北朝鮮の対シリア核協力に関するブッシュ政権の発表(2)

2008.04

*4月28日付の『しんぶん赤旗』がイギリスのフィナンシャル・タイムズ紙の興味ある社説などのことを報道していたので、そのサイトを検索しましたら、以下に紹介する社説をヒットしました。この訳文は、送られてきたメールに載っていたものを原文と対照して明らかに誤訳と思われるところを修正したものです。社説は、そのタイトルが示すようにシリアの方に重点を置いていますが、アメリカ政府の公表について重大な疑問を呈しているものとして参考になると思いますので紹介します。

奇妙なシリアの核事件(208年4月25日付フィナンシャル・タイムズ社説)

5年以上前、コリン・パウエル国務長官は国連安全保障理事会で、いわゆるイラクの大量破壊兵器の保有について24以上の主張を並べ立てた。多くの人たちは、そのことを戦争への道において、説得力のあるパフォーマンスだと受け止めた。しかしその後、パウエルの主張はすべて事実無根であることが判明した。彼は世界にビデオ・ゲームを見せたようなものであった。

その後まもなく、イスラエルは、サダム・フセインが大量破壊兵器をすでにシリアに移していた「証拠」が自国のスパイたちによって明らかにされたとふれ回し始めた。それを鵜呑みにする者もいたが、この怪物についてそれ以上何も聞かなくなっている。

木曜日(24日)のCIAの米国議会でのプレゼンテーション、すなわち、北朝鮮が核兵器用のプルトニウムを製造できる原子炉をシリアに提供したという申し立てもまた説得力があった。そのことは、昨年9月イスラエルが行ったシリア東部の砂漠地帯にある施設への空爆を遡及的に正当化しているように見える。しかし、これらのことに関する米国とイスラエルの最近の記録を前にすると、これもまた、単なる一つの手の込んだ宣伝である可能性がある。

米国の主張を純粋にその言葉通りに受け止めるとしても、そこには多くの疑問が提起される。ダマスカスは、いわゆる原子炉用の核物質をどこから手に入れようと していたのか?プルトニウムの分離装置や使用済み燃料の再処理施設はどこにあるのか?核兵器化計画であるとの証拠はどこにあるのか?さらに、米国(とイスラエルの空軍)は、国連の核監視機関であるIAEA(国際原子力機関)を何故無視したのか。

だからといって、われわれがシリアを信じるべきだと言っているのではない。彼らはその施設が軍事倉庫であると主張する以外、コメントすることを拒否しているイスラエル以上にほとんど何もいわないでいる。アサド政権は信用できない。ダマスカスは、ヒズボラやハマスのような暴力的代理人を通してその目的を追求し、とくにレバノンで敵対勢力を殺戮してきた長い歴史をもっている。

シリア政府が2003年にダマスカスにある米大使館から数ヤードしか離れていない所にイラクで戦う志願兵の募集所を認めた後においては、彼らのいつもの答えである 「われわれがそれほど愚かだと思うか?」とする反撃に対しては、(それほど愚かだと)肯定するしかない。しかし、だからといって、(米国の)これらの特定の主張が真実であるということを意味するものではない。

今回の事件は非常に奇妙である。今回のCIAの公表という決定は、北朝鮮の核軍縮に関する6カ国協議の重大な時期においてピョンヤンを窮地に追い込むことになるが、そこにはディック・チェイニーのようなブッシュ政権内のタカ派の関与があると指摘する人々もいる。

しかし、今回の公表は、ヒズボラ(及びイラン)の工作員のトップであるイマッド・ムッグニャのダマスカスにおける暗殺後になされた。空爆と殺害は、イランに対 しこの地域への干渉と核の野望をやめさせるための警告であると解釈することもできるし、ダマスカスがテヘランとの同盟から手を引くよう威嚇したのかもしれない。ワシントンでの一つのビデオ・ショーがこの地域の暗闇に明かりを灯すことにはならない。しかし、そこにはマッチに不注意になれないほどにいっぱいの乾燥した火口があることを思い起こさねばならない。

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