子どもの権利条約と日本の政治

2007.02.12

障害児について扱っている雑誌『みんなのねがい』(全障研出版部)から、1年間短い文章を書くお誘いがありました。孫娘・ミクのことがご縁だと思い、喜んで書かせていただくことにしました。12回の連載ですが、それなりに筋道をつけたいと思い、障害児と「子どもの権利条約」そしてミクを念頭におきながら書いていきたいと思っています。第1回はそのものずばりで、「子どもの権利条約と日本の政治」です(2007年2月12日記)。

最近「子どもの権利条約」を集中的に勉強する機会がありました。いま日本社会は、小泉・安倍政治の下で、新自由主義(市場至上主義)の「改革」の嵐が吹きまくり、人間の尊厳を根底に据え、人権尊重の考え方を貫かなければならないはずの社会福祉の分野でも、障害者自立支援法に基づく「応益負担」という市場至上主義が押しつけられています。しかし、この条約を読めば、「改革」「応益負担」がいかに異常なものか、許されてはならないものなのかが、改めて強く理解できます。

この条約ができたのが1990年、日本が批准したのが1994年です。障害者自立支援法は2006年に成立したわけですが、この条約が日本に求めていることを正しく理解するものならば、障害児を児童福祉法から引きはがし、自立支援法の適用対象に組み込むことなど、絶対に許されないことが分かるはずです。

なぜならば、条約は、「子どもにかかわるすべての活動において、…子どもの最善の利益が第一次的に考慮される」(第3条1項)とし、締約国である日本は、「子どもに対してその福祉に必要な保護及びケアを確保することを約束し、この目的のために、あらゆる適当な立法上及び行政上の措置をとる」(同2項)と約束しているからです。また日本は、「この条約において認められる権利の実施のためのあらゆる適当な立法上、行政上及びその他の措置をとる」(第4条)とも約束しています。

柳沢厚生労働大臣の「女性は子どもを産む機械」発言で露骨なように、政府・与党の人権感覚の欠落は目に余ります。この条約を無視し、障害児とその家族に自立支援法を押しつける厚かましさも、根っこは同じです。

障害がある孫娘をもつ私も、皆さんと一緒に、憲法やこの条約さらには児童福祉法の本旨に反する障害者自立支援法を一日も早く改めさせ、さらには廃止に追い込んで、障害児が人間としての尊厳と権利を尊重され、発達できる社会を実現したいと強く思っています。

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