クリントン国務長官のCTBT会議での演説

2009.10.02

*9月24日にアメリカのクリントン国務長官は、包括的核実験禁止条約(CTBT)第14条会議で演説しました。私は迂闊なことに今日はじめて全文を読んだのですが、その内容は、オバマ政権の核政策を理解する上で有意義な内容が含まれていると思いました。特に、①オバマ大統領が司会した国連安保理の決議を「核不拡散体制を強化する包括的なステップを示すもの」と位置づけ(核兵器廃絶を目指すものとしていない!)、②オバマ大統領の「核兵器のない世界」というプラハ演説については「長期的ビジョン」と規定し、③CTBTについては、「アメリカの不拡散及び軍備管理のアジェンダの不可分の一部」と位置づけ、④CTBTはアメリカの世界的な不拡散及び軍縮戦略及びオバマの長期的ビジョンに貢献するものであって、⑤CTBTがアメリカの核兵器の安全性、保障性または信頼性を損なうものではない、と指摘している点は、オバマ政権としての核兵器政策の中での核兵器廃絶及びCTBTの位置づけが奈辺にあるか、そして、プラハ演説と安保理首脳決議を同列におく日本国内での扱いが如何に見当外れであるかを客観的に示すものとして、私たちの頭を冷やすに十分だと思います。そういう意味を込めて、クリントン長官の演説内容のさわりの部分(要旨)を紹介しておきます(10月2日記)。

今日、オバマ大統領は、核不拡散体制を強化する包括的なステップを示す決議を採択する安保理の特別会合を司会した。これは、オバマ大統領がプラハで示した核兵器のない世界というビジョン(浅井注:「政策」とはいわず「ビジョン」といっているところが要注目です)に近づきつつ、我々の共通の安全保障を高めるというオバマ政権の慎重な努力の一環である。CTBTは、我々の不拡散及び軍備管理のアジェンダの不可分の一部であり、我々は今後数ヶ月の間米上院の批准の同意を求めて努力する。CTBTは、我々の世界的な不拡散及び軍縮戦略並びに大統領の長期的なビジョン(浅井注:強調は浅井。以下同じ)に貢献すると確信する。それは、我々の核兵器の安全性、保障性または信頼性を損なうことはない。これらの目標を追求し、CTBTを支持することにより、我々は、不拡散にコミットするすべての国家の利益のため、また、核攻撃の脅威を減少するために努力する。CTBTが発効すれば、アメリカその他の国々は、現地査察を含め、疑わしい実験活動を行う国家に対して挑戦することができることになる。CTBTの批准はまた、国際社会が他の不可欠な不拡散のステップに向けて動くことを可能にするだろう。はっきり言えば、アメリカは、CTBTが平和で安定した安全な世界の可能性を強め、アメリカの人々の安全を高めるから、この条約を支持するのである

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