見ることを通して、私なりの頭の整理というか、今回の日米合意が相変わらず国民(特に沖縄)無視の、日米両政府だけの都合に合わせた呉越同舟の産物であることを理解することができました(2月11日記)。

 以下においては、8日の玄葉外相の発言と記者との一問一答を紹介しながら、適宜コメントをつけ加える形で、日米合意の背景と狙いとを整理したいと思います(要注目の箇所は太字にしてあります。)。今回の合意文の日英分対照表をコラムの最後に載せておきます。

<玄葉外相の冒頭発言>

お手元に日米共同で出させていただいた声明が届いているのではないかというように思います。発表文です。それについてひと言申し上げたいと思いますけれども、先週の金曜日(浅井注:3日)だったかと思いますが、私(大臣)から在日米軍の再編計画に関して日米間で柔軟性を持って協議をしているということをご説明をいたしました。その際に、この協議の結論を得るまでには時間はかかりますけれども、一定の方向性は早く示したいという話をしたと思います。今般、お手元のペーパーのとおり、今後の協議の方向性について日米の共通認識が得られましたので、先ほど田中防衛大臣と共に総理のところに参りまして野田総理に対してご報告をし、ご了承をいただいたところでございます。

(浅井注)
後の記者との一問一答で取り上げられるのですが、今回の文書の性格付けにこだわる玄葉外相(というより外務省事務当局)は、今回の合意を「今後の協議の方向性」に関する「日米の共通認識」を示したものとし、したがって両政府の正式合意には至っていない段階のものと強調しているのです。一般的な常識的感覚で言えば、「そんなことはどうでもいいじゃないか」ということなのですが、外務省事務当局(特に条約局)的感覚で言えば、「共同声明」ということになると、従来の日米間においては、沖縄返還合意の1969年のニクソン・佐藤共同声明のように、法律文書ではないけれども高度な政治的合意(政府を政治的に縛るもの)という重みのあるものということになりますので、今回の日米合意はそこまで重みを備えるに至っていない、いわば「経過的」「過渡的」性格のものと言いたいのでしょう。しかし、発言冒頭で玄葉外相自身が「声明」と表現してしまい、あわてて「発表文です」と言い直している(事務方から早速「訂正するように」とのメモが入ったのではないでしょうか。)ところを見ると、玄葉外相自身も外務省事務方の「こだわり」の意味がよく分かっていない可能性があります。

 冒頭の段落で、まず日米双方が沖縄の負担軽減と普天間飛行場の辺野古への移設について引き続きコミットしていることを確認をしています。そして、柔軟性を持って協議をするということを言っておりますが、いかなる意味におきましても普天間飛行場の固定化を容認するものではないということを、まず明確にしておきたいというように思います。その上で、グアムの持つ戦略的な重要性というものを指摘した上で、海兵隊のグアムへの移転は普天間飛行場の移設の進展に結びつけないで、つまりは結びつけることなく進めるというようにしているわけであります。その結果として、嘉手納以南の土地の返還も可能なところから実施をしていくということでございます。その際、グアムに移転する海兵隊の部隊の構成・人数については見直しが行われますけれども、それによって沖縄からグアムに移転をする人数が減ったとしても、最終的にこれまでの日米合意にある沖縄に残留する海兵隊の規模には変更がないということを確認をしているということでございます。これは金曜日にも私(大臣)が申し上げたところでございます。これまでも何度も申し上げておりますけれども、普天間飛行場の移設につきましては、とにかく沖縄の皆さまの理解を得ながら丁寧に説明をしていく必要があるというように思っております。そのためには、沖縄の負担をできるだけ早期に先行的に軽減をしていく、そして、あらゆる努力をしながら、やはり普天間の基地というのは、その危険性の除去というのが喫緊の課題でもございますので、この問題について丁寧に説明をしながら進めていくことが重要だというように考えているところでございます。
今回の日米協議は、正にそういったことを可能にするためのものということでございまして、今回の発表はその方向性を明確に示しているというように考えているところでございます。

