広島県被団協の放影研に対する対NIAID協力の白紙撤回要求

2009.09.30

*9月29日に広島県原爆被害者団体協議会(金子一士理事長)は、放射線影響研究所に対して、放影研がアメリカ政府の核テロ対策に協力する研究計画の白紙撤回を申し入れました。その要請書の内容を共感を持って紹介します(9月30日記)。

核兵器廃絶を願い原爆被害を解明し被爆者を救援するため使命感を持って真摯な研究をつづけておられる研究所のみなさんに心から敬意を表します。
さて今回、貴研究所が米国の核テロ対策のために、米国からの資金の提供をうけ、今日まで被爆者から収集した試料、標本、研究資料をはじめ、新らたに被爆者の身体の提供により、放射線が免疫機能に与える影響などについての調査・研究を計画されていること、米国アレルギー感染症研究所にその研究を委託されるとの報道に接し、心から驚きと憤りを禁じざるを得ません。
被爆者は、かつて米国が比治山に設置したABCCがジープと銃剣で拉致同然に連行し、治療せずモルモット同然に扱った屈辱の事実は生涯忘れることはできません。
ABCCが日本の医師や科学者の集めた資料や記録をすべて没収し、広島・長崎を外界から遮断し、勤務する良心的医師や研究者の残留放射線被曝や内部被曝の調査・研究を抑圧し、原爆被害を矮小化したことは、今日では周知の事実です。
ご承知のように、「原爆症認定集団訴訟」は、地裁・高裁のすべての判決で、原爆炸裂直後の放射線量しか見ず、残留放射線被曝や内部被曝を無視した現行の認定基準は被爆実態と乖離し違法であると厳しく断罪しています。厚生労働省や医療分科会と深く関り、大きな影響を与えている貴研究所は、この司法の判断についてどのようにお考えですか。
貴研究所が「人類の保健と福祉向上」をめざすというなら、米国のテロ対策ではなく、直ちに放置した内部被曝と残留放射線被曝に研究に着手すべきではないでしょうか。
いずれにしても原爆で人間らしく死ぬことも生きることも奪われた被爆者の身体を米国のテロ対策に提供することの暴挙は直ちに撤回すべきです。
原爆死没者、いまも癌などで苦しんでいる被爆者、原爆で身内を失った遺族に代わって厳重に抗議するここともに、その白紙撤回を強く求めます。

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