映画「武士の一分」を観て

2006.12

山田洋次監督が木村拓哉を起用して撮った「武士の一分」を観てきました。山田監督がキムタクの目に惹かれて主役に起用したということを非常に納得していたし、「ハウルの動く城」で声役としても素晴らしい才能を示したキムタクにも興味があり、是非とも見たいと思っていたのでした。

前評判に違わぬ素晴らしい作品でした。身分社会を背景にしているのに、キムタク演じる武士は、農民、商人の子にも教える剣道場を開くことが夢という優しさの持ち主。下僕にも人間として愛情と感謝の気持ちを表明する素直な性格。山田監督ならではのヒューマニズムを全編に漂わせていました。毒味で毒が当たって失明した後のキムタクの演技が秀逸だったし、壇れい扮する妻の主人公を愛する表情・仕草も本当に納得。そして、妻が上役に騙されて手籠めにされてからのキムタクが果たし合いに臨むまでの息もつかせぬ展開。そして、山田監督らしさを感嘆するしかない余韻を残す最終章(まだ観ていない人のためにストーリーはあえて記しません)。夫婦愛を中心に据えた人間讃歌を心行くまで味わうことができました。

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