ブラウン英首相の核兵器に関する発言

2008.01.24

*イギリスのブラウン首相は、1月21日にインドのデリーで演説を行い、第二次世界大戦後に作られたルール及び制度をグローバル化した今日の世界に適合したものに作り直すことが必要であることを強調し、環境変化・世界的貧困、世界的金融混乱、大量破壊兵器拡散、テロリズム、平和維持・再建などの問題を取り上げました。大量破壊兵器に関する内容はほとんど核兵器に関するものです。その内容は、キッシンジャーたちの主張とも重なる部分が多いですが、2010年のNPT再検討会議での積極的役割を担う意欲の表明など、注目すべき新たな内容があります。特に、核兵器保有国であるイギリスの首相が発言したことの意味は無視できないと思います。もっとも、核兵器のない世界を「究極的に実現する」としているなど、手放しに評価するわけにはもちろんいきません。以下に、ブラウンの発言を紹介しておきます。また、全文をPDFで紹介しておきます(1月24日記)。

今日の世界は、大量破壊兵器の拡散に対して対応すべきなのに、うまく対応し切れていない。我々は、非国家主体であるテロリズムの台頭を目撃している…。そして我々は、イラン及び北朝鮮からの深刻な挑戦に直面して、核兵器保有量の増強を目ざす競争は終わったという強力なシグナルを国際社会の全ての国々に送らなければならない。残っている米ロ間の軍事的取引の失効、ひき続き大量にある核兵器、核分裂性物質カットオフ条約及び包括的核実験禁止条約(CTBT)の行き詰まりといった全ての問題に向き合わなければならない。

私は今日、イギリスは、核弾頭の検証可能な廃絶に必要な要件を確定することに資するべく、我々の専門的知識を用いる用意があることを述べておく。また私は、2010年のNPT再検討会議に向けて、核兵器国の軍縮を加速し、新たな国々への拡散を防止し、究極的に核兵器のない世界を実現するための国際的キャンペーンにおいて我々が最前線に立つことを誓約する。

世界中において、エネルギー供給源としての原子力に対する新たな関心がでてきているが、民間用原子力に対する関心の増大は、軍事目的への拡散というリスクをも増大している。そこで我々は、非核国が所要エネルギーの新資源を取得することを援助するべく、ウラン濃縮債券を通ずるものを含め、IAEA主導による新しい国際システムについて早期に合意することを推し進めていきたい。非核国に対して行う用意があるこの提案は、最高度の不拡散標準に対するゆるぎないコミットとの見合いにおいてのみ行うものである。大量破壊兵器の脅威と拡散は通常兵器の拡散の流れと絡み合っているし、毎分一人の人間が小火器によって殺害されているので、イギリスとしては、世界的な武器交易条約を締結するべく国際的に尽力するつもりである。

世界中において、エネルギー供給源としての原子力に対する新たな関心がでてきているが、民間用原子力に対する関心の増大は、軍事目的への拡散というリスクをも増大している。そこで我々は、非核国が所要エネルギーの新資源を取得することを援助するべく、ウラン濃縮債券を通ずるものを含め、IAEA主導による新しい国際システムについて早期に合意することを推し進めていきたい。非核国に対して行う用意があるこの提案は、最高度の不拡散標準に対するゆるぎないコミットとの見合いにおいてのみ行うものである。大量破壊兵器の脅威と拡散は通常兵器の拡散の流れと絡み合っているし、毎分一人の人間が小火器によって殺害されているので、イギリスとしては、世界的な武器交易条約を締結するべく国際的に尽力するつもりである。

(参考)ブラウン首相の演説

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