参議院選挙で民意は?

2007.07.15

*雑誌『みんなのねがい』に寄稿した文章です。(7月15日記)

メディアの報道を見ると、7月29日に行われる参議院選挙の最大のポイントは二大政党(自民党と民主党)のいずれが勝つか、ということ以外ないと、思いこまされかねない雰囲気です。日本のメディアの世論を惑わす罪は実に重い、と感じずにはいられません。

先日も広島市立大学で講義した際、一人の学生から、「憲法問題でもっとも明確な立場を示しているのは共産党しかないので、20歳になって選挙権を行使する立場になった自分としては、どう投票したらいいか悩んでいる」と話しかけられました。憲法問題を最大の判断基準として投票したい。しかし共産党には違和感がある。けれども、自民党も民主党も憲法問題で信頼できない。そういう悩みです。

私は、次のように答えました。私も今回の選挙の最大の選択基準は憲法問題だと思う。今国民に正面から問われているのは、憲法「改正」を許すかどうかの選択だ。今度の選挙で選ばれる議員は、ほぼ確実に憲法「改正」問題に深く関わることになる。そのときに、メディアの論調に惑わされ、政党の好き嫌いの感情で自らの選択基準を曖昧にすることは、結果的に改憲を許すことにつながってしまう。

学生は、「よく考えてみます」という言葉を残して立ち去りました。この学生の悩みは、多くの有権者の揺れ動く気持ちを代表していると思います。とくに共産党に対する違和感とは、戦前から吹き込まれた「アカ」意識が今日まで根強く再生産されてきた表れであり、今なお健全な民意の形成を妨げる重大な一因になっていることを如実に物語っています。

二大政党論の高唱の中で、参議院選挙で護憲を約束する政党の議員が一人でも、二人でも増えれば、改憲を許さない闘いが重要な前進を遂げることは間違いありません。日本の進路を左右する憲法問題にあくまでこだわるあなたですか?日本の進路を誤らせる二大政党論に埋没してしまうあなたですか?この文章を読むとき、あなたは何を思いますか?

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