米上院公聴会におけるヒラリー・クリントンの発言

2009.01.18

*1月13日に、米上院外交委員会は、オバマ政権で国務長官に指名されたヒラリー・クリントン上院議員に対する公聴会を開催しました。ニューヨーク・タイムズ紙は同日、公聴会の模様を全文ネットで掲載しましたので、私が注目した主なテーマに関するクリントンの発言を紹介するとともに、適宜私のコメントをつけておきます(1月18日記)。

1.冒頭発言

<国際情勢認識とアメリカの役割>

我々のもっとも主要な責任は、米国の安全、利益及び価値を守り、推進すること、国民、国家及び同盟国を安全にすること、国内及び世界の経済成長とともに繁栄を推進することだ。…
 世界は、過去20年間で大変な変化を受けている。1989年に(ベルリンの)壁が倒れ、米国の外交のあらゆる局面に影響してきた古い障害は、40年間にわたる冷戦の後で崩れ始めた。1999年には、より多くの民主的でオープンな社会の台頭、世界市場の拡大、そして情報技術の爆発がグローバリゼーションを流行語にした。
 ほとんどのヒトにとって、グローバリゼーションは主として経済的意味合いをもっているが、実際には、我々は、古い規則や境界が今や有効ではない、圧倒的に相互依存な世界で暮らしているのだ。…
 今この2009年において、過去20年の明確な教訓とは、我々が脅威と戦わなければならず、そして相互依存の機会を捉えなければならないし、そうすることにおいて効果的であるためには、我々は、より多くのパートナー及びより少ない敵対国の世界を作らなければならないということだ。アメリカは、差し迫った問題を自分だけでは解決することはできず、世界はアメリカなしにそれらの課題を解決することはできない。
 世界的な脅威を減らし、世界的な好機を捉えることでアメリカの利益を進める最善の道は、世界的な解決を工夫して実行することだ。これは哲学的なことではなく、我々の現実的課題だ。
 大統領と私は、対外政策は、硬直したイデオロギーではない原則とプラグマティズムの結びつき、感情や偏見ではない事実と証拠に基礎をおかなければならないと確信している。我々の安全、活力そして今日の世界をリードする能力という点において、相互依存という圧倒的な事実を認識することが必要だ。
 私は、アメリカのリーダーシップは欠けていると思うが、今なお望まれていると確信する。我々は、スマート・パワート呼ばれるもの、外交、経済、軍事、政治、法律そして文化など我々の自由になるすべての手段を使わねばならず、個々の状況に応じて適当な手段あるいはそれらの組み合わせを取り上げる。スマート・パワーにおいて、外交は我が対外政策の先兵である。

(コメント)
率直に言って、クリントンの思考はまったく冷戦期のそれにとどまっているといわざるを得ません。米ソ冷戦の終結がもたらした新しい国際秩序の可能性についていささかの想像力をも働かすことができず、要はアメリカが中心となる国際秩序のあり方しか考えていないのです。私は、オバマ政権の登場の意味についてこのコラムで初歩的な検討を試みたことがあります(http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2008/253.html)が、その要点は、アメリカの国内政治という点では確かに変化が起こる可能性はある、しかし、国際政治に関しては多くを望むことはできないのではないか、ということでした。残念ながら、クリントンの上記認識表明は、私の予測を確認させる材料になってしまっています。

<外交と軍事力>

我々は外交でリードする。それがスマートなアプローチであるから。しかし我々は軍事力が時には必要であることを知っており、国民と利益を守るために、必要とされるとき、場所において、最後の手段として軍事力に頼るだろう。しかしながら、世界において我が利益を推進するためには、我が価値の模範によってでなくてはならないことを知っておかなければならない。…我が歴史が示してきたように、我々の海外における利益と国内における価値との間に調和がとれているとき、我々はもっとも効果的である。

(コメント)
 後の質疑応答の際でも繰り返されるのですが、クリントンは外交の後ろ盾としての軍事力行使に関して抵抗感をもっていないことが強く伺われます。

<優先順位>

我々は現実主義でなければならない。最善の状況においても、我が国がすべての問題を解決することはできないし、世界が必要とすることすべてに向き合うことはできない。特に我々の経済が落ち込んでおり、予算の赤字が増大している今、我々は無限の時間、富、人的資源を有しているわけではない。したがって、我々の子どもに対する責任を遂行し、我が国を守り防衛するためには、我々の価値を掲げながら、優先順位を立てなければならない。…優先順位を立てるとは、難しい選択を行うということだ。…

