オバマに関するイラン国営通信の報道

2008.11.08

*11月8日付及び9日付のイラン国営通信(IRNA)は、アメリカ大統領選でオバマが当選したことに関して2編の短い報道を載せましたが、その内容は興味深いものですので、ここに紹介しておきます(11月10日記)。

1. 議員:「オバマの賢明な決定は、イラン及びアメリカの間の壁を修復することに役立つだろう」(11月8日付IRNA)

イラン議会国家安全保障及び対外政策委員会の副委員長であるEsmail Kowsariは、土曜日(8日)、もしアメリカ大統領当選者であるバラク・オバマが自らの約束を守ろうとするのであれば、両国間の接触は書簡以上に進むだろうと述べた。彼は、アフマディネジャド大統領のオバマ宛の書簡は、イランの責任者とくに大統領の善意を示している、と語った。一方で彼は、IRNAに対し、オバマが自らの約束を守ることを無視するのであれば、イランとアメリカの間では接触はないだろうと語った(注:7日付のワシントン発共同電は、同日の記者会見でアフマディネジャド大統領からの「選挙戦勝利の祝電」を受け取ったことを認め、「内容を吟味して適切に返答する」と言明したとのことです)。
 アフマディネジャドの書簡は、イラン・イスラム共和国は、弱いものいじめの政策及び敵対を変革する国家と闘うことを望んでいないことを示唆している。
 議員は、1980年にイランとの関係を断ち切り、イスラム共和国に対して経済制裁を科したのはアメリカ人であったと語った。彼は、「アメリカがその行動を変えるのであれば、我々は善意を示す用意がある」と述べた。「アメリカ人が古い政策を行うのであれば、イランはアメリカ人に頼っているわけではないので、イランが彼らとの関係を修正するチャンスはない」とも彼は語った。彼は、アメリカがその誠実さを証明するためには、その侵略と単独主義を中止するべきである、と語った。彼は、オバマはイラクから16万人の軍隊全部を撤退させるべきであり、ホワイトハウスが内政政策を変革したいことを証明するために国内問題を解決するべきである、と述べた。「我々は、アメリカのマクロ政策は変わらず、それ故に彼らを信用しないと考えている」と彼は述べた。我々の見解では、オバマのような人々は政策決定者ではなく、スローガンを繰り返しているに過ぎないが、もしも彼らの約束を守るのであれば、交渉及び全面的な関係拡大への基礎が準備されるだろう、と彼は語った。「我々は、オバマが約束を守るかどうかを見守っている」と彼は強調した。
 議員は、「我々の核外交は明確なものであり、それは我々の信条及び宗教に由来している」と語った。「我々は、核兵器を取得しようとしているのではなく、平和目的のためにウランを濃縮することは我々の正統な権利に属する」と彼は語った。彼はまた、IAEAの規則を含む国際法が平和目的のためのウランを濃縮する権限をイランに与えているので、その正統な権利から退却することはない、と付け加えた。イランの平和的核計画に対する組織的な監視者としてのIAEAによる筋が通った質問に対しては回答する用意がある、と彼は述べた。彼はまた、ジオニスト(注:イスラエル)政権が最近提起したイランの平和的核計画に関する主張(注:具体的内容は不明)については、ジオニスト政権は自らを救済するためにはいかなる罪をも犯す用意があると述べた。彼は、イランの平和的核計画に関するジオニストの嘘及びでっち上げの情報は彼らの弱さを示していると語った。彼は、ジオニスト政権はイラン・イスラム共和国が妥協しないことを知っているので、テヘランとワシントンが壁を修復することを妨げるべく策を尽くしているが、最終的決定を行うべきはオバマである、と述べた。

2. 「アメリカの対外政策に戦略的変革をすることが期待されるオバマ」(11月9日付IRNA)

イラン議会議長のAli Larijaniは、土曜日(8日)、アメリカ大統領に当選したバラク・オバマがアメリカの対外政策の戦略的変革を行うことが期待されると述べた。彼は、地方のセミナーにおいて、オバマがこの地域の諸国に対して正しいシグナルを送ることが期待されていると述べた。オバマは、変革とは人種や表面的な発展を意味するのではなく、戦略的政策に関わるものであることを理解できるだろう。オバマのイランの平和的核計画に関わる最近の見解に関し、議長は、それが過去と同じ誤った政策を追求していることを示していると述べた。議長は、もしワシントンがこの地域の情勢を変革したいのであれば、地域諸国に対して正しく適切なシグナルを送るべきだと述べた。
 オバマは、ホワイトハウスを征服した最初のアフリカ系アメリカ人であり、マケインに対して349票で勝利した後、マケインは敗北を認めた。オバマは47歳であり、ケニア出身の黒人の父親とカンサス出身の白人の母親の子どもである。彼の第44代大統領としての就任は2009年1月20に行われる。

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