長崎被爆者5団体の放影研に対する対NIAID協力の白紙撤回を求める要請書

2009.09.12

長崎の被爆者5団体(長崎原爆被災者協議会・谷口稜曄会長、長崎原爆遺族会・正林克記会長、長崎県被爆者手帳友の会・井原東洋一会長、長崎県平和運動センター被爆者連絡協議会・川野浩一議長、長崎県被爆者手帳友愛会・中島正徳会長)は、2009年9月11日付で放射線影響研究所・長崎研究所に対し、「米国NIAIDの研究助成を受けての研究の白紙撤回を求める要請書」を送りました。
 私は、この申し入れ内容こそが真の被爆者の思い・思想を表しているものだと、心から敬意をもって読ませていただきました。是非、全国の被爆者をはじめ、心ある一人でも多くの人々が放影研の暴挙に抗議の声を上げていただきたく、期待を込めて、長崎被爆者5団体の要請書の文章を以下のとおり紹介します。
 放影研の暴挙を許すことは、ひとり広島だけの問題にとどまらず、全国そして全世界の核兵器廃絶を願うすべての人々にとっての重大な問題であると確信しますので、あえて「コラム」欄に載せることにします。この問題の重大性を理解しようと思って下さる方は、私の「広島」のページを訪れていただきたいと願います。(9月12日記)

原爆被害の解明をめざし、真摯なご研究を重ねておられる貴研究所のご努力に対し、心からの敬意を表明いたします。
 さて、貴研究所が、米国アレルギー感染症研究所(NIAID)の助成を受け、貴研究所がこれまで収集された被爆者についての諸資料、被爆者から採取された標本などをもとに、放射線が免疫機能に与える影響などについての研究を計画されていること、さらにその研究を委託し、助成するNIAIDは核テロ対策の研究を行っている研究所であることについての報道に接し、私たち被爆者は驚くとともに、心からの憤りを禁じえません。
 私たちは、貴研究所に集められた諸資料や標本類が、私たち人間に対しあの原爆がどのような被害を与えたのかという核戦争被害の実態を解明し、二度と核戦争の被害が起こることのないようにするために使われるのなら、さらに現在なお被爆者を苦しめている原爆の後障害による苦痛を少しでも緩和することに使われるのなら、決してその研究を否定するものではありません。しかし、核テロ対策となると、テロによる核攻撃を前提としたものであり、核兵器の使用を前提としたものです。ジープと銃剣で拉致同然にABCCに連れて行かれ、集められた資料や採取された血液などが、またもこのような目的で使われるとなると、私たちは到底これを容認できません。資料・標本を提供し、すでに亡くなった多くの被爆者も許さないでしょう。
これまでの報道などによれば、この委託研究の範囲は広島研究所に限られているようですが、以上の趣旨を広島へもお伝え頂き、貴放射線影響研究所全体の問題として考えて頂いて、この計画を白紙に戻して下さいますよう、心から要請いたします。

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