(コメント)
 アメリカ的価値観に対するこだわりはあるが優先順位という問題を避けることはできないとは、有り体に言えば、実益のためには価値を犠牲にすることもあるということです。アメリカ外交に顕著な二重基準はオバマ政権においても繰り返されるということを予告した居直りの主張ということでしょうか。

<イラク及びアフガニスタン>

第一に、オバマは、イラクにおける戦争を終了させ、我々の安全に対する脅威を減らし、安定と平和の可能性を高めるために、アフガニスタンで広範な戦略を採用することにコミットしている。…アル・カイダ、タリバンその他の暴力的な極端な連中を根絶することを望んでいるアフガニスタン及びパキスタンの人々と一緒に行動するために、外交、開発そして防衛という我々の手にあるすべての要素を使うだろう。

(コメント)
 犯罪である国際テロリズムに対しては軍事的手段に訴えることは基本的に誤りであるとした第2アーミテージ報告の警告は、オバマにおいてもクリントンにおいても真摯に受け止められていないことが分かります。軍事的手段に固執する限り、アメリカが泥沼から抜け出すことは極めて難しいのではないでしょうか。かりに、ビン・ラディンを捕らえることができるとしても、アメリカの二重基準の中東政策が根本的に改められない限り、イスラムやアラブのアメリカに対する敵対姿勢が収まる可能性はあり得ないからです。

<中東>

イラク、パキスタン及びアフガニスタンに集中すると同時に、我々は、中東においてスマート・パワーの戦略を遂行し、イスラエルの安全保障上の必要及びパレスチナ人の正統な政治経済的宿願に取り組まなければならないし、イランが核兵器計画及びテロ支援をやめるように効果的に立ち向かわなければならないし、イラン及びシリアが危険な振る舞いをやめて建設的な地域パワーとなるように説得しなければならないし、エジプト、ヨルダン、サウジ・アラビアその他のアラブ諸国そしてトルコや湾岸諸国が地域の永続する平和を確保することにかかわるよう、彼らとの関係を強化しなければならない。…
 大統領と私は、現在の状況下で、ハマスのロケット攻撃から自由でありたく、自らを防衛したいとするイスラエルを深く理解しており、それに深く同情している。しかし、我々はまた、中東における紛争による悲惨な人的コストを考え、パレスチナ及びイスラエルの市民の苦しみに心を痛めている。このことは、イスラエルに真の平和をもたらす公正で永続性のある停戦協定、隣国との正常で建設的な関係、パレスチナ人にはその自らの国家で独立、経済的発展及び安全のそれぞれを探求する我々の決意を高めずにはおかない。我々は、以上の結果を求めるイスラエル人とパレスチナ人の努力を支持するためにあらゆる努力を行うだろう。

(コメント)
 以上のクリントンの発言からは、アメリカの中東政策がなぜうまくいかないのかという点に対する真摯な反省の姿を窺うことはできません。イスラエルに肩入れする政策が根本的に改められない限り、そして、アメリカに対して友好的であるならば国内的に如何に反動的、独裁的な政権であっても支持するという政策が改められない限り、アメリカの中東政策に明るい展望は開かれないでしょう。

<テロリズムとNPTと北朝鮮・イラン>

テロリズムに関しては、アル・カイダその他のテロリスト・グループのネットワークを根絶し、暴力的及びニヒリスティックな極端主義に対する彼らの支持を涸れあげさせるために、情報、外交及び軍事的手段を使って総合的な戦略を行わなければならない。
 アメリカが直面するもっとも深刻な脅威は、大量破壊兵器がテロリストの手に渡る危険性である。我々は、これらの兵器の拡散及び使用を抑えなければならない。…テロリズムの脅威に対して防衛すると同時に、他の国々が核のストックパイルを減少することにコミットするための仕事についても並行的に取り組むだろう。
 NPTは、不拡散レジームの基礎であり、アメリカは、そのためにリーダーシップを発揮しなければならない。そこで、我々は、STARTのもとでさらに核兵器を削減するためにロシアとの協定を探求するし、包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准のためにこの外交委員会及び上院と協力するし、検証可能な分裂生物資カットオフ条約の交渉を再開するために努力を注入するだろう。
 同時に、我々は北朝鮮及びイランにおける拡散を防止するために動くし、規制の緩い核兵器及び核物質を確保するために動くだろう…。