(浅井注)
今回の日米合意の内容を、玄葉外相は外務省事務方の準備したペーパーに忠実に従って説明しているという点で、玄葉外相の発言内容を詳しく吟味しておく価値があります。
① 沖縄の負担軽減と普天間飛行場の辺野古への移設についてのコミットを確認。つまり、辺野古への移設計画はそのままということ。そう言わざるを得ないのは、「いかなる意味におきましても普天間飛行場の固定化を容認するものではない」という民主党政権の立場・タテマエを維持するためです。しかし、合意文では「両国は,普天間飛行場の代替施設に関する現在の計画が,唯一の有効な進め方であると信じている」と述べているにすぎず、「固定化を容認しない」とは言っていないのです。アメリカにして見れば、普天間固定化でも痛痒はないのですから。「沖縄の負担軽減」に至っては、合意文では「沖縄における米軍の影響を軽減する」と抽象的に述べているだけで、「沖縄の負担軽減」と言っているわけではありません。
② 今回の合意は、グアムの戦略的ハブとしての重要性を重視するオバマ政権の国防戦略見直しを打ち出した政策に出発点があり、この政策を進めるためには、「2+2」合意(ブッシュ政権時代の産物)のいわゆるパッケージ方式で自らの手足が縛られることをオバマ政権が不得策と判断したことによるものであること。日本がオバマ政権のこの政策転換に主体的かつ緊密にかかわってきたのではないことは、「日本はこのイニシアティブを歓迎する」という合意文の文言に明らかです。しかも、「沖縄から移転される海兵隊員を含め機動的な海兵隊のプレゼンスを持つ戦略的な拠点」としてのグアムの新たな位置づけは、裏を返せば、今まで日米両国の歴代政権によってあれほど強調されてきた沖縄の「戦略的価値」とは何だったのか、という疑問を誘発せずにはすまないはずです。後で見るように、玄葉外相は相変わらず「在沖米軍抑止力」説を得々として述べるのですが、アメリカ側のグアム重視へのシフトそのものが、このような主張の根拠の薄弱さを示していると、私は思います。
③ 「嘉手納以南の土地の返還」は、あくまでも米海兵隊のグアム移転の進捗如何にかかっているということ。従来の「パッケージの一環」ということではなくなるということは、「普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離す」という文言に示されるのですが、この一見したところの変化は、実は嘉手納以南の5施設がもともと海兵隊関連であることを有り体に反映することになったということに過ぎません。
④ 沖縄から移動する海兵隊の規模(人数)についての玄葉外相の「沖縄に残留する海兵隊の規模には変更がない」という発言は日本側の一方的理解に過ぎないこと。つまり、日米合意文では「最終的に沖縄に残留する海兵隊のプレゼンスは,再編のロードマップに沿ったものとなる」としているだけであり、今回の合意では人数について何も触れていないのです。そのことは、今後の日米の「努力」が「日米同盟の戦略目標を進展させ」、また、「アジア太平洋地域における平和と安全の維持のための日米共通のヴィジョンを反映したもの」であるという最後の合意内容の抽象さからも明確に窺われます。

 沖縄の負担をできるだけ早く軽減する、パッケージを切り離すということにつきましては、仲井眞知事をはじめ地元の皆さまから繰り返しご要望をいただいてきたところでもございます。日米両政府として我が国の安全保障に不可欠な抑止力を担う在日米軍の安定的な駐留を確保するという観点からも、沖縄の皆さまの声に最大限応えていくことの必要性を十分認識をしているところでございます。
 これから、数ヶ月をかけて日米間で精力的に協議を行って結果を取りまとめていきたいというように考えているところでございます。

(浅井注)
 以上の玄葉外相の発言からは、次の諸点を指摘する必要を感じます。
① 「パッケージ切り離し」という沖縄側から出ていた声・「要望」の部分だけを野田政権にとって都合の良いように切りとって政治利用しようとしていること。沖縄側の要求は、普天間代替基地の国外あるいは県外(仲井間知事の立場)移転と不可分の形での「パッケージ切り離し」ということであり、前者を無視した「パッケージ切り離し」ではあり得ません。こういう見え透いたウソを平然と言ってのけるところに、玄葉外相(外務省事務当局)のみならず、野田政権そのものの不誠実さが如実に現れています。
② 「我が国の安全保障に不可欠な抑止力を担う在日米軍の安定的な駐留を確保するという観点からも、沖縄の皆さまの声に最大限応えていくことの必要性」という玄葉外相の発言は、そもそも日本語として意味不明であること。そもそも在日米軍が日本の「安全保障に不可欠な抑止力」であるかどうかについては根本的な疑義があります(「抑止力」という概念が乱用されている)。百歩譲ってその点は取り上げないとしても「在日米軍=在沖米海兵隊」ということではあり得ません。さらにその点をしばらく措くとしても、「在日米軍の安定的な駐留を確保するという観点からも、沖縄の皆さまの声に最大限応えていくことの必要性」というのは一体どういう意味でしょうか。沖縄の人々が在日米軍の安定的駐留を確保することを願っている、とでも言うのでしょうか。私は、広島に滞在した6年間、沖縄タイムスと琉球新報の2紙を定期購読していましたが、沖縄県民の声・要求の所在について、そのような荒唐無稽な認識が示されるなどということはおよそ理解不能です。
③ 「数ヶ月をかけて日米間で精力的に協議を行って結果を取りまとめていきたい」ということ自体に、野田政権としての成算のなさが反映していること。後の記者との一問一答に出てくるのですが、要するにこの「協議」はアメリカの意向次第、ヨリ具体的には大統領選挙を控えるオバマ政権の取り組み方如何で結果が左右されるのであって、民主党政権としての具体的な展望があるわけではないのです。

