オバマ政権に対する政策提起のIHT紙所掲文章(2)
-朝鮮に関する署名記事:「米朝:平和を第一に」-

2009.02.25

*2月20日付のインタナショナル・ヘラルド・トリビュン紙は、クリスティーン・アーン及びポール・リエム(二人ともKorean Policy Instituteに所属)署名の表題の文章を掲載しています。朝鮮に対する偏見に満ちた報道が多い中で、この文章は朝鮮民主主義人民共和国(以下「朝鮮」)の立場を基本的に正確に踏まえたもので、一読に値すると思います。以下にその文章の全文を翻訳して紹介します(2月25日記)。

ヒラリー・クリントン国務長官は、アジアに発つ前に、「もし北朝鮮がその核兵器計画を完全かつ検証可能な方法で除去する用意が本当にあるのであれば、オバマ政権は、二国間関係を正常化し、半島の長期にわたる休戦協定を恒久的な平和条約で置き換え、北朝鮮の人々のエネルギーその他の経済的な必要を満たすよう援助する意志がある」と述べた。
 休戦を恒久的な平和条約で置き換える必要をクリントンが認めたことは、数百万のコリア系アメリカ人及び半島で高まっている緊張を平和的に解決することを望んでいる朝鮮人にとって暖かく歓迎すべきことである。
 しかしながら、日本滞在中に彼女は、正常化の前提条件として朝鮮が軍備解除するというブッシュ政権の立場を採用したように見える。クリントンはまた、朝鮮のミサイル・テストはアメリカとの関係を前進する上で「協力的でない」と警告しさらに、「もし北朝鮮がすでに受け入れた義務を遵守し、核計画を検証可能で完全な形で除去するのであれば、アメリカからも確実に相互的な対応があるだろう」と述べた。
 西側においては、アメリカに交渉を強要する目的で、朝鮮がミサイル・テストのごとき「挑発的」行動を取っているという見方が支配的だ。しかし、そこにおいて忘れられていることは、進行中の平和的対話がなかったならば、アメリカと朝鮮の間の現状とは、危うい停戦によってやっと押しとどめられている戦争状態であるということだ。
 この理由ゆえに、アメリカ及び韓国と同じく、朝鮮は日常的に戦争の演習をし、軍事技術の現代化を図っているのだ。実際、アメリカは韓国での基地建設に100億ドルを支出することをコミットしているし、韓国は、6650億ドルをかける国防改革2020イニシアティヴのもと、国防予算を毎年10%増加することを始めている。
 ほぼ8年の間、ブッシュ政権は、アメリカの友好という利益を受け取る前に朝鮮がその核兵器計画をなくすという要求を飲まない場合の厳しい結果について朝鮮を脅迫していた。その結果、朝鮮はミサイルのテストを続けただけでなく、2006年には核兵器を実験した。今日では、国際社会が好むと否とにかかわらず、朝鮮は核兵器国である。
 しかし代替肢はある。10年前、クリントン政権期に始められた平和イニシアティヴの結果、朝鮮は、ミサイルのテストの自主的停止に合意し、当時の枠組み合意のもとでプルトニウム炉の操業停止を続けた。このときは、一方が相手側より先にということではなく、両国が平和に向けた最初のステップを一緒に取ると合意した。
 オバマ政権は、目の前にたくさんの内外の危機を抱えている。幸いなことに、朝鮮の場合は、豊富な経験と教訓がある。その最たるものは、ブッシュ政権の「お前が先に武装解除しろ」式アプローチが最悪であることが証明されたのに対し、クリントン政権の「これを一緒にやろうぜ」式アプローチが積極的な結果を達成したということだ。
 大騒ぎと戦争よりも外交を追求することを誓った政権がこのやっと学んだ教訓を心にとめないとしたら、悲劇的であろう。
 朝鮮の非核化はまだ可能である。しかし、恒久的な平和条約で担保される平和に共にコミットするということなしに、朝鮮の非核化は実現しそうにない。
 アメリカの前駐韓大使であるジェームス・レイニーは最近、「平和条約は、相手側の正統性及び存在する権利という問題を解消する両国関係の基準線を提供するだろう。そういう平和条約なしには、どの紛争ごとも、相手側の正統性の問題を新たにひき起こす」と忠告した。
 変革のために、我々はあえて平和を第一に置こうではないか。

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