(コメント)
 クリントンの以上の発言は、オバマ政権の核政策における前進の中身を示すと同時に、その限界を明確に示しています。アメリカの核抑止固執政策を改めさせるためには、アメリカの善意に期待するだけでは致命的な限界があり、広島、長崎に原爆を投下された日本が性根を据えた核兵器廃絶に向けた行動を起こすことが不可欠であることを今一度強調しておきます(http://www.ne.jp/asahi/nd4m-asi/jiwen/thoughts/2009/263.html参照)。

<同盟関係及び中国>

スマート・パワーにおいては、伝統的な同盟を活性化し、新しい同盟を形成するために、友好国及び敵対国の双方に手をさしのべることを必要としている。つまり、NATOのパートナー及びアジアの同盟国を中心に、時間のテストを経た同盟関係を強化する。日本との同盟は、アメリカのアジア政策の基礎であり、アジア太平洋地域の平和と安定を維持する上で不可欠であり、共通する価値と相互の利益に立脚している。…
 中国は、世界の情景を変化させつつあるアクターとして決定的に重要である。我々は、中国との間で積極的かつ協力的な関係を望んでいる。我々は、多くの課題において双方の結びつきを深め、強化するし、根強い違いについては率直に取り組む。しかし、これは一方的な努力ではない。我々がする多くのことは、中国が自らの将来及び対外的に行う選択に左右されるだろう。
 ロシアと中国との間では、テロリズム、拡散、気候変動、金融市場の改革など、死活的な安全保障及び経済問題で協力するべきだ。

(コメント)
 クリントンの長い証言において、日本に言及があるのは、6者協議との関連及びアメリカ市場におけるダンピングとのかかわりに関するほかは、日米同盟の重要性を触れた上記発言のみです。クリントンが中国重視であるという日本側やアメリカ国内の対日関係者の懸念を考慮した上での上記発言であることはありありですが、私たちとしては、クリントン政権時代に開始された(ナイ・イニシアティヴ)日米軍事同盟の変質強化がオバマ政権の下でも引き続き強力に推進されることを予告したものとして上記発言を受け止めるべきでしょう。
 中国に関しては、その重要性を認識しつつも、アメリカが中国をどのように位置付けるかはひとえに中国の出方にかかっているということをクリントン発言は明確に示しています。中米関係は引き続き複雑な展開を遂げることを予見させます。ちなみに、クリントンがこの公聴会で台湾に一言も触れなかったことも留意するべきでしょう。

<世界経済>

今世界は、大恐慌以来もっとも深刻な経済収縮の逆流のなかにある。この危機の歴史は、外交的失敗と協調のない反応の結果について教えている。この危機はすでに住宅及び銀行セクターを越えて広がっている。我々の解決策は、世界経済の複雑さ、地政学、すでに引き起こされた被害に基づく継続的な政治的経済的な影響を考慮し、範囲においても原因そのものにおいても広範なものとなるだろう。…
 ブッシュ大統領が主催したこの前のG-20会合は最初のステップだった。しかし、発展しつつある持続的な関与のパターンは、きつい仕事と慎重な交渉とを必要としている。中国、インド、ブラジル、南アフリカ、インドネシアなどの台頭する市場は、現在の危機の影響を感じている。彼らが問題解決に加わり、世界的経済安定を維持するためのパートナーとなるならば、短期的及び長期的にすべてが利することになる。…

(コメント)
 私は、オバマもクリントンも問題の根源が新自由主義そのものにあることについて口を閉ざしていることに注目します。彼らがこの問題の本質から目をそらし続ける限り、アメリカ経済の恐慌脱出はあり得ないだろうし、世界経済の不況克服の展望もなかなか出てこないのではないでしょうか。