<記者との一問一答>

【東京新聞 岩田記者】元々、グアムの移転と普天間の辺野古移設は、ロードマップで2014年という時期を目標としていました。今回これを切り離したことによって、グアムの方の移転は2014年よりも早くできるという見通しなのか。その辺りの時期の見通しというのはどのようなものなのでしょうか。
【玄葉大臣】ちなみに、普天間の辺野古への移設と、まさにパッケージだったわけです。普天間の辺野古への移設というのは、正確に言うと、2014年とおっしゃいましたけれども、その後のロードマップの変更で2014年よりあと、できるだけ早く、とこういう形になっていると思うのです。基本的にはパッケージでしたから、普天間の辺野古移設がならなければ、グアムの移転というものはならない、嘉手納以南の返還というのもならないというパッケージだったわけであります。そういう意味では、沖縄の海兵隊のグアム移転等について、当然ながらできるだけ早く進むように今後協議を進めていきたいというように考えておりまして、まだ、時期を明示するというところには至っておりません。
【毎日新聞 西田記者】先ほど大臣おっしゃったように、パッケージを切り離すということで、普天間移設そのものに与える影響、固定化を懸念する声もある一方、切り離すことで、どういう進め方、新しいやり方ができるのかと、そういうことも両面あると思うので、その両方お願いします。
【玄葉大臣】今の西田さんの話は、結局今のまま、例えばパッケージで進めていくというやり方は、いわば、普天間の辺野古移設を進めれば、嘉手納以南の土地の返還も行うし、グアムへの海兵隊の移転も行うという、いわば、ある意味、圧力をかけているようなやり方なのです。ですけれども、私たちは、やはり今のこの膠着状況というのは、なかなか今のままでは打開することは私(大臣)は難しいというように判断しています。したがって、沖縄の皆様の負担を早期に軽減するというものを先行させるということで、グアムへの海兵隊の移転、そして嘉手納以南の土地の返還、すなわちそれは沖縄の振興に結びつくということで、そういう意味で沖縄の皆様との信頼というものを、やはり少しでも得られるように努力をしていく。これは、先ほど申し上げましたけれども、私(大臣)は今も覚えていますけれども、沖縄に行ったときに、パッケージの切り離しという議論、あるいは要望というのはいただきました。質問も受けた記憶、鮮明に覚えております。つまり地位協定の一つ一つの努力の積み重ねということをしたときに、次の沖縄の負担軽減は何ですか、と言われました、よく覚えていますけれども。やはりこういう形で負担の軽減というものを先行させることで、信頼関係を構築しながら、普天間の辺野古移設、その危険性、そして一方で、やはり沖縄の地理的重要性、戦略的重要性、この普天間にあるこのヘリ部隊というのが、海兵隊全体の統合運用上必要であると。キャンプシュワブにある陸上部隊を運ぶ、あるいは佐世保にある揚陸艦とあわせて一体的に運用されているものだと。これは訓練も同じであると。もっと言えば補給整備を含めたロジスティックもそうであると。したがって、単に飛行場をどこかに移すという簡単な問題では残念ながら無いと。海兵隊一体のものなので、やはりそういう意味で、その持つ抑止力というものについて、丁寧に説明をしていく必要があるということで、いつも米国の議会の状況などで、そのときまでに進展をさせなくてはいけないということを、常に日米ともに言い合うということは、私(大臣)は健全ではないというように思っておりますので、本来の日米同盟の深化に向けて、私(大臣)は大きな前進であるというように考えています。

(浅井注)
 以上の二つの一問一答は、相互に関連づけて理解する必要があると思います。即ち、今回の合意は、財政赤字の下で国防予算を大幅に圧縮せざるを得ない制約条件において、オバマ政権が打ち出した、中国を強く意識したアジア太平洋重視強調の国防戦略見直しの一環という位置づけにおいて理解されるべきものです。そこには対日考慮が働いて今回の対日アプローチが行われたという形跡はまったくありません。その点が、玄葉外相の後段の発言の苦渋に満ちた、しどろもどろの受け答えの中ににじみ出ています。
他方、内外政策において悲惨なまでに無為無策で、じり貧状態にある野田政権としては、手をこまねいているうちにアメリカに一方的に無理難題を押しつけられることになるのはあまりにも悲惨です。そこで、普天間代替基地建設問題を他の基地問題とパッケージにするという「2+2」合意から切り離すことにより、沖縄側からの「要請」を取り込む形に持ち込んで少しでも得点を稼ぎたいという、いわばワラにもすがる気持ちから、アメリカ側のアプローチに乗っかっていったことが窺えるのです。しかし、野田政権が積極的に時間的なスケジュールを示すような能力があろうはずもありません。したがって、最初の質問に対する「まだ、時期を明示するというところには至っておりません」という玄葉外相の発言は、野田政権の無為無策の本質を踏まえざるを得ない心情を思わず吐露したものと言うほかないでしょう。

【ニコニコ動画 七尾記者】海兵隊の移転規模が当初の8千人から4千700人に縮小されるという具体的な報道があるのであらためて教えて頂きたいのですが、人数についての日本政府の考え方についてあらためて教えてください。
【玄葉大臣】もうご存じだと思いますけれども、日米合意の中で元々、海兵隊の数というのはその増減はその時々で実は変わります。あの当時8千人と言ったのは1万8千人いて、8千人を移すということを言っていたわけです。ですから、私(大臣)は、増減するから、抑止力の観点から1万人という言葉をあえて使っているということでありまして、沖縄に1万人残すという日米合意、これは変わらないということでお考えいただければというように思います。それは日米合意ですよ。今よりはずっと減るということです。

(浅井注)
 人数についての玄葉外相のこの発言は、図らずも「1万人」という数字が根拠のないものであることを物語っています。つまり、2006年のいわゆる「ロードマップ」では、「約8000名の第3海兵機動展開部隊の要員」が「2014年までに沖縄からグアムに移転する」と言っていたにすぎません。つまり、何人の海兵隊が沖縄に残るかとは言っていないのです。今回の合意文では、「最終的に沖縄に残留する海兵隊のプレゼンスは,再編のロードマップに沿ったものとなる」ときわめて漠然とした表現なのですから、玄葉外相としても「私(大臣)は、増減するから、抑止力の観点から1万人という言葉をあえて使っている」と白状せざるを得ないのです。ましてや「抑止力の観点から1万人」というのは、後の問答に即して改めて述べますが、実に荒唐無稽な言いぐさなのです。

【読売新聞 石田記者】今回の発表は共同報道発表となっていますが、共同声明というような形ではないことについて、どういうことだったのかというのを説明頂けますか。
【玄葉大臣】結局、方向性についての共通認識の共同発表なのです。ですから、これから詳細を詰めて、どういう形になるか、2+2になるのかどうなるのか、まだ決めておりませんけれども、詳細が詰められた時点で、本格的な文章というか、これももちろんしっかりとした文書ですけれども、そういったものになるのだろうという理解です。

(浅井注)
アメリカ側が発表した文書は、"United States – Japan Joint Statement on Defense Posture"というタイトルであり、まさに「共同声明」となっています。玄葉外相は、このごくごく初歩的かつ基本的な事実を無視して、ひたすら外務省の用意した答弁要領に忠実に従った発言をしています。質問した記者も米側発表文の原文に当たった上で記者会見に臨んでいたのであれば、このような玄葉外相答弁で引き下がるはずはないと思うのですが、このお粗末さには開いた口がふさがりません。
より問題なのは、今回の文書があたかも「過渡的」「経過的」な性格のものであるかのような印象を国民に与えようとする姿勢です。このことは、2006年10月29日に「2+2」で正式に決まった「日米同盟:未来のための変革と再編」を「中間報告」であると強弁した自民党政権時代とまったく変わることがありません。当時の自民党政権は、米軍基地所在地の住民・自治体と協議の上で対米合意をすると繰り返し約束していたにもかかわらず、そのことなしに対米正式合意をしてしまったのでした。そして、これは最終合意ではないと強弁するために「中間報告」という苦し紛れの言葉を作り出したのです。こういう点でも、民主党政権は自民党政権と五十歩百歩であることを確認せざるを得ません。

【共同通信 明石記者】グアム移転というところからローテーション案や分散移転などいろいろのお話が出ているかと思いますが、そういった米側の計画で費用負担に関して、新たな費用負担が生じるのではないかという懸念も出ているようですが、これについての大臣の見通し・所見をお願いします。
【玄葉大臣】移転の詳細は、今、明石さんは「費用負担」という言い方をされましたけれども、率直に言うとこれからなのです。これは日米協定、グアム協定も同じですが、正にこれからの協議ということになります。ただあえて一般論として言えば、これは財政とか費用というレベルを遙かに超えた一般論で言いますけれども、やはり我々がこの日米同盟のこの関係を深化させていくにあたって、今米国も国防戦略を新しくしたという中で、本当に私たちの同盟をどのように考えていくのか、責任の共有というものをどのように考えていくのかということを我々はしっかりとこの機会に検討しなければならないのではないかというように思います。つまり、アジア太平洋の中でどういう戦略的合理性を持った形にしていくのかということについて、当然米国側がきちんと考えていますけれども、日本は日本で当然考えていかなければならないし、その際に例えば宇宙での協力、サイバーの協力、あるいは計画検討、RMCなど、あるいは情報保全の問題などもあると思いますけれども、そういう問題をしっかりとこういう機会に考えていくということが大変大切なことではないか、日米の、もっと言えば米軍と自衛隊の役割分担のあり方も含めて、こういう機会にしっかりと考えていく、その考えていること自体が正に抑止力の向上に資するのではないかというのが私(大臣)の考えであります。

(浅井注)
 今回の日米合意に隠されている重大な問題点の一つは正に日本側の費用負担がどの程度の規模になるかということです。有り体にいえば、野田政権は、アメリカ側が持ち出してくる「ローテーション案や分散移転など」のいかなる方式にも白紙委任的にコミットしてしまったのです。外務省事務当局が、今回の合意は正式のものではないと玄葉外相にしきりに言わせる理由の一つはこのためです。つまり、新規の財政支出を伴う国際合意は、憲法上、国会の承認を要する条約の形をとらなければできないはずです。そういう拘束力のある約束をしたわけではない、と言い抜けるために、玄葉外相(というより背後にいる外務省事務当局)は必死になっているのです。

【日本テレビ 野口記者】今回の再編見直しの動きは米国主導で、日本にとってみれば、このパッケージという辺野古移設のテコを失うことになるのではないかという指摘もありますが、この指摘に関してはどういうように大臣はお考えでしょうか。
【玄葉大臣】一言で言えば、全くの間違いだというように思います。もともとパッケージを切り離すという議論は、日本国内でもこれまでも実はございました。沖縄県の要望でもございました。日米ともにお互いが事情を抱えるという状況が昨年末に生まれたわけであります。それは言うまでもないことです。日本は沖縄との関係において、米国は議会との関係において、そういう共に生じている問題を共に克服する、そういう知恵を出していこうということで、まさに一言で言えば日米の共同作業そのものであったわけで、失礼ですけれども、どこかの報道で通告みたいな話がありましたけれども、それは100%間違いでありまして、昨年来から不断に外務・防衛実務レベル、そして、私(大臣)とクリントン国務長官との間でのやりとりも含めて不断に行ってきた結果、こういう形になってきたということでございます。

(浅井注)
 玄葉外相の発言から改めて明確になることは、①日本側(おそらく外務省も「一口噛んで」のことだったでしょう。)としては、既に述べましたように、沖縄県からの「パッケージ切り離し」の「要望」の部分だけを利用して膠着状態の現状を打開したいという意識があったこと、しかし②基本的には、オバマ政権が打ち出した、国防予算切り詰めを行わなければならないという制約の下で、中国をにらんだアジア太平洋地域での戦力維持を図るという国防戦略見直し方針(1月5日。私もこのコラムで取り上げました。)を受けて、アメリカ側としては日本側の国内事情で「振り回され」てグアム重視の戦略を前進させられない、という膠着した局面を打開したいという判断が明確に出てきたこと、したがって、③その限りで日(民主党政権)米(オバマ政権)の利害が一致する形になったこと、によって今回の合意が導かれたということです。玄葉外相は盛んに沖縄側の要請に「応える」と言うことを強調しますが、有り体にいえば、アメリカの新しい戦略に否応なしに引きずられる(そのことは間違いなくそうなのですが)形になるよりは、民主党政権にとっての「売り」の材料をなんとか確保しようとしてもがいた結果が、今回の合意になったということでしょう。

【毎日新聞 横田記者】普天間の移設に関してですけれども、先ほど大臣は沖縄側に丁寧に理解を求めていくという表現を使われておりましたが、米国側は昨年6月に当時のゲイツ国防長官が1年以内の明確な進展ということを求めていたと思うのですけれども、今回のこのロードマップの見直しの作業が始まることによって、普天間移設を進めていく、この進め方のペースというものが変わるという可能性があるというようにお考えになりますでしょうか。
【玄葉大臣】例えば米国議会の時計に合わせて、6月、7月、8月に我々が具体的なアクションを起こすということが現実にできるでしょうか。というところから私(大臣)は一緒に考えていただきたいというように思うのです。
 率直に言って、私(大臣)は沖縄の皆様の理解をそれまでに得るというのは極めて難しいというように思います。したがって、先ほど申し上げたように、アジア太平洋全体の抑止力、併せて日本の抑止力というものを維持しながら、沖縄の負担の軽減を先行させることで沖縄の皆様の理解を少しずつ得ていくという道を選ぶのが私(大臣)は賢明であると、ベターであるというように考えたということであります。
【NHK 島田記者】今後数週間ないし数か月の間に複数の課題に取り組むというようにありますけれども、まずこの数週間ということなのか、あるいは数か月というのが大体どのぐらいのことを目途で考えていらっしゃるのかということが1点。それから、複数の課題というのは、どういったことについて議論されていくのかということをお聞きしたい。
【玄葉大臣】これは、数週間というのは、これは英語を見ないとというところもありますが、これは作業に係っているのではないでしょうか。数週間ないし数か月の間に作業を行っていく。つまりは、今月もきちんと作業をします、そういう意味だということです。結論を得るまでにはやはり数か月かかるということだと思います。
 それでは、どんな作業なのかといったら、それは先ほど申し上げましたように、いわば移転の詳細というものをしっかりしていかなければいけない。例えば部隊の構成とか、仮にグアムへの移転の数が減るとすればという言い方を先ほどいたしましたけれども、そういった人数の問題、どこにどうなのかとか、当然グアム協定の問題などもあるかもしれません。まだわかりません。そういったことも含めて、さまざまな調整が必要になるということだと考えています。

(浅井注)
 以上の二つのやりとりから如実に浮かび上がるのは、要するにすべてはアメリカ側の都合次第であり、日本側(野田政権)には何らの具体的展望も政策もあるわけではないということです。そして、民主党政権には沖縄側の要求を尊重して対米交渉に臨むという決意はまったくなく、アメリカが押しつける内容についてひたすら沖縄側の「理解」を得ることのみを考えているということです。

【NHK 島田記者】それに関連して、ロードマップに示されている計画を調整するというようにありますが、結果的にロードマップをやはり見直すということになるのではないかと思うのですけれども、それについてはやはり2+2でやることが適切だというようにお考えかどうか教えてください。
【玄葉大臣】島田さんがおっしゃるように、英語で言うと、これは「アジャスト」になっているものですから、「調整」という言葉を使っています。おっしゃるように、ロードマップの中には、つまりパッケージのことが、パッケージという言葉ではありませんけれども、きちんと言葉で書いてある。そして、部隊の人数・構成なども書いてあるわけで、やはりその部分についてはまさに何らかの形で変わっていくのだろうと。ただ、「アジャスト」という言葉なので、「調整」という言葉でここでは表現しているということでございます。
 結果として、どういう形でまとめるかというのは、一つは2+2、それは本当に4人そろってやるかどうかは別として、そういうこともあり得るでしょうし、それは今後考えていきたいと思っています。
【ロイター通信 竹中記者】1つは、抑止力を維持する形でということが前提になったと思うのですが、大陸側を前線と見た場合の、それに近いところにまとまった部隊を置いておくというのは、明らかな抑止力になると思うのですが、そこからかなりの部隊を逆に引いてしまうと。それをしながら抑止力を維持するというのは、どういったようにすれば可能なのかということが1つ。
 それから、1万人という数字ですが、これだけは残すということは、何かこういうオペレーションをするためにはこれぐらいの数が必要だということか、あるいは伝わりやすい数ということで1万ということなのでしょうか。
【玄葉大臣】抑止力というのは、一言で定義すれば、攻撃を思いとどまらせる能力のことだと思うのです。その抑止力というものを考えたときに、もともと考えていただければと思うのですけれども、3つのパッケージがそのままパッケージとして実現しましたというのと、今のと、どれだけ抑止力が変わるかと。変わりませんね。むしろ向上するのではないかという意見さえ私(大臣)はあり得ると思っています。  なぜかと言えば、それはアジア太平洋全体で、例えばA2/AD対策に対して、いわゆる対応するということであるとか、先ほど申し上げたように、今までは常に日米というと、普天間ばかりに焦点が当たると。それは私(大臣)は健全ではないと思います。大事な大事な大事な問題です。ただ、それだけにどうしても焦点が当たるということになってしまいがちだったのです。普天間の移設は、今後も日米両政府は強くコミットしますけれども、同盟深化のために、先ほど申し上げたように、RMCとか、あるいは弾道ミサイルの問題であるとか、そういった問題について、これは情報保全、宇宙、サイバーも含めて、そういったところでより具体的な協力というものを行っていくことが実は抑止力の向上だと思うのです。単に部隊がどこにどう配置されるかだけではないと思うのです。
 ですから、当然、部隊の配置も我々は関心を持っています。ですから、米国は米国で戦略的合理性を持ってこの部隊の配置を考えていると思いますだけれども、我が国の安全保障に資するような、それらが確保できるような部隊構成にできるように、我々もそういう意味では、しっかりと協議をしていきたいと考えています。
 1万人というのは、これまでも日米合意の中で申し上げてきました。1万人の意味するところというのは、それはオペレーション上、いろいろなことはあるでしょうけれども、オペレーションの中身を私(大臣)が申し上げるのは、やはり適切ではないと。ただ、質問に対する答えの冒頭に申し上げたように、結局、今まで3つのパッケージをそのまま実現したと仮定しても1万人ですから、そういう意味では変わらないということです。

(浅井注)
 質問した記者が相変わらず「沖縄の米海兵隊を抑止力と位置づける」認識に立っていることにも驚き(海兵隊は殴り込み部隊であって、「抑止力」という概念の下でくくること自体が軍事的にまったくナンセンスであることは改めて言うまでもありません。)ですが、玄葉外相が「待ってました」とばかり、この質問に乗っかって「抑止力」論をぶつということには寒々としてきます。このことは、今回の合意文書のどこにも「抑止力」という言葉が入っていない(海兵隊を抑止力として位置づけるはずがないアメリカ側が、そのような性格付けの公式文書を作るはずがないのですから、当たり前のことです。)という事実だけででも確認できるでしょう。

【日本経済新聞 佐藤記者】先ほどの普天間の見直しの話で、米国の議会の時計に合わせて、6、7、8月に具体的なアクションを起こすことは、率直に言って難しいというようにおっしゃいましたけれども、普天間の辺野古沖の公有水面の埋立てが6月前後ではないかというように今まで言われていましたが、先ほどおっしゃられた話というのは、そういう時期に埋立て申請を沖縄県側にすることは難しいということをおっしゃったのかどうか。
【玄葉大臣】率直に申し上げますけれども、まだ時期を特定して申し上げることはできないという答弁をずっと続けているわけです。そういう状況を今のような表現を使って申し上げたということであります。それはもう想像していただければ、佐藤さんだってわかるとおり、今の状況の中で、すべてが予定どおりに進むのかどうか。それはなかなか大変な状況だなというのは、すべての方が感じていらっしゃるのではないでしょうか。
【日本経済新聞 佐藤記者】大臣の認識として、少なくとも6、7、8月は難しいと。
【玄葉大臣】ちょっと誤解しないでください。まず1つは、この3つのパッケージをまず切り離さないで今のまま行ったときに、本当にそういう時期を特定して申し上げることができますかということです。私(大臣)は、できないから答弁で、まだ時期を申し上げられるような段階ではありませんということを言ったわけだし、田中防衛大臣は年内という話をして問題発言だと、こう取り上げられたわけでしょう。ですから、切り離して、そして沖縄の負担の軽減を先行させて、丁寧に説明をしてと、それはいつ理解をしていただけるか、それはできるだけ早く理解をしていただけるような努力をするということであります。
【日本経済新聞 佐藤記者】逆に今回切り離した結果、今は難しいと考えられる6、7、8月に申請をする可能性というのは出てくると考えられますか。
【玄葉大臣】それはまだわかりません。
【朝日新聞 土佐記者】3つのパッケージを切り離すということで、言ってみれば普天間の移設問題は、米議会の時計ではなく、日本の政府の時計で進めるということでいいのかということが1点と、もう一つ、3つのパッケージを切り離すとなると、嘉手納以南の基地が本当に戻ってくるのかどうかという懸念があるのですけれども、そこはある程度の確信があっての今回の発表なのか。
【玄葉大臣】後者の方からお答えすると、先ほど私(大臣)が申し上げたように、嘉手納以南の土地の返還は可能なものから実施をしていく。確かにまだわからないです。わからないという意味は、返還していくのですよ、切り離すのですよ。ただ、結局、普天間の今の飛行場との関連性とか、部隊全体の構成などによって、どこをどこまでということを、今いつまでにということを明確に言うことはなかなかできません。まさにこれからの日米協議です。
 ただ、先行して返還をしてもらう、辺野古の移設が進まなければ返さない、辺野古の移設が終わってからでないと返さない、こういうことではもうないということでありまして、それはこれから具体的に、それはいろいろな要望がございます。例えば5地区の中でもより先行的にここをとか、そういう要望があるのは十分承知をしていますので、そういうことも含めて、どれだけ土地の返還について我々として頑張れるかということだと思っていまして、私(大臣)としては、この土地の返還というのは大事なことだと、嘉手納以南の土地の返還というのは沖縄振興にとって大事なことだと、また沖縄の皆様の要望に応えるという意味で非常に大切なことだというように思っています。
 それと米国の議会の時計ではなくて日本の時計かということでございますけれども、結局それはできるだけ早い方がいいのです。ただ、この間の環境アセスもそうでありましたけれども、結局米国にとってみれば、国防費の削減という事情と、グアムの具体的な進展という事情と2つもともとあったわけです。グアム移転が進まない。そのうちの1つについて、お互いにこの問題で常にやり合うということは、私(大臣)はやはり沖縄の皆様にとってもよくないというように思っていますので、また、日米同盟全体にとってよくないというように思っていますので、そういう意味で、これはもともとは日本の問題です。日本が主体的に考えなければいけない問題で、米国に求める話ではないと私(大臣)は思います。
 ですから、米国も強くコミットしますけれども、やはり日本自身が主体的にこの問題を解決していく、そのための努力をしていく、そういうことではないかというように思っています。
【琉球新報 松堂記者】大臣は、先日の会見で、沖縄の負担は国内で分担することも負担軽減の1つだという見方を示されたと思うのですが、今後の米側との協議の中で国内への分散移転についても協議するお考えはあるのでしょうか
 あともう一点、パッケージを切り離したとしても、沖縄の民意が県内移設を受け入れる可能性はかなり低いと思いますが、具体的にどうやって理解を求めていくのか。海兵隊の具体的な抑止力も絡めて見解をお聞かせください。
【玄葉大臣】どうやって理解を求めていくのかということでありますけれども、これは先ほど申し上げましたが、海兵隊の持つ抑止力というのは、一言で言えば沖縄の持つ地政学的位置というものが一つあります
 もう一つは、海兵隊の持つ機動性、即応性というものがございます。しかも、それは統合運用であるということで、ここは沖縄の皆様に今の普天間の危険性の一刻も早い除去とともに、丁寧にご説明をしていかなければいけないと思っています。
 なかなか簡単には受け入れないぞという話でありますけれども、それでも私(大臣)は今、結局すべてが前に何も進まないという状況を選ぶのか。私(大臣)はそれならば沖縄の負担軽減を先行させるという道を選ぶ方がベターである。これは総理も含めて、当然、野田総理の指示に従って行っているわけでありますが、そういう選択をしたということでありまして、私(大臣)は先ほど申し上げましたけれども、米国も含めて沖縄の県民の皆さんの負担をどうやって軽減していくかということを、常に考えています。
 一方、やはり安全保障、外交を預かる立場として、日本の安全保障の体制は、残念ながら安保環境は厳しさを増している中で、抑止力というものをきちんと維持しなければいけない。先ほども質問がありましたけれども、できれば向上させたいと思っておりますので、その点については率直に丁寧に理解を求めていきたいと考えております。
 国内の話は、この間の質問で若干誤解もあったかもしれませんけれども、一般論として本当に聞いていただきたいのです。一般論として。
 私(大臣)はいつも申し上げていますが、米軍の専用基地の74%が沖縄に集中していると。日本全体の安全保障のために沖縄がそれだけ負担をしてくださっていることに対して、私(大臣)は日本人全体がどう考えていくのだということを考えないといけない。みんなでこの負担を分かち合おうという気持ちを私(大臣)は持たなければいけないと思っておりますので、これは別に残りの人たちをどうだこうだという話ではなくて、一般論として私(大臣)は全国で負担を分かち合うと。
 ただ、全国でと言っても地理的な問題というものがどうしてもあります。ですから、そういったことも含めて物事を考えていくということではないかと思っています。

(浅井注)
 アメリカ側の正直な気持ちとしては、アジア太平洋地域全体を股にかけて軍事力を機動的に展開するという要請、及び沖縄に海兵隊を集中させることはむしろその脆弱性を高める懸念があるのでなるべく分散させたいという要請に基づいて行動しようとしているということであって、玄葉外相がふたたび強調しているような「日本防衛のための抑止力維持」という考慮が働いている余地はありません。こういうお粗末な議論をする人物が日本の外務大臣であるということは寒心に堪えません。

【中国新聞 荒木記者】国内で分散させるというところに関連しますけれども、報道の中で沖縄の海兵隊を山口県の岩国基地に移転させる案を米政府が打診してきたというものがあって、地元では大きな反発が起きているのですが、率直に説明していただきたいのですけれども、どういう打診が来ているのか。報道がこれだけ出ている中で協議はしていないと説明されているのですが、はっきり言って地元はかなりの不信感を持っています。どういうレベルにせよ米国政府から何らかの打診があるとするならば、きちんと説明をしていただきたいと思うのですが。
【玄葉大臣】協議をしていないという一言に尽きます。
【中国新聞 荒木記者】打診は受けていないのですか。
【玄葉大臣】協議はしていません。協議もしていません。

(浅井注)
 記者は「打診」されているのかと繰り返し訊ねているのに、玄葉外相は「協議していない」という言葉で逃げています。どうして打診があったこと(これは否定しようがないことでしょう。)自体についてまで逃げようとするのか、本当にこういうやましさを露呈する心境は、私たちの常識的な理解の域を超えるとしかいいようがありません。

(付属)日米合意に関する日米各々の発表文

 日米合意の発表文を、日文と英文とを比較対照表の形で示すと次のとおりです。結論から言いますと、本文に関しては、日英両文の間に大きな齟齬はありません。ただし、すでに指摘しましたように、タイトルに関しては、米側発表では「日米共同声明」(United-Japan Joint Statement)であるのに対して、日本側はわざわざ「共同報道発表」というきわめて聞き慣れない表現を採用しています。重大な問題を隠蔽しようとする姑息な意図につきましては、すでに触れましたので繰り返しません。

共同報道発表

United States - Japan Joint Statement on Defense Posture

日本と米国は,日本の安全及びアジア太平洋地域の平和と安全を維持するため,両国の間の強固な安全保障同盟を強化することを強く決意している。

 

両国は,沖縄における米軍の影響を軽減するとともに,普天間飛行場の代替施設をキャンプ・シュワブ辺野古崎地区及びこれに隣接する水域に建設することに引き続きコミットしている。両国は,普天間飛行場の代替施設に関する現在の計画が,唯一の有効な進め方であると信じている。

両国は,グアムが,沖縄から移転される海兵隊員を含め機動的な海兵隊のプレゼンスを持つ戦略的な拠点として発展することが,日米同盟におけるアジア太平洋戦略の不可欠な要素であり続けることを強調する。

米国は,地理的により分散し,運用面でより抗堪性があり,かつ,政治的により持続可能な米軍の態勢を地域において達成するために,アジアにおける防衛の態勢に関する戦略的な見直しを行ってきた。日本はこのイニシアティブを歓迎する。

このような共同の努力の一環として,両国政府は,再編のロードマップに示されている現行の態勢に関する計画の調整について,特に,海兵隊のグアムへの移転及びその結果として生ずる嘉手納以南の土地の返還の双方を普天間飛行場の代替施設に関する進展から切り離すことについて,公式な議論を開始した。両国は,グアムに移転する海兵隊の部隊構成及び人数についても見直しを行っているが,最終的に沖縄に残留する海兵隊のプレゼンスは,再編のロードマップに沿ったものとなることを引き続き確保していく。

 

 

今後数週間ないし数か月の間に,両国政府は,このような調整を行う際の複数の課題に取り組むべく作業を行っていく。この共同の努力は,日米同盟の戦略目標を進展させるものであり,また,アジア太平洋地域における平和と安全の維持のための日米共通のヴィジョンを反映したものである。

The United States and Japan are strongly committed to strengthening our robust security alliance, which is dedicated to the security of Japan and to the maintenance of peace and security in the Asia-Pacific region.

We remain committed to mitigating the impact of U.S. forces on Okinawa, as well as to the construction of the Futenma Replacement Facility at the Camp Schwab Henoko-saki area and adjacent waters. We believe that the current Futenma Replacement Facility plan is the only viable way forward.

Both sides underscore that the development of Guam as a strategic hub, with an operational Marine Corps presence including Marines relocated from Okinawa, remains an essential part of the Alliance’s Asia-Pacific Strategy.
The United States has conducted a strategic review of its defense posture in Asia in order to achieve a more geographically distributed, operationally resilient and politically sustainable force structure in the region. Japan welcomes this initiative.
As part of this joint effort our two governments have started official discussions to adjust our current posture plans set forth in the Realignment Roadmap, in particular delinking both the movement of Marines to Guam and resulting land returns south of Kadena from progress on the Futenma Replacement Facility. We are also reviewing the unit composition and the number of Marines who will relocate to Guam and we continue to be committed to achieving an end-state Marine presence remaining on Okinawa in line with the Roadmap.

In the weeks and months ahead, our two governments will be working to address a number of issues associated with these adjustments. This joint effort advances the strategic objectives of the Alliance and reflects our shared vision for the maintenance of peace and security in the Asia-Pacific region.

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