<中南米>

西半球を通じて、我々すべてにとって利益となる関係強化の機会がある。化リビア、中米から南米に至るまで、ラテン・アメリカと精力的にかかわり、パートナーシップを作る政策に戻るだろう。…4月に行われるアメリカ首脳会議の間に多くの問題を進めることを期待している。…

(コメント)
 上記のクリントンの発言には唖然としました。中南米諸国で起こりつつある変化にことさらに目をつぶったのでしょうか。4月のアメリカ首脳会議が注目です。
(浅井注:以上に続いて、クリントンは、アフリカ、環境変動、貧困、AIDs、女性・子ども、国務省強化の順番で冒頭発言を行いました。)

2.質疑応答での発言

<イランの核計画及び対イラン関係>

(大統領選挙期間中に、オバマがイランの核計画に対処する上で「big carrots and big sticks」と発言したことの意味内容に関する質問に対し)オバマは、この週末、外交、制裁措置使用、イランが核兵器国になることを防止することに大きな利害を有すると信じられる国々とのよりよい連合形成を通じて、イランが核兵器国になることを防止するためにすべての可能なことをすると表明した。
 我々はテーブルにあるいかなるオプションも排除しない。しかし、成果を生む関与に向けての姿勢としてオバマ政権が確信していることの基礎となる新しいかつ異なったアプローチを遂行することになるだろう。
 イランの行動に影響を与えるように同国をかかわらせようとするこの新政権をもってしても、結果を予見できるという幻想をもっているわけではない。しかし大統領はこの道にコミットしており、我々はそれを遂行するだろう。…
 核武装したイランは、いかなる状況においても誰の利益にもならないのだから、我々は、今まで協力することに疑ったり希望したりしなかった安全保障理事会の理事国に説明するつもりだ。成功するかどうかは予見できにくいが、制裁に向けたより大きな国際的支持とイラン政府、最高指導者…の言動に対して現実的に影響を与えうる行動を実現できるよう、なし得る最善を尽くすことを約束する。…
 (アメリカの根本的な政策問題として、いかなる状況の下においてもイランが核兵器を持つことは受け入れられないということかとの質問に対し)大統領は、繰り返し受け入れられないと述べた。イランが核兵器国になることを妨げるためになし得るすべてのことを行うために多様な手段を使って外交を行うというのがアメリカの政策である。すでに述べたように、いかなる選択肢もテーブルから除かれていない。したがって、大統領はイランの核兵器国化は受け入れられないということは非常に明確であり、それは我々の前提であり、我々の行動の基礎になることである。

(コメント)
 上記クリントンの発言に基づく限り、イランの核計画に対するアメリカの発想、アプローチに劇的な展開を期待することは難しいという印象を免れません。イランはNPT上の平和利用の権利があり、それにはウラン濃縮も含まれるということを承認した上で、如何にイランも納得できる解決策を提起するかということが問題の本質だと思います。「日本並みの権利を主張し、実行しようとしているにすぎない」とするイランの立場について、私たちも無関心でいるわけにはいきません。アメリカという色眼鏡でイラン問題を見るのではなく、イランの主張の法的正当性を承認し、その平和利用を透明性あるものにするという方向での問題解決が志向されなければならないと思います。

<核軍縮関連>

我々は、START条約交渉に非常に強くコミットするだろう。…我々としては、我々が真剣であることをロシアに知ってほしい。…大統領は、すべての大統領と同じく、我々が十分な抑止力を持っていること…を確信できる限りは、核兵器の終わりにコミットしてきた。だから、我々はそういう考え方で核軍縮問題に臨むことになるのであり、それは大きな変化だ。…
 我々は、ロシアが同じ気持ちである限り、交渉することに真剣であるし、(核兵器を)削減したいが、保有する抑止力については十分であると確信するものを保有する。
 …START協定は本年末に失効するので、我々は真剣にかかわらなくてはならず、即刻開始できるように交渉担当者を指名するだろう。
北朝鮮やイランのことはあるが、これは例外であってルールではない。軍備管理及び不拡散にはルールに基づく枠組みがあるべきだ。もしアメリカが再びそういう仕組みをリードし、作ることができるならば、悪い連中を孤立させる上でより強い立場になるだろう。

(コメント)
 クリントンは、冒頭発言におけると同じく、質問に答える際にも核抑止力に固執する姿勢を明確にしました。オバマの「核兵器廃絶」発言だけにいたずらに期待を寄せるのではなく、「ノーモア・ヒロシマ/ナガサキ」の立場からアメリカに核固執政策を改めさせる断固とした立場を再確認することが私たち自身にとって必要ではないでしょうか。

<北朝鮮と6者協議>

6者協議の状況について私の認識が最新のものになるようにライス長官は私と何回か時間をとって協議した。6者協議は、メリットがある枠組みだと大統領も私も確信しているし、…二国間及び米朝間にチャンスを提供するものだ。…我々のゴールは、プルトニウム再処理計画と未だに完全に検証されてはいないが存在すると信じるだけの理由がある濃縮ウラン計画の双方の北朝鮮の核計画を終わらせることだ。6者協議、特に中国が現在担っている役割、及び韓国及び日本という緊密な同盟国は、北朝鮮の行動を改めさせるために圧力をかける手段であると強く確信している。
 たしかに私は以上のことについて幻想をもっているわけではない。何がなし得るかを決定する上では厳しい現実に立脚した外交がいると考える。北朝鮮がシリアの努力にかかわってきたと信じるべき確かな理由がある。我々は、北朝鮮がリビアの努力にかかわっていたことを知っている。したがって、問題は、ハワイ、アラスカ及びアメリカ西海岸にとって特別の関心である北朝鮮からの脅威を防止するということだけではなく、拡散国としての北朝鮮の役割という問題なのだ。
 したがって、我々は、北朝鮮との間での我々の目的を実現するための最善の方法を決定するために非常に攻撃的な努力に乗り出すだろう。

(コメント)
 朝鮮に対するクリントンの認識も極めて「旧思考」であることが確認できます。

<軍事力の位置付け>

(3つのD-diplomacy, development, defense-を提起し、強力な軍隊は優れた外交の偉大な基礎であるとの見解表明に対し)私は確かに合意する。アメリカを保全し防衛し、我々の価値を増進するためには、これらの三つすべてが協調的に働くようにしなければならない。しかし、…強力な軍隊は我が国家及び利害を保護する究極的よりどころとして不可欠である。

(コメント)
 クリントンの軍事力重視の基本姿勢を改めて再確認させられる思いです。

<パレスチナ問題と外交的努力>

ハマスのような非国家主体についていえば、前にも触れたように条件がある。ハマスは暴力を否定しなければならない。彼らはイスラエルを承認しなければならず、これまでのすべての協定を守ることに同意しなければならない。…
大統領は、我が国の国益及び安全保障のためになるのであれば、誰とでもいかなる時にでも話し合う機会を主張する権利があると確信している。しかし彼は、そういう議論を準備するために行われるべき事前の仕事を評価している。
 したがって、どう外交を行うかについてスマートでありたいと強く考えている。大統領あるいは国務長官が外交的努力を行うときは、その前に必要な事前の仕事が行われることが必要だと考えている。

(コメント)
 パレスチナ問題の解決の難しさを予見させる発言です。

<国連>

可能かつ適当な場合には、我々は、国連その他の機関を使うべきである。…これらの機関は、うまく働くときには、我々の影響力を高めるし、うまく働かないときは、同じ考えをもった友人たちと一緒に、それらの機関がもっと効果的になるように働きかけるべきだ。  (国連の機能改革及びアメリカの納税者が支出している資金について問われたのに対し)これは、大統領の今ひとつの優先順位の高いテーマだ。…国連は改革しなければならない。もっと透明性を高くすべきであり、より効率的であるべきであり、我々はこうした変化のために働きかけていく。
 同時に、アメリカ及び国連の最善の利益となるよう、平和維持その他の活動のために国連を活用する場合に、アメリカは国連の良きパートナーでなければならず、我々の負担を担わなければならない。

(コメント)
 スマート・パワーのアメリカにとって、国連も利用する手段・道具としての位置づけでしかない、ということを露骨なまでに明らかにする発言です。日本人の間にある根拠のない「国連信仰」に乗じて「国連中心主義」をいう民主党の人々の本音も上記クリントンと大同小異であることを知るべきでしょう